? チャンリンシャン
サッカー百鬼夜行

第6節 対ジュビロ磐田(テレビ観戦)
2002.9.29(SUN) 札幌ドーム

コンサドーレ札幌 0-1 ジュビロ磐田
  0-0
0-0
0-1
中山【96分】
スターティングメンバー
洋平 GK 山本

ナメック星人
健作
DF 秀人
マコリン
山西
ナオキ
板長
三沢
オグ
コマネチ
MF 西
福西
服部
金沢
俊哉
ンダ
岳也
FW 二等兵
隊長
岳也→ジャジ【60分】
コマネチ→バッキー【72分】
ナオキ→西田【80分】
ンダ→イソヤマン【92分】
交代 金沢→野武王【77分】

試合の感想
 順位表の中で一番探しやすいのは一番上、二番目に探しやすいのは一番下です。年間順位表でダントツ一番下のコンサドーレ札幌は、同じくダントツに一番上のジュビロ磐田とのホームゲームを戦います。1stステージを逆転優勝で飾った磐田は、昨季果たせなかった完全優勝に向けて2ndも好調を維持。2ndステージ現在無敗の浦和レッズにホームで破れはしたものの、前節はFC東京を大量6得点で虐殺。鬱憤晴らしにもほどがあると思いますが、その勢いのまま札幌ドームに乗り込んできました。
 しかし、チームの中心である名波が膝の故障を抱え、「クソ寒いところで試合をするくらいなら温泉に行く」という理由で欠場し、U-21代表の前田は釜山にドナドナ中。とはいえ、ゴンと高原の2トップを初めとしてトップ下の藤田俊哉、福西・服部のダブルボランチ、金沢と西の左右ウィング、鈴木秀人、田中誠、山西尊裕の3バックというのは札幌から見ればうらやましいほど充実した戦力です。ゴールキーパーはもちろんアルノ・ヴァン…あれ? 誰ですか? この「おしん」みたいなゴールキーパーは。
 そんな感じで日本代表クラスの選手をずらりと揃えたジュビロ磐田に対し、日本代表クラスの選手はいない札幌。「ずいぶん昔に代表だった」という選手は何人かいるものの、ジーコに呼ばれそうな選手はサポーターのひいき目で見てもいそうもありません。年代別の代表レギュラーならU-21の藤ヶ谷、山瀬とU-19の今野がいますが、山瀬はご存じの通り靱帯断裂でリハビリ中、藤ヶ谷が釜山にドナドナ、頼みの今野も今節出場停止で全員不在。メンバーのやりくりに苦労しているであろう張監督は、今野の穴を敢えて埋めようとはせず板長のワンボランチとし、3バックはスイーパーのビジュも含めて前節と同じ形で固定、オグを中盤に下げて3トップの真ん中に曽田を、右に岳也を置き、ジャジをベンチに置いてコマネチをスタメンで出すという思い切った布陣を組んできました。

 そんなわけで、ピッチ上の22人のうち外国籍選手は1人もいない(ただしうち1名は外星籍)という極めて珍しい光景の中キックオフ。
 札幌の戦術としては守って守ってカウンターという戦い方しかないと思われていましたが、そんな予想に反して札幌が積極的な立ち上がりを見せます。札幌の攻撃は極めてシンプルで、前節と同じように「曽田の頭を狙ってこぼれ球を拾う」作戦なのですが、磐田の選手が初めての札幌ドームで湿った芝に足を取られたり(※札幌ドームでは芝を前日のうちに引き込むことが多いのですが、密閉された室内では芝からの湿気がこもってしまい、試合の頃には露に濡れたような状態になってしまう)と普段と違う環境に戸惑いを隠せないことも手伝って、札幌が優位に試合を進めます。
 特に素晴らしかったのが久々スタメンの平間。オグからのロングパスを受けてするするとペナルティエリアに入り込み角度のないところからシュートを放ったのを皮切りに「平間ショー」を開始。圧巻だったのが前半10分過ぎのプレイ。曽田とのワンツーからドリブル突破を図り、相手に囲まれながらもボールをキープしてシュート。惜しくもゴールポストに当たってゴールはなりませんでしたが、人が変わったようなパフォーマンスを見せます。まぁ、人が変わったと言ってもあのツタンカーメンのそっくりさんは見間違えようもないのですが、「量産型」の評価を覆して「平間改」をアッピールします。
 その後も平間改を中心に磐田を攻め、ジャスティス岡田主審がかなり札幌寄りのジャッジをしてくれたこともあって数多くのチャンスを作り出しますが、いつもと違うのは平間改だけだったようで、あとはいつもの通りクロスを上げても中には相変わらず曽田1枚しかいません。逆サイドが死んでいるのならせっかくの3トップも全然意味がないわけで、クロスボールに飛び込んでいく人数が少ないのは精度の善し悪し以前の問題です。結局、攻め込みながらもゴールは奪えず前半は0-0のまま終了。磐田がバタバタしていた前半のうちに点を奪うことが出来なかったことが、結果的に試合の明暗を分けることになります。

