? チャンリンシャン
サッカー百鬼夜行

第11節 対鹿島アントラーズ(テレビ観戦)
2002.10.27(SUN) カシマスタジアム

鹿島アントラーズ 3v-2 コンサドーレ札幌
柳沢【46分】
柳沢【71分】
石川【102分】
1-0
2-1
1-0
小倉【43分】
小倉【61分】
スターティングメンバー
ンガハタ GK 洋平
青木

池内
石川
DF
先生
健作
熊谷
本田
コーちゃん
野沢
アウグスト
MF 西田
ナメック星人
吉川
三沢
コマネチ
柳沢 FW King of Sapporo
オグ
熊谷→西澤【3分】
アウグスト→長谷川【40分】
青木→ファビアーノ【68分】
交代 三沢→ジャジ【75分】
King of Sappor→岳也【75分】
西田→タブチ【85分】

試合の感想
 前節市原に勝利し、かろうじて降格を免れたコンサドーレ札幌は、今節は鹿島アントラーズとのアウェイゲームを戦います。1stステージは序盤こそ躓いた鹿島は、ワールドカップ終了後に鈴木隆行がベルギーリーグのヘンクへ、平瀬が横浜F・マリノスへ期限付き移籍したものの、その直前に獲得した元ブラジル代表・エウレルの活躍で最終的には5位にまで順位を上げ、そのしりあがり寿な勢いのままお約束の2ndステージ制覇を狙いましたが、そのエウレルが故障したのを皮切りにファビアーノや小笠原、長谷川など主力選手が次々とケガをしてしまったこともあり勝ちきれない試合を続け、現在4位と優勝争いから一歩後退した感があります。しかしそうは言ってもやはり鹿島。前節では2ndステージ無敗を続けていた絶好調の浦和レッズに土を付け、さすがの底力を見せつけました。
 というわけでけが人続出の鹿島は満足にメンバーを組めません。長く戦列を離れていたファビアーノがベンチ入りまでこぎ着けたものの、全治6ヶ月の重傷を負っている金子に加え、前述したエウレルと小笠原はまだ復帰できず、本山もケガ、名良橋もケガ、羽田もケガのその上さらに内田が出場停止という非常事態。危機的状況のセレーゾ監督は、柳沢を1トップとしてシャドウストライカーに「ツラが新庄系」の野沢と、本来は左サイドバックのアウグストを並べ変則3トップとし、本田、熊谷、中田浩二のトリプルボランチとし、ルーキーの石川を左サイドバックで起用、誰もいなくなった右サイドバックには「ツラは車だん吉系」の青木を急遽起用する苦肉の策で試合に臨みます。
 負けた時点で降格決定という綱渡り状態の続く札幌は、まだカタールから帰って来られない今野と、累積警告で出場停止の板長が欠場ということで、ここ2戦採用していたトリプルボランチをやめてビジュと吉川のダブルボランチとし、トップ下に平間を置く布陣を採用。その他は前節と変わらないメンバーで、当然2トップの一角には"King of Sapporo"新居もスタメン出場します。

 試合は開始早々から札幌が「先手必勝」とばかりに鹿島陣内に攻め込みます。鹿島にしてみればやけっぱちの札幌が最初からガツガツ来ることは予想出来たはずですが、札幌のバンザイ特攻サッカーに戸惑ったのか、中途半端なクリアボールを奪われてしまいます。このルーズボールを抑えたオグが、3試合ぶりにスタメンを飾った平間にパス。このボールは平間をマークしていた熊谷にクリアされてしまいますが、この時もつれた熊谷が平間の「ツタンカーメンの呪い」で熊谷が全治4ヶ月の重症を負い、試合開始からたった1分で試合続行不可能となってしまいました。
 予想だにしなかった事態にセレーゾ監督は慌てて西澤をスクランブル発進させ、青木をボランチに、池内を右サイドバックに入れて応急処置を行いましたが、これで不慣れな選手が本来のポジションに戻った形となった鹿島が押し気味に試合を進めるようになります。スキあらばカウンターをお見舞いしたい札幌ですが、鹿島の最終ラインに構える漢・秋田は函館での試合でデビューした新居をナメきったおかげでプロ初ゴールを許してしまった事を憶えているのか、全力で潰しにくるため新居もなかなか前を向くことが出来ません。
 守備面でもこれまでの試合と違ってマークの受け渡しもスムーズに行っているのですが、1トップでかつサイドバックもガンガン上がってくる鹿島に中盤で数的優位を作られてしまうため、どうしてもフリーの選手が生まれてしまいます。まぁ、柳沢の1トップということは鹿島は事実上ゼロトップということにもなるのですが、FWよりも点を取っているボランチ・中田浩二のヘディングシュートがゴールポストに当たるなど危険なシーンが続きます。

