? 哲二の部屋
サッカー百鬼夜行

第4節 対名古屋グランパスエイト
2002.3.31(SUN) 瑞穂陸上競技場

名古屋グランパスエイト 0-3 コンサドーレ札幌
  0-0
0-3
O.G.【49分】
山瀬【54分】
森下【68分】
スターティングメンバー
楢崎 GK 洋平
アシスト王(敵への)
古賀
大森(偽)
DF ゴンザレス
先生
健作
岡山
ヤジロベー
ウリダ
中谷
中村
MF タブチ
三沢
板長
三平
山瀬
マルセロ
ウェズレイ
FW コジ
オグ
中村→ボリビアン【59分】
中谷→タッキー【59分】
岡山→ゴリ【71分】
交代 コジ→岳也【81分】

試合の感想
 第3節を終えて全敗、最下位街道を絶賛驀進中の札幌ですが、連敗脱出をかけた4節はよりによってまだ一度も勝てていない東海地域でのアウェイ戦。名古屋グランパスのホームへ乗り込んでの試合です。ピクシーことストイコビッチを擁して一時代を築いた名古屋でしたが、ついにリーグ優勝を果たすことなくピクシーは昨季1stステージ限りで引退。その浮いたピクシーの年俸分をフルに使って、万年降格候補だった市原を年間3位にまで引き上げた「ゾーンプレスの申し子」ベルデニック監督を「強奪」しましたが、市原でも就任当初はなかなか結果を出せなかったベルデニック監督ですから戦術の浸透に時間がかかるのか、それとも元から名古屋が「ゾーンプレス? うみゃーのかそれ?」というチームカラーなのか、前節さらに調子の悪い東京ヴェルディを叩いてようやく初勝利を挙げたものの、こちらも札幌と同じように苦労しているようです。
 とはいえ、「打てない守れない走れない」という、ロッテのインカビリアのように三拍子揃った付け入るスキのない札幌に対して、名古屋のほうは日本代表GK・楢崎を中心とした守備陣は比較的しっかりしており、ただ単に点が取れないのが原因のようです。この辺りはウリダを天皇杯での退場による出場停止で欠いていたこともあるのですが、前節からはそのウリダも復帰。しかしそのウリダと相性抜群だったボランチの山口素弘が右膝を怪我してしまい離脱と、なかなか弾みをつけることも出来ないようです。その山口の代わりを務めるのは「ヤジロベー(ドラゴンボール)」こと酒井友之です。
 そして札幌は前節磐田に面白いように点を取られた4バックをついに昨年までの3バックに変更、まず守備の安定化を図り、スタメンが大きく変わりました。DFは両ストッパーがU-19のドイツ遠征から帰国したばかりの今野と健作、スイーパーに復活の古川先生、両サイドはこちらも復活の田渕と和波、ボランチは板長とビジュでトップ下に山瀬のワンワン軍団という昨年とまったく同じメンバーを揃えました。そしてFWですが、前節レッドカードを喰らったロブが出場停止のため、2トップを組むのはオグコジコンビ。これまた昨年と同じく「すばしっこいヤツ」と「あんまり動かない左利き」という組み合わせです。古巣を相手に燃えるオグの爆発に期待したいところですが、名古屋はディドの古巣でもあることを憶えているファンはどれだけいるでしょうか。

