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サッカー百鬼夜行

第12節 対清水エスパルス(テレビ観戦)
2002.8.3(SAT) 札幌ドーム

コンサドーレ札幌 2-3 清水エスパルス
山瀬【35分】
小倉【44分】
2-1
0-2
吉田【22分】
市川【81分】
澤登【83分】
スターティングメンバー
洋平 GK 真田
ゴンザレス

健作
DF 市川
池田
斉藤
古賀
ナメック星人
板長
西田
ジャジ
山瀬
MF 平松
伊東
吉田
アレックス
バッキー
オグ
FW ノボリ
久保山
西田→ナオキ【57分】
ジャジ→ンダ【87分】
交代 久保山→バロン【55分】
ノボリ→横山【86分】

試合の感想
 もう修飾する言葉すら見つからないほどまるっきり勝てない札幌は、今節ホームに清水エスパルスを迎えての試合となります。清水といえば今年のワールドカップにも多くの代表選手を送り込んだ強豪チームで、札幌もこのチームには何度も挑みながら虐殺され続けてきましたが、昨年ここ札幌ドームの対戦では延長Vゴールながらようやく初勝利をもぎ取り、ここから札幌は引き分けを挟んで4連勝を飾っています。まぁ、今のところこれがドーム唯一の勝利なんですが。
 その清水は、Jリーグ再開後1勝3敗と絶不調。昨年は「髪型が放送禁止」という理由で札幌ドームに来れなかった日本代表ボランチの戸田が、今年は「ああもう、いっそ全部が放送禁止」という理由でまたしても北海道までこられず。おまけに森岡がケガ、ベテラン大榎もケガと守備の選手がことごとくリタイアという状況に、ゼムノビッチ監督はセンターバックを池田と斎藤の2枚にし、市川を下げて4バックにし、2トップは不調のバロンをベンチに下げ、澤登と久保山が入りました。
 そして札幌は、シーズン途中から移籍してきた佐藤尽と西田吉洋が初スタメンを飾り、3バックは先生が外れて今野、尽、健作という顔ぶれ。ボランチは板長とビジュ、西田が右サイドに入り、左はジャジ、2トップのオグとバッキーの後ろに山瀬が入るという布陣です。

 さて試合は、開始直後にいきなりピンチを迎えます。毎度毎度立ち上がりにバタバタするのはいつものことですが、その後は落ち着いた札幌がペースを掴み、この日抜群の出来だったオグと山瀬を中心に何度もチャンスを作り出します。しかし、いつもの通り最後の最後で決め手を欠き得点を奪えず、その上、開始早々に山瀬がイエローを受け、健作が相手のヒジ打ちで鼻を骨折し、ファウルを受けたジャジがピッチにのたうち回り、痛がっていると見せかけて実は脱皮の準備を始めるなど、不穏な空気が漂う札幌ドーム。
 対する清水のほうはいまいちピリッとしません。清水のサッカーといえばサイドアタック生命線ですが、その日本代表ウィングコンビも市川がサイドバックに下がっているせいかあまり目立たず、またアレックスも絶不調でボールの落ち着きどころがありません。そのためFWに入った澤登が中盤に下がってきてボールを受けますが、それによって久保山が孤立してしまい、シュートすら打てない状況です。
 しかし、こういういい流れの時ほどスカーンと失点してしまうのが札幌というチーム。もちろん、悪い流れの時だってそれはそれでキッチリと失点するのですけど、前半20分を過ぎた辺りで、札幌陣内のそう深くない位置でクリアボールを拾った吉田が、ワントラップして右足を振り抜くと、ボールはキレイな弧を描いて一直線に札幌ゴールへ。前目にポジションを取っていた洋平も触ることが出来ず、何となく先制点を奪われてしまいました。
 今日もお約束のように先制された札幌ですが、清水ゴールへ襲いかかります。35分、カウンターから左サイドのスペースに抜け出た板長が折り返しバッキーへ。このクロスをバッキーがトラップミスをしますが、そのミスが天然ポストプレイとなり、こぼれたボールにワンワン走り込んできた山瀬が左足で決めて同点に追いつきます。さらに前半終了間際、相手ペナルティエリアすぐ前でファウルをもらいます。フリーキックを蹴るのはジャジ。ジャジが放った「必殺アダムスキー型シュート」はキーパー真田のキャッチミスを誘い、リバウンドをオグが蹴り込んでゴール。逆転に成功して前半を終了します。
 ところで、先生の替わりにスイーパーに入った尽は及第点以上の出来。ヘディングも強く、パスの精度もなかなか高いです。先制点を奪われた後も味方を鼓舞し、とりあえずは安心して見ていられます。何よりツラ構えは「いかにもセンターバック」と言った感じで、あとは森くんさえ戻ってくれば「センターバックヅラコンビ」が誕生するわけで、そうなればもう矢でも4バックでも持ってこい! という気になります。
 そして右サイドの西田ですが、こちらも何本かいい感じのクロスを上げていました。それほど目立った活躍はなかったのですが、西田と尽の加入によって後ろを気にせずに済むようになった今野がガンガン上がっていくシーンが多く見られました。今年はストッパーに入ることが多い今野ですが、久しぶりにワンワン言っている今野を見たような気がします。というか、今野もホントは攻めたくてたまんないんじゃないですかねぇ。

 後半に入ってもペースは相変わらず札幌。前がかりになった清水に対し、カウンターから立て続けにチャンスを作ります。ここでもう1点取って2点差にしていれば、出来の良くない清水の選手を意気消沈させることが出来たはずですが、オグやバッキーがGKと1対1となりながらも決めることが出来ません。この時間帯にとどめを刺すことが出来なかったこと、そして前後半通じて試合の主導権を握るという札幌にとって非常に珍しい状況に、調子に乗ってしまってペースを落とすことなく終始イケイケな攻撃に走ってしまう、いわゆる「初デートで入れ込みすぎて玉砕」状態に陥ってしまったことが、結果的に「いつものパターン」に陥る遠因となります。
 その後イバンチェは西田に代えてナオキを投入、さらに攻めに出る姿勢を打ち出し、札幌が清水陣内に攻め込むシーンが続きます。対照的に清水はほとんどチャンスを作ることが出来ません。清水も一杯一杯でどう見ても負けるような要素が見当たらないゲーム…に見えたのですが、残り10分を切った途端に札幌の運動量がガクンと落ちます。後半36分にゴール前で市川をフリーにしてしまいゴール右隅に決められ同点とされると、そのわずか2分後にクリアボールを拾った澤登に誰もプレッシャーをかけず、ビューティフルなシュートを決められ逆転されてしまいました。
 ホントにファイナルラップでガス欠になったアイルトン・セナのように見事なスローダウンっぷりでリードされた札幌は、ジャジに代え曽田を投入して負けじと放り込み作戦に出ますが、後半終了間際に市川に倒された山瀬がシミュレーションを取られて2枚目のイエローカードで退場。市原対磐田で両チーム合計5つものPKを与えたフィスカー主審でしたが、その帳尻をこの試合で合わせに来たようです。エースを失ってしまった札幌は万事休す。残りのロスタイムも、清水エスパルスの皆さんによる「正しい時間の使い方講座」で幕を閉じたのでした。

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