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サッカー百鬼夜行

第16節 対川崎フロンターレ
2003.6.6(FRI) 等々力陸上競技場

川崎フロンターレ 1-0 コンサドーレ札幌
今野【58分】 0-0
1-0
 
スターティングメンバー
吉原 GK フジ
岡山
渡辺
箕輪
DF 西ポン
ソダン

健作
塩川
茂原
山根
長橋
今野
MF 中尾
尾藤
三原
名倉
ジュニーニョ
ガナピー
FW King of Sapporo
岳也
塩川→ベティ【69分】
ガナピー→デリー【82分】
ジュニーニョ→中村【87分】
交代 西ポン→川ロ【25分】
三原→三沢【45分】
尾藤→アイカー【66分】
  警告 King of Sapporo【16分】
ソダン【31分】
中尾【62分】
尽【89分】

試合の感想
 前節2位の新潟をホームでちぎり捨ててドーム初勝利を挙げた札幌は、今節またしても2位の川崎フロンターレのホーム等々力競技場に乗り込んでのアウェイ戦となります。1ヶ月前の第1クールのホームゲームでは、押し気味に試合を進めながらも決定力を欠いてスコアレスドローに終わっていますが、結果的にこの試合が口火となって5月は負けナシ。それまでやたら引き分けの多かった川崎もこの試合の翌節は横浜FCに引き分けたもののその後調子を上げ、第12節では首位をひた走るサンフレッチェ広島を1-0で下したのを皮切りに前節まで4連勝。前節札幌に敗れた新潟を交わして2位に上がっています。
 じわじわと後ろから迫りつつある札幌をホームで斬って捨てたいところですが、札幌ほどではないにせよ主力に怪我人を抱える中、左サイドで大車輪の活躍を見せていたアウグストが累積警告で出場停止。代役には塩川が久しぶりのスタメンとなり、ベンチには札幌を退団して川崎に移籍してから、主に霊障に悩まされ続けていた伊藤優津樹の姿が見えます。開幕から得点ナシのデリーもベンチスタート。

 2位との勝点差を6にまで詰め、この試合に勝てばわずか3にまで差を詰めることが出来る札幌ですが、復帰すると言われていた砂川と今野は今節もやはり間に合わず、メンバー自体は前節と同じ。相変わらず台所事情は苦しいままとはいえ、それでもここまでやってきたメンバーです。札幌にとっては相性の悪い川崎が相手のアウェイ戦だけに楽な試合になるはずもありませんが、とにかく自分を信じて思い切って戦って欲しいところ。
 とか何とか言って「お、オレって今ちょっとカッコいい?」なんて調子に乗って思っていたら、ゴール裏メイトから聞いた「今日の主審は恩氏さん」という情報に取り乱すオレ。ちっともかっこよくありません。3節前の山形戦で当たったばっかりなのに、もうドボンかよ!

