? チャンリンシャン
サッカー百鬼夜行

第4節 対横浜F・マリノス
2002.9.18(WED) 横浜国際総合競技場

横浜F・マリノス 1v-0 コンサドーレ札幌
平瀬【112分】 0-0
0-0
0-0
1-0
 
スターティングメンバー
榎本 GK 洋平
中澤裕子

ナザ
DF
ナメック星人
健作
久永
上野

ドゥトラ
ジロー
MF ナオキ
ゴンザレス
板長
三沢
坂田
俺王
FW 岳也
ジャジ
ンダ
ジロー→オニク【50分】
坂田→平瀬【99分】
交代 三沢→松川【59分】
ナオキ→タブチ【86分】
尽→ゴリ【92分】
岳也→イソヤマン【105分】

試合の感想
 イバンチェビッチ監督が解任となり、張コーチが監督となった札幌は、横浜F・マリノスとのアウェイゲームを戦います。規模・レベルとも全国トップクラスのユース組織を抱えていながら、トップチームは各チームの主力選手をかき集めて構成し、若手選手は他チームに貸し出して試合に出させて育ててもらうという、まるでカッコウのようなチームの横浜ですが、1stステージではたった1敗しかせずに最後まで優勝争いを演じました。しかし、エース中村俊輔がセリエAのレッジーナに移籍してしまった2ndステージは寄せ集めチームのもろさを露呈、開幕3連敗となってしまっています。
 前節同じく連敗中の仙台にいいところなく破れた横浜は、その仙台戦に監督とケンカして遠征メンバーから外された俺王様ことウィルがスタメン復帰。松田が風邪を引いて欠場中のため、3バックはナザ、波戸、中澤という顔ぶれで、奥と上野のダブルボランチ、両ウィングは右に久永、左がドゥトラ、トップ下にジロー、そして俺王様とU-19日本代表の坂田という布陣です。

 水曜日の横浜での試合ということで、会社からダッシュをかけたものの、会場に到着したのはキックオフギリギリ。そんなわけで選手が入場してくるまでスタメンを知らなかったのですが、横浜国際競技場の電光掲示板に映し出されたリストに目を疑いました。オグが遠征メンバーから外れたのは知っていたのですが、なんとスイーパーにビジュが入っています。単なる登録上だけの話かとも思いましたが、選手が入場して各ポジションに散っていくと、やはりビジュは3バックの真ん中にいます。イヤ、確かに今野をストッパーで使うのはもったいないですし、かといって高さのない札幌ではビジュの舞空術は貴重です。これまで板長とビジュのダブルボランチはお互いに動きすぎてバランスを崩すことも多かったので、とりあえず最後尾に固定する(つまり余計なことをさせない)目論見なのでしょう。多少のギャンブル色は否めないですけど、まぁ理解できなくもありません。ただ、ビジュが果たして人間語で指示を出せるのかが気になります。
 というわけで札幌のスタメンはGK洋平、左右のストッパーに健作と尽、今野と板長のダブルボランチに和波とナオキの両ウィングバック、真ん中に曽田で左右にジャジ、岳也という3トップ。ゴール裏では「で、誰が点を獲るんですか?」という会話も聞かれる布陣で試合に臨みました。

 試合は開始から一進一退の攻防が続きます。関東地方もだいぶ涼しくなってきたせいか、3日前に試合を行ったばかりにしては札幌選手の動きは悪くありません。しかし、曽田のポストプレイがいつものようにおぼつかずに落としのパスを直接的に渡すこと多数、岳也もいつものように幾度となくナザや上野に吹っ飛ばされてチャンスを作り出すことが出来ません。スタメン出場のナオキが何度かいい突破を見せるのですが、中の人数がまるで足りずにカラ出張に終わってしまいます。
 しかし横浜のほうも相変わらずの足元サッカーに終始。横浜でもっとも危険な(いろんな意味で)俺王様は、健作や今野が何とか抑えて決定的な仕事をさせません。それでもさすがの俺キープや俺ドリブル、俺シュートを見せるのですが、彼をフォローするはずの奥とジローは消えっぱなし、坂田は尽に子供扱いされっぱなしのため、お互いまったく得点の予感がしません。前半枠に飛んだシュートは両チームとも1本ずつくらいで、さすがに2ndステージ両チームあわせて1勝もしてないチーム同士の対戦だけあります。

