サッカー百鬼夜行

第9節 対徳島ヴォルティス
2005.4.30(SAT) 徳島県鳴門総合運動公園陸上競技場

徳島ヴォルティス 1-1 コンサドーレ札幌
大島【89分】 0-0
1-1
相川【80分】
スターティングメンバー
ノリヲ GK 髙原
谷池
谷奥
小峯
DF 加賀
ソダン
画伯
秋葉
鎌田

伊藤
片岡
MF 岡ちゃん
たばたん
スナマコ
カズゥ
ひろゆき
大島
羽地
FW 岳也
元気
伊藤→大場【65分】
鎌田→筒井【73分】
片岡→小林【81分】
交代 岳也→アイカー【54分】
岡ちゃん→宝宝【75分】
カズゥ→ゴンドー【89分】
大場【66分】 警告 画伯【86分】

試合の感想
 前節福岡を相手にホームで劇的なロスタイムの同点弾を見せた札幌は、返す刀で今節はJ2では初対戦となる徳島ヴォルティスとのアウェイ戦に臨みます。今季からザスパ草津と共にJ2に参入してきた徳島は、JFLの名門・大塚製薬を母体としてプロ化したチーム。成績では「アマ最強」ホンダFC(本田技研)に、話題性では草津の後塵を拝しているものの、多くのJリーガーを輩出していることで知られるチームです。なじみのあるところではアウミール、田渕龍二、古川先生、磯山和司らの元札幌選手を始め、元監督で札幌の強化部長を務めた石井肇氏も大塚製薬出身。つまり、みんなポカリスエットとカロリーメイトで育ったわけです。
 J2元年の今年は、片岡功二や大島康明といった以前からの主力に加え、伊藤彰や秋葉忠宏、羽地登志晃、大森健作らを補強。いずれの選手も高い実力を持っていますが、いかんせんとにかくみんな地味。かと思ったら小峯隆幸や「スーパーカリスマゴールキーパー」高橋範夫を補強するというネタも提供するなど、地味に侮れないチームであります。その侮れなさの通り、開幕戦ではベガルタ仙台をアウェイで0-3で破り、その後もしぶとい試合運びで前節まで5位という好位置をキープ。同じ参入組の草津が最下位と苦戦をしていることに比べても上々の成績を挙げています。
 そんなわけで初めて降り立った徳島の地は、空港からまず徳島ヴォルティスの大きなフラッグでお出迎え。「おお、盛り上がってるな徳島」と思い立ったのも束の間。市内の中心部に行けば行くほど今年からスタートした「四国石毛リーグ」の徳島インディゴソックスのノボリや旗ばかり。「四国初のプロサッカーチーム」も、日本有数の野球どころの四国ではなかなか苦戦している模様。

 さて、徳島に「プロの先輩」としての意地を見せたい札幌ですが、その先輩の試合の前までの順位は9位と成績面では徳島よりずっと下。それでも2度のトップカテゴリ昇格と2度のJ2降格、そしてJ1の2位(ただし瞬間最大風速)からJ2最下位と、妙な経験だけは無駄にある先輩。ここは入ったばかりの新人くんに「俺の若い頃はナァ…」と、前節の勢いに任せてタチ悪く絡みたいところです。まぁ前節の勢いっつったって冷静に考えれば別に勝ったわけじゃないんですけどね。
 そんな札幌のメンバーですが、韋駄天和波智広が右足を痛めて欠場。左サイド本職の選手が和波しかいない現状ではチームにとっても痛いところで、週中の練習でいろいろ試したヤンツーは結局これまで左のストッパーを務めていた西嶋をウィングバックとして起用、あいた左ストッパーには久しぶりの出場となる西澤が入りました。その関係もあるのか、ここ3試合スタメンで出場していた三原の代わりに上里がスタメンとなりました。湘南戦で2回目の一発退場をやらかした池内も、2試合の出場停止が解けてこの試合から出場可能になったはずですが、どういうわけか遠征メンバーにも帯同せず。苦しい台所事情で試合を迎えます。
 それにしても徳島は他とは別の意味でアウェイを感じるスタジアムです。メインスタンドのお客さんのメガホン所持率が高く一昔前の厚別のような雰囲気を醸し出しているということもあるのですが、笑ってしまったのがスタジアムDJのコンサドーレの選手紹介。通常アウェイチームの紹介は「1.小音量でぼそぼそ紹介」か「2.ローテンションで仕方なく紹介」パターンのどちらかに分類されるのですが、いずれにしてもひとりひとりをキッチリ紹介だけはしてくれるので、アウェイサポーターも選手ごとに合いの手を入れられるものです。ところが、徳島の場合は控えも含めた全選手をものすごいスピードで一気に紹介。口を挟む隙さえ与えない完璧なアウェイの洗礼。

