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サッカー百鬼夜行

第11節 対湘南ベルマーレ
2003.5.10(SAT) 平塚競技場

湘南ベルマーレ 0-2 コンサドーレ札幌
  0-0
0-2
和波【66分】
和波【83分】
スターティングメンバー
鈴木 GK フジ
時崎
井原
なんかスゴイ顔の人
DF 西ポン
ソダン

健作
梅山
熊林
吉野
良和
高田
MF 中尾
川ロ
名倉
板長
戸田
リカルド
FW King of Sapporo
アイカー
リカルド→坂本【9分】
坂本→金【57分】
時崎→加藤【70分】
交代 アイカー→岳也【12分】
川ロ→三沢【55分】
King of Sapporo→西澤【88'分】
梅山【63分】 警告 健作【76分】
フジ【85分】
三沢【86分】

試合の感想
 長い長い44試合のJ2リーグも今節は第1クール最後の試合。とりあえずこれで全チームとの対戦を終えることになります。相手は湘南ベルマーレ。かつてベルマーレ平塚時代、多くの日本代表を抱えて天皇杯やアジアカップウィナーズカップを制するなど栄華を誇ったクラブも今は昔。親会社・フジタの撤退という「バブル崩壊」に直面してほとんどの主力を放出せざるを得なくなった1999年、シーズン開始から敗戦を重ねて、この年からスタートした自動昇降格制において最初に降格したチームとなりました。「ベルマーレ平塚」から「湘南ベルマーレ」と名前を変えて広域化を図った2000年以降も、3シーズンのJ2暮らしの中で一度の昇格争いに絡むことも出来ず、今ではすっかり「忘れられたチーム」となってしまっています。
 今季はフィリップ・トルシエ監督時代の日本代表コーチで、「トルシエの右腕」、または「トルシエの中の人」とも言われていたサミア氏を監督に迎えましたが、未だ解消されていない資金力不足はいかんともしがたいらしく、大幅な戦力アップをすることが出来ず、さらには守備の要であるパラシオスが疲労骨折で開幕から欠場していることもあって、前節を終えて11位と予想以上の不振にあえいでいます。それにしてもサミアといい札幌のジョアンといい、チェアマンが交代してからJ2にも外国人監督が増えたのは何か理由でもあるんでしょうかね。どうなんですかね。教えて! エロい人!

 そんなわけで、「しばらく破られないだろう」と言われていたほどの最速降格記録を保持していた平塚(当時)を、昨年1馬身差で差しきったのが、他でもない我らがコンサドーレ札幌。前述の通りフジタ経営撤退により主力の放出を余儀なくされ、チーム作りをする時間もほとんどなかったサテライト同然のメンバーで戦った平塚を、特に何があったわけでもない札幌が凌いだわけですから、これはもう堂々の横綱相撲と言っても過言ではありません。
 そうは言っても、札幌サポーターにとってここ平塚競技場は、2000年にJ1への昇格を決めたスタジアム。わずか2年で戻ってきたスタジアム自体はあの時とは何も変わっていないのですが、札幌のメンバーはあの時とはまったく違います。というか、この日のスタメンであの時ピッチに立っていたメンバーは健作以外に誰一人としていません。いやしません。その他はどうやらパーマを落とす気はないらしい藤ヶ谷がベンチに座っていた程度で、あとはベンチにいる洋平と、和波が湘南のメンバーとして出場していたくらいです。札幌のスタメン自体は前節と変わらないものの、ルーキーの市村が初のベンチ入りしています。