 さて、まったくいいとこなしの3連敗という事実が影響したせいか、それとも名古屋で日曜日の16時開始という中途半端なキックオフ時間が災いしたのか、普段と比べると若干寂しい札幌ゴール裏。「今日はベンチで寝れるな」「在りし日の川崎球場みたいだ」「んじゃ流しそうめんでもやるか?」などという無責任な会話が飛び交う中試合はキックオフ。
 厚別競技場を思わせる強風が吹き荒れる瑞穂競技場、前半は風上に立った名古屋が優勢に試合を進めます。が、それぞれが慣れ親しんだシステムおよびポジションに戻って個々の役割がはっきりしたおかげか、コレまでよりも中盤と守備の選手は迷いなくやれているようです。しかし攻撃のほうはといえば、昨年はトップに俺王様がいたためにボールの収まりどころはありましたが、小倉が引きすぎて山瀬との位置関係がしっくり行かなかったのと、それによりさほどポストプレイの得意ではないコジが前線で孤立してしまい、ボールを奪ってもなかなかキープできません。結果、両サイドのウィングバックは押し込まれて5バック状態になり、開いた中盤のサイドを山瀬一人でカバーするという昨年と同じ悪循環に陥っています。そういえば、札幌の3バックってつまりは山瀬酷使システムだったよなぁ。
 しかし、そんな中でも華麗なる復活を果たした古川先生の存在が際だちます。2回ほど1対1であっさりクロスを上げられるなど相変わらず先生らしさを失っていないばかりではなく、ペナルティエリアの端っこのほうに流れたロングボールに追いつき、キープすると見せかけて何を思ったかボールに触らず、洋平に慌てて飛び出させるという「必殺先生見送り」という新技まで披露。さすがに「使ってもらえなくとも腐ることなくいつか来るかもしれない出番に備えてコンディションを整える」真のプロフェッショナルである先生は、オレの期待をまったく裏切ることはありません。それでも失点に結びつかない各種スペクタクルに、14番の背中は色んな意味で頼もしく見えます。でも、あれだけ1対1ですっかんすっかんやられるんだったら、確かに4バックじゃ使えませんな。怖くて。マクさんもあまり変わらんような気もするけど。
 同じく今季初出場の田渕もさすがに期するものがあったのか、普段の物静かな職人っぷりとはうってかわって闘志を前面に出したプレイを見せます。しかし、1対1ではそうそう負けないものの、ワンツーで突破を試みた相手にしっかりついて行ってるのに必ず置いてけぼりにされる田渕らしさも健在で、内に秘めた闘志も足の遅さだけはいかんともしがたかった模様。そして今季初めてストッパーに入った今野も、ドイツから帰国したばかりのアウェイゲームでかなりの疲労はあるハズですが、持ち前の強さとワンワンディフェンスを発揮してマーカーを自由にさせません。しかも自陣でパスの出しどころに困って敵にパスしてしまうビックリプレイまで見せてよりによって先生に慰められるなど微笑ましいエピソードが見られるなど、ネタ的にはかなりおいしい前半でしたが、相変わらず点を取れる気は全然しません(シュート2本って何よ?)。とはいえ、いくつか裏を取られて作られた決定機も、今季ベストとも言える出来だった洋平の奮闘でゴールを許さず0-0で終了。

 そして後半、風上に立った札幌が優位に立ち始めます。前半はまるで消えっぱなしで「うちの17番どこ行った?」「赤いユニフォーム着てるんじゃねぇか?」などと言われ放題だったオグが突如存在感を発揮。前半早々左サイドでボールを受けると、走り込む和波にタイミング良くボールを出してフリーでの突破を引き出します。ゴール前に走り込むコジに合わせたグラウンダーのクロスは大森(名古屋のほう)の足に当たりゴールの中へ。まぁオウンゴールでもPKでも神の手でも1点は1点。コレが虎の子の1点でもいいと思っていると、今度は中央で電光石火のスルーパスを山瀬に通します。ワンワン言いながらボールを受けた山瀬が外に逃げながら左足を振り抜くと、ボールはゴール左隅へ吸い込まれます。なんと2点目。

 しかし、サッカーでは2点リードというのはあるようでないものです。昨季も福岡に2点リードをひっくり返されたように、とかく連敗中のチームにとっては1点を取られれば浮き足立ってしまう危険性が高く、まだまだ予断を許しません。何よりもこのまま終わるとこのチームは山瀬しか点取ってないということになるので是が非でも次の1点が欲しいと思っていた後半23分、オグからのボールを粘ってキープした山瀬がディフェンダーを引きつけ、どフリーになった板長へパス。このボールを板長が冷静に押し込みついにだめ押しの3点目をゲットしました。
 移籍後初ゴールを決めた板長は一直線にパラグアイ状態のゴール裏のサポーターの元へダッシュ。松村主審が背中を向けた隙をついての隠密行動でしたが、やっぱりイエローカードをもらってしまいました。あら見てたのね。

 その後も足の止まり始めた名古屋に対して右から左からのサイドアタックを見せ、ディフェンスもマークの受け渡しやカバーもきっちり遂行、後半は終始危なげのない試合運びを見せ、アウェイでは昨季の東京ヴェルディ戦以来、久方ぶりの勝点3と今季初勝利、さらに東海地区での初勝利をゲットして最下位脱出に成功しました。つうか、このチームはもはや3-5-2しか出来ない体になってしまったのですね…。

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