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サッカー百鬼夜行

第13節 対モンテディオ山形(テレビ観戦)
2003.5.17(SAT) 札幌厚別公園競技場

コンサドーレ札幌 1-0 モンテディオ山形
新居【55分】 0-0
1-0
 
スターティングメンバー
フジ GK 桜井
西ポン
ソダン

健作
DF 太田
先生
鷲田
井上
中尾
板長
名倉
三沢
MF
永井
ニヴァウド
高橋
アイカー
King of Sapporo
FW 大島
アレッシャンドレ
中尾→三沢【50分】
三沢→西澤【81分】
King of Sapporo→岳也【82分】
交代 ☆→小久保【54分】
アレッシャンドレ→羽地【70分】
井上→中村【75分】
中尾【20分】
西ポン【32分】
警告 ☆【21分】
ニヴァウド【82分】

試合の感想
 アウェイ2連戦を経てようやくホームに帰ってきた札幌は、厚別でのモンテディオ山形戦。第1クールでのアウェイ戦では札幌が今季初となる勝利を収めたものの、2点をリードしておきながら終盤に立て続けにゴールを許して追いつかれ、直後に曽田が決勝ゴールを挙げるという、やっとこさっとこ勝ったという感じの試合でした。というよりはまぁ、今となってはベットが最初で最後のゴールを挙げた試合という印象のほうが強いわけですが。
 この試合を含めて山形は開幕当初こそ連敗を重ねてしまったものの、その後なんとか立て直して第1クール終了時点の順位は、7位の札幌と失点数以外はまったく同じ成績の8位。2位とは勝点6差につけており、第2クールでの巻き返しを図りたいところですが、松田正俊が第11節の甲府戦で左膝前十字靱帯断裂及び内側側副靱帯断裂で全治10ヶ月という重傷を負いリタイア。本人はもちろんのこと、これまで4得点を挙げていたチーム内得点王の離脱はチーム的にも痛くないわけはなく、前節は湘南に0-2で破れてしまっています。

 札幌のほうは、ここ3試合は1勝2分と負けなし、失点ゼロという数字だけを見れば決して悪い結果ではないものの、得点のほうはというと湘南戦の2得点のみと、ジョアン・カルロス・トシキ監督が標榜する攻撃サッカーとはイマイチ遠い現状。その最大の要因である怪我人はまだ誰も復帰できず、2トップの一角が元の「まごまごくん」に戻ってしまった岳也に変わってアイカーとなり、ベンチには川口が外れて三原が入った以外は前節と同じメンバーとなっています。
 つってもそのアイカーも、湘南戦で受けた負傷が響いているのか、それともケガそのものよりも「ケガから復帰した途端にまた負傷してしまったこと」によって無意識に守りに入ってしまったのか、前節は致命的なミスも多く見られました。今まで俺王様不在の時に組まれていた新居と岳也の2トップは、プレイスタイルがかぶっているせいかコンビネーションがかみ合いませんでしたが、前節はそれが改善され、たどころかむしろ悪くなっていただけに、それならばまだ万能型のアイカーのほうがお互いの持ち味を生かせると考えたのでしょうか。とにかく湘南戦以来今季2度目のAA2トップ先発です。

 お互い中2日での試合ではありますが、前節、前々節とアウェイ2連戦だった札幌と、逆に2試合ともホームで戦っている山形。いわば「出ずっぱり対引きこもり」という図式となった試合は、やはり疲労が抜けきらないのか序盤から札幌の選手の動きは鈍いまま。たまに外に出た引きこもりの素早いチェックを受ける疲労困憊の出ずっぱりはリポビタンDでも差し入れようかと思ってしまうほどのヘロヘロっぷりで、ボール保持者へのフォローも少なく、中途半端な横へのチョロパスを出してはカットされるシーンが続きます。いつもならこういった苦しいときでも状況打破を試みる中尾も、この日はあまりいいところがありません。入団から3年間という長いサブ暮らしを経て今季第4節(新潟戦)からスタメン出場を勝ち取って以来、ある時はサイドバック、ある時はボランチで常に100%の力を出し続けて10試合目。そろそろ疲労がたまってきていてもおかしくない頃合いではあります。で、その中尾の不調の煽りを受けまくっていたのがホベルっち。俺王様以外では一番信頼している(と思われる)相方が瀕死状態なのですから、そうでなくても「自分で何とかしたがるグセ」を持つホベの「自分で何とかしたがるグセ」がより「自分で何とかしたがる」方向に突き進んでしまいます。
 そんなわけで攻撃のほうは俺王様不在の札幌の攻撃のよりどころとなる中盤がまるで機能せず、前節のリプレイを見ているかのようなミスの連続。厚別に降臨した古川先生にスペクタクルを許さないスキのなさで、このまま行けばコンサドーレの略称「コンサ」がショボい試合の単位として認定されそうな勢いです。「う~ん今日の試合はパッとしないなぁ。こりゃ5コンサくらいだな」とか。だったら去年のホーム東京戦とかは53コンサくらいは行ってるかもしれません。

