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サッカー百鬼夜行

第26節 対アルビレックス新潟
2003.8.2(SAT) 新潟スタジアム

アルビレックス新潟 5-1 コンサドーレ札幌
船越【29分】
マルクス【50分】
マルクス【66分】
マルクス【70分】
マルクス【86分】
1-1
4-0
O.G.【6分】
スターティングメンバー
野澤 GK 洋平
尾崎
アンデルソン
丸山
すぎやまこういち
DF 岡ちゃん
ソダン
西澤
川ロ
秋葉
ヤマロ
深澤
ファビーニョ
MF 中尾
ゴンザレス
板長
尾藤
マルクス
船越
FW 岳也
偽俺王
すぎやまこういち→安【45分】
尾崎→鈴木【68分】
深澤→末岡【80分】
交代 ソダン→砂川【34分】
岡ちゃん→ナオキ【52分】
砂川→King of Sapporo【68分】
船越【30分】
すぎやまこういち【33分】
船越【37分】
ファビーニョ【60分】
警告 中尾【37分】
偽俺王【42分】
船越【37分】 退場 ビタウ【55分】

試合の感想
 ここ2試合で1分1敗と後がない札幌は、今節は首位新潟との直接対決。通称「ビッグスワン」に乗り込みます。新潟は通算成績で7勝2敗1分、今季も2戦2勝と相性のいい相手ではありますが、相手は首位でこっちは6位、勝点差で16と大きく水を空けられています。新潟の反町監督にとってはJ1昇格のために負け越しだけは避けるため、札幌のジョアン・カルロス・トシキ監督にとっては上位争いに食い込むために、おたがい負けられない直接対決となりました。
 その新潟は概ねベストメンバー。ビッグスワンには3万2千人のサポーターと、札幌を叩くためにはおあつらえ向きの条件が整っています。反町監督は「札幌は何をやってくるかわからない」と語っていたそうですが、それは多分本人たちもよくわかっていないと思いますので安心していいと思います。

 そして札幌は守護神藤ヶ谷は今日もダメで、さらには左サイドバックの和波が出場停止。健作はまだ別メニュー中ですので手薄となった左サイドバックには、プロ初となる川口が入りました。「成らない香車」が成らない歩となっただけの話ではありますが、突かれまくっていたサイドの守備力強化という意味ではまぁわからなくもない配置です。その他では不調続きの砂川がベンチに外れ、板長を2列目に上げて中尾と今野といういろんな意味で対照的なダブルボランチ、FWは出場停止が明けた岳也が戻り、アンドラと2トップという形になります。
 一時期ほどではないにせよ怪我人の多さは相変わらずで、ベストメンバーが組めない状況が続きます。もっとも、今となっては何を以てベストなのかはわかりませんけど。

 望外のリードを得た札幌ですが、ここから何となく「アウェイで先制したのなら無理に攻めなくていい」というのと、「残り80分以上を残す状況で新潟相手に1点を守りきれるわけがない」という2つの相反する考えがチーム内で二分されてしまったような感じで、復帰以来消極的なプレイが目立っていた今野がやけっぱち気味にガリガリ勝負したかと思えば、「上がりは要求されてない」という川口が素直に上がってこなかったりと妙にちぐはぐとなってしまいます。
 そうこうしているうちに次第にファビーニョ、マルクスの両ブラジル人選手を中心とする新潟が徐々に札幌を脅かしにかかります。次々と守備を破られるマズい状況で迎えた前半29分、右サイドで中尾が奪ったボールを拾ったソダンが再びボールを奪われてしまい、なおかつまた抜きでゴール前にパスを通されるという痛恨のミス。このパスを受けたファビーニョがゴール中央で待つ船越へパス、ゴールに流し込むだけの船越が難なく同点ゴールをゲットしました。
 振り出しに戻ってしまったジョアンは、その5分後に致命的なミスを犯してしまったソダンを砂川と交代、今野をセンターバックに下げます。確かに曽田のミスは軽率ではありましたが、そもそも彼があの位置まで出てきてディフェンスしなければならなかったことが問題だと思いますし、札幌の中で唯一高さ勝負の出来るソダンを外してまでせっかく攻める気マンマンだった今野を下げる必要があったのかどうかはちょっと不明ですが、いずれにしてもちょっと不可解な交代でした。
 さらには前半37分、札幌のペナルティエリア前で今野に倒された船越が、なぜかシミュレーションを取られるという不可解なジャッジでイエローカードを受けます。前半30分に既にイエローカードを1枚受けている船越はこれで2枚目となり退場。北村主審はオノレが出したイエローをすっかり忘れていたのか、すぐにレッドカードを出さずに副審に確認してからようやく船越に退場を命じます。船越はもちろん納得が行くはずもありませんが、この時中尾もドサクサ紛れにイエローをもらっていたようです。
 アウェイで相手が1人少なくなった上、その退場者が194cmの船越だったのは既にソダンのいない札幌にとってはもちろんラッキーなこと。しかし、第1クールの試合で圧倒的に試合を支配して勝利したのは、退場者を出して10人になった札幌でした。サッカーにおいて選手が少なくなったチームがかえって動きがよくなるのはよくあることですし、逆にオレには札幌は相手が退場すると勝てないという記憶しかありません。そういったデータと、ある意味北村主審のアシストに見せかけた巧妙なワナの予感は、奇しくも後半に証明されることとなります。

