? チャンリンシャン
サッカー百鬼夜行

第13節 対名古屋グランパスエイト(テレビ観戦)
2002.11.17(SUN) 札幌ドーム

コンサドーレ札幌 1-0 名古屋グランパスエイト
佐藤尽【29分】 1-0
0-0
 
スターティングメンバー
洋平 GK 楢崎

ナメック星人
健作
DF 海本
パナディッチ
古賀
板長
ゴンザレス
西田
三沢
オグ
MF 大森(右)
山口(若)
山口(老)
タッキー
中村
ンダ
アイカー
FW イヴォ
アイカー→バッキー【75分】
オグ→ジャジ【87分】
交代 山口(老)→ヤジロベー【61分】
大森(右)→岡山【72分】
腹→片桐【79分】

試合の感想
 降格決定後初のホームゲームとなるこの試合。前回の市原戦でようやく1年以上も続いた不勝記録をストップさせた札幌ドームに、残り札幌の数少ない勝ち星を与えてくれたばかりか、「2点以上取れない」札幌にオウンゴールをプレゼントしてくれた気配り帝王・名古屋グランパスを迎えての一戦です。悲願のリーグ優勝に向けて批判を覚悟で市原からベルデニック監督を引き抜き、シーズン序盤こそ躓いたものの、その後は順調に調子を上げてきた名古屋。昨年の年間順位は5位。そして12節終了現在の年間順位も5位と、フロントが心を鬼にして監督を強奪してきた意味がほとんどない成績に落ち着いています。
 名古屋はもはや優勝にも降格にも関係がないとはいえ、この試合で負けると「史上最速降格を果たした札幌に1度も勝てなかったチーム」として、子供のポルナレフに負けたアレッシーのような扱いを受けかねないだけに、ここはキッチリ札幌に勝っておきたいところでしょう。しかし、実はまだ勝ったことがない鬼門の北海道でのゲームに、エースのウェズレイがケガで欠場と苦しい状況。GKは日本代表楢崎正剛、海本、元クロアチア代表パナディッチ、古賀の3バック、ウイングバックは左に滝沢、右に大森、ダブルボランチはダブル山口、トップ下に中村、2トップは現役オーストリア代表のヴァスティッチと名古屋期待の若手原竜太とう布陣です。
 前節ヴェルディにVゴールで破れたとはいえ、後半は期待を持たせる内容を見せた札幌は、その良かったヴェルディ戦後半のメンバーから古川先生を出場停止から戻ってきたビジュに変えただけの、ほぼそのままのメンバーを配してきました。GK洋平、3バックは尽、ビジュ、健作、両ウィングは西田と和波、ダブルボランチに今野と板長、トップ下オグ、2トップは曽田と初スタメンとなる相川。先生がいないものの、気がつけば黒髪が増えたなぁと思わせるスターティングメンバーです。"King of Sapporo"新居はまだケガが癒えていないようで、代わりにベンチにはバッキー、ジャジという来季の契約を結ばないという噂の就職活動行ってこい的な選手の顔も見えます。

