? 君は1000%
サッカー百鬼夜行

第5節 対大宮アルディージャ
2003.4.9(WED) 大宮公園サッカー場

大宮アルディージャ 1-1 コンサドーレ札幌
安藤【2分】 1-0
0-1
ウィル【86分】
スターティングメンバー
かわしー GK フジ
ノロ
戸新野
奥野
原崎
DF 中尾
西澤
ソダン
三沢
大塚
アンドゥー
伊藤アキラ
島田
MF 板長
ゴンザレス
砂川
三原
雛治
馬齢
FW 岳也
俺王
馬齢→横山【45分】
島田→岡本【83分】
交代 三原→King of Sapporo【56分】
砂川→コマネチ【56分】
三沢→森くん【84分】
馬齢【24分】
ノロ【35分】
伊藤アキラ【58分】
警告 板長【7分】
岳也【32分】
俺王【86分】
  退場 ゴンザレス【36分】

試合の感想
 前節アウェイで新潟を撃破したコンサドーレ札幌は、返す刀でアウェイ2連戦の2戦目となる大宮戦に臨みます。相手となる大宮は毎年昇格候補に名を連ね、毎年いいサッカーをやって毎年いいところまで行くのに取りこぼしも多く、毎年終わってみれば中位くらいというチームです。さらに、1999年は11試合で9得点と暴れ回っていたFWヨルン・ブーレがシーズン中に暴漢に襲われて選手生命を絶たれたり、2001年にはかつて札幌にも在籍していたFWホルヘ・デリーバルデス(現川崎)を擁して破竹の快進撃を見せながら、そのデリーがワールドカップ予選にドナドナされた上、大けがまでさせられ離脱するという、その必要もないのに無理矢理さいたま市に組み込まれてしまったホームタウン・旧大宮市同様、不運のチームでもあります。
 また、前述のヨルン、デリーに限らず、長身FW、いわゆる「電柱」が好きなチームとしても知られており、今季も新戦力のフィナージ(186cm)、2001年にも所属していたバレー(190cm)、レンタル先の札幌から復帰した磯山和司(185cm)、盛田剛平(188cm)、黒崎久志(185cm)など錚々たる電柱を各種取りそろえました。送料はアルディージャが負担します。
 爆発的な得点力はない反面、その守備力の高さには定評があり、今季も退場者を出してた開幕戦こそ新潟に4失点を喰らったものの、2節以降は3連勝。その3試合とも無失点での勝利と上り調子です。

 そして、そんな大宮とは対照的にちびっこだらけで遠近感が狂う札幌は、前節退場を喰らって出場停止のホベルっちの代役には今シーズン初出場となる三原が入りました。その他は新潟を完封したメンバーと同じ。遠征に帯同していたルーキー市村がベンチ入りしなかったのは残念ですが、前節後半を10人で戦った上での中3日でのアウェイ連戦ということで各メンバーの疲労状態が心配されますが、前節と同じようにダイナミックかつスペクタクルなサッカーを期待したいところ。

 さて、前日の関東地方では強風を伴う雨が降り続いていましたが、この日は朝から快晴。気温も上がり、夜間の埼玉県の降水確率も0%予想と絶好のコンディションです。こりゃ大宮公園名物夜桜見物と洒落込むかねなどと余裕ぶっこいていたら、キックオフ直前からいきなり雨。聞いてねぇよ。おまけに折から冷たい風が吹きつける始末。それなりに防寒装備をしてるなら別ですが、さすがに仕事に行くのにグラウンドコートを着ていくわけにも行きませんし、ましてこの日の日中の気温でグラウンドコートに身を包んで歩いてたりしたらとてもかわいそうな人に見られてしまいます。そんなわけで寒いったらありゃしない。夜桜どころかサッカーの応援どころでもないといった按配です。
 そんな妙ちくりんな天気のせいか、札幌ボールからのキックオフ直後に板長がいきなりタッチラインの外に大きく蹴り出すという小ネタを披露。一応言っときますがこれはラグビーではない。それでずっこけたのか、早々とDFのミスからバレーに左サイドを破られ安藤に先制点を許してしまいました。札幌はいつもの通り細かいパスを繋いでいきますが、大宮の前線からの激しいプレスにタジタジでミスを連発。俺王様までボールが行きません。初先発の三原は重戦車ドリブルのホベとは違ってパサータイプの選手だけに、この日のように後ろ向きでボールを受けることが多いとやはり持ち味を発揮するのは難しい。それでも岳也に一発でスルーパスを通すなど前を向いたときはやはりいい仕事が出来るのですが、ユース代表GK川島とトニーニョ、奧野のセンターバック2枚はやはり強固で、数少ないチャンスもことごとく潰されてしまいます。終いには俺王様がボールをほしがって中盤まで下がってくる「悪いパターン」も見られ、旗色が悪いことを伺わせます。
 守備の方も、開始早々にミスから失点してしまったためかバタバタしまくっており、大宮のカウンターを許し続けていましたが、大宮は左サイドの島田がいい働きをするものの、ブラジル電柱コンビは揃って足下の技術に欠け、遠目からのシュートもほとんど枠を外しており、攻めている割には実はフジがひやりとする場面は多くありません。むしろもっとも怖いのが味方のバックパスといった感じです。これも試練だ藤ヶ谷陽介。
 そうこうしているうちに前半も35分を過ぎた頃、相手ゴール前でルーズボールをスライディングでカットしに行った今野が野口と交錯。笛を吹いた家本主審が今野に対して掲げたのは…レッドカード。かなり厳しい判定に見えましたが、いずれにしても前節に引き続き、札幌はまたしても10人となってしまいました。
 結局1点ビハインドのまま前半終了。期待された三原のFKのチャンスもなく、曽田が砂川に通したH.C.L.S.T.P(必殺超ロングスーパースルーパス)が爆笑を誘った程度で、札幌的な見所はほとんどないまま後半に突入しますが、退場してからの10分間、1人少なくなったことで逆に選手同士の距離がちょうどよくなってきているし、大宮の激しいプレスは90分持たない、というよりはこのプレスが90分持つならば大宮はとっくにJ2にはいないはずですから、割と楽観視しつつ後半へ続く。