 後半は、開始早々に依然消息のつかめなかったジローを下げて永山を投入した横浜に対し、札幌は15分に和波を下げて松川を投入しますが、どうひいき目に見ても得点できるパターンがない札幌に対し、地力に勝る横浜がじわじわとペースを掴んでいきます。前半あまり目立たなかったドゥトラが高い位置にポジションを取るようになり、そうなるとナオキが下がらざるを得なくなり、必然的にナオキの持ち味も殺されてしまいます。
 しかしそんな劣勢の中、攻守に奮闘していたのが今野、ジャジ、そして健作の3人。健作はいつもの通り鋭いインターセプトを随所に見せ、さらに積極的な攻撃参加でチャンスを演出します。今野は久しぶりのボランチに戻ったためか、自慢のワンワンディフェンスを余すことなく発揮。後半のヘディングシュートはこの日一番得点に近かったシーンでした。そしてジャジはもう体中から「勝ちたいオーラ」全開のプレイを続けます。得意技である硬度ゼロ時の悪魔将軍を彷彿とさせるすり抜けドリブルはもちろんのこと、てっきり苦手だと思っていたディフェンスでも、硬度ゼロ時の悪魔将軍を彷彿とさせる粘着ディフェンスを見せます。勢い余って久永に取り憑きかけたりと危ないシーンもありましたが、小柄な身体に勝利への大きな執念を見せます。さらにはスタメン復帰後再び神モードが戻ってきた洋平も、大ピンチにファインセーブを連発して得点を許しません。やはりユニフォームが蛍光オレンジじゃない時の洋平はS.G.G.K(スーパーグレートゴールキーパー)です。逆に言えば蛍光オレンジの時はS.G.G.K(すんごくガッカリゴールキーパー)なんですが。
 とはいえ、この頃になるともう札幌選手に疲労の色が見え始め、カウンターすら繰り出せなくなって防戦一方となっています。選手交代に活路を見いだそうにも、ナオキと田渕の交代では少なくとも攻撃面で局面の打開を望むことも出来ません。しかしそれでも守備陣がビジュを中心に体を張ってゴールを守り続け、そして横浜の決定力不足に助けられたこともあって、試合はスコアレスのまま延長戦に突入しました。

 延長開始早々、満を持していよいよゴリ森山が登場。はいいんですが、交代したのは何度となく横浜の攻撃を跳ね返していた尽でした。尽が下がったストッパーにはおそらく今野を下げるのだろうと思っていたら、ストッパーに入ったのは曽田。それなら素直に曽田と交代させたほうがいいと思うのですが、尽がケガでもしてしまったのでしょうか。やはりといいますか、この交代で札幌は右サイドからドゥトラにいいようにやられ始めるようになります。
 延長の札幌のビッグチャンスといえば、田渕が横浜DFの裏に出した浮き球のパスに松川が走り込む(シュートは打てず)シーンがあったくらいで、延長も後半になると最終ラインでビジュが何とか止めたボールは前線に大きくクリアするだけとなってしまっています。そんな状況ではゴリが生きるはずもなく、これはもうスコアレスドローしかないと思っていた延長後半7分、ナザからの何ということもないロングボールが俺王様へ。この時オレは確かに聞きました。このボールが俺王様のおなかに当たった音を。そう、たとえるならば、「ルパン三世」のCMから帰ってきた時の「ルパン・ザ・サード♪」の後に来るティンパニの「ばい~ん」というそれに近い音でした。
 この見事な「腹ポスト」が走り込んできた交代出場の平瀬の前へ転がり、右足で叩き込んでVゴール。最後まで抵抗し続けた札幌でしたが、結局俺王様自慢の「きけ、はらづつみの声」で沈んでしまったのでした。

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