 さてそんな不安をよそに、試合は前半立ち上がりから様子見など考えてないかのように、札幌は何とか板に付いてきたっぽい細かいパスワークで先制点を狙います。前節新潟を圧倒しこの日もうまくボールを動かしていた中盤だけでなく、これまで仲の悪さばかりが目立っていた新居と岳也のコンビプレイまでもが繰り出されるほど。まぁ、守備陣が安定してきた反面得点力は思ったほど上がらない状況ですからそれくらいはやってもらわないと困るのですけどね。今はラーメンマンとブロッケンJr.だって和解する時代ですしね。
 しかし形自体はそれなりに作れるものの、岳也もケガを抱えながらプレイしているためか自慢のスピードが影を潜めていた上、川崎も闇雲に前線からプレッシャーをかけてくることはせずハーフウェイラインを越えた辺りから鬼のようなプレッシャーをかけてくるため、ゴールが近くなればなるほど自由にさせてもらえなくなります。石崎監督の採ったのはどうやら札幌の快足2トップに対してはある程度ラインを引いて縦パスを徹底的にケアし、ホベ、ビタウのブラジルコンビには常に2~3人でプレッシャーをかけてボールを奪う作戦で、このあたりはさすがというか、相手の良さを消すことにかけては日本一と言ってもいいかもしれず、札幌はペナルティエリアまでは攻め込めるもののフィニッシュにまで持っていけません。
 川崎の攻撃はやはりジュニーニョが中心。厚別ではそれほど目立たなかった彼ですが、デリーがいないのがよっぽどやりやすいのか、この日はキレキレ。曽田と前節負傷退場した尽もうまくお互いをカバーし、さりげなくスペクタクルを織り交ぜながらもよく守っているのですが、奇妙なリズムのドリブルと、ガナピーの存在まるで無視の俺様っぷりのジュニーニョには手を焼いているようです。その割にはシュートはあまり枠に行かないので大惨事には至りませんが、危険な男であることには変わりありません。
 そんな感じで勝負はお互い持ち味を十分に発揮し、一歩も譲らない好ゲームとなっていたのですが、前半20分過ぎに西田が茂原のカニばさみタックルを受けて負傷退場したあたりから雲行きが怪しくなってきます。山形戦では比較的まともだった恩氏主審も今日はやっぱりいつもの恩氏主審で、ファウルを取ったり取らなかったりの曖昧ジャッジを繰り返していたため試合は徐々に荒れムードに。ジョアン・カルロス・トシキ監督は中尾を右サイドバックに下げ、西田に代えて川口を入れて第1クールのこのカードと同じように「対ジュニーニョ用拠点防衛兵器」としました。
 難敵相手に交代枠を早くも一つ使わなければならなかったことに一抹の不安を感じますが、札幌にこの交代による混乱は見られず。スクランブルにはもう慣れっこになってしまったのかもしれません。あまりうれしくないですけどね。とりあえず前半は両者一歩も譲らず0-0のまま終了。

 後半、ピッチに戻ってきた札幌の選手の中に三原の姿がありません。既に西田に代えて川口を投入している以上、後半頭から選手を替えるのは得策ではないし、それも特に悪かったわけでもない、むしろよかった三原です。ちょっとよくわからない交代だなと思っていたら、どうやら前半終了間際に相手のタックルを受けてケガをしてしまったようです。
 ということでその三原に替わって和波が入ったわけですが、前半も得意のロングパスでチャンスを作っていた三原がいなくなった上、和波はスペースがあってなんぼの選手。三原と違ってどちらかといえば使われて生きるタイプの選手なだけに、あまりスペースを与えてくれない川崎に対して前半ほどうまく攻められなくなります。
 これは是が非でも先制点をやるわけにはいくまいと思っていたら、後半13分にフジからのパスを受けた曽田が前方へフィードしようとして詰めてきた今野に奪われてしまいました。フジも慌てて飛び出すもセーブすることが出来ず。一番やりたくなかった先制点を許してしまいました。
 反撃に出たい札幌ですが、さらに悪いことは続くもので、後半21分には前半に受けた負傷の影響か後半は動きが鈍かったビタウが交代。ジョアンはアイカーを投入して3トップとし、和波を右サイドバックに下げて中尾を中央に戻して4-3-3の形としますが、なにぶんそんな練習はしていないものですから、3人が前線に張ったままとなってしまいかえってスペースを失ってしまいます。どうしてこううちはすぐにフラット3トップになってしまうのでしょうか。そんな感じで、ペナルティエリアに入らせてもらえない札幌が三原のロングパスに続いてビタウという長距離砲まで失ってしまったのですから、もはや札幌はマークを承知でホベ経由で攻めるしかないのですが、そうなれば川崎にとっては楽なわけで、ペナルティエリアから遠い位置ならファウルで潰してしまえば怖くありません。というわけで、ホベがボールを持ってもあっという間に囲まれてしまって潰されるシーンが続き、ますます得点から遠ざかってしまいました。
 結局チャンスらしいチャンスといえば後半30分過ぎには和波のクロスを新居がドンピシャで合わせたヘディングシュートがGK吉原(碁打ちの奥さんが美人)の正面を突いたシーンくらいで、あとはファウルすれすれの川崎のタックルに潰されるばかり。終了間際にはアイカーが山王工業戦の桜木花道を彷彿とさせるデリーのユニフォームを引っ張りにあって倒されますが笛はなし。当然札幌の選手はPKをアッピールしますが、もちろん恩氏主審がそんなものを見ているはずもなく、抗議した尽が逆にイエローを頂戴する始末。結局試合は1-0のまま終了。札幌はやっぱり苦手を克服できなかったのでした。

 あ、元川崎の西澤、元札幌の優津樹はついぞ出番がありませんでした。

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