? 哲二の部屋
サッカー百鬼夜行

第6節 対京都パープルサンガ(テレビ観戦)
2002.4.13(SAT) 室蘭入江運動公園陸上競技場

コンサドーレ札幌 1-2v 京都パープルサンガ
森下【83分】
0-0
1-1
0-0
0-1
松井【48分】
上野【108分】
スターティングメンバー
洋平 GK 平井
ゴンザレス
先生
健作
DF 鈴木(和)
手島
角田
タブチ
三沢
三平
板長
山瀬
MF 熱田
ミニラ
石丸電気
鈴木(慎)
コジ
ロブ
FW 上野(優)
ゴジラ
ロブ→オグ【53分】
タブチ→ナオキ【64分】
コジ→ンダ【78分】
交代 石丸電気→斉藤【45分】
熱田→アームロッカー【87分】
ゴジラ→松川【98分】

試合の感想
 第6節にしてようやくやってきた道内開幕戦。待ち望んだホームサポーターの前で巻き返しを図る札幌は、昨季のJ2チャンピオン・京都パープルサンガを室蘭に迎えての試合です。一昨年J2に降格したものの、昨季は若手選手を中心にしたチーム作りでJ2優勝を勝ち取って1年でのJ1復帰を果たした京都は、かつてJFLから昇格した際に大型補強を敢行したはいいものの、チームとしての形を作れずに開幕17連敗という前人未到の大記録を達成した反省からか、今季は現在関西最強を誇るユースチームからの昇格など地味な補強に終始。J2を戦い抜いた若いメンバーを中心に臨んで来ました。J1のスピードに戸惑ったのか開幕から4連敗を喫してしまいましたが、前節東京ヴェルディに5得点の大勝をおさめ、意気揚々と室蘭に乗り込んできました。しかし、その試合でハットトリックを達成したエース黒部が累積警告で出場停止、安孝錬も欠場と攻撃の軸を欠いての戦いとなります。
 対して、アウェイの名古屋戦をものにして勢いづくかと思いきや前節柏でボロクソにやられた札幌。メンバー自体は前節と大きな変更はありませんが、練習中にケガをしたオグがベンチスタートとなり、その代わりにロブが磐田戦以来のスタメンに名を連ねます。今のところ眠れるというよりは眠りっぱなしの大砲のロブですが、ロシア時代はホームゲームには滅法強かったらしいですから、その内弁慶っぷりに期待をかけたいところ。

 そんなわけで、気温5度ちょいという4月中旬であることを頑なに拒否したかのような寒空の中、それでも詰めかけた満員のサポーターの前で2002年の北海道開幕戦がキックオフ。
 ところが、試合は開始から圧倒的な京都ペース。素早いプレスで2~3人でボールを囲い込み、ボールを取ったらサイドのスペースを突くという極めてシンプルなやり方ながら、札幌はタジタジです。あっという間にボールを奪われ、ペナルティエリア近くでファウルを繰り返して自らピンチを招きます。どっちがホームチームなんだかちっともわかりません。
 そして注目のロブは開始当初こそ「お?」というプレイを見せたものの、その後はキープ出来るでもなくはたまたドリブルで突破出来るわけでもなく空中戦に競り勝てるでもなく、かといって簡単にはたくわけでもない中途半端なプレイに終始。その中途半端っぷりはいわばザクタンクの如くで、モビルスーツなのかモビルアーマーなのか戦闘車輌なのか単なる砲台なのかはっきりしてください。で、そのうち行方知れずとなり、その結果またしてもコジが不得意なポストプレイをせざるを得なくなるいつものパターンに突入します。コジもよく頑張ってはいるのですが、なかなかうまく攻撃に絡むことが出来ません。もっとも、この状況を一人で何とか出来るような選手ならばそもそも札幌には来ていないと思いますが。

