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サッカー百鬼夜行

第4節 対アルビレックス新潟
2003.4.5(SAT) 新潟市陸上競技場

アルビレックス新潟 0-1 コンサドーレ札幌
  0-0
0-1
堀井【63分】
スターティングメンバー
野澤 GK フジ
三田
アンデルソン
丸山
カツヲ
DF 中尾
西澤
ソダン
三沢

ヤマロ
深澤
宮沢
MF 板長
ゴンザレス
砂川
名倉
マルクス
森田
FW 岳也
俺王
カツヲ→上野【66分】
宮沢→本間【78分】
交代 中尾→健作【79分】
ヤマロ【51分】
本間【87分】
警告 名倉【51分】
名倉【57分】
  退場 名倉【57分】

試合の感想
 コンサドーレ札幌は3試合を終えて1勝2敗とやや出遅れた感がありますが、今節はJ1昇格有力候補であるアルビレックス新潟とのアウェイゲームを迎えました。1999年に徹底したカウンター戦術で4位、そのカウンターを捨てた2000年は浦和レッズとのノーガードのどつきあいが記憶にある程度で、総じてイマイチ地味感が否めなかったチームでしたが、2001年に元日本代表の反町康治氏が監督に就任してからは着実に力をつけ、その年は4位、そして2002年はセレッソ大阪と壮絶な昇格争いの末最終節で涙を呑み、今季も昇格候補の筆頭に挙げられています。
 反町体制3年目となる今季はサポーターはもちろんクラブも「J1昇格」を現実目標として捉えており、名古屋グランパスエイトの山口素弘、サガン鳥栖の森田浩史、「姓が宮沢だから」という理由だけで「ミッシェル」と呼ばれている浦和レッズの宮沢克行ら実力のある選手を獲得。もちろん昨季J2得点王マルクスも健在で、昇格候補の名に恥じない体制を整えました。前節は横浜FCに不覚を取ったものの、開幕戦は大宮を2-4で粉砕、続く第2節も福岡を効率の良い攻めで4-0と一蹴するなど前評判通りの攻撃力を見せつけています。特にホームゲームでは20戦不敗という成績を収めていますが、新潟のホームゲームを語る上で何よりも欠かせないのがアルビレックスチアリーダービジュアルならコンサドールズを凌駕する彼女らを見なければ新潟まで来た意味がありません。そのアルビチアが満を持してキックオフ前にピッチに登場。

 なぜ下がジャージなのだ!

 さぁそれはともかく、敵地に乗り込んできたコンサドーレ札幌。ジョアン・カルロス・トシキ監督は、開幕から3試合で計9失点という目も当てられないザルっぷりを受けてメンバーの大幅入れ替えを敢行。GKには藤ヶ谷を起用し、ディフェンスも健作と森くんを外して、右から中尾、西澤、曽田、和波というDFライン。中盤はベットが故障したため板長・今野のワンワンボランチ、2列目に砂川と前節直接FK2発を決めたホベルっちとなっていますが、何よりも注目はもちろん、3試合出場停止の禊を済ませてついに帰ってきた俺王様です。
 前回の札幌での最後のゲームとなった2001年11月17日の日立台から504日ぶりに赤黒のユニフォームを纏って姿を現した俺王様を、ゴール裏の臣民は力の限りの「エウテホ」でお出迎え。臣民からの大歓迎を受けた俺王様は…黙々とフリーキックの練習中。ちっとも聞いちゃいねぇ。まぁ、試合前は集中したいでしょうしね。

 前半は試合の流れとしては若干新潟ペース。ほぼごっそり入れ替えてきたといい札幌の守備陣の連携が整っていないことにつけ込んで来ます。しかし、開始早々こそドタバタしていた札幌のDFラインも、マルクスのFKがバーに当たって難を逃れた以降は時間が経つに連れてだいぶ落ち着いてきました。つってもそれもずいぶんとスペクタクルな方向だったわけですが。数々の極上なスペクタクル劇場を織りなし始めた14番と18番のコンビの姿に、「元祖スペクタクル」古川先生の幻影を見たサポーターも1人や2人ではありません。札幌ではリーグ初スタメンとなる中尾も、最初こそちょっと気性難が出たもののその後は予想以上にいいパフォーマンスを見せています。
 札幌は当然ホベと俺王様を中心に攻撃を作りたいところですが、当然新潟はそのラインを徹底的にマークしてきます。俺王様にいいボールが入らず思ったように攻撃を進めることが出来ません。いつもの通り板長と今野のダブルボランチは、守備の時なら悪魔怪獣なんでも来いだけど攻撃となるとカワイコちゃんには弱く、中盤でのパスミスが目につきます。方や新潟も久しく負けていない得意のホームゲームの割には、降りしきる雨で濡れたピッチに足を取られる選手も多く、まさしく走る(滑る)見事に(転ぶ)状態。ああ、心に愛がなければスーパーヒーローじゃないのさ。
 そんなわけで、世間的には「J1昇格候補同士の決戦」となるのでしょうが、オレの目の前で繰り広げられているのは紛れもなくJ2という試合。今更ながら「僕はまた帰ってきたんだ…このJ2へ…」と感慨深い気分になります。やっぱおもしれえ。おもしれえよJ2。
 しかしそれでも俺王様とホベは別格。この日のようなスリッピーなピッチコンディションではより2人のボールコントロールの正確さとボディバランスの良さが浮き立ちます。新潟の執拗なプレスにもボールを奪わせないキープ力はさすがJ1得点王、元セレソン10番とも言えるもので、この2人が絡んだときはほぼ確実にチャンスが生まれてきます。しかし、砂川や岳也のシュートはアンデルソンと丸山の体を張ったディフェンスに弾かれ、俺王様の必殺俺シュートもJ2ナンバーワンGK・野澤のファインセーブに阻まれるなどでゴールを割ることが出来ません。守備のほうもスペクタクルを通り越してミスが全て結果オーライの曽田の奮闘で新潟にシュートを許さず、フジもこれといって危ないシーンもなく0-0のまま前半を終了します。

