? どこまでイバンチュール
サッカー百鬼夜行

第2節 対京都パープルサンガ
2002.9.7(SAT) 京都市西京極総合運動公園陸上競技場

京都パープルサンガ 1-0 コンサドーレ札幌
朴【89分】 0-0
1-0
 
スターティングメンバー
平井 GK 洋平
鈴木
手島
角田
DF 先生
中村
サイトヲ
石丸電器
慎吾ママ
MF ゴンザレス
板長
健作
西田
ジャジ
松川

黒部
松井
FW オグ
岳也
黒部→上野【70分】
松井→中払【78分】
交代 松川→コマネチ【88分】

試合の感想
 ホームで柏相手に2点リードからドローを演じてしまった札幌は、今節は京都に乗り込んでのアウェイゲームです。1stステージでのホームゲーム(室蘭)ではVゴール負けを喫しましたが、その後京都は引き分けを挟んで7連勝を飾るなど完全に勢いに乗り、結局1stステージは5位にまで順位を上げました。2ndステージでは今度は逆に札幌がアウェイで京都を下して勢いに乗りたいところです。2千年の歴史を誇る古都に対し、たかだか2百年程度の歴史しかない新都がどう挑むのかが注目されます(されません)。

 前節アウェイで完全に生まれ変わったヴェルディに5失点を喰らうという大敗を喰らい、ホームでの巻き返しを図る京都はベストメンバー。室蘭での試合には出場停止だった昨季J2得点ランキング2位の黒部もおり、韓国代表の朴智星、U-21日本代表の松井大輔で組まれるJリーグ屈指の破壊力を持つ3トップも健在、室蘭でいいようにやられた鈴木慎吾ももちろん左のウィングバックでスタメン出場。
 札幌のほうは前節退場したビジュが出場停止。前節森山が交代出場して11分で電池切れを起こしてしまい、今節も充電不足で欠場。さらにバッキーもいません。全治2週間のケガを負ったという話ですが、実はケガというのは表向きの理由で、鬼剃りしすぎて放送禁止となり、髪が伸びるまで2週間かかるというのが本当の理由のようです。イバンチェは京都の3トップに対抗するために変則的な4バックで行くことに決めたらしいのですが、登録上は2-6-2という横浜FCの2-4-4を超えるシステムで臨んできました。
 そんなわけでスターティングメンバーは、GKはいまいち不安定さが否めなかった藤ヶ谷に替えて洋平が4試合ぶりのスタメン出場。2枚のセンターバックは先生と尽、サイドバックは左に健作で右に今野で、板長のワンボランチ気味にジャジと西田が左右に入り、トップ下が松川、2トップはオグとイバンチェ就任以来初のスタメンとなる岳也が入りました。

 9月に入ったのに近畿地方はまだ残暑が厳しく、札幌には苦手な蒸し暑い中での試合となりました。これだけでも充分「アウェイの洗礼」ではあるのですが、それよりも西京極のショップでドサクサ紛れにロブソンのTシャツが売られていたという、これ以上ないアウェイの洗礼。その影響かやはり試合開始から京都が札幌陣内に攻め込むシーンが多く見られます。札幌は急造システムのためかボランチの板長がバランスを取ることが出来ず、簡単にアタッキングエリアへの侵入を許してしまっています。
 中でも朴智星はやはりスゴい。ワールドカップでの得点は彼自身に大きな自信をつけたのか、イヤなところには必ず7番の紫色のユニフォームがいます。韓国選手としては李東国(どこ行った?)のようなテクニック系の選手ではあるものの、フィジカルの強さもあり、札幌が2人で囲んでも強引に間を突破され止めることが出来ません。しかし、黒部と松井が絶不調で全くいいところがなく、ゴール前まで攻め込んでも最後の最後でミスを連発。また古巣が京都の健作や尽が何度もパスカットを見せ、先生も相変わらずのスペクタクルを発揮して何とか踏ん張り、「対鈴木慎吾用ヒットマン」として右サイドバックに入った今野も注文通り鈴木を自由にさせず、さらに洋平も1ヶ月ぶりの試合出場ながら安定していたこともありゴールは許しません。
 札幌の攻撃はやはり久しぶりの出場となる岳也に期待が集まります。しかし岳也とオグの2トップといえばナビスコカップのアウェイ仙台戦での見事なまでのかみあわなさっぷりが記憶にあるのですけど、この日はやっぱりかみ合ってません。松川もちょこちょこといいプレイは見せるものの、オグとのコンビがイマイチ合わないため村八分状態。まぁ既存のメンバーもここ最近ようやくオグの特徴を把握してきたくらいですから、移籍してきたばかりの松川にそれを求めるのは酷ではありますが、「まずオグに当てて」という攻撃パターンが多い札幌では消える時間がどうしても長くなってしまいます。しびれを切らした先生が中盤まで上がっての必殺先生ゲームメイクという新技を見せたり、開始早々に今野がインターセプトしてそのままドリブルで上がっていき、いきなり我に返ってまごまごするなど、ネタ的においしい場面があった他は、これといったチャンスもなく前半は0-0で終了。

