? チャンリンシャン
サッカー百鬼夜行

第14節 対ベガルタ仙台
2002.11.23(SAT) 仙台スタジアム

ベガルタ仙台 2-0 コンサドーレ札幌
マルコス【16分】
マルコス【82分】
1-0
1-0
 
スターティングメンバー
小針 GK 洋平
アンドゥー
リカルド
小村
ムラ
DF
ナメック星人
健作
森保
阿部
山田
ザイー
MF 板長
ゴンザレス
西田
三沢
オグ
山下
マルコス
FW アイカー
ンダ
ムラ→片野坂【60分】
山田→村上【80分】
ザイー→バーチ【89分】
交代 アイカー→バッキー【45分】
三沢→田澤【72分】

試合の感想
 アウェイ最終戦となるJ1リーグ2ndステージ第14節は、七北田川流れる岸辺でのベガルタ仙台戦。今季初めてJ1という舞台に臨んだベガルタ仙台は、降格候補の下馬評を覆す開幕5連勝というスタートダッシュを成功させ、1stステージの第5節では強豪・鹿島アントラーズをアウェイで破るなど昨年の札幌以上の衝撃を残しました。しかし、主力のケガが相次ぐと貧乏チームの宿命である選手層の薄さに苦しみ、また開幕にコンディションのピークを持っていったためか徐々にその勢いにもかげりが見え始め、2ndステージでは13節終了時点で3勝1分9敗の15位と昨年の札幌以上の尻すぼみとなり、気がつけば年間順位も勝点29の13位と降格争いに巻き込まれてしまっています。この試合で札幌に勝てば無条件でJ1残留となるのですが、逆に負ければJ1残留が危うくなり、さらには2ndステージ順位も「指定席」であるはずの札幌に抜かれて最下位となる、まさに天国と地獄となってしまうだけに、仙台にとってはホーム最終戦となるこの試合、満員のサポーターの前で是が非でもJ1残留を決めたいところです。
 しかし、その決意とは裏腹に仙台はシルビーニョと岩本という中盤の要2人が揃って出場停止と苦しい内情は変わらず。GKは小針、DFラインは村田、リカルド、小村、安藤の4バック、中盤はシルビーニョの代役としてアベちゃん、岩本の代役として山田が入り、森保、財前の4人、2トップは山下と捻挫が伝えられていたマルコスです。GKがノリヲじゃないのが残念無念。

 そして、この試合が重要な意味を持つ仙台とは逆に、もはや勝っても負けても降格という事実が揺らぐことがない札幌。次節最終戦は同じくJ1残留崖っぷちの広島と当たってしまいます。いち早く降格を決めた我々としては、残りの試合は年老いた象のように人知れず生涯を終える予定だったのに、何かいきなり「残り1つの椅子」の鍵を握るチームになってしまいました。どうせ散りゆく我が身なら、せいぜいリーグを引っかき回して立つ鳥跡を濁しまくったチームとして後世に名を残したいところ。
 その札幌ですが、捻挫で離脱中の"King of Sapporo"新居に続き、赤丸急上昇中の相川までもが、前節名古屋戦で内転筋を痛めて「期待を受けた先からケガをしていく」コンサドーレスパイラルにはまってしまいました。何とか出場にはこぎ着けたものの、コンディションがいいとは言えません。というわけで札幌のスターティングメンバーは、その相川も含んで勝った前節とまったく同じメンバーながら、ベンチにはリーグ戦初のメンバー入りとなる田澤勇気が名を連ねました。

