? 哲二の部屋
サッカー百鬼夜行

第7節 対鹿島アントラーズ(テレビ観戦)
2002.4.20(SAT) 函館千代台公園陸上競技場

コンサドーレ札幌 1-3 鹿島アントラーズ
新居【82分】 0-1
1-2
中田【15分】
平瀬【57分】
長谷川【89分】
スターティングメンバー
洋平 GK ンガハタ
ゴンザレス
先生
ンダ
DF 名良橋

ファビアーノ
アウグスト
タブチ
三平
板長
健作
コマネチ
山瀬
MF 熊谷
コーちゃん
小笠原
モトやん
オグ FW 平瀬
アヒル
コマネチ→コジ【75分】
板長→プチ俺王【70分】
オグ→吉瀬【81分】
交代 モトやん→長谷川【89分】
アヒル→内田【89分】

試合の感想
 ワールドカップ中断前の最後の一戦は函館でのホームゲームの相手は鹿島アントラーズ。1993年のJリーグ創設から昨季まで、9シーズンのうちステージ優勝5回、シーズン優勝4回という最多優勝回数を誇っている強豪クラブです。その中には現在のところただ1回だけの1シーズン制だった1996年の優勝も含まれていますから、1年間を通して勝ち抜く力も充分持っているクラブなのですが、その他の3回、ことここ2シーズンに関しては、1stステージは全然パッとしなかったのに2ndステージでは鬼のような強さで優勝、その余勢を駆ってチャンピオンシップも勝つという、ルール上は何も間違ったことはしていないが何となくしっくり来ない優勝の仕方を続けており、パワーえさ摂取前/摂取後のパックマンという感じのチームになっています。
 そんな感じで今年もまたパワーえさを食べる前なのか、開幕戦でFC東京にボロ負けを喰らうと続く2戦目の清水戦も落として連敗スタート、その後2連勝と調子を取り戻したかに見えましたが、ここ2戦は仙台と磐田を相手に連敗、6節を終えて2勝4敗とイマイチ波に乗れません。

 しかしそんな鹿島すら圧倒的に凌駕するヘボさを見せつけているのが今季の札幌。1stステージは寝ながら戦っている鹿島相手のホームゲームではありますが、前節京都にホームで負けているだけにサポーターの間では試合前から諦めムードが漂うどころか、「いっそボロ負けして監督のクビが飛べばいい」というもっともな過激な意見も。しかし、いくらまだシーズンの1/4も消化していない段階とはいえ、数少ないホームゲームをみすみすフイにも出来ないのもまた本音ではあります。

 さて鹿島のスタメンですが、風邪を引いたらしい柳沢が欠場。柳沢は昨季(出場停止)に続いて2年連続の北海道遠征不参加。よくよく北海道には縁がないようです。うまいもん喰って精をつければ風邪なんて吹っ飛ぶのにね。その柳沢の代わりには平瀬がスタメンとなり、鈴木と共に「何が得意なのかよくわからない2トップ」を形成します。ええ、他人様のことを言える立場じゃありませんけど
 そして札幌はついに「不発弾」ロブがメンバー落ち。オグの1トップに山瀬と平間の2シャドー、両ウィングバックは健作と田渕。守備力に難のある和波とナオキではなく、まずは鹿島の両サイドバックを抑えることを念頭に置いたようです。健作の左ウィングバックは一度試して貰いたかったのでそれはいいんですけど、空いた健作のポジションには何と曽田がスタメン。そりゃあ空中戦には強いかもしれませんけど、鹿島の2トップは高さで勝負するタイプじゃないですよ。「セットプレイでの秋田対策」ということなんでしょうか。ワンポイントリリーフですか? で、サブメンバーはGKフジ、DF吉瀬、DF吉川、FWコジ…そして新居。「King of Sapporo」がついにベンチ入りです。

 というわけでキックオフ。年に1度の函館開催に集まった満場のサポーターの声援をバックに、試合は開始から予想に反して札幌が怒濤の攻撃を見せます。何しろ開始から4分間洋平がボールに触らなかったくらいの怒濤っぷり。スゴさを感じるところが違うような気もしますが気にしないことにします。
 というわけで、なかなかいい感じの札幌は立ち上がりとしてはこれ以上ない雰囲気。5分しか持たなかったことを除けば。その後は圧倒的な鹿島ペースで、DFがクリアしてもクリアしてもあっという間にボールが戻ってくる悪循環。ああこりゃ失点も時間の問題だなと思っていたら、案の定前半15分にフリーでヘディングを打たれ、洋平がこぼしたボールを中田浩二に押し込まれるという、京都戦のVゴールとまったく同じパターンで失点。「必殺先制点献上」という、札幌得意の自爆技で今日も今日とて追う立場。
 早めに追いつきたい札幌ですが、相変わらずこれといった攻撃パターンはないようです。それでもいくつかカウンターからチャンスを作り出しますが、平間の判断が遅くボールを持ちすぎてシュートに持っていくことが出来ません。まぁ彼自身も迷いながらプレイしてるせいもあるでしょうから彼だけを攻めることは出来ませんけど、あえて厳しいことを言わせて貰えば、平間はtrfのボーカルに似てると思います。
 ただし、鹿島も数多いチャンスを逃し続けて追加点を奪うことが出来ず、前半は0-1のまま終了。オノレのミスで突き放す機会を失う辺りが、鹿島が勝ちきれない所以なのでしょう。