 というわけで試合開始となりますが、いきなり原にサイドを破られピンチを迎える不安な立ち上がり。しかし、その後は札幌が押し気味に試合を進めます。相川、曽田の2トップは前線から積極的にプレスをかけ、今野と板長が中盤をワンワン走り回ってパスカットするという、遅まきながらようやく札幌らしい守備が戻ってきた感じ。遅まきすぎですけどね。とはいえ、札幌のプレスが尋常じゃなく速いというよりは、名古屋の選手にフリーランニングがほとんど見られないため、パスコースを限定しやすいという言い方のほうが正しいような気もしますが、いずれにしても名古屋はヴァスティッチにいい形でボールを入れることが出来ません。
 しかし札幌も攻撃のほうは相変わらずこれといったパターンもなく、ゴール前まではボールを運べるものの、海本とパナディッチという、札幌の苦手な土屋とシジクレイを思わせる「スキンヘッドDF」に手を焼き、そこから先は有効な形を作ることが出来ません。それでも西田がトラップ一発で切り返してシュートを放ったり、ここのところ「オモシロプレイ」に目覚めてきたらしい曽田が、西田のクロスに両手を広げながらおごそかに飛び込んできたり、この日絶好調だった健作がパスカットしてそのままオーバーラップをかましていきなりまごまごしてみたり、そうかと思えばやっぱり無駄走りに終わったりと、じわじわと名古屋ゴールを脅かしはじめます。
 そして迎えた前半29分のコーナーキックのチャンス。つっても札幌に限ってはコーナーキックがチャンスであるかどうかはかなり微妙なところなのですが、オグが蹴ったコーナーキックを相川が戻りながら無理矢理頭に当てます。このシュートは惜しくもポストに当たりますが、跳ね返ったボールは幸運にも尽のところへ。このボールを尽が難なく頭で押し込んでゴール。点を取れるときというのはこういうモンなんだなぁと思わせる尽の移籍後初ゴールで先制点をゲットしました。
 先制点を得た札幌はますますかさにかかって名古屋を攻め立てます。しかし、曽田、相川、オグによる細かいパス回しから、オグがファウルを受けながらもつないだボールがどフリーの板長へ! というチャンスでなぜか長田主審がオグへのファウルを取ってプレイを止めてしまったり、スキあらば攻め上がりを狙っていたビジュがパスカットしてそのままドリブルで上がりかけたところを、曽田が捨て身のブロックで自制を求めたりと、惜しいシーンはあったものの追加点を奪えないまま前半終了。つうか、そういえば長田主審って国立での東京戦でもアドバンテージ取ってくれなかった方でしたね…。

 さて後半。前半のサッカーは確かにそのまま押し切れるだろうという流れではあったものの、ああいったサッカーは大抵90分は持ちません。早めに追加点を取って楽になりたい札幌でしたが、ここで札幌にとって大きな追い風が吹きます。開始早々の後半9分、ポストになった相川を後ろから倒した海本(小パナディッチ)が2枚目となるイエローで退場。1点を追う名古屋は残り40分以上を10人で戦わなければならなくなりました。
 しかし、相手が1人少なくなったことにより札幌に多少気の緩みが出てしまったのか、ここから徐々に流れが名古屋に傾きます。2トップが疲れからか前半のような執拗なチェイシングが出来なくなり、それに連れてラインも下がり、捨て身とも言える名古屋の攻撃を受け流すことが出来ず、サイドを蹂躙されるいつもの悪循環です。しかし、名古屋のほうも変なパスミスでボールを失ったり、ウェズレイ不在はやはり大きいのか決定的なチャンスを迎えてもフィニッシュの精度が悪かったりと、どっちがコンサドーレだかわからないプレイに終始。
 張監督も疲れの見えた相川に変えてバッキーを投入します。久しぶりの出場となるバッキーは来季に向けて存分に大暴れ…といいたいところですが、フリーになるのは上手くてもボールを持つと告白タイムのようにどぎまぎするお茶目さは相変わらずです。何とかシュートを放つものの枠を捉えることが出来ません。やはりバッキーはバッキー、顔は怖いがシュートは怖くない。その後も張監督はパナディッチを前線に上げる名古屋のパワープレイの対策として、曽田のスイッチをリモコンで切り替えて守備モードにしたり、ジャジを入れて「オゾンのダンス」を踊らせてみたりとあの手この手で勝利への執念を見せます。

 結局その交代策が実を結んでか、2分の表示でたっぷり3分を超えたロスタイムをなんとか凌ぎきり、ドーム2連勝となる今季4勝目をゲット。結局他の全チームに勝点を供給し続けてきた札幌からただ1つの勝点を奪うことすら出来なかった名古屋は、アレッシーどころか人間のジェロニモに負けたサンシャインとして来季のJ1を生き抜くことになりました。

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