? チャンリンシャン
サッカー百鬼夜行

第15節 対サンフレッチェ広島(テレビ観戦)
2002.11.30(SAT) 札幌ドーム

コンサドーレ札幌 5v-4 サンフレッチェ広島
小倉【8分】
曽田【55分】
相川【74分】
曽田【88分】
曽田【99分】
1-1
3-3
1-0
森﨑(浩)【42分】
久保【47分】
茂木【53分】
上村【87分】
スターティングメンバー
洋平 GK ダーシモ

ナメック星人
健作
DF ウエミー
八田
駒野
ゴンザレス
西田
三沢
板長
オグ
MF サワケン
桑原
森﨑(兄)
服部
King of Sapporo
アイカー
FW 森﨑(弟)
茂木
クヴォッチ
King of Sapporo→ンダ【44分】
三沢→コマネチ【71分】
アイカー→森【90分】
交代 サワケン→阿波ダンサー【45分】
茂木→高橋【75分】
ダーシモ→林【76分】
クヴォッチ→念仏【90分】

試合の感想
 いよいよJ1最終節、その相手は年間順位15位のサンフレッチェ広島。柱谷体制で迎えた開幕戦でぶつかり、5-1と粉砕された相手です。ただ負けただけじゃなく何もいいところを見せられずに虐殺された札幌はそれ以来何をやってもうまく行かず惨敗を重ね、史上最速でのJ2降格、両ステージ最下位という逆完全制覇まで決めるという負け組街道一直線をたどったのはご存じの通りです。
 しかし、その開幕戦で幸先のいいスタートを切ったはずの広島も、開幕前に十字靱帯断裂で全治8ヶ月という重傷を負った上村健一を始めとして相次ぐ主力の故障や監督交代などで波に乗ることが出来ず、気がつけば残留争いのまっただ中にハマッてしまっています。鹿島、柏と連破して最終節を迎えた段階で残留への望みをつないだものの、14位の神戸とは勝点差2、13位の柏とは勝点差が3となっており、神戸と柏が勝てばこの試合の勝ち負けには関係なくJ2への降格が決まってしまいます。自力での残留はないものの、とにかく勝たなければ始まらない広島は出来るだけ点差をつけて札幌に勝っておきたいところ。

 その広島はシーズン終盤になってようやく主将の上村が戦列復帰。選手生命を左右しかねない大怪我を負い、つらいリハビリを経て人間的にも一回り大きくなったのでしょうか。とりあえず昨年の1stステージ頃と比べて、外から見ただけではアタマが一回り大きくなったことくらいしかわかりませんが、「バフンウニは進化するとバルデラマになる」という新説でチームを引っ張ります。しかし、その上村と入れ替わるように十字靱帯を部分断裂して戦線離脱中のFW中山に加え、久保と並ぶ「チンピラ2トップ」の一角・FW大木がケガ、凶悪カメルーンマン・DFビロングが出場停止と苦しい状況は変わらず。大木の代わりとして森崎浩司をFWに入れる苦肉の策で臨みます。
 対する札幌はここ数年勝っていないリーグ最終戦。ただでさえこういった死にものぐるいで向かってくる相手には滅法弱いチームの札幌、まぁ今季の場合は相手がどうこうより先に常に弱いわけなんですけど、既に降格の決まっているコンサドーレ札幌にとっては次はいつになるかわからないJ1での当面最後の試合ですから、最後くらいいい形で終わって広島にとっての子泣きじじいとなりたいところ。来季の監督もジョアン・カルロス・トシキに決まったため、北海道内での試合はこれが最後となる張監督は、ホームのサポーターへの置きみやげとして新居と相川というマニヤ垂涎のAA2トップをお披露目し、ベンチには今季初めてとなる森くんを入れてきました。