 さてハーフタイム。チアリーダーがアウェイゴール裏にも顔を出してくれました。今度はちゃんとしたユニフォームです。間近で見ると確かにキレイなおねいさんが多いです。やはり秋田といい越後といいお米の美味しいところは美人が多いのでしょうか。つうか札幌サポーターでもファンクラブ入れますか

 閑話休題。というわけで後半戦。前半である程度手応えを掴んだのか、後半は札幌の出足が勝るようになります。防戦一方の新潟の山口主将は旗色が悪いと思ったか、マークしていたホベを怒らせる作戦に出ました。山口は開幕戦でも大宮の黒崎を退場に追い込んでいる、いわば影のヒットマンです。そのヒットマンがホベにタックルして注文通りに小競り合いに持ち込んだはいいんですが、カードを出されたホベが柏原主審にぺこりと頭を下げたため、それ以上のお咎めはなかったばかりか両成敗的に山口にもイエローカード。目論見は外れたようですが、結果的にはこのプレイが後に大きな意味を持ってきます。後半13分、ドリブルでペナルティエリアに侵入したホベが飛び出してきた野澤を交わそうとして転倒。柏原主審はこれをホベのシミュレーションと判断しました。
 既に1枚カードを受けているホベにとっては2枚目のイエローカード。確かにPKではないでしょうけど、かといってシミュレーションを取るほど悪質なプレイでもなかったように見えました。選手も抗議はしますが、判定が覆るわけもなく後半13分ホベルっち退場。柏原主審は前半はかなり札幌寄りに笛を吹いてくれていたのですが、よりによってこういうときにバランスを取ろうとせんでも。つうかイエロー出してからレッドカードを出すまでえらく間がありましたけど、まさかわずか5~6分前に出したイエローを忘れていたわけじゃないですよね
 いずれにせよ残り30分以上を10人で戦わなければならなくなった札幌。新潟にとっては一番イヤな選手の片方がいなくなったわけですから、結果的には山口の狙い通りに札幌は大駒を一つ失ってしまいました。札幌にとってはただ選手が一人欠けるだけの問題ではなく、たとえるならば大喜利からこん平師匠が消えるくらいの損失です。

 しかし、ここからが違いました。10人となった札幌はいきなりブチギレたかのように怒濤の攻撃を繰り出し始めます。どっちが1人少ないのかわからないくらいで、いなくなったホベの分は2人のワンワンボランチが走り回ってカバーし、砂川が、俺王様が、中尾と和波の両サイドバックが次々と新潟ゴールに襲いかかります。そして後半18分、俺王様のスルーパスからこの日手がつけられないほどドリブルにキレがあった砂川が右サイドを突破、中央へ折り返します。その先には早くも詰めていた俺王様が待ちかまえていましたが、野澤の飛び出しが速くクリアされるかと思った瞬間、視界の外から飛び込んできたのが堀井岳也。ものすごい勢いで突っ込んできた岳也の右足かかとが一瞬だけ速くボールに触れ、方向が変わったボールはゴールの中へ。
 久しぶりに「らしい」ゴールを挙げた岳也は拳を振り上げゴール裏に向かって力強くアッピール。その視線の先にはなぜかエウテホ歌いながら喜び狂うサポーターが。ゴメン岳也。新潟市陸ってゴール裏の前のほうは厚別レベルの見づらさなので、よくわからなかったんですよ。
 リードを奪ってからも圧倒的に札幌が押し込む展開が続きます。それに連れて試合のオモシロ度も格段にアップ。優津樹並みのスタミナを誇る砂川が電池切れを起こして絵に描いたようなヘロヘロっぷりを見せたり、目をつぶっても入るようなボールを俺王様がぶっぱずしたり、神降臨中の曽田がワープしたかの如きクリアを見せたり、そうかと思えば空中キラーパスを俺王様に通したりと爆笑プレイのオンパレード。最後に迎えた相手のFKのピンチも俺王様のスーパークリアで凌いだところでタイムアップ。アウェイ2連勝となりました。
 試合終了後、多くのチャンスをモノにできずものすごく不満そうな俺王様の側で、オノレの周囲に花を咲かせていた曽田が印象的でした。

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