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サッカー百鬼夜行

第8節 対ヴィッセル神戸
2002.7.13(SAT) 神戸総合運動公園ユニバー記念競技場

ヴィッセル神戸 1-0 コンサドーレ札幌
土屋【75分】 0-0
0-0
 
スターティングメンバー
掛川 GK 洋平
吉村
大コリーナ
小コリーナ
DF ゴンザレス
先生
健作
菅原
野人
モッチー
佐伯
平野
MF ナオキ
山瀬
板長
三沢
薮田
キングぅ
FW ジャジ
オグ
バッキー
薮田→バンバン【45分】
菅原→北本【89分】
交代 ナオキ→田渕【79分】
オグ→ンダ【81分】

試合の感想
 現在最下位の札幌のJ1再開緒戦は、勝点1差で現在14位のヴィッセル神戸。昨年カズ、岡野を獲得してネタチームへの道をひた走っている神戸は、今年も周囲の期待を裏切ることなく横浜F・マリノスから城を獲得してデカビタ3トップを完成させ、それだけに飽きたらず、既に在籍しているモッチーに加えジュビロ磐田から平野も獲得して「清商3バカ」のうち2人を揃えました(ちなみにあと1枚を揃えると生け贄となり、バカ神が召還できます)。おまけに助っ人選手もコリチーバからアタリーバを獲得して徹底的に受け狙いをし、さらにはコンサドーレからバンバンこと播戸竜二も獲得してカズ、城とともに超攻撃的3トップを形成したはいいものの、3人の守備的FWは3人が3人ともポストプレイを炸裂という異空間のサッカーを展開、決定力不足は解消されないままナビスコカップは1勝も挙げられないという札幌以下の成績に終わっています。目くそ鼻くそですが
 攻撃陣の低迷を受けて神戸の川勝監督はついに3トップを諦めて2トップに変更、ケガ明けのバンバンと健康体の城をベンチに置き、2トップはカズと薮田、アタリーバがケガでトップ下にモッチー、両ウイングバックは右に岡野に左が平野という戦術理解力のなさそうな攻撃陣が並びます。そういえば、昨季の対戦時には「カズが札幌戦でゴールを決めると全J1チームから得点を挙げる新記録」とか、当時の岡田監督との代表時代の因縁対決などカズがらみのかなりどうでもいい話題がメディアを賑わせたものですが、方や16位、方や14位という心底どうでもいいカードのせいか、もはやそんな記録がかかっていることすら忘れられていました。

 さて札幌のほうは、とにかくよそより自分のところが大変です。イバンチェビッチ新監督になってから初の公式戦となるこの試合、練習試合ではそこそこいい感じできてはいたものの、やはり公式戦で結果を出すことがこの先の自信につながります。特に神戸を倒せば形だけでも一気に降格圏内から抜け出すことが出来ますから、アウェイとはいえ是が非でも勝っておきたい試合。神戸ユニバーに集結した札幌サポーターは、新顔の助っ人2人のコールに加えて、イバンチェコールで新監督をお出迎え。そのコールが耳に届いたようで、それまでどっかとベンチに腰を下ろしていた指揮官が慌てて立ち上がってこちらに両手を振ってくれました。これで既に札幌サポーターのハートをがっちりキャッチしたイバンチェですが、その姿はジャージでした。しかも規律を重んじる厳格なイメージ通りに、ジャージのズボンにトレーニングシャツの裾をきっちり入れる一分の隙もない着こなしです。ついていきますぜ旦那
 当初は4バック導入を考えていたイバンチェですが、さすがに経験豊富なユーゴの指揮官は、札幌選手の辞書に4バックという言葉はないことを見抜いたのか、どうやら3バックで行くことにした模様。そんなわけでGKはいつもの通り洋平に3バックは右から今野、先生、健作、ダブルボランチが板長とやや上がり目の位置に山瀬、ウイングバックは右にナオキで左が和波という快足ウィング、1トップのオグの左右にジャジとバッキーを置く形。先週の柏との練習試合とまったく同じスターティングメンバー。ついでに言うとベンチメンバーもまったく一緒ですので、イバンチェは当面この形で戦っていくと思われます。