 後半、この日から2夜連続で放映される「北の国から」の最終回に合わせ、札幌サポーターはかつて応援に使っていた「北の国から」を大合唱。「ドラマが気になって相手選手が試合に集中出来なくさせる作戦」に出ます。これが功を奏したのか、後半からはかなりの札幌ペースとなります。京都は前節同様キレキレのジャジを止めることが出来なくなり、何度も右サイドの突破を許します。しかし、オグがフリーでダイビングヘッドを放ったり、得意の左足で見事なシュートを打ったりしますが、ポストに嫌われたり、平井が大当たりだったこともあってなかなか得点を奪うことが出来ません。その後もセットプレイのチャンスで角田のクリアミスからオグがシュートを放ちますが、相手DFのスーパークリアに合ってしまいこれまたゴールならず。
 岳也もジャジからのクロスに身体ごと相手ゴールにぶち込まんばかりの勢いでヘディングシュートを放ちましたが、ゴールに入ったのは身体だけ。その他も自慢の快足を生かして京都のDFの裏に何度も抜け出しますが、肝心のゴールを挙げることは出来ません。キックオフ前の選手コールで、クラージュ(モンテディオ山形の中心サポーターグループ)より拝領した「走れホリイ」を歌って岳也を後押ししたのですが、なるほど、確かに「走れ」とは言ったけど「決めろ」とは言ってないですね。
 京都も散々な出来だった黒部と松井を下げて上野と中払を投入し、前線の活性化を図ります。朴智星を中心に攻めてくる京都攻撃陣に何度か突破を許しますが、洋平も鬼神のようなスーパーセーブを見せ得点を許しません。さすがにユニフォームが蛍光オレンジじゃないときの洋平はひと味もふた味も違います。

 結局、試合は決定的なチャンスを何度も作りながらもモノにできないまま後半ロスタイムに突入。今までと同じようにラインが下がるクセは見られたものの、これまでとは違って傍目から見ても札幌のディフェンス陣はバタバタしていません。「そうか、リードしてなければ終わり間際に失点しないのか」と何の解決にもなっていないことを思った矢先、ドラマは唐突にやってきました。ボールを持った朴智星がいきなり怒濤のドリブルを開始。板長と健作(確か)が「即席明和スライディング部隊」を結成するも2人まとめてあっさり交わされ、背走する形となった先生がペナルティエリアギリギリの場所で足を引っかけて倒してしまいました。
 砂川主審は迷わずPKを宣告。確かに微妙な位置でしたが、砂川主審はかつて厚別での札幌対大分戦で主審を務め、ロスタイムにルシアノに決められて追いつかれて突入した延長前半、相手GKの前川にモロに当たりに行った高木のファウルを取らず、バンバンの決勝点を「アシスト」してくれた方。ホームびいきな方だったのをすっかり忘れていました。古川先生は得点機会阻止で一発退場。これ自体は妥当な判定でしょう。
 結局このPKを朴に自ら決められてしまい、これが決勝点となり試合終了。柱谷時代にうすらぼんやり見えていた死兆星もはっきり見えて来だした京都の夜でした。

印

戻る