 しかし京都も黒部がいないためか数多いチャンスを逃し続け、結局0-0のまま前半は終了。勝負は後半へと持ち込まれますが、いい感じで攻めていたはずの京都のエンゲルス監督は、なぜか石丸を引っ込めて斎藤をピッチに投入してきました。先手必勝とばかりに一気に勝負を賭けてきたのか、その真意を確かめるべくピッチレポーターに交代について尋ねられたエンゲルス監督が一言。

 「うん、ケガ。」

 身も蓋もねぇ。

 さてまったくもって攻撃の形が作れない札幌は、後半に向けてメンバー交代はナシ。当然後半もザクタンクはピッチにいます。引き上げ時を間違えると大変なことになったりするのはパチンコに限らず世の常だったりしますが、札幌は後半開始早々ペナルティエリア前の絶好の位置で直接フリーキックのチャンスを獲得しました。しかし、昨季は俺王様という稀代のフリーキッカーがいましたが、今の札幌にはフリーキッカーがいません。誰が蹴るのかなぁと思っていたら、どうやら蹴るのはロブのようです。シーズン前のキャンプでは鋭いフリーキックを放っていたという記事が載っていまいしたが、もし本当にそうなら今までの試合で何度か蹴っているはずです。それでもせめてフリーキックくらいは役に立ってくれという願いもむなしく、ロブの蹴ったボールはスプートニクの如き見事な射出角度で打ち上げ。はるかアンドロメダ星雲まで飛んでいき、そのまま二度と戻ってはきませんでした。
 予想していたこととはいえ、枠に飛ぶどころか反作用的にゴールを避けていったシュートにチームメイトも一気にやる気を失ったのか、またもリスタートから松井に先制ゴールを許してしまいました。

 1点を失ったところでようやく哲さんは重い腰を上げてロブに代えてオグを投入。ここから札幌は見違えるようなプレイを見せ始めます。代わって入ったオグがタメを作ってくれるため、「攻撃がうまく行っているときのバロメーター」である健作のオーバーラップもようやく見られるようになりました。しかし、立て続けにナオキを投入するものの、やはり決め手を欠きゴールを挙げることが出来ません。
 刻一刻と残り時間が減っていく札幌、哲さんはコジに代えてDF登録の曽田を投入、パワープレイに出ます。そういえば曽田ってそもそもFWだったと言う事実に気づかされました。それはいいんですけど、そんな練習してましたっけ?
 ところが、このやけっぱちのような交代が功を奏します。曽田はことごとく空中戦に競り勝つので京都はラインが下がり、こぼれ球も札幌が押さえられるようになりました。追いつくのも時間の問題と思っていたら、オーバーラップしてきた健作のクロスを曽田が2人に挟まれながらも頭で落とし、オグのシュートのこぼれ球を板長が押し込んでついに同点に追いつきました。しかしまぁ、確かに曽田の成長は大きな収穫ではありますが、それにしても「とりあえず曽田」という極めて単調な縦ポン攻撃ですら立派な約束事に見えるというのはどうなんでしょう?

 試合はそのまま延長に突入。延長戦も終始札幌ペースで進みます。しかし、こういう自分たちのリズムの時にたたみかけられないのが今の札幌。肝心なところでパスミスやクロスボールが合わずに一杯一杯の京都にとどめを刺すことが出来ないばかりか、変なところでボールを取られ、しかもナオキが上がったっきり戻ってこないため、そのあいた右サイドのスペースを突かれて何度かカウンターを許すようになります。
 そして延長後半、後半終了間際に投入されて元気な中払が突如ドリブルを開始しました。慌てたDFを充分引きつけたところで左サイドにいた鈴木慎吾にパス、フリーの鈴木が上げたクロスに飛び込んできた上野が頭で叩きつけます。このシュートは洋平がいったんは止めますが、ジャストミートされたシュートの勢いは死なずにボールは洋平の懐をこぼれて無情にもゴールの中へ入りVゴール。2002年シーズンの道内開幕戦は、ものすごい勢いで岡田主審に注意を喰らう哲二監督の映像を全国に流したのみで終わったのでした。

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