 1点のビハインドを負った札幌ですが、なぜか後半に向けてのメンバー交代はナシ。前半カウンターのチャンスを潰しまくっていた平間もそのままピッチにいます。後半開始直後にはオグがロングシュートを放つなど追い上げへのムードを見せます。前半は5分しかペースを握ることが出来ませんでしたが、後半の札幌はひと味違います。一瞬で終わりました。悪くなってどうするよ。
 そんなわけでまた試合は鹿島ペースで、後半7分には小笠原からのパスを平瀬が決めて0-2とされます。ここでようやく哲二監督は遅ればせながらついに平間をあきらめてコジを投入しますが、それでも流れを変えることが出来ません。つうか、最初から流れなんてありませんけど。

 というわけで2分に1度くらい「新居出せ」と言い続けてきた甲斐があったのか、そして後半25分、ついにその「ヤツ」がピッチに姿を現しました。しかし、板長が負傷して回ってきたお鉢とはいえ、また初出場のルーキーとはいえ、負けている状況で投入されたストライカーがやらなければいけないことはただ一つです。新居にとってそれがどれほどのプレッシャーになるのでしょうか。BSの中継には背番号25番の姿が大写しにされました。

 笑ってるし

 無用な心配だったみたいです。

 さてピッチには新居が入りましたが、なかなかボールは新居のところまで行きません。つうか、どうやら2列目に入れられているようで、それでは新居の真価は発揮できません。
 流れを引き寄せられないまま残り時間の減っていく中、いつ例の「曽田攻撃」に突入するかと思っていたら、残り10分というところになってようやく発動。オグを引っ込めて曽田を上げ、ストッパーにはこちらもJ1デビューとなる吉瀬を投入しました。最終ラインから最前線に上がっていく曽田の姿は、さながらリリーフでライトからピッチャーマウンドに向かう高校野球部員のようですが、オレの頭の中に「高木や! 高木を狙うんや!」という加茂さんの声がリフレインするのは気のせいですか。
 ところが、「単なる2匹目のドジョウ」だったはずの作戦がまた当たります。直後に健作からのロングボールをその曽田が頭で落とし、ボールは新居のもとへ。この千載一遇のチャンスを新居はゴール左隅に流し込み1点を返します。2002年のコンサドーレのFWの初ゴールはやはりこの男でした。さすがにニヤけてるときの新居はやってくれます。

 しかし追い上げムードも束の間、平瀬が吉瀬との1対1を仕掛け、ペナルティエリアに入った途端あっさり倒れたプレイを松崎主審はPKと判断。この日アドバンテージを取らなかったり、リスタートのポジションにこだわったりこだわらなかったりと両チーム巻き込んでミラクルワールドを炸裂させていた松崎主審の目には、この一連のプレイは平瀬のタッチダウンとして判断されたようです。
 当然抗議する札幌イレブンですが、当然のことながら判定は覆らず、さらには異議を取られたビジュが2枚目のイエローで退場。10人での戦いを余儀なくされてしまいましたが、1人減ったところでどっちみち札幌には曽田アタックしかないんで大勢に影響はないと思います。
 このPKを蹴るのは小笠原でも中田浩二でもなく、どうやら平瀬の模様です。「あ、平瀬が蹴るの? じゃあ外すよ」と言った途端に外してくれた平瀬。お約束にこだわることにかけては平瀬智行かゆうとぴあかって感じですね。

 しかし、ルーキー新居のゴールに加えてこのPK外しで俄然活気づくはずの札幌ですが、いくら何でも曽田アタック一辺倒に何度もやられるほど鹿島は学習能力のないチームではなく、逆に終了間際に交代で入ってきた長谷川にダメ押し点を喰らって試合終了。結局開幕から7試合のうちたった1勝しか出来ずにワールドカップの中断期間に突入することになりました。東京ヴェルディがVゴール勝ちしたため得失点差で再び最下位に転落した札幌には、そろそろ死兆星が見え始める頃かも知れません。

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