? どこまでイバンチュール
サッカー百鬼夜行

第14節 対ガンバ大阪(テレビ観戦)
2002.8.10(SAT) 札幌厚別公園競技場

コンサドーレ札幌 1-0 ガンバ大阪
バーヤック【10分】 1-0
0-0
 
スターティングメンバー
フジ GK 松代

先生
健作
DF ちクン
バットマン
木場店長
西田
ナメック星人
板長
三沢
山瀬
MF 新井場
しげる
ガチャピン
松下
二川
バッキー
オグ
FW コータ
ナメック星人→ンダ【80分】
バッキー→ナオキ【87分】
西田→吉川【89分】
交代 松下→マッパ【45分】
しげる→羽畑【86分】

試合の感想
 ついに勝点3のまま1stステージ残り後2試合を迎えてしまったコンサドーレ札幌は、Jリーグで最も多いホームスタジアムを持つ札幌の中でも、「ホーム・オブ・ホームズ」とも言える厚別競技場でガンバ大阪との試合を戦います。多くのタレントを抱えながらもチームが若いせいかこれまで優勝とは無縁だったガンバですが、前柏レイソル監督の西野朗氏を監督に迎え、元ヴェルディ川崎(当時)のマグロン、元ブラジル代表のマルセリーニョらを獲得した今季は、前評判通りの活躍を見せる助っ人選手を中心にいきなり優勝争いを繰り広げています。
 まぁ、西野監督という人はいいチームは作れるが結局は3位に終わるという宿命を抱えているのですが、それでもまだ優勝へわずかながら望みを残すガンバ大阪は、助っ人のファビーニョと「天使の右足」マルセリーニョ・カリオカをそれぞれ出場停止とケガで欠く苦しい布陣。西野監督はファビーニョの代わりとして、松下というガンバに入団するために生まれてきた18歳の選手を入れ、マルセリーニョの代役には二川を配置しました。2トップはここのところ元気なコータと、現在J1得点王マグロンの凸凹コンビ。身長差は何と25cm(コータの身長ゴマカシ分含む)。
 そして札幌は、前節市原戦で出場停止だった山瀬、オグ、バッキーの3人が戻ってきたものの、市原戦で退場した守護神洋平と累積警告のジャジが出場停止。さらに悪いことは重なるもので、日本代表主将(ただしU-19)の今野までこの試合で右足首の靱帯を痛めてしまい欠場。こちらもまた青息吐息に桃色吐息なイバンチェは、移籍してから2試合をスイーパーで使ってきた佐藤尽を今野の場所に入れ、スイーパーには古川先生が復活。ジャジのポジションにはそのまま和波を入れ、GKはU-21日本代表の藤ヶ谷というメンバーを組んできました。

 小雨混じりで気温は20度強という、うだるような暑さの関東在住者から見ればホントにそこ日本ですか?というような肌寒さの中始まった試合は、開始早々から攻め込むガンバ、守ってカウンターを狙う札幌という図式となりましたが、前節と違ってやたら姿勢のいいポストプレイヤーとワンワン吠える忠犬が戻ってきたためか、札幌の攻撃もスムーズです。まぁ、水曜日にクソ暑い内房まで飛ばずに済んだ彼らには、この試合で2試合分働いてもらわないと困るのですが、ここのところいい感じの絡みを見せているオグと山瀬を中心にいい形を作っていきます。前半10分、ペナルティエリア内で山瀬が二川に倒され、ジャスティス岡田主審がPKを宣告。このPKをバッキーがキッチリと決めて先制点をゲットします。試合後バッキーが「GKが右に動いたのを見て左に蹴った。」とコメントしていましたが、その割にはあっさりコースを読まれてたように見えるのはおそらく気のせいでしょう。
 負けられないはずの試合で追いかける展開となったガンバは猛攻を開始しますが、マルセリーニョの穴はやはり大きいのか、なかなか札幌の守備を崩すことが出来ません。というか、シュートが枠に飛びません。さすが厚別はマクー空間だけあります。4年間札幌に住んだはずのコータが「最初は寒くて身体が動かなかった」と言っていたいたように、低い気温に思うように動けない中、札幌は毛皮のお陰で寒くない山瀬がやたらと元気に走り回ります。レオナルドのような見事なリフティングからシュートを放ったり、キーパーの動きをよく見てループシュートを狙ったり、突然何かに向かって吠えたり、そうかと思えば穴を掘ったりとやりたい放題の山瀬。「勝利ボーナスはにぼしだ」と言えば3点くらい獲っていたかもしれませんが、チャンスを作りながらも追加点が奪えず前半を終了します。

 後半になってもガンバの猛攻は続きます。両ウィングバックも積極的に上がってターゲットマンのマグロンに徹底してボールを集める攻撃に出ますが、札幌の守備陣も体を張ったディフェンスでマグロンを自由にさせません。特に大活躍だったのが3試合ぶりにスタメン復帰を飾った古川先生。相手のシュートを2度もゴールライン上でクリアするという神業を見せます。厚別マクー空間は先生のスペクタクルも4倍にさせたようです。さらにはそれに留まらず、ガンバのDFリーダー・宮本が5分で2枚というものすごい勢いでカードゲットを果たして退場となるなど、岡田主審のカードスピードまで4倍にしてしまったようです。
 というわけで相手が1人少なくなったわけですが、何しろ「10人の相手に逆転負け」には定評がある札幌。特につい最近10人の横浜F・マリノスに2点差をひっくり返されたイヤな思い出があるだけに逆に不安のほうが大きくなりますが、選手もそれはわかっているようで、「ヘンに2点差にして油断させてはいけない」とばかりに、カウンターから抜け出した和波が高いシュートの精度で狙い通りにドリンクボトルを直撃したり、ゴール前でどフリーになったビジュがトラップをミスしてシュートチャンスをフイにするなど、断腸の思いでゴールを奪わないというチーム思いなところを見せます。
 そして終盤の「いつもの時間」になってくると、やはりいつもの通りずるずるラインが下がり、10人のガンバに攻め込まれる時間が長くなってくるイヤな展開を見せます。いつもならば力尽きてもおかしくない状況ですが、そんな札幌を支えたのは、やはり先生でした。コータのヘディングシュートをゴールポストに激突しながらもクリア。4倍となったスペクタクルだけではなく、散髪してスッキリ効果まで見せてくれました。

 先生の新人芸人のような体を張ったプレイ、これで奮起しなければ男ではありません。イバンチェもマグロンのマーカーとしてヒットマン曽田を送り込み、今季初スタメンの藤ヶ谷も自慢のセクシーなバリトンボイスで指示を送り、サポーターもスタンドから必死の声援を送り、おじいさんは山へ芝刈りにと、スタジアムが一体となった札幌が何とか逃げ切り、第4節名古屋戦以来実に132日ぶりとなる勝点3をゲット。
 試合終了後はまるで優勝したかのような騒ぎの厚別マクー空間となりましたが、喜びのハイタッチを交わす選手たちの中で、うれしそうに微笑む山瀬がしっぽをブンブン振っていたように見えたのは気のせいでしょうか。

印

戻る