 そんなわけで魔の後半。アウェイ→ホーム→アウェイと移動が続き、気温26度・湿度84%という新潟の気候が影響したのか、札幌選手の動きがよくありません。さらには、ストッパーならまだしもセンターバックの練習なんてしてない今野が、GKからのコーチングもなしに新潟の強力な攻撃陣(というかマルクス)を抑えきれるはずもなく、次第に札幌が1人少ないはずの新潟の攻撃に晒されるようになってきます。そして後半5分、札幌側の右サイドから上げられたクロスをマルクスが頭で押し込んで逆転されてしまいました。
 是が非でも勝たなければいけないジョアンは逆転された直後に岡田に代えてナオキを投入。前の選手を増やして追撃を目論んだ札幌ですが、その5分後にビタウがスライディングを受けた際に相手選手を踏んづけてしまいます。北村主審は(今度は)迷わずレッドカードに手を伸ばします。ビタウは「オーノー! これはケガをしないためのおまじないヨ~」と怪しげな日本語で弁解しますが、それはシューズの話なのであっさり却下。1点ビハインドの中これで10人対10人の戦いになってしまいました。
 これで条件は五分。といってもそれは見た目上の問題で、ここから先は「マルクスショー」。ビタウ退場から約10分後にカウンターから山口が打ったシュートのこぼれ球をプッシュして自身2点目をゲット。2点差となった札幌は途中から入れたばかりの砂川に代えて新居を投入し、パスの出せるアンドラを2列目に下げますが、うまく行かない時は徹底的にうまく行かないものです。ただでさえ引いて守る新潟に対して岳也と新居の2トップは持ち味を生かせないばかりか、オマケに推定168cmの新居をマークしていたのは191cmのアンデルソン。ひどいにもほどがあると思います。
 そんなこんなでどうにもこうにもうまく行かない札幌を後目に、新潟はこの日絶好調のマルクスが70分にまたしてもカウンターから強烈なシュートを突き刺し、正真正銘のハットトリックを達成。この時点で既に瀕死状態の札幌に対して後半41分にも技ありのシュートを決めて4点目をゲットし、丸めた新聞で叩きつぶした上にゴキジェットを浴びせるかの如きあんまりな仕打ちで締め。この日行われた長岡での花火大会に合わせるかのように爆発し、札幌サポーターのわずかばかりの希望を完膚無きまで叩きのめしました。

 野澤のミスをカバーしてあまりあるマルクスの活躍、というか「もうその辺で勘弁してくれ」と言いたくなるほどの試合、そもそも相手のミスによる先制点以降はこれといったチャンスも巡ってこなかったことを考えれば、早々のラッキーパンチで起こさなくてもいい敵を起こしたとも言える状態。こんなんだったら先制なんてしないほうがよかったと思えるほどの結果に、2001年の日本平を思い出した夏の夜でした。

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