 ハーフタイム。大宮公園サッカー場はその名の通りサッカー専用でピッチと観客席が近く、アップしているサブメンバーもすぐ近くです。前節出番のなかった"King of Sapporo"の表情までよく見えますが…ああ、笑ってやがります。これは出番が来れば期待できそう。

 さて後半。案の定大宮のプレッシャーが緩くなった上、真っ先にフィナージが順調に消えて結局10人対10人となったため、札幌が徐々に押し込み始めます。そしてジョアンは勝負に出ました。三原と砂川という攻撃的MFに代え、新居と平間を投入。せっかく大宮が10人になってくれたのに、平間を投入してわざわざさらに一人減らすこともあるまいと思ってしまったのですが、ここから流れが完全に変わりました。
 開幕から5試合目にしてついに実現した俺コンビがチャンスを作り、その隙を突いて中尾や岳也が絡みながら攻める札幌。やまかんさん風に言えば平間の不在を感じさせない厚みのある攻撃で次々と大宮ゴールに襲いかかります。しかし、それでもさすがに大宮のDF陣は堅牢で、どうしても川島の壁を破ることが出来ません。
 徐々に残り時間も少なくなってきた辺りで、ジョアンはついに森くんを投入して曽田を前線に上げる「ソダン大作戦」を発動。前節は曽田に神が降臨していましたが、前線に上がった曽田はターゲットマンと言うよりは中盤で相手を潰しまくります。もっとも、この日降臨したのは神は神でもマ神(マッスルの神様)だったようです。
 そして後半41分。それまで攻撃スピードを強制ダウンし続けていた平間が左サイドからクロスボールを上げました。大宮のDF陣にとっては取り立てて何のひねりもなかったボールです。ところが、このボールを奥野の足をかすめて方向が変わってGK川島のもとへ。一瞬バックパスかどうか迷ってしまったのか、川島はこの何でもないボールをファンブルしてしまいます。詰めていた俺王様がこれを見逃すはずもなく、難なく押し込みました。チームにとっては2001年11月3日のホーム浦和戦以来522日ぶりの俺ゴール。オレにとっては2001年9月15日のホーム清水戦以来571日ぶりの生俺ゴールは、黄金の左足ではなくおもちゃの右足でした。
 それまでいいセーブ連発していた川島のたった一つのミスでしたが、それを予測していたかのように1人だけ詰めていたニュータイプっぷりはさすがに俺王様。そのまま飛びついてきた岳也を引きずりながら悠然と看板を越え、確信犯の俺カードゲットのおまけまでつけた俺王様に狂喜乱舞する臣民の目には、その姿がたいそう眩しく映りました。イヤ、ホントに光ってたけどな。頭が。

 ギリギリで追いついた札幌はロスタイムのピンチも凌いでドローのまま終了。数々の悪条件の中、何とか掴んだ勝点1。2戦続けて10人になってからいいゲームをするようになった札幌は、正真正銘泣くと強いんだゾチームという新芸を身につけたのでした。

印

戻る