? チャンリンシャン
サッカー百鬼夜行

第8節 対FC東京
2002.10.12(SAT) 札幌厚別公園競技場

コンサドーレ札幌 0-4 FC東京
  0-2
0-2
アマラオ【7分】
ケリー【18分】
ケリー【66分】
加地【69分】
スターティングメンバー
洋平 GK

ナメック星人
健作
DF 加地
ジャーン
下平
西田
板長
オグ
三沢
コマネチ
MF ユキヒコ
浅蜊
宮沢
フーミン
ケリー
岳也
ンダ
FW King of TOKYO
戸田
コマネチ→ジャジ【45分】
ンダ→松川【68分】
西田→イソヤマン【83分】
交代 ユキヒコ→喜名【45分】
戸田→☆【70分】
加地→伊藤【84分】

試合の感想
 2ndステージも折り返しとなる第8節、コンサドーレ札幌は厚別にてFC東京と対戦します。長い間チームを率いた大熊清監督の退任を受け、原博実監督が就任して一年目の今季、開幕当初こそ快調に突き進んだものの、原監督がワールドカップ期間中に解説のアルバイトに精を出しすぎて、それによって本業がおそろかになってしまうという大学生のようなパターンに陥ってしまいました。ヒロミスタとしては氏の解説を聞けたのはうれしいのですが、再開後の東京の成績は徐々に下降してしまい、気が付けば年間12位にまで順位を落としてしまいました。
 1stステージでは前半だけで3ゴールを叩き込まれて力負けをし、昨季は丸亀でのアウェイ戦では2-1で敗戦、ホームの札幌ドームでは今野をいきなりスイーパーで使うという思い切った布陣を敷いたせいか、オウンゴール2発を含む5失点という蜘蛛の子を散らすような騒ぎに終わるなど、お互いJ1に上がってから札幌は東京にまったく勝てていないのですが、J2時代の1999年にはアシスのものすごく嘘くさいフリーキックや河村優の幻の初ゴールなど4点を叩き込む大勝を飾ったこともあり、東京ガス時代の対戦を含めても厚別での戦績は悪くはありません。

 というわけで東京のメンバーですが、茂庭と石川がアジア大会にドナドナ中で、前節で退場した小峰が出場停止のためセンターバックが足りません。そんなわけで原監督は本来はサイドバックの藤山起目粒…いや藤山竜仁をセンターバックに据える苦肉の策。両サイドバックは右が加地で左が下平、登録上は"King of TOKYO"アマラオと戸田の2トップながら、実際はいつもの通りアマラオの背後にケリーと戸田が控える変則3トップ、中盤は前節出場停止だった宮沢が復帰し、浅利とケガから復活した佐藤由紀彦。小峰がいないのは残念ですが、懐かしきJ2テイストなメンバー構成。
 大して引き続き藤ヶ谷がアジア大会に、今野もアジアユースにドナドナ中の札幌のメンバーですが、相手のKing of TOKYOに対抗してこちらもKing of Sapporoを…などというネタがあるはずもなく、練習試合で結果を出し続けている新居がいないのはもちろん、前節は交代出場で得点の匂いを漂わせていたゴリの姿までありません。変わったといえばそのゴリの代わりに松川がベンチ入りし、前節で十字靱帯断裂の重傷を負ったナオキに替わって西田がスタメンに名を連ねたくらいで、あとは前節と同じメンバー。

 さて試合。札幌は東京の3トップに対抗するためにトリプルボランチの練習をしていましたが、その割にはケリーや戸田を捕まえ切れていません。頻繁にポジションを入れ替える3トップに対するマークの受け渡しがまったく出来ていないのではボランチの人数以前の問題。で、前半7分にはケリーのフェロモンを全開にして視線を惹きつける「ミス・ブランニュー・デイ攻撃」に引っかかった札幌守備陣がアマラオをまったくどフリーにしてしまい、これを冷静にゴール隅に決められ前節と同じように早い時間、いわゆる「いい時間帯」に先制を許してしまいます。
 先制されてもやはり眠ったままの札幌は、いつものように曽田のポストプレイがおぼつかないため攻めが形になりません。たまに平間が猫ドリブルを見せサイドを突破するシーンもあるのですが、いつものようにクロスを上げても中には曽田しかいないという状態では、いくら急造センターバックのフーミンでも守りやすいことでしょう。岳也はいったいどこへ行ってしまったのでしょうか。
 で、そうこうしているうちに相手のコーナーキックからのヘディングシュートがゴール枠を逸れていった途端に札幌の選手が追うのを諦め、追いついたアマラオからの折り返しをケリーに決められ、前節と同じような形で先制点から間をおかないいわゆる「いい時間帯」に失点。ドジでお茶目なうっかり者っぷりをアッピールして2点のビハインド。そしてこれまた前節と同じようにこの時点で札幌は人間あきらめが肝心とばかりに淡々とゲームを進め、ほとんどチャンスもないまま前半を終了します。

 後半、動きのイマイチだったユキヒコを引っ込めた東京に対し、札幌はジャジを入れてきたのはいいのですが、交代要員はなぜかコマネチ。確かにキャラがカブっている2人を並べても仕方がないとは言っても、前半の平間は孤軍奮闘していたと言ってもいい働きをしていただけに疑問が残る交代です。まぁ監督には監督の考えがあるのでしょうが、どのみち今の札幌には組織プレイなんてものはないに等しいのですから、曲がりなりにもピンで仕事が出来る選手を増やしたほうがまだ可能性はあると思うのですけどね。いずれにしてもそのジャジもやはり先発型の人間なのかそれとも東京がジャジ対策をしっかりしてきたのかこれといった仕事も出来ず、そもそも曽田にハイボールを当てた後のフォローがないという根本的な問題が解決されたわけではないため、状況は好転しません。何といいますか、貧乏だからといって財布を変えてみるといった印象です。
 東京も2点をリードしてまったくムリをする必要はなくなったため、前半ほどかさにかかって攻めては来ないのですが、それでも東京は前の3人でチャンスを作れるチームです。東京のGK土肥を慌てさせることも出来ない札幌を後目に、後半21分、いわゆる「いい時間帯」にはケリーに個人技からキレイに叩き込まれ3点目を許してしまいました。

 前回も書きましたが、今季一試合で3点以上獲ったことがなく、特に張監督となってからの過去4試合で挙げた得点は浦和戦での岳也のたった1点のみという札幌にとっては、この3点目が事実上の終了宣言です。ケリーに3点目を決められた時点でもう完全に気持ちが切れてしまったのか、そのわずか3分後のいわゆる「いい時間帯」にはコーナーキックからのこぼれ球を加地に豪快に叩き込まれ4失点目。加地のミドルシュートは洋平が一歩も動けないほど素晴らしいものでしたが、決まった瞬間の札幌の選手は、悔しがるでもなく気持ちを立て直そうとするでもなく、「あ、入ったの?」とでも言いたげな表情で他人事のようにしていたのが今のチーム状況を表しているような気がしました。
 その後も「せめて1点を」という意地を見せるわけでもなく、見られたのはイライラしたジャジがスタンドを出しかけたことくらいで、結局これといって目を惹くシーンもないまま前節と同じようにほとんど何の抵抗も見せないまま惨敗。「虐殺」というよりもガンジーの無抵抗主義という言葉が思い出された試合でした。

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