 しかし、そんな不穏な空気に風穴を開けたのがやはりあの男、"King of Sapporo"新居でした。やや攻め疲れの見えた相手DFのパスを鋭くカットするやいなや俺ドリブルで突進、秋田がコースを塞ぐより早くペナルティエリアの外から俺シュートを打ちます。シュート自体は残念ながらGK曽ヶ端の正面を突きましたが、フリーになってボールを要求していたオグに一瞥すらくれない俺っぷりで流れを引き寄せにかかります。
 この新居のシュートがチームに勢いを与えたのか、札幌がようやく攻勢に出始めます。前半も終了間際の40分に、それまで中盤に君臨していたアウグストが太ももに違和感を訴え、セレーゾ監督に倍満となるケガ人8人目をプレゼントしてまだケガの完治していない長谷川と交代すると、その3分後にここのところ冴えのなかった韋駄天・和波が左サイドを突破しアーリー気味に入れたクロスボールは、ニアサイドに飛び込んでいった新居をスルーしてファーサイドに走りこんできたオグが右足で流し込んでゴール。降格回避に向けてのどから十勝花子が出てくるほど欲しかった先制点をゲットしました。

 ところが、いい流れで折り返したはずの後半早々、柳沢にワンツーで抜け出されペナルティエリア内への侵入を許してしまいますが、ここで札幌ゴール前に立ち塞がったのはあの男、"キング・オブ・スペクタクル"古川先生でした。柳沢を挟みうちにしてボールを奪った古川先生、何を思ったかいきなり洋平に鬼のようなバックパス。死んだはずのお富さんが生きていたかのように驚いた洋平はキックもトラップもままならず、転がってきたボールを柳沢が難なく決め、「先生のスペクタクルは失点には結びつかない」という定説を覆す同点劇となってしまいました。
 苦労して奪った先制点をミスからすぐに取り返されてしまった札幌は途端に浮き足立ってしまいます。俄然勢いづいた鹿島はどフリーで抜け出した柳沢がペナルティエリア内でバックパスしてクリアされるという、通称へなぎ100%に助けられるものの、U-21代表の野沢を中心に札幌を攻め立てていきます。
 しかし、このイヤな流れを断ち切ったのもやはりあの男、そう、"King of Sapporo"新居でした。後半16分、相手ペナルティエリア脇でボールをキープした新居がドリブルした瞬間に池内に倒されたプレイを、布瀬主審はPKと判断。鹿島側にとってみれば厳しい判定でしたが、まんまと新居が奪取したPKをオグが落ち着いて決めて勝ち越しに成功しました。
 悪い流れの中望外のPKで勝ち越しましたが、これですんなり逃げ切れるくらいなら札幌は今ごろ棺桶に全身を突っ込んだりしてません。このPKのわずか10分後、中途半端なクリアから再び柳沢に技ありのシュートを決められまたしても同点に追いつかれてしまいました。
 同点に追いつかれた張監督は選手交代で戦局の打開を図り、疲れの見えた和波と新居をジャジと岳也にチェンジします。とはいえ、単純な選手交代で何とかなるくらいなら札幌は今ごろ断頭台への行進なんてしてません。交代で入ってきた岳也も、ここ最近のマイブームである「とりあえず生ビール」ならぬ「とりあえず黄色カード」という技を見せたくらいで全然ボールがもらえません。ジャジも入った途端にディフェンスに追われ、なかなか攻撃に絡むことが出来ず、試合は2-2のまま延長戦に突入。

 延長に入ると、水曜日に試合をしたばかりの両チームとも疲労の濃さがアリアリとなりますが、鹿島は優勝戦線に残るため、札幌は降格回避のため、立場は違えどどちらも負けられない両者はますますヒートアップ。ドリブルで抜けたジャジを掴んで倒したファビアーノや石川に対し、布瀬主審が「試合中の脱皮の手助けは禁止」という理由でカードを出すなど荒れ気味の展開となります。そして、こういったムードには無駄に敏感な男が見事に反応してしまいました。長谷川に倒されたビジュが報復行為を働いてしまい、一発レッドを喰らい退場。
 ただでさえ延長には圧倒的な弱さを誇る札幌が10人となってしまっては勝てるはずもありません。延長前半12分、オフサイドトラップのかけそこねから突破を許した石川のクロス気味のボールが、中途半端に飛び出した洋平の脇をすり抜けVゴール。いい試合をしながらも、結局は逃げ切れずに延長で逆転されるというお約束の光景でコンサドーレのJ2降格が確定したのでした。

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