 試合はキックオフからお互い中盤でプレスを掛け合う展開。この日の長谷主審がそれほど厳しくファウルを取らなかったこともあって、序盤から肉弾戦の様相を呈してきます。前半9分に湘南のリカルドが曽田と交錯して頭を打ち、坂本と交代。そのわずか3分後には今度はアイカーが左膝を痛めて岳也と交代するというアクシデントが連続発生。個人的には「激しいサッカー」は好きですし、試合中の出来事ですから誰の責任でもないんですけど、さすがに開始10分ちょっとで2人もいなくなるのは予想外。そんなバトルロワイヤルなサッカーはイヤです
 試合のペースとしては札幌。板長も積極的なプレイでチームを引っ張り、ホベは相変わらずバツグンのキープ力を見せつけています。中でもすっかりワンワンボランチが板に付いてきた中尾が今日も元気に走り回り、攻撃では2人に囲まれながらも落ち着いてボールをさばき、守備では必殺パンツ下ろしタックルを繰り出してファウルを取られるなど、もはや札幌に欠かせない存在となっています。普段は周りに気を遣ってか緩いパスの多いホベも、中尾にだけは信用しているのか厳しめの勝負パスを出すシーンも目立ちます。
 そんな感じで中盤では主導権を握っているのですが、もう何試合もコンビを組んでいる割にはさっぱり息の合うそぶりを見せない新居と岳也の2トップでは前線で形が作れず、ゴール前までは持っていけるもののそこから先が繋がらず四苦八苦。前節に引き続いてやきもきした試合運びを見せています。
 しかし、攻撃陣がアテにならないなら守備陣がしっかり魅せてくれます。古巣との初対戦となる川口はちょこちょこ最終ラインに吸収されてなんちゃって道産子3バックを形成。しかもそのなんちゃって3バックが「トリオ・ザ・古川先生」とも言えるスペクタクルを何度も繰り出し、サポーターを飽きさせない工夫も見せます。一度湘南にどフリーでシュートを打たれる絶体絶命のピンチがあったものの、梅山のシュートは枠の外に飛んでいき命拾い。さすがは試される大地の申し子たち、試される大地からやってきたサポーターの心臓を試しているかのようです。とりあえずそんな感じで0-0で前半終了。

 後半もしばらくは同じような展開が続きます。ゴール前までは持っていけるものの決められる気配のない状況に、ジョアンは川口に代えてこちらも湘南が古巣となる和波を投入。かつてここ湘南でサポーターを沸かせた韋駄天和波に命運を託します。川口同様初めての古巣との対戦となる和波は左サイドのウィングハーフとして出場。前節入った途端に消滅した反省を生かしてか、のっけからガンガンサイドをえぐります。
 札幌は和波が入ったことにより左サイドは健作が守備に専念、代わりに右サイドの西田が高く張り出す変則3バック的な形を取るようになり、サイドアタックが活性化します。
 そして後半21分、その右サイドの攻撃から西田のスローインを板長がダイレクトで中に折り返しのクロス。このボールはいったんクリアされますが、これを拾った和波が迷わず左足を振り抜くと、コロコロと転がっていったボールはゴール右隅に決まってゴール。古巣・湘南への恩返しとなる和波のゴールで先制点をゲットしました。
 先制されて尻に火がついた湘南は、死にものぐるいで札幌ゴールに襲いかかります。高田が、吉野が、鈴木良和が次々ときわどいシュートを放ちますが、どれも微妙にゴールを外れていきます。シュートが枠に飛ばないのは監督のせいじゃないですよねぇ。
 とはいえ、札幌も岳也がどフリーを外したり、数多くのセットプレイのチャンスをモノにできず。このまま1点で終わるのかと思い始めた後半38分、ホベのスルーパスに反応して左サイドを抜け出したのはまたしても和波。そのままペナルティエリアに侵入した和波が、「中に折り返す」と決めつけていたかのようなポジショニングだった湘南GK鈴木のニアを抜いてゴール。1点目の時と違ってフリーで抜け出してからの数秒間、和波はきっとものすごいいろいろなことを考えたでしょうから、角度のないあそこからシュートを打っていったことは褒めるべきでしょう。
とにかく湘南サポーターにしてみれば恩返しの押し売りとも言える和波の2ゴール目でダメを押します。

 もはや勝利はほぼ決定づけたといってもいい追加点ですが、ここでまたロスタイムに失点するようだとせっかくの勝利したとしても喜び半分、自信も半分になってしまいます。ですから、あと求められるのは完封勝利。ジョアンもそう思ったのか、終了間際に西澤を投入して守備固めに入ります。ヘロヘロになっていた中尾に代えて市村を入れて雰囲気に慣れさせるという手もあったのでしょうけど、もう1点くらい入っていないと難しいですね。結局ポジショニングに混乱が起こってバタバタしたものの逃げ切りに成功、注文通り完封勝利で第1クールを締めくくったのでした。

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