 ということでキックオフ。試合開始直後こそバタバタして神戸に何度か攻め込まれたものの、10分も過ぎると落ち着いてきたのか札幌が盛り返していきます。ラインを統率する先生は超強気にものすごく高い位置に最終ラインを設定。これによって中盤もプレスがかけやすくなり、常に2人以上でボール保持者にアタックすることが出来るようになり、セカンドボールもほとんど札幌が抑えています。名付けてなんとなくアヤックスっぽいシステムですが、これがあのしょぼしょぼだった頃と本当に同じチームなのかと思うほどのサッカーで神戸を押しまくる展開。
 攻撃のほうも、ジャジは相変わらずの突破力で、神戸DFはファウルでしか止めることが出来ません。そしてあまり目立ちませんがバッキーもスゴい。何がスゴいかって、かなりスピードがあるのに、走るフォームを見ると全然そうは見えないところがスゴいです。まぁ彼はキープもポストも出来るので、これまでは孤立しがちだったオグもバッキーやジャジといい感じの絡みを見せ、山瀬も柏との練習試合に比べるとだいぶボールに絡めるようになってきています。板長はあまり上がらずに山瀬をフォロー。キャプテンなのにボール拾いですが、板長にはそっちのほうが向いていると言いますか、ぶっちゃけボール散らしはやらせないほうがいいと言いますか。そんな感じでアウェイでは初めてと言ってもいい洋平のヒマそうな姿を見るまでもなく、試合はほとんど神戸陣内で進みますが、いかんせんペナルティエリアまでは攻め込めるものの、そこからのフィニッシュの精度が甘く、またシジクレイを中心とした神戸DF陣はやはり固く、何度もチャンスを作りながらも得点を奪うことが出来ません。前半は0-0のまま終了。
 しかし、確かに札幌も良くなったのですが、それ以上に神戸の状態が良くありません。札幌のプレスがかかっているからというのもありますが、中盤でなんでもないパスミスを繰り返し、両ウィングバックは好き勝手に動いている状況。特にカズは得意のカズフェイントもスローモーションのようで、先生との対決はある意味ワクワクするシーンですが、どのパスにもあと1歩が及んでいません。奥さんが東京から遠隔操作しているのかもしれません。それだけに、勝利をしばらく味わっていないチーム状況を考えても前半のうちにリードを奪っておきたかったですし、奪わなければいけない流れでした。

 さて後半。しばらくは札幌ペースだったのですが、やはりといいますか徐々に運動量も落ちてきました。それでもボールの支配率自体は悪くはなかったのですが、神戸が徹底してジャジを潰しに来たこともあってなかなかいい形を作れなくなってきました。神戸も動きの良くなかった薮田に代えて後半頭からバンバンを投入。札幌時代の末期は、もう札幌には心がないことがありありのプレイを続けていた彼ですが、尊敬するカズを追って地元のチームに入団したバンバンは、心どころか身体自体がそこにないといった感じです。
 一向に得点が奪えない両チーム、こうなってくると一番怖いのがセットプレイです。しかし、札幌は伝統的にコーナーキックから点の取れないチーム。方や神戸は高さを武器にしたセットプレイには無類の強さがあります。後半30分の神戸のコーナーキック、それまでコーナーキックには上がっていかなかったシジクレイと土屋の2人が札幌ゴール前に上がっていくのを見てイヤ~な予感がしました。こういう時の予感はよく当たるものです。大コリーナ(シジクレイ)と小コリーナ(土屋)という2人のスキンヘッドによる「いけない☆ルージュマジック攻撃」に幻惑させられた札幌が土屋をフリーにしてしまい、見事に剃り上げられてカクテル光線でつやつやと光る頭で決められて先制点を献上してしまいました。
 今までの札幌ならば、試合も残り15分というところでリードを奪われてしまった時点で意気消沈してしまっていたのですが、札幌は1点を取り返しに来ます。イバンチェは守備に戻ってこないナオキに代えて田渕を投入、続いて曽田を投入して「曽田大作戦」に突入しました。曽田はシジクレイと互角の勝負を見せ、こぼれたボールを山瀬、和波、バッキーが懸命にシュートを放ちます。今野までもがいまいち遠慮がちなオーバーラップを見せますが、神戸も体を張った守りで得点を許しません。終了間際にもコーナーキックから今野がどフリーでヘディングシュートを放ったものの、ボールは無情にもバーの上を越え得点ならずに試合はそのまま終了。イバンチェビッチ監督は緒戦を勝利で飾ることは出来ませんでしたが、札幌の試合で久しぶりにまともなサッカーを見たような気がしました。

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