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サッカー百鬼夜行

第17節 対湘南ベルマーレ(テレビ観戦)
2003.6.14(SAT) 札幌厚別公園競技場

コンサドーレ札幌 1-1 湘南ベルマーレ
ビタウ【39分】 1-0
0-1
井原【53分】
スターティングメンバー
フジ GK 小林
中尾
ソダン

三沢
DF 時崎
チャカ
井原
川ロ
ビタウ
砂川
名倉
MF 梅山
吉野
坂本

熊林
岳也
King of Sapporo
FW リカルド
高田
砂川→ナオキ【69分】
中尾→岡ちゃん【73分】
尽→西澤【79分】
交代 金→加藤【45分】
リカルド→柿本【45分】
加藤→中里【79分】
中尾【60分】 警告 時崎【28分】
井原【37分】

試合の感想
 前節川崎に手痛い敗戦を喫した札幌は、今節リーグ最下位の湘南ベルマーレをホーム厚別に迎えます。第14節で甲府に敗れて最下位となった湘南は、その責任を取る形でこの試合を最後にサミア監督が辞任、山田松市氏が監督に昇格しました。しかし、この監督交代以上に湘南にとって大きかったのは、「チャカ」ことパラシオスの復帰。2年間のレンタル期間を経て今季から湘南に完全移籍したものの、骨折で開幕から14試合を棒に振った元コロンビア代表は、ようやく復帰した第15節からは首位の広島と大宮を相手に2試合連続完封とその存在感を見せつけています。
 湘南はそのパラシオスが当然スタメン出場しますが、札幌的に注目なのは2000年途中から2001年まで札幌に在籍していた小林広記。第14節から正GKとしてゴールマウスを守るようになり、この日もスタメン出場しています。久しぶりに厚別に姿を現した小林ですが、ツラのゴツさは健在です。

 勝点は貯まらないのに怪我人だけは貯まっていく札幌ですが、怪我人禍は一向に収まる気配を見せません。このままいけば万国怪我人博覧会、略して「ケガ博」が開けてしまいそうな勢いですが、前節晴れてそのケガ博の「肉離れブース」に出展となった右サイドバックの西田に加え、今週もまた左サイドバックの健作がリタイアとなり、「半月板損傷」というブースも出来てしまいました。
 その中で明るい材料といえば、「捻挫ブース」から砂川が、「靱帯断裂ブース」から酒井直樹が帰ってきたことです。ナオキはベンチスタートですが、砂川はスタメン出場。西田の代わりに中尾、健作の代わりに和波というサイドバックとなり、中盤はダブルボランチに川口とビタウ、2列目は砂川とホベルっち、2トップは変わらず新居と岳也という「WINK2トップ」。つまりキャラがかぶってる上に仲が悪い。

 試合は開始からしばらくは湘南に攻め込まれる場面が目に付くものの、次第に落ち着きを取り戻した、というよりは、ケガからようやく復帰した砂川にエンジンがかかり始めた札幌がペースを握るようになります。「相手のスペースを突く動き」を忠実にこなす砂川に対して、ビタウはもちろん普段「持ちすぎ」と批判されることの多いホベさえも砂川の動きに合わせてパスを出しています。これによって札幌はダイレクトパスを織り交ぜた攻めでスピーディーに攻められるようになりましたが、スヌーピーには攻められていません。
 というわけで点の取れそうな予感はプンプンするのですが、そんな札幌の前に立ちはだかったのは、そう、やはりパラシオスでした。神戸のシジクレイといい、大宮のトニーニョといい、新潟のアンデルソンといい、こういった「デカくて強くてなおかつ怖い」タイプのDFにはとことんまで弱い札幌。案の定、ゴール前まで攻め込んでも最後の最後でパラシオスにはじき返されてしまいます。FWに高さがないというのももちろんあるのですが、こういうDFを相手にするには札幌時代のデリーバルデスや神戸のオゼアス、あるいは市原の崔龍洙のように「高くて強くてやっぱり怖いストライカー」が必要、つまりは毒をもって毒を制すしかないのかもしれません。どっちにしたって今の札幌には無い物ねだりでしかないのですが。
 ならば新潟戦と同じようにパラシオスに邪魔されないような形で点を獲るしかないということになります。ということで前半39分に得たコーナーキック、ホベが蹴ったボールは小林がパンチングで跳ね返したそのクリアボールを、ビタウがダイレクトで右足を振り抜くと、そのシュートはゴール左隅へ決まり札幌が先制しました。