 さてキックオフ。この直後に21日に逝去された高円宮憲仁親王殿下への黙祷に行われたため(聞いた話ですが、このキックオフ直後の黙祷というのは最近出来たFIFAの統一ルールなんだそうです)に多少の混乱はあったものの、1分間の黙祷終了後にリスタート。試合は開始早々にリカルドと曽田がヘディングの競り合いで接触。両者流血ノックダウンとなって仲良く「頭にバンテージ」仲間となる不穏な立ち上がりとなります。その後は一方的に仙台に攻め込まれる展開。是が非でも負けるわけにはいかない仙台の怒濤の攻撃に札幌はタジタジで、左サイドを破られてけが人のマルコスにいきなりフリーでヘディングシュートを許すなどいつ失点してもおかしくない流れが続きます。で、前半16分、これとまったく同じ形で左サイドを破られ、同じようにどフリーとなっていたマルコスに頭で難なく決められてしまいました。同じ形を2回も許すという情けなさで先制点を奪われます。
 先制してからも手を緩めることのない仙台に対し、札幌は追いつくどころか攻撃の形も満足に作れない有様。板長は相変わらずピンポイントな敵へのパス、通称「味方をキラーパス」を送り続け、バンテージ姿が痛々しい曽田もいつもの通りのおごそかなプレイのまま。これがもし秋田だったら流血してからが本当の秋田となるわけですが、曽田の場合バンテージでは「蒸着」出来ないようです。札幌のトレーナーも、気を利かせてバンテージを巻くついでに頭に旗でも立ててやれば良かったのに、と思います。頼みの相川もやはり足が痛いのか消えている時間が長く、いくつかいいプレイを見せた程度。結局チャンスらしいチャンスといえば板長のFKを尽がドンピシャで頭に合わせたシーンくらいですが、このシュートも小針のファインセーブに合い得点ならず。ディフェンスラインもあのアウェイ清水戦やホーム東京戦と同じようにルーズボールも全然追おうせず、前節はなんだったのかと思うほどぐうの音も出ないやる気のなさっぷりに大量失点も覚悟しましたが、ビジュがヘディングで競り合うと見せかけてジャンプした足でクリアする超時空ナメッククリアなどの宇宙プレイを連発したり、仙台にしてもやはり低迷しているだけあってミスが多く、前半は1-0のまま終了します。

 後半、やはりというかなんというか、足を引きずる姿も見られた相川がバッキーと交代。希望のかけらも見えなかった前半から状況はさらに悪くなり、この瞬間からまったく得点の予感が消え失せました。実際、その予感は当たるどころかより悪い形で具現化する体たらくで、板長がトラップをもたついている間に相手のプレスを受け、苦し紛れのバックパスをDFが考えなしに前線の誰もいない場所にドッカンドッカン放り込むのですから、仙台にとっては守りやすいことこの上なし。「柱谷サッカー」、そんな言葉だけが頭の中でリフレインするようなプレイの連続です。異常なまでのバッシングを受けている曽田ですが、確かに足元は弱いし、どう甘く見てもいいプレイをしているとは言えないものの、後ろがこんな感じで裏に抜けても誰もそれを見ておらず、前線で張っていれば10メートル以上も離れた場所にボールが飛んでくるような状況なのですから、これでは彼にも多少同情すべき部分もあります。
 相川のいない今、頼れるのは生まれ故郷での初の凱旋試合となる今野だけ。両親や友人たちも見に来ているであろう試合で、いつもの如く前半から相変わらず中盤での犬っぷりを見せ、かつオーバーラップしてくる西田の足元へぴったりと収まるサイドチェンジも見せていたのですが、失点を取り戻したいのか、よせばいいのに板長がよりいっそう攻撃に参加したがるため、状況把握能力の高い今野がバランス取りのために後ろに残ることが多く、攻撃に絡むシーンがあまり見られません。とは言ってもやはり守備面での貢献は高く、鬼神のような表情で孤軍奮闘する今野の「みちのく一人旅サッカー」で、仙台もこれといったいい形を作ることが出来ません。札幌は後半27分にプロ初出場となる田澤を入れますが、FWとして入団したはずが練習試合などではボランチやサイドなどいいように使われまくっていたせいか、何が得意なのかイマイチわからず、それほど目立った活躍は出来ずじまい。
 両チームの出来からいって1-0のまま試合を終えるかと思われた後半37分、再び左サイドを破られて上げられたクロスボールに走り込んできたマルコスに2点目を決められジ・エンド。今野が珍しくエキサイトしていたように、確かに限りなくオフサイドくさかったため札幌の選手は抗議しますが、当然判定が覆るはずもなくビジュがイエローを頂戴するといういつものシーンが見られただけに終わります。というか、この日の「偽コッリーナさん」こと奥谷主審以下メインスタンド側、バックスタンド側の副審とも非常に怪しいジャッジが多かったのですが、どっちにしても勝てていたとは思えませんでしたし、一番怪しかったのは札幌選手のセルフジャッジだったので、もうどうでもいいです。

 結局試合は2-0のまま終了。かつて多くのチームの窮地を自ら救ってきた「癒し系チーム」である札幌は、アウェイ最終戦においても仙台のJ1残留に貢献。最終戦に行けないアウェイサポーターを最後の最後まで癒すことなく終えたのでした。

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