 というのも、前半が良くなければ後半にはきっちり修正してくるのがジュビロ磐田が王者の王者たる所以。勝っても勝ってもマスコミでその采配を称えられることがない不遇な「Jリーグの毛沢東(byご主人)こと鈴木監督は、さすがに前半の問題点をきっちり修正してきます。まずプレスをかける位置を前半より高くし、札幌を自陣に押し込めて前線を孤立させる作戦に出ます。磐田の激しいプレッシャーに晒された札幌の守備陣はクリアが精一杯で、曽田へのロングボールを狙うことが出来なくなりました。たまにボールが通っても曽田が2人がかりで抑えられているため跳ばせてもらえず、セカンドボールを拾われてはまた猛攻を喰らう悪循環です。
 板長のワンボランチという札幌の中盤の薄さを突いて、攻撃時は福西と服部の両ボランチも積極的に攻撃参加。これによって平間改も守備に回らざるを得なくなり、平間改は事実上潰されたも同然となってしまいました。前半手を焼かされた平間改と、札幌の数少ない攻撃パターンである曽田の頭を同時に潰す、敵ながら見事な作戦です。

 流れが悪いと見た張監督は、岳也に変えてついに「シャア専用平間」であるジャジを投入し、平間改をトップに持っていく作戦に出ます。ジャジを入れて中盤でのボールをキープさせると同時に平間改を守備の負担から解放し、ゴールに近いところで勝負させる目論見なのかもしれませんが、この交代でもっとも気の毒なことになったのは和波。岡田監督時代の昨季、アウェイでの柏戦で俺王様を負傷退場で失ってにっちもさっちもいかなくなった時に選手交代のあおりを食った時と同じように、またしてもボランチなどという異次元の世界に放り出されることになります。
 さらに張監督にとって誤算だったのが交代で入ったジャジ。「相手が疲れて来た頃にドリブラーを投入して引っかき回す」というのは確かに理にかなってはいるのですが、ジャジはどうやら先発で出て多くボールを触るうちに調子を上げていくタイプの選手だったらしく、週中に「ラッキーカラー」という理由で金色に染めた髪の毛同様、痛いほど完全に浮いちゃってるという感じ。試合の流れに乗ることが出来ず、それが守備にも影響してかジャジの左サイドを突破されることが多くなります。もともと守備の得意ではない和波がボランチにいるためこれまで以上に易々と磐田に突破を許すという、まさに阪神のミラーのように火に油を注ぐ選手交代となってしまいました。
 もはや収拾のつかなくなった張監督はついに平間改を下げますが、交代で出てきたのがキープ力に難のあるバッキーでは火に油を注ぐどころかバナザードに内角を攻めるようなもの。続いて守備に追われて疲れの見えたナオキに代え西田を投入しますが、それでも守備陣は2トップの背後から飛び出してくる藤田や福西を捕まえることが出来ず、いつ失点してもおかしくない流れとなります。
 ところが、磐田は多くのシュートを放つものの、ぎりぎりで枠の外を飛んでいったり、はたまたゴールポストに当たってしまいます。どうやら今季初めて3万人を突破した札幌ドームにはいつもに比べてミノフスキー粒子が濃くなっていたらしく、どうしても得点を奪うことが出来ません。たまに枠に飛んだシュートも洋平の神懸かり的なセーブによって阻まれ、試合は90分では決着がつかず延長戦へ。

 しかし、後半は雨霰のようにシュートを打ち続けた磐田に対し、札幌のシュートはといえばジャジが放った1本のみ。それも後半40分になってようやく打ったという体たらく。磐田のGKがヴァンズワムだったら、出番がなくて座り込むのを通り越してまず間違いなく寝っ転がっていたであろうくらいの差です。
 延長開始すぐに曽田に替えて磯山を投入するも、既にいっぱいいっぱいだった札幌にとってさしたる効果があるわけでもなく、それからまもなくして中山隊長にVゴールを決められ力尽きたのでした。

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