 1点リードで折り返した後半、札幌は出来れば砂川の電池がまだあるうちに追加点を取っておきたいところです。しかし物事は思った通りには進まないのが世の常で、動きの良くなかった金とリカルドに代えて加藤大志と大分から移籍してきたばかりの柿本を投入してきた湘南がペースを握るようになり、後半8分にコーナーキックから井原に得点を決められ追いつかれてしまいました。
 事故のような形での失点とはいえ、1点は1点。札幌も再び突き放しにかかかりますが、やはりパラシオスの壁は厚く、札幌の攻撃は彼の前に虚しく散るのみ。新居のはるか上空でボールをクリアするその様は、さながら「江ノ島の壁」というか「ベル米型ターミネーター」というか。とにかくやっぱりジャマです。
 前半は大きな存在感を示していた砂川ですが、彼もケガ明けでコンディション的には万全ではないでしょうし、水曜日にアウェイ広島戦を控えてますからジョアンもあまり無理はさせたくなかったのでしょう。それはわかるのですが、大差で勝っている試合ならともかく、勝たなければいけない試合で追いつかれてしまった状況で、後半24分に砂川を引っ込めて投入したのはナオキ。もちろん砂川がやってきたような動きは、去年そうだったように好調時のナオキなら問題なく出来る動きではありますが、今のナオキにそれを望むのはまだ酷というもの。ブランクのある選手を使うよりはまだ三原を使うほうがいいのではないかとは思ったのですが、引き分け上等で引いて守る湘南を相手にスルーパスは生きないでしょうし、ロビングで勝負しようとしてもパラシオスにことごとく跳ね返されるのがオチです。山形戦のようにはいかないという判断なのでしょう。
 ナオキはもうサテライトリーグにも2試合出場していますからケガ自体は大丈夫なんでしょうけど、あの日本平で彼の膝が壊れる音を聞いた人間としては、見ているほうが怖いというか、滑ってどフリーのチャンスを潰そうが1対1で負けようが、とにかく無事でいてくれと願うばかり。同じような思いを2人分することを考えたら、山瀬が移籍してくれて助かったと思うくらいです。
 とまぁ、ナオキの復活はそれはそれで良かったのですが、やはり動きは本来のものとは程遠いためなかなか有効な形で攻撃に絡むことが出来ません。後半30分頃にはやはりこの日もカードをもらった中尾に代えてプロ初出場となる岡田を入れてきましたが、デビュー戦ということを考慮に入れれば及第点のプレイは見せたものの、この状況でそのルーキーに何とかしてこいというのは酷というものです。切り札とすべき最後の交代枠1枚も、尽がケガをしてしまって使わざるを得なくなってしまったため、攻撃は閉塞状態。それに合わせるようにホベの悪い病気が出始め、次第に得点の予感から遠ざかっていきます。

 流れとしてはかなりマズい状況の中、敢然と立ちふさがったのが藤ヶ谷。和波が加藤にあっさり抜かれたり、カウンターを受けてピンチを招いたり、何より練習中に眉の上を切ったために貼った絆創膏で床屋で片眉だけ剃り落とされたみたいな顔にもくじけずにファインセーブを連発。その藤ヶ谷のパフォーマンスに答えるかのように、元同僚の小林も負けじと好セーブを繰り出すという相乗効果をもたらします。ただし、両チームともその効果は攻撃陣には波及しませんでした
 終了間際には若干ペースを取り戻した札幌が攻め込むシーンが多くなったものの、結局お互いトドメを刺すことが出来ず1-1のまま引き分け。古巣対決ラッシュとなったこの試合、道都大学出身の北出はついぞ出番がありませんでした。

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