? 君は1000%
サッカー百鬼夜行

第18節 対サンフレッチェ広島
2003.6.18(WED) 広島スタジアム

サンフレッチェ広島 1-1 コンサドーレ札幌
マルセロ【54分】 0-0
1-1
堀井【67分】
スターティングメンバー
ダーシモ GK フジ
駒野
八田
リカルド
ハム太
DF ソダン

西澤
桑原
兄ちゃん

MF 川ロ
岡ちゃん
尾藤
三沢
名倉
マルセロ
梅田
FW 砂川
岳也
  交代 砂川→中尾【59分】
川ロ→King of Sapporo【59分】
リカルド【79分】 警告 砂川【44分】
尾藤【48分】
ソダン【79分】
中尾【81分】

試合の感想
 最下位湘南にホームで引き分け、何となくスッキリしないムードで迎えた第18節は、首位のサンフレッチェ広島とのアウェイゲームとなります。第1クールのホームゲームでは開始早々と終了間際に失点して0-2で敗戦、その試合も含めて広島は第1クール10勝1分と破竹の進撃を見せていましたが、第2クールになってからは2勝1敗3分と、その勢いには若干の陰りが見えています。相変わらず負けることはほとんどないのですが、研究されてきたためかこれまではものにしていたような試合で勝ちきれずにドローで終わることが多く、一時期は11あった2位との勝点差も前節終了時点で約半分の6にまで詰め寄られてきています。
 その広島ですが、キャプテンの上村が負傷離脱したのに加え、爆発したら手がつけられない高橋泰が右足の怪我で戦線離脱、さらにはそろそろ連戦の疲労がじわじわと迫ってきているようで、「ご老公」サンパイオがコンディションが良くないのかベンチスタート。対戦した5試合でわずか1勝(2002年ナビスコカップホーム)、しかも守備的MFの彼に2得点を許すという、いわば「天敵」とも言えるサンパイオがピッチにいないというのは札幌にとっては好材料かもしれません。

 雰囲気はともかくチームの状況はお世辞にもいいとは言えない中で迎えた首位とのアウェイゲームは、苦手とするウィークデーのナイトゲーム。つってもアウェイとかサッカースタジアムなど、そうでなくても札幌には苦手項目が多すぎるのですが、とにかくジョアン・カルロス・トシキ監督はまともにメンバーを組めない状態でシステム変更を断行。これまでの4バックから3バックにして広島の攻撃陣を封じ込める作戦に出ました。
 その3バックはストッパーに曽田と西澤、スイーパーに尽という形で、両ウィングバックは和波と初スタメンとなるルーキー岡田、中盤はダブルボランチにビタウと川口を並べ、登録上は砂川がFWですが実質彼とホベルっちを2列目に並べて岳也の1トップとする布陣です。これまでスタメン出場を続けてきた新居と中尾は揃ってベンチ。この2人がベンチに並ぶとどうしても何か悪さをやらかして懲罰という風に見えてしまうのですが、作戦として後半勝負ということなのでしょう。

 台風の影響で絶え間なく降りしきる雨の中、試合は開始から水曜日のナイトゲームらしいまったりムード。どっちかというと押し気味に進めているのは広島なのですが、もともと中盤で試合を作るのは得意ではないチームですから、やはりサンパイオがいないというのが大きいのか自慢の大きな展開が見られません。それでも森崎兄弟を軸にチャンスを作り出しますが、尽を中心とした札幌のDFが体を張って守り、もうすっかり「いるのが普通」になったフジも安定したセービングでゴールを許しません。
 そんな感じなので広島につけいるスキがないわけではないのですが、札幌のほうは砂川とホベが揃って不調で、攻守共にあまりボールに絡むことが出来ません。この2人のフォローが望めないため、守備ではビタウの負担を軽減して攻撃力を生かすために川口を入れているはずが、その川口だけでは手が足りずにビタウも守備に追われてうまく攻撃に絡めず、攻撃面でももともとDFとの駆け引きは苦手な岳也の1トップは単なる生け贄にしかなりません。3列目以降からいいロングボールが出てもオフサイドとなってしまうことが多く、たまにうまく抜け出ても岳也が自分でシュートを打たないので数少ないチャンスもモノにできず。
 順位には開きがあるとはいえ、世間的には「降格組同士」という対決となる試合となるのですが、とてもそうとは思えない展開です。つっても下位カテゴリには慣れっこのオレにとっては、もはやそういえば去年いたんだっけという程度の認識でしかないのですけど。とにかくそんな感じで前半は中盤でのつぶし合いに終始し0-0で終了。

 両チームともメンバー交代なしで臨んだ後半も、図式はほぼ前半と変わらず広島ペース。おそらくジョアンの目論見としてはこのまま0-0でしのぎ、広島が焦り始める辺りで新居を投入する作戦なのでしょう。ところが、その勝負に出る前の後半9分、ショートコーナーからマルセロに頭でゴールを決められ先制されてしまいました。言うなれば「ふっかつのじゅもん」を最後の最後で間違えたくらいの台無し加減です。
 先制されたジョアンは勝負に出ます。失点の5分後の後半14分に砂川に代えて中尾を、川口に代えて新居と一気に2枚投入。新居が入ったことによって岳也に集中していたマークが分散され、中尾が入ったことによってビタウの負担が減り、和波と走り方がどう見ても平間の岡田の両ウィングバックも積極的な攻め上がりを見せるようになり、徐々に札幌がペースを掴むことになります。18分には岳也のポストプレイからビタウがシュートを放ち、19分にはビタウのスルーパスに和波がラインの裏に抜け出してゴールネットを揺らします。このシュートは惜しくもオフサイドでノーゴールでしたが、俄然得点の予感が漂い始めます。
 そして22分、カウンターからボールを拾ったビタウが、前線に走り込む岳也にロングスルーパス。このボールを受けた岳也がドリブルで持ち込み迷わずシュート。ジャストミートはしませんでしたが、コロコロと転がったボールはマークしていたリカルドのまたを抜け、それで虚を突かれた下田の伸ばした右手のわずかに下をくぐってゴールイン。札幌がついに同点に追いつきました。そう、シュートは打たなきゃ入らないのですよ。

 ようやく追いついた札幌はイケイケムード。広島の足が止まり始めたこともあって逆転も狙えそうな勢いですが、かといって札幌が元気いっぱいだったかというとそういうわけでもなく、前線の新居と交代出場ながら4試合連続となるイエローカードをゲットして無駄に元気なところをアッピールした中尾以外は札幌の運動量も落ちており、お互い中盤省略のサッカーとなっていきます。
 そうなるとチャンスは5分5分となり、お互いのゴール前を行ったり来たりと、お世辞にもみっともいいサッカーとは言えないのですが、それでも広島の守備陣、札幌の守備陣とも集中力を切らさない好ゲームを演出。正直言ってこの段階でサンパイオを投入されたらヤバかったと思うのですが、広島の小野監督(ジャージスト)はついに最後まで動かず、かといってジョアンも交代枠を使い切ることはせず、グロッキーのボクサー同士の殴り合いのような試合が過ぎていきます。
 そのままスコアは動かず突入したロスタイムには、この日まったくいいところがなかったホベがどフリーでシュートを放ちますが、ボールは枠を捉えることが出来ず上に外れ逆転ならず。お互いの状況を象徴するようなドローゲームで終わりました。

印

戻る