サッカー百鬼夜行

第14節 対ザスパ草津
2004.5.28(SAT) 札幌厚別公園競技場

コンサドーレ札幌 3-1 ザスパ草津
相川【21分】
相川【40分】
砂川【60分】
2-0
1-1
山口【89分】
スターティングメンバー
シャイニング GK 小島
アバレッド
ソダン
ひろゆき
DF 小川
小田島
籾谷
智樹
宝宝
スナマコ
カズゥ
美白
MF 鳥居塚
氏家
山崎
山口
寺田
佐藤
アイカー
元気
FW 佐藤正美
吉本
スナマコ→謙伍【73分】
カズゥ→金子【78分】
交代 氏家→小久保【45分】
山崎→酒井【45分】
佐藤正美→樹森【66分】
  警告 氏家【18分】
山口【47分】
酒井【60分】
山口【89分】
  退場 山口【89分】

試合の感想
 前節湘南とのアウェイ戦に勝利して616日ぶりの連勝を果たした札幌は、3連勝をかけてザスパ草津とのホームゲームを戦います。第1クールのアウェイ戦(第3節)では、それまで1点も挙げられていなかった草津にJ2初ゴールを決められるという、未来永劫尽きることなき札幌のお約束を見せてくれたわけですが、その後池内のゴールと砂川のオーバーヘッド、岳也の2ゴールで終わってみれば1-4の大勝。札幌の今季初勝利となりました。その後の草津は徳島を相手にJ2初勝利を挙げたものの、その他の試合は湘南と横浜FCに対して2つの引き分けがあった以外は全敗。前節終了時点で8得点、29失点はともにダントツのワーストとなっています。そのあまりの失点の多さに、草津の手塚監督は守備のテコ入れを図るべく第12節の横浜FC戦からそれまでの4バックを3バックに変更。その試合では引き分けたものの、次の京都戦では3-0で大敗。相手が悪かったとはいえまだ手探りの状態が続いています。
 ところでこの草津の3バックとGKを含めた4人中3人が「小」の付く名前。「森」ばっかり揃えていたかつての札幌を思い出しますが、「小」といいつつ小島187cm、小川177cm、小田島180cmと微妙にウソツキです

 そして札幌は加賀がまだ試合に復帰できる状態ではない上、前節累積4枚目のイエローカードを受けた西澤が出場停止となり、西澤のポジションにはそのまま池内が第4節以来の出場。西澤の代わりに池内というのならば特に心配することはありませんが、問題なのは中盤。前の試合まで全試合フル出場していたタバタンが週中の練習で足首を痛めてしまいました。ボランチの駒こそ揃っているとはいえ、ワンボランチとして中盤の広い範囲をカバーしていただけでなく、ペナルティキッカーも任されていたタバタンの代わりとなるとそうはいません。守備面に目をつぶれば三原が適役なのでしょうが、もともと運動量があるほうではないし、何より負傷中で万全ではありません。権東や金子を入れて上里を下げ、2ボランチにする選択肢もあったと思いますが、ヤンツーの採った策は2年目の鈴木智樹のワンボランチでした。確かに智樹は攻撃センスもあるしミドル~ロングレンジのパス精度は高いですが、その武器をフルに出すためにはガッツリ守れる相方が必要…だと思っていたんですけどね。「かわいい子には旅をさせよ」という諺がありますが、どっちかというとこの場合ヤンツーが冒険をしていると思います
 札幌も去年は今の草津と同じような成績だったわけで、あの頃を思い出すにつけ草津のサポーターの心境は推して測るべしですけど、だからといって同情などは不要です。むしろ容赦なく叩いて昔の自分にサヨナラよ!と行きたいところ。
 ところで、この試合の主審は上川徹さん。スペシャルレフェリーです。毎年1度くらいはプロ主審が、僻地で行われるJ2のしょぼいカードにお越しいただくような気がしますが、ひょっとしてSR特典の北海道旅行なんでしょうか。どうでもいいですけど。

