? そんなタケシに騙されて
サッカー百鬼夜行

第12節 対浦和レッドダイヤモンズ
2001.6.23(SAT) さいたま市浦和駒場スタジアム

浦和レッドダイヤモンズ 2-0 コンサドーレ札幌
永井【10分】
永井【20分】
2-0
0-0

 
スターティングメンバー
アンドゥー GK 洋平
山田
新グロモント
路木
内舘
DF 森川
殿
健作
石井
土橋
アドリアーノ
マルコメくん
MF タブチ
ノノ
三平
三沢
長作
トゥット
ドッヂ
FW バンバン
俺王
アドリアーノ→福永【75分】
ドッヂ→田中【75分】
トゥット→福田【82分】
交代 三沢→曽田【45分】
森川→優津樹【77分】

試合の感想
 現在5位とはいえ最下位とはまだ勝点差で9しかない札幌は、今節は駒場で浦和レッズとのアウェイ戦を戦います。昔からサッカーが盛んだった浦和市(現さいたま市)をホームタウンとしている浦和レッズは、ホームゲームのチケットが売れ残ることのほうが珍しいほど地域に根付いたチームで、全国的にも人気の高いチームとして知られています。母体でもある三菱自動車が親会社ということで財政的にも強く、予算はJでもトップクラス、札幌のほぼ2倍という資金力を誇っています。とはいえ、三菱とは人的な結びつきも強いためにコアなサポーターからは「三菱の重力に魂をひかれたチーム」と言われることもしばしばですが、貧乏田舎チームのサポーターから見れば贅沢な話ではあります。
 たいていのJチームが「助っ人といえばブラジル人」という風潮の中、プレステよりセガサターン、を通り越して3DO REAL持ってて悪いか! と言わんばかりにチーム創設からヨーロッパ路線を頑なに続けてきた浦和ですが、1999年に2部落ちし、2000年シーズンのJ2では優勝候補筆頭に挙げられながらも最終節で何とか2位を決めたような状況に、1部に復帰した今年はブラジル人の監督に助っ人も全員ブラジル人選手というブラジル路線に方向転換、「伝統に意固地にならず、ダメだったら変えてみる」という大英断を下しました。つうか、昨シーズンの危機的状況を救ったフィジカルコーチ(フラービオ:ブラジル人)が今季は一番の実権を握っているという噂は本当なのでしょうか。しかしながら、あまり変革のせいか現在のところは4勝6敗1分といまいち波に乗れていません。

 さて昨季2部で4回対戦して、3敗1分と1度も勝てなかった札幌に雪辱を期す浦和。試合当日に販売されたマッチデイプログラムにも「札幌に勝つのは今年の目標」と書かれていたくらいですから、気合いは充分と思われます。つうか、そんな明石家さんまが今更「せんだみつおに勝つのが目標」とか言うようなことが目標でいいんですか? ウチ弱小なんですから…。そんな浦和ですが、出場停止選手こそいないもののMFの阿部とGKの西部洋平がケガで欠場し、「守護神洋平対決」は戦わずして「逃げるが勝ち」の西部に軍配(ナニ?)。
 対する札幌は現在5位、浦和が13位ですから順位の上では差があるものの、勝点では両チームの差はたったの5。とりあえずオノレの身の安全のためにも順位が下のチームはやっておしまいたい札幌は、累積警告で出場停止の森とまだアルゼンチンにいる山瀬と藤ヶ谷がいないものの、前節出場停止だったビジュが復帰し、第8節のFC東京戦以来4試合、都合約1ヶ月半ぶりにバンバンと俺王様の2トップが復活。何だかWINKの再結成を見るような気もしますが、とりあえずはまぁまぁの布陣で乗り込んできました。

 ところが、梅雨入りした関東での蒸し暑さが影響したのか、森の不在が響いているのか立ち上がりから何となく不安定な札幌の3バック。前半10分、中途半端に上げたラインをアドリアーノに突かれ、スルーパスを受けた永井にシュートを打たれてしまいます。洋平がこれを身体で止めたものの、ボールはゴールポストに当たってゴールイン。いきなり先制を許してしまいます。さらに20分には、カウンターからトゥットに左サイドを破られ、たまらず洋平が飛び出したところを中央の永井に折り返され、名塚が足に当てたもののボールは無情にもゴールの中へ入ってしまい2点目を献上。この日こそ札幌のゴールにサランラップを貼りたいと思ったことはありません。
 あっという間に2点のビハインドを負ってしまった札幌。反撃に転じたいところですが、揃いも揃って体の重そうな札幌イレブン(約1名は実際重い)は、パスの呼吸がまったく合わずに簡単にマイボールを失ってしまう有様。流れの中で点が取れないならセットプレイ、具体的には俺フリーキックに賭けたいところですが、何しろ石井・土橋の身体を張った守備のおかげで前線にボールを送ることが出来ず、俺王様がボール欲しさにDFラインまで下がってくるという悪循環に陥り、たまにそこを突破しても井原と路木を軸とした浦和のバックラインが絶妙のカバーリングでペナルティエリアの中に入れさせてくれません。すいません、あの3番は本当に井原ですか?
 その後も浦和は前線のトゥットと永井がそのスピードを生かして常に札幌のDFラインの裏を突き、目下絶好調の小野がそのFWの動きを見逃さずに好パスを供給、唯一の穴と思われたアドリアーノがボール散らしに専念して小野を助け、内舘、山田の両サイドバックも効果的なサイドチェンジを繰り出し札幌の守備を攪乱、生まれたスペースに次々と選手が飛び込んでいくという、まさにつけいるスキがない敵ながら素晴らしいサッカーを披露。すいません、このチームは本当に浦和レッズですか?

 後半開始から、岡ちゃんは4バックにして相手のサイドアタックをケア、いまいち動きの冴えなかった和波を引っ込めルーキーの曽田を投入、中盤が作れないなら前線のターゲットを増やす作戦に出ました。その結果前半よりは浦和ゴール前まで攻め込めるようにはなったものの、浦和守備陣が球際の強さを発揮して、放つシュートも枠の外だったりイージーボールだったりとGK安藤を脅かせません。浦和は後半も30分になると永井を田中達也に、アドリアーノを福永に代え、牽制しつつも守備を固める鞄でミニスカートを押さえて階段を上がる女子高生のような選手交代を見せます。
 その直後に札幌は森川がアウトで優津樹がイン。残りのベンチメンバーが瀬戸、古川と言うことを考えても事実上最後のギャンブルに出た岡ちゃんですが、チッタ監督もすぐさま福田を投入。駒場スタジアム全体を包む浦和サポーターの「ゲットゴール福田」に、ああ、ここで「ポンパドール、福田!」とか被せたらやっぱり囲まれちゃうのかなぁと思いつつも、試合はまったくそれどころじゃありません。

 結局この後「西部洋平よ、オレがリアル洋平だ!」とばかりにバックパスを手で押さえた洋平などいくつか見所はあったものの、試合はそのままタイムアップ。札幌の選手の動きがイマイチだったのももちろんありますが、それ以上に浦和がいいサッカーをやっていたことに尽きると思います。生観戦した中では、この日の浦和は日本平での清水に勝るとも劣らないくらいの内容、イヤ、この日の梅本主審がほぼ完璧なレフェリングだったことを考えると、日本平よりあきらめもつくホントにグゥの音も出ない試合でした。

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