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サッカー百鬼夜行

第15節 対アルビレックス新潟(テレビ観戦)
2003.5.31(SAT) 札幌ドーム

コンサドーレ札幌 2-0 アルビレックス新潟
ホベルッチ【75分】
ホベルッチ【78分】
0-0
2-0
 
スターティングメンバー
フジ GK 野澤
西ポン
ソダン

健作
DF 三田
アンデルソン
丸山
カツヲ
中尾
尾藤
三原
名倉
MF ヤマロ
秋葉
深澤
ファビーニョ
King of Sapporo
岳也
FW マルクス
上野
尽→西澤【3分】
三原→アイカー【65分】
King of Sapporo→川口【88分】
交代 深澤→末岡【70分】
三田→安【79分】
ヤマロ→本間【83分】
中尾【28分】
三原【58分】
ビタウ【76分】
警告 カツヲ【24分】
秋葉【74分】
マルクス【76分】
末岡【77分】
秋葉【89分】
  退場 秋葉【89分】

試合の感想
 台風4号の影響で全国的に雨に見舞われた週末。しかしこの程度なら雨が降ろうが槍が降ろうがサッカーはやるし、J1が休みでもJ2はやります。貧乏ヒマなしというわけで今節はアルビレックス新潟をホームに迎えました。第1クールのアウェイ戦では、俺王様復活に沸いた札幌が退場者を出しながらも岳也のゴールで0-1と振り切って勝利を収めています。
 新潟にとってこの試合はただ単に敗れただけでなく、ホームでしかも相手は下位に低迷する10人の札幌だったという、後に引きずるような負け方ではありましたが、その後は7勝2敗1分と立て直し、前節まで4連勝で2位に浮上。悲願のJ1昇格へ足場固めに入ろうというところです。

 そのエウテホ復活祭から約2ヶ月弱。あれから札幌はその俺王様を含めて1人また1人と消えていき、まだ誰も復帰できていません。それだけならまだしも、こともあろうに板長までもが練習中に靱帯を痛め欠場。まだようやくシーズンの3分の1を消化しただけなのに、これで開幕から出場を続けているメンバーはついに誰もいなくなってしまいました。
 橋田壽賀子ドラマでもこうはいくまいというほどの受難の日々が続くジョアン・カルロス・トシキ監督は、中盤をこれまでのボックス型からダイヤモンド型に変更。ビタウをワンボランチにしてサイドハーフを左に三原、右に中尾とし、ホベルっちをトップ下としました。4バックはいつもの布陣で、2トップは岳也と前節ケガで欠場した新居が復帰。板長がいないのでキャプテンマークは健作が巻きました。

 そんなわけでドームにやってきた高橋はるみ新知事によるキックインイベントで始まった試合がキックオフ…と思ったらいきなり尽が相手選手と接触して左足首を痛めるアクシデント。勝てないだけならともかく、なぜか怪我人まで出てしまう魔の札幌ドームで、今日も怪我人が出てしまいます。ジョアンはすぐに西澤を投入しますが、怪我人が続出する中で守備陣だけは固定メンバーでやって来れたことが唯一の救いだったのに、スタメンに名を連ねてからの5試合でわずか1失点という最重要人物である尽がいなくなるのは相当に痛い。たとえるならばモー娘。からなっちが抜けるようなものです。保田圭が抜けるのとはわけが違います
 案の定、それからしばらくは曽田と西澤がかぶってしまうなど守備陣はバタバタしてしまいますが、ここで一発奮起したのが曽田雄志。「オレが! オレがやらなきゃ!」と使命感に燃えたか、今日はより武闘派モード。それだけでなく、さらにはマルクスと接触して頭から流血し、「頭にバンテージ」というリアルCBバージョンにトランスフォーム。さすがは曽田、オノレのキャラをよくわかっています。
 前節は身体が重そうだったビタウも今節はコンディションもだいぶマシになったようで、中盤でいいアクセントとなっています。運動量こそ多くないもののポジショニングがいいのでボールが集まり、新潟があまり前線からプレッシャーをかけてこないこともあって中盤の深い位置から効果的なゲームメイクを披露。そのビタウとホベ、復帰した中尾、そして三原がバランス良く絡み、終始札幌ペースで試合を進めることが出来ています。
 しかし、そんな札幌の前に立ちはだかったのがアンデルソン。なるほど、この選手がいるなら確かにセルジオ(現福岡)は必要ないと思えるほどのパフォーマンスです。「貴様らに越乃寒梅は飲ません!」とばかりにことごとく札幌の攻撃をはじき返すその様は、さしずめ「日本海の砦」というか「魚沼産ターミネーター」というか。とにかくすんげえジャマです。
 反面、新潟の攻撃はどうだったかというと、守備に人数を割いているためか攻撃に厚みがなく、ここまで10得点と「俺」のいぬ間にJ2得点王を快走中のマルクスも、調子を落としているのか何となく元気がありません。DFの裏を取る動きはさすがにうまいのですが、肝心のシュートがフジの正面を突いたり、枠に飛ばず得点に至らず。
 結局、前半は有給休暇明けの中尾が早速またカードを貯め込んだり、新居のシュートがDFに当たったリバウンドをホベがシュートを打ったり、ホベのシュートを新居が走り込んで押し込もうとしたりという、新居とホベの横取り合戦(未遂)が目に付いたくらいで両チームとも得点なく、0-0で折り返します。

