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サッカー百鬼夜行

第6節 対アビスパ福岡(テレビ観戦)
2003.4.12(SAT) 室蘭入江運動公園陸上競技場

コンサドーレ札幌 5-0 アビスパ福岡
ホベルッチ【21分】
砂川【56分】
ウィル【61分】
ウィル【71分】
ウィル【85分】
1-0
4-0
 
スターティングメンバー
フジ GK 水谷
三沢
西澤
ソダン
健作
DF 川島
セルジオ
藏田
宮崎
板長
ベット
砂川
名倉
MF 久永
原田
宮原
アレックス
岳也
俺王
FW ベンチーニョ
砂川→健作【76分】 交代 宮崎→増川【74分】
宮原→篠田【74分】
林→ 大塚【85分】
ベット【16分】
板長【18分】
岳也【34分】
警告 藏田【26分】
藏田【77分】
セルジオ【79分】
  退場 藏田【77分】

試合の感想
 アウェイ2連戦を1勝1分として北海道に戻ってきた札幌は、今節は室蘭に場所を移してのホームゲームを戦います。相手はアビスパ福岡。2001年にJ2に降格したチームです。J1からJ2に降格したチームというのは1年でのJ1復帰をお題目に掲げるもので、この福岡もご多分に漏れず「降格チームのお約束」をスローガンとしていましたが、昨年はJ1復帰どころか下位に低迷するという予想だにしなかった成績に終わっています。今季は「越後の壁」セルジオを獲得して守備強化を図り、横浜F・マリノスに期限付き移籍していた久永を復帰させるなど捲土重来をはかりましたが、第2節ではアルビレックス新潟に4-0と惨敗するなど第5節終了時点で2勝3敗の9位となかなか波に乗ることが出来ずにいます。
 しかし現在の順位がどうであろうとも、コンサドーレ札幌にとって室蘭入江競技場、相手がアビスパ福岡とくれば、思い出されるのがあの試合。そう、1979年11月4日、日本シリーズ第7戦…ってそれは江夏の21球か。じゃなくて、1998年12月5日、J1残留最後の椅子を賭けてぶつかり、0-3で破れた札幌が「Jリーグ最初の降格チーム」となった運命の試合です。といっても、98年の時は参入戦の最後に当たったのがたまたまアビスパ福岡だったというだけで、諸悪の根元は理不尽とも言える降格制度(2部制移行に当たって行われることになった参入戦へ回るチームを決める基準が「前年の成績」も含めたポイント制だったため、この年昇格してきた札幌にとっては圧倒的に不利だった。結局年間成績では14位だったのに、前年のポイントがゼロだったために参入戦に回ることになった)でしたから、オレ自身は福岡にこれっぽっちの恨みがあるわけではありません。それに、昨年100%実力で降格した今となっては、その制度さえも怒る気になりませんが。
 もっとも、それはあの日あの場に居合わせなかった者の気楽な意見に過ぎません。あの時雪の室蘭で声援を送り続けたサポーターにとっては親を忘れてもあれだけは忘れない記憶でしょうし、あえて室蘭を福岡戦にぶつけてきたHFCの運営担当の漢っぷりに応えるためにも、是非とも叩き潰しておきたい相手であることは間違いありません。つっても、現在のメンバーではベンチ入りした森くんとケガで離脱中の西ポンが当時福岡の選手だったくらいで、両チームともあの時と同じユニフォームを着てピッチに立っていた選手は今は福岡のベンチにいるGK塚本くらいですけどね。

 対して今季まだホームでの勝ち星がなく、ここいら辺りで白星の欲しい札幌は、金曜日にキャプテンの洋平が家庭の事情で急遽チームを離れるという事件が発生。さらに今野が前節の一発退場で出場停止ですが、ケガで新潟戦と大宮戦を欠場したベットが驚異の回復で復帰。超人的な回復力、というよりは既に人ですらないのではないかといった趣で元気に先発出場します。ホベルっちも出場停止が明け、前節起死回生の俺ゴールを決めた俺王様と初めてブラジルトリオが揃ったのが明るい材料です。中盤はベットと板長のダブルボランチ、2列目に砂川とホベという構成。DF陣と2トップは前節と変わらないメンバーとなっています。洋平の代わりは地元室蘭出身の阿部が初のベンチ入りしました。