 そんなわけでキックオフなのですが、厚別は今年2回目ですし、メンバーの交代は今までだって結構ありました。それにしてはずいぶんとバタバタした立ち上がりで、草津が予想以上に積極的にプレスをかけてきたためにボールが落ち着かないばかりか、ソダンがちょろいバックパスをかっさらわれそうになったり、池内がノールックバックパスなどという無駄にスペクタクルな技を繰り出したりと一向に落ち着く気配がありません。
 方や草津のほうも札幌のプレスの前に満足にボールを運ぶことが出来ません。98年以来6年ぶりの厚別となる鳥居塚が奮闘するものの、パスミスが多くボールを繋げない状況です。通常、球技では野球などの「守備側が先にアクションを起こす」スポーツを除いては、両者間に大きな実力差がない限り主導権を握れる攻撃側、つまりボールを持っている側が有利となるものです。ところが目の前で繰り広げられているのは何となく「攻めたモン負け」なサッカー。「ストII」のガイル同士の戦いじゃあるまいし。確かに「守備のアクションサッカー」と言えなくもないですし、実際ファウルの多い草津と対照的に複数人で囲い込んでファウルせずにボールをかっさらっていく様はお見事ではあるのですけど、いざ攻撃に移ったときにパススピードが遅くて相手のプレスをかいくぐれないのはこれからの課題でしょうか。
 それでも執拗にサイドを攻める札幌が徐々にチャンスを創り出すようになり、迎えた前半21分に智樹からのパスを受けた和波が上里とのワンツーで左サイド不覚を突破してファーサイドへのクロスを上げます。このボールをDFの視界外にうまく入りどフリーで待ちかまえていた相川がヘディングシュートを決め、先制点を叩き込みました。「こけの一念岩をも通す」と言いますが、サイド攻撃という札幌の攻撃パターンが実った瞬間でした。意外なことに、札幌のサイドからのクロス数はリーグで2番目に多いのです。もっとも、そのクロスが味方に通る確率は5本に1本程度ですけどね。まぁ、「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」と言いますし。
 というわけで首尾よく先制した札幌は、気分をよくしたのか俄然動きがよくなり、その後も草津を攻め立てます。何度かいい場面を作ったものの決め手を欠き、このまま1-0で終了かと思われた40分、自陣内で智樹がスローインからのボールを受けます。ボールを受けて前を向いた智樹でしたが、なぜか草津選手は誰もプレスをかけに来ません。草津ゴールからは遠い場所だったからなのか、それとも先制点に絡んだ以外は試合の流れから消え姿が見えなかったためなのか、いずれにしてもエアーポケットのようにぽっかりとフリーになった智樹。いくら坊主頭の19歳とはいえ、フリーでボールを持てば智樹にとって50メートルくらいのパスを通すのはさほど難しいことではありません。顔を上げた智樹が前線でDFの裏を取った相川に向けてロングパスは、DFラインとGKの間のエロい場所に絶妙に飛んでいきます。ボールの落下点にいち早く入った相川は、飛び出してきた小島(ヒゲ)を胸トラップで交わし、そのまま無人のゴールへボレーシュート。決して簡単なゴールではないのに、相変わらず変態的なシュートは得意なストライカーの2ゴールで前半を2-0でリードして後半を迎えます。

 後半も札幌ペースで試合が進み、元気が裏に抜け出しシュートを放ったり、和波のミドルシュートを打ったり、CKから上里のボールをフリーのソダンがヘディングシュートを狙ったりましたが、いずれも小島にセーブされたり枠のわずか外へ行ったりで得点ならず。しかし、札幌の攻撃に草津守備陣がほとんどついて来れず、トドメの3点目を充分に予感させる試合展開です。
 そして後半14分には左サイドをドリブルで突破した砂川が、ペナルティエリアに侵入したところで酒井(ヒゲ)に後ろから足を引っかけられPKをゲット。これを自ら決めダメ押しとも言える3点目をゲットしました。
 こうなれば札幌はもうしゃかりきになって攻める必要はなく、草津の攻撃を受け流しつつカウンターを狙っていれば大丈夫です。まぁどんな強いチームだって90分同じペースで試合が出来るわけはありませんし、ましてやホームで3-0で勝っているのにがむしゃらに点を取りにいくサッカーをする必要はありません。そんなわけで札幌イレブンは多少ペースを落としたわけですが、この辺りのペースチェンジが出来るようになったのも、去年から比べて成長した部分かも知れません。もっとも、去年は2点以上リードした試合なんてなかったんですけど。
 さらにホームで3点リードしたとなれば、ヤンツーとしてもいろいろと試したいところ。後半28分には砂川を下げて謙伍を入れ、さらに上里を下げて金子を入れて3-4-3へシフトチェンジ。実際ヤンツーの意図として「テスト布陣」という思惑があったかどうかはわかりませんが、結果としてこの意欲的なチャレンジはものの見事にコケました。さすがにまだそこまで選手たちは器用ではなかったようです。

 そんなわけで終盤はちょっとダラダラな感もあり、ロスタイムにはカウンターから山口に決められ1点を失い、大量リードに守られ3連勝を果たしたものの後味の悪い幕切れとなりましたが、「飛んできたクリアボールを革靴で華麗にヒールトラップしたヤンツー」を含めれば入場料の元は取れた試合だったかも知れません。

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