? そんなタケシに騙されて
サッカー百鬼夜行

第2節 対柏レイソル
2001.3.17(SAT) 高知県立春野総合運動公園陸上競技場

コンサドーレ札幌 2-1 柏レイソル
ウィル【25分】
ウィル【33分】
2-0
0-1
黄【89分】
スターティングメンバー
洋平 GK

殿
健作
DF 渡辺毅

薩川
タブチ
ノノ
ナメック星人
長作
山瀬
MF 砂川
大明神

平山
大野
バンバン
俺王
FW
鳩胸
アウミール→深川【81分】
バンバン→森川【87分】
交代 大野→根引【45分】
砂川→加藤【78分】

試合の感想
 初の高知での公式戦。その相手は優勝候補の一角・柏レイソル。チームが出来てから、潤沢な日立資金を背景にカレカ、ミューレル、エジウソン、ジャメーリ、アントニオカルロス(ASローマのザーゴね)、ストイチコフなど錚々たる外国人を呼び話題を呼んだチームです。当時はやっかみ半分で「外国人頼み」と揶揄されていましたが、実はその外国人中心のやり方も「自前の若手が育つまでのつなぎ」だっただけのことであり、若手が育った現在は比較的地味なカラーながらも、優勝争いの常連として数えられるようになりました。

 西野監督も就任4年目を迎え、昨季年間1位の勝点を挙げた主力が全員残り(しかも彼らはこれからアブラが乗る時期)、さらには柳想鐵を獲得するという、我々から見ればジオングに脚をつけるような所業としか思えない話です。そんな柏にまともにぶつかって行くのなんて、竹槍でB29に立ち向かうようなものだ、そうじゃなければ界王拳なしにフリーザに向かっていくようなものだよな、とか何とか言っている間に、柏は右サイドの渡辺光輝も酒井直樹もケガということで、西野監督はこの位置に砂川誠という柏サポーターですらその評価に苦しむある意味とってもおいしい選手を起用。さらに洪明甫と大野がケガをしているという噂で、どうやらベストの状態ではない模様です。
 それに対して岡ちゃんが選んだメンバーは、やはりいつもの見慣れたスターティングメンバーに、トップ下には開幕戦でスタメンだった大黒ではなく、ユース代表でセカンドストライカーの役割を担っている、全力でいいほうにたとえるなら「札幌のルイス・エンリケ」こと山瀬を起用。折からの大雨でぐっちゃぐっちゃのドロンドロンのぴーひゃららの最悪なピッチコンディションに、とりあえずはパスワークよりも走り回ることを最優先とした理にかなったスターティングメンバーで柏を迎え撃ちます。

 さて、J初開催となる高知に乗り込んだオレ。高知という土地は桜前線が早々に上陸する場所でして、例年この時期は桜がとてもキレイなんだそうです。せっかく高知まで行くのだからこりゃ桜の一つも堪能しておくかねなどと思っていると、今年は寒くて桜がまだ咲いてなかった上に、大雨でクソ寒いために地元のお客さんの出足は鈍い。さらに主審が原田秀昭さんという、どう考えても嫌がらせとしか思えないこの天からの仕打ち。唯一の希望は、「俺王様は雨が降ると強い」ということくらいです。

 というわけで試合。案の定全然ボールが走らない悪コンディションとはいえ、いきなり柏に圧倒的に攻め込まれるという毎度のことながら心臓に悪い展開。拾いまくらなければならないはずのこぼれ球もほぼ抑えられ厳しい状況が続きましたが、札幌の最終ラインの奮闘と柏の攻めが雑だったことに助けられ、何となくお約束になりそうな「耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍ぶ開始20分」をしのぎました。
 その20分を過ぎたとたん、見違えるように押し込み始めた札幌。前半25分、相手ボールをカットしてつないだボールを山瀬がクロスを上げると、待ちかまえていた俺王が絶妙のボールコントロールで左足アウトサイドで流し込んで先制。さらにそのわずか8分後、播戸が倒されながらもつないだボールを「貴様の心意気は受け取った。安らかに眠るがいい」と(死んでねぇ)、渾身の俺シュートを柏ゴールに突き刺して2-0。柏は北嶋と黄がいい形でボールをもらえず、平山がクロスバーを直撃するシュートを放った以外はさしたる見せ場もないまま前半は終了しました。

 優勝のためにも札幌ごときには負けられない柏の西野監督は、後半頭から大野を下げて根引を投入、洪をボランチ、柳をトップ下の位置にそれぞれ上げてきます。しかし、やはり最初から行方不明だった砂川はフィールドに残されるという、札幌サポーターのオレですら疑問に思うトンチキな選手交代です。これによって前半は妙に窮屈そうだった明神がより狭いところに押し込められる状態となり、ここで白状すると実はちょっと楽しみにしていた生明神がいないも同然の扱い。これでは柏に攻め手は何もなくなり、ロスタイムにFKからの混戦のドサクサ紛れに黄善洪に決められたものの、2-1で逃げ切ることに成功し、優勝候補の柏から勝点3をゲットするという大金星を挙げることが出来たのでした。

 それにしても絶好調の俺王様、道新スポォツはそんな俺王様を「重戦車」と書いていました。戦車という比喩が適当かどうかはともかく、少なくとも重いことには異論はないのですが、敵味方問わず次々と滑って転ぶ他の選手を後目にまるでビクともしない(一度だけ、目の前でバウンドの変わったボールに対応しようとして転びましたが)姿は、まさに水を得たゴッグ。もちろんメガ粒子砲搭載です。とりあえず「滑らないのは急なターンを全くしないおかげ」ということはヒミツですけど、シーズン前の「エメルソンが抜けた穴埋めはウィルには荷が重い。本人が重いから」という下馬評を覆す、ここまで札幌の全得点に絡む活躍に加え、懸念の俺カードゲットもなし。しかも洪明甫相手にキレた播戸をなだめ、さらにはあろう事か「何となく守備っぽい行動」すら披露していた俺王様、思わず「真人間化?」というか「宮川大輔?」などと疑ってしまいそうな上機嫌っぷりは、全て土佐名物・初鰹のタタキによるものであることは想像に難くありません。

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