 さてキックオフ。広島が立ち上がりから猛攻を仕掛けてくるであろうことは簡単に予想がつくはずなのに、いつもの如くビックリしたようにバタバタする札幌守備陣。ある意味「自分たちのサッカー」を貫いているとも言えるのですが、上村にするするとドリブル突破され茂木にシュートを許したり、久保をフリーにしてシュートを打たれるなど、「最終節のドラマ」の片棒を担いでしまいそうな流れです。
 ところが前半8分、健作からのロングボールを相川が頭で落とし、走り込んできたオグがインサイドで流し込んでゴール。札幌が最初のビッグチャンスをモノにして、柏と神戸の試合を多元中継しているNHK放送陣の「空気読めやゴルァ」という声が聞こえてきそうな先制点をゲットします。
 得失点差の争いになったときのために出来るだけ点差をつけなければならない試合で先制されてしまった広島は、当然ながら反撃に出ます。札幌は広島の3トップを抑えるためか今野が下がってきて4バック気味のディフェンスを敷いていたのですが、これがあまりうまく行かずちょこちょこ広島の選手をフリーにしてしまいます。しかし、広島の選手にとっては札幌ドームは初めてのせいか決定的なチャンスも久保がことごとく外したり、洋平が何とか守ったりで得点ならず。
 とはいえ札幌も、先制したはいいけどそれ以降はこれといったチャンスを作り出すことが出来ません。期待のAA2トップもちょこちょこと面白いプレイを見せるのですが、お互いの距離が遠いことも多く、コンビネーションという意味ではあまり目立ったシーンもなし。クロトワ参謀が「早すぎたんだ!」と叫び、クワトロ大尉が「これが…若さか…」と呟くような感じです。イヤ、腐ってはないですが。
 このまま終わるかと思われた前半42分、久保のポストプレイから抜け出した森崎浩司に左足で流し込まれ同点に追いつかれます。さらに悪いことに終了間際には新居がフライングネックブリーカードロップを喰らい負傷退場。1-1のまま前半を終了しますが、新居と交代で曽田が入ってきたことでここから試合はにわかに異種格闘義戦の様相を呈してきます。

 そして始まった後半、開始早々にペナルティエリア内でビジュが茂木を引っかけたプレイを吉田主審は決まり手:河津掛けとしてPKを宣告。これを久保に決められ逆転されると、その6分後には茂木にラインの裏に抜け出されループシュートを決められ3点目を許してしまいました。残り45分の戦いに立ち上がりから猛攻を仕掛けてくるのが予想される広島に簡単に得点されるある意味「自分たちのサッカー」を貫いて突き放されてしまいました。
 今季リーグ平均得点がわずが0.86という札幌にとってはあまりにも大きい3点目。しかし、今までなら「負け」の流れをはじき飛ばしたのが、ここのところ面白人間として開花しつつある曽田でした。3失点目からわずか2分後、ルーズボールを奪った相川からの折り返しを無理矢理ねじ込んで1点を返します。札幌はその後もペースを握り、後半29分にはオグからのロングボールを上村と下田が処理を誤ったスキに相川が下田と激突しながらも頭で決めてついに同点に追いつきました。さらにはこの接触で相川にヘッドバッドを喰らう形となった下田が負傷退場、広島はますます苦しくなってしまいました。
 同点にまで追い上げた札幌ですが、勝利への執念を見せる広島は後半終了間際の42分、セットプレイから上村が頭で決めて突き放しに成功しますが、ところがどっこいそのわずか1分後、今野からのパスを相川がヒールで流したボールに曽田が反応、右足で冷静にゴール隅に決めてまたしても同点に追いついてしまいました。その後、ロングボールを巡って下田と交代で入ってきた林にフライングニードロップを喰らった相川が本日3人目の負傷退場。結局試合はそのまま延長に突入しました。
 この4点目以外は札幌はコレといって有効な攻撃をしていたわけではなかった、というよりは札幌も広島も後半やっていたことといえば遠投キャッチボールとでもいわんばかりの単なるロングボールの蹴り合いだったのですが、それでも後半だけで6点も入ってしまうのが両チームの状況を表しているような気もします。しかし、この試合の本当の山場はこの後でした。

 もはや交代のFWがいなくなった延長戦、張監督は今季初出場となる森くんを投入。森くんをDFに入れてビジュをボランチに、板長をトップ下にそれぞれスライドさせてオグをトップに上げるのか、と思いきや、なんと森くんがそのままFWの位置へ。張監督も考えるのがめんどくさくなったとしか思えない采配を見せます。
 ところが、なぜかこの練習試合では最終ラインにいた2トップが奏功します。延長前半開始早々に曽田が頭で落として森くんが走り込むという、AA2トップより息のあったコンビを見せるなど大爆笑の活躍。そして延長前半9分、その森くんからのクロスを両手を広げておごそかに跳んで来た曽田が頭で決めてVゴール勝ち。監督を替え、選手を替え、あらゆる試行錯誤をしてもいい結果が出ずにJ2に降格した今季のリーグ最後の試合は、成り行き任せの勝利で締めくくったのでした。

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