 というわけで試合ですが、開始から札幌ペース。早々にコーナーキックのチャンスから田畑が飛び込んでヘディングシュートを放ちます。シュートは入らなかったものの、気温25度超という暑さを考えれば早めに得点を奪って試合を優位に進めたいところで、その辺りは選手もわかっているのか積極的な立ち上がりです。しかし、左サイドの西嶋は左サイド本職ではない上、そもそもは右利きの選手。タッチライン沿いで右足を使うのはかなり窮屈そうで、そのせいかあやふやなプレイが目立ちます。それならば右サイドの岡ちゃんを使いたいところですが、相対する徳島の左サイドは徳島でもっとも危険な片岡功二。この片岡の突破を警戒してか、いつもの積極性がなりを潜めています。逆に片岡も岡ちゃんのドリブル突破を警戒してか、それほど上がってこず。お互いがお互いを警戒して威嚇する様は、ネコのケンカを見ているようです。
 対する徳島も手をこまねいているわけではなく、開始からしばらくは札幌の攻撃に手をこまねいていたものの、前半も中頃から落ち着き初め、伊藤彰にボールが収まるようになります。ペース的には札幌ではあるものの、徳島にもチャンスが出始めます。伊藤彰と大島・羽地の2トップに片岡が加わり札幌ゴールを脅かしますが、加賀は羽地を抑え続け、西澤もいつもの通りのスペクタクルはあるものの、持ち味ではある「眉ひとつ動かさずに相手を潰す」必殺仕事人プレイが見られます。当然、ハイボールは天空の覇者ソダンがことごとく跳ね返し、徳島の攻撃を封じ込めました。といっても実際はサポーターの心臓の鼓動まで封じ込めそうなシーンもありましたけどね
 まぁそんな感じで札幌も結構チャンスは多かったのですが、何が哀しいのかフィニッシュのひとつ手前のパスを狙ったようにミスしたり、田畑のシュートもクロスバーを叩いたりと相も変わらず最後の詰めが甘く得点は奪えず。結局前半はチャンスは作れどもいつもの通り1点も奪えずに終了。結果論になりますが、前半のうちに1点でも奪えなかったことが後々大きく影響してくることになります。ロッカーに引き上げていく選手たちの中で、ひときわ目を引くのが田畑。引き締まった…と言えば聞こえはいいのですけど、実際はクソ暑い中ワンボランチで攻守に走り続けてゲッソリというほうが近く、まさしく命削ってますという感じ。試合も半分を残してタバタンメーターも残りわずかに違いありません。

 後半になると前半に比べれば日がかげってきて、やや涼しくなってきました。気温差にして10度以上ある札幌からやってきた選手たちにとってはこれで少しはラクになるかと思われましたが、既に手遅れだった模様。逆に徳島選手の動きがよくなってしまい、次第に札幌が押され始めるようになります。
 流れが悪いと見たか、ヤンツーもこの日は早めに手を打ってきました。後半も始まって10分も経たないうちに、イマイチ動きに精彩を欠いていた岳也に替えて相川を投入。前節福岡戦で同点に追いついたあとのチャンスをフイにしただけに、今度こそいいところを見せたい相川ですが、この頃には既に中盤の押し上げが遅くなってきており、なかなか相川にいい形でボールが入りません。札幌が砂川のクロスから元気が頭で合わせたシュートがクロスバーと叩いた程度で、流れを変えるまでには至りません。とはいえ徳島も、盛り返してきてはいるもののどうにもこうにもミスが多く、ボールがうまく繋がらない状況。結果、ボールは飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで、攻守が回って回って回って回る夢想花サッカーが繰り広げられます。
 そんな感じで何だかどっちにも得点の香りがしない中、ヤンツーはこちらもパッとしなかった岡ちゃんに替えて前節アシストをした徐を、徳島の田中監督も伊藤彰に替えて大場を、鎌谷替えて筒井を入れたりして何とか流れを掴もうとしますが、どちらも劇的な効果を見せられないまま時間だけが過ぎていきます。
 今回もスコアレスドローの予感が漂い始めた後半35分、得点のシーンはいきなり訪れました。左サイドの上里からのロングボールが相手DFの頭上を越え、その裏で待っていた相川の元へ。このボールを胸トラップした相川が流れながら左足を振り抜いたシュートは、ここまで人外なる力でシュートをよけ続けてきたノリヲを破ってゴールイン。ついに札幌が先制に成功しました。
 ようやく先制点を入れた札幌。あとは守るだけの状態ですが、そうでなくても疲れていた札幌イレブンはこの得点でちょっと気を抜いてしまったのか、追いつこうという徳島の猛攻を跳ね返すのに精一杯。落ち着いてボールをキープすれば問題ないはずなのに、フォローも期待できないのに無駄に攻め上がってはカットされ、また押し戻されて無駄にファウルを犯す悪い時のコンサ・スパイラルに陥ります。徳島のミスにも助けられそれでもなんとかロスタイムまでは凌ぎきりますが、今にも追いつかれそうな悪い予感は消えないまま。
 そして迎えた徳島の最後のセットプレイ。これを凌ぎぎれば勝点3ゲットという時点で、クリアしたボールを拾われて空げられたロングボールに対処できず、フリーの大島に決められて同点となった瞬間に試合終了。サポーターはワールド8の4面の最後のハンマーブロスにやられた時の心境のまま帰路についたのでした。

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