 ここ最近の札幌は後半に得点が集中している、というよりは正しくは第7節甲府戦以降、札幌は後半にしか得点を取ってないのですけど、そのボーナスタイムに突入した札幌は攻撃の手を緩めません。ほとんど新潟につけいる隙を与えず、後半23分にフリーキックからカウンターを受け、単独で抜け出したファビーニョがシュートを空振りしたシーン以外は終始ゲームを支配します。ちなみにこのファビーニョの空振りの裏にはビタウの決死のスライディングタックル(未遂)があったのですが、なぜか健作のタックルとしてサポーターに認識されてしまったビタウが不憫でなりません。
 まぁそんな感じで札幌が圧倒的にボールをキープする時間が続いていたのですが、それでもアンデルソンを中心とする新潟の厚い守りを崩せません。「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」とはいいますが、このままでは当たる前に日が暮れる状況にもなりかねません。勝つためにはアンデルソンに邪魔されないような形で点を獲るしかないようです。つまり頼みの綱はセットプレイです。
 というわけで後半30分、ドリブルで切れ込んだホベが倒され、注文通りペナルティエリア手前という好位置で直接FKのチャンスを得ました。ここは水戸戦でも決めたようにもっともホベが得意とする位置です。その通り、ホベが蹴ったフリーキックはGK野澤の右手を弾いて見事にゴール、ドーム限定フリーキッカーの面目躍如で札幌が先制しました。
 先制はしたものの、残り時間は15分。既に尽の負傷で西澤という駒を使わざるを得なかった札幌にとって、逃げ切り体制に入るにはちょっと早い時間です。ですから、札幌としてはボールをキープしながらあわよくば追加点を狙っていくのが理想なわけですが、こういう時にフィールドのど真ん中でもキープ出来て、最悪でもファウルをもらってくれるホベは守備陣にとって非常にありがたい存在に違いありません。少なくとも、昨季終盤でボールキープできずに落とした試合を数多く見てきたオレにとっては、ホベのキープ力は涙が出るほどありがたいです。キープしすぎるのが玉に瑕ですけど。
 で、その難しい時間帯にキッチリとホベがファウルをもらってくれます。このボールを蹴るのはビタウ。ゴールまで30m以上とやや遠目の位置でしたから直接狙うのは無理と思われましたが、ビタウにとっては全然そんなことはなかった模様。思い切って振り抜いた右足から放たれたボールは、アホみたいなスピードで一直線にゴール左隅へ。中西太のホームランを彷彿とさせるあり得ない軌道のキャノン砲は名手野澤のファンブルを誘い、このこぼれ球に詰めていたホベがきっちり押し込んで追加点をゲットしました。

 反撃に出る新潟ですが、焦りのためか雑なプレイが多く、パスミスで自滅して有効な攻めにはなりません。終了間際には秋葉がこの日2枚目のイエローで退場するなど新潟は踏んだり蹴ったりです。そのまま特に危ないシーンもなく札幌が2-0のまま逃げ切って試合終了。札幌ドームでの今季初勝利にほっとしたのは、サポーターでもジョアンでもなく心の準備もないままフィールドに放り出された西澤でもなく、はるみ知事だったことでしょう。

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