 ただし、山形もやはり松田の穴は大きいのか、ボールを奪うまでは良くてもそこから先はミスが多く、なかなかチャンスを生かし切れません。そんな山形の拙攻に助けられていた面はあるにせよ、3試合連続無失点中の守備陣はかなり自信をつけてきているのか、コレといった破綻を見せることはありません。曽田、尽、健作の3人は良くコミュニケーションが取れているようで、同じ4バック仲間の西ポンがヘタ打って招いたピンチにも落ち着いて対処しています。特に自信がみなぎっていたのがGK藤ヶ谷。安定したセービングを見せ、おなじみの「クリアー!!」というセクシーなバリトンボイスが厚別のピッチに響き渡ります。

 後半も状況はあまり変わらず。笛吹けど踊らぬイレブンに業を煮やしたか、いつもなら後半も15分くらいは様子を見るジョアンもこの日は積極的な采配を見せます。後半5分に「中尾じゃなかった中尾」をあきらめ、久しぶりの出場となる三原を投入。彼の左足から繰り出されるロングパスに現状打開を託する、早い話がホベを経由しないで攻めることを選択したわけです。
 で、このジョアンの采配がズバリ的中します。三原投入からわずか5分後、相手のボールをカットした和波からハーフウェイライン付近でボールを受けた三原が、すぐさま前線へロングフィード。その得意の左足からライナー気味に放たれたボールにはバックスピンがかけらており、上手くDFラインの裏に抜けた新居の手前でぴたりとバウンドが止まり、易々とコントロールした新居は右足でゴール右隅に流し込みゴール。糸を引くようなパス、といっても別に納豆のようなパスではないではないんですけど、三原の美しいパスから生まれた新居の今季初ゴールで札幌が先制しました。
 どうにもならないかと思われたほどの劣勢の中で得たリード、しかもその得点を挙げたのがこれまでシュートは打てども入らなかった"King of Sapporo"ということで、選手の気持ちはより前向きになったに違いありませんが、そうは言っても身体がついてこない札幌イレブン。得点の直後から再び山形の攻撃に晒されます。守護神の風格が漂ってきたフジがファインセーブを連発、守備陣も体を張ってゴールを許しませんが、どう見ても旗色は良くありません。
 追加点を奪えないまま残りは10分。ジョアンは後半36分に和波に代え西澤を、新居に代えて岳也を立て続けに投入しました。このまま1点を守りきる、早い話がうっかり2点目を取っちゃってまた追いつかれないようにする作戦です。
 そうなれば虎の子の1点を守りきるため、札幌イレブンは疲れた身体にムチを打つしかありません。開始早々に古川先生の姿がやたらと抜かれていたことからも、スカパー!の中継は地元テレビ局の映像をそのまま使っているのでしょうか。やたら選手のどアップが多い困ったちゃんなカメラワークなのですが、その画面に映し出される選手たちの表情にはやはり疲労の色がありありと見えます。守備面で多大な貢献をしていた健作を始め、掃除屋として走り回っていた板長、中盤でボールをキープし続けたホベ、得点をアシストした三原…。みんなしんどそうです。

 三原?

 途中出場だったはずですけど。もともとそういう顔でしたか。

 先制して以降も危ないシーンはいくつかあったものの、最後まで守備は破綻することもなく予定通りに守りきることに成功し、悪いながらも今季札幌での初勝利を挙げました。

印

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