 さてとりあえずキックオフ。低迷が続いているとはいえ、アビスパ福岡というチームは札幌にとっては正直言って苦手なチームの一つ。しかし、初めて揃った札幌のブラジルトリオが怖いのか、開始から福岡のDFラインは極端に引いています。確かに札幌のブラジルトリオは元J1得点王と元セレソン2人という実績の持ち主。J2で同じくらいの実績を持った助っ人を抱えているのはサンフレッチェ広島くらいですから、はっきり言って反則に近い顔ぶれです。実際は単なるオモシロトリオでしかないんですけど、警戒するのも無理もない話。しかし、逆にその引いたラインのお陰で札幌は中盤で自由にボールを持つことが出来、試合は圧倒的な札幌ペース。ブラジルトリオを中心に福岡を攻め立てます。しかし、室蘭の荒れたピッチが影響したのか、俺王様がらしくないミスを連発したりしてなかなかゴールを奪うことが出来ません。
 引いて守る福岡はカウンターに活路を見いだしたいところですが、どうしても攻撃に人数をかけられないため2トップが孤立。たまに前線までボールが行っても単発で終わるのですが、その数少ないチャンスを生かしてここぞとばかりにスペクタクルを見せる札幌守備陣や、味方のはずのベットを削る板長など他の日本人選手も期待を裏切ることはありません。
 そして前半21分、前線で鋭い出足からボールをカットした中尾がそのままドリブルで上がり、ゴール前の俺王様にアーリー気味のクロスを入れます。俺王様はボールを後ろ向きで受ける形となりましたが、相手を背負ってのキープは多分Jリーグで一番上手い俺王様。ここも難なく俺キープから俺反転して俺シュートという俺パターンとなるはずでしたが、俺王様の手前でボールがイレギュラーバウンド。俺王様はトラップしきれず、ボールはファーサイドへ流れていってしまいました。チャンス潰えたかと思われましたが、このこぼれ球をファーサイドに走り込んでいたホベが左足で豪快に叩き込み先制点をゲット。
 先制してからも札幌は畳みかけるように攻撃します。前半終了前には俺王様のポストからベットのミドルシュートが決まりましたが、シュートの前に俺王様が小手投げの反則を取られておりノーゴール。追加点はなりませんでしたが、ほとんど危なげなく前半を1-0で終了しました。

 後半は追いつくためにラインを高く上げてきた福岡に戸惑ったのか、開始からしばらくは福岡に押し込まれる展開が続きます。セットプレイからカウンターを受ける危ない場面もありましたが、全速力で戻ってきた曽田がボールをカットして事なきを得てからは札幌も落ち着き、今度はその福岡のラインの裏をついて徐々にペースを取り戻します。それにしても、こういった地味な好プレイもあるのに、何でもないクリアに観客からどよめきが起こるという、すっかり扱いが長嶋一茂な曽田が不憫にもなります。
 そんなわけで、後半11分に砂川が追加点を入れてからは札幌はすっかりイケイケムード。サンドバッグ状態の福岡は自由に動き回る岳也を捕まえることが出来ません。その6分後にはその岳也からのクロスを俺王様が頭で決めて3点目。この時点で試合の行方はほぼ決定していましたが、北海道の臣民の前でゴールを決めて気をよくした俺王様。ここから俺様による俺様のための「俺ショー」が始まります。それからさらに10分後には岳也からの折り返しをゴール右隅に決めて自身2点目。
 さらに後半32分、福岡DF藏田が2枚目のイエローで退場。思い起こせば2001年のJ1開幕戦。1-1で迎えた後半終了間際、俺王様のアシストからバンバンが決勝点を叩き込み開幕勝利を飾りましたが、この時俺王様に吹っ飛ばされてペナルティエリアへの侵入を許したのが、誰であろう当時セレッソ大阪に所属していた藏田茂樹でした。
 1人少なくなった福岡に反撃する力はもう残されているはずもなく、後半40分に中尾がヘディングで競り合い、福岡の最終ラインの裏に出たボールに俺王様が鋭く反応。そのまま直線俺ドリブルからの俺シュートを決めてチーム5点目。かの「鳥日新聞」の「俺を見ろ! 俺を追え! 俺がサッカーだ!」という名文を思い起こさせる俺っぷりでハットトリックを達成しました。

 試合はこのまま5-0で圧勝。俺王様はこれで入江競技場では5得点、しかも全試合で得点を挙げています。初春の室蘭の空に、帰還した王を称える臣民の声がいつまでも鳴り響いたのでした。

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