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サッカー百鬼夜行

第33節 対水戸ホーリーホック(テレビ観戦)
2003.9.13(SAT) 札幌厚別公園競技場

コンサドーレ札幌 1-0 水戸ホーリーホック
和波【75分】 0-0
1-0
 
スターティングメンバー
フジ GK ほんま
ソダン
吉川
ゴンザレス
DF 木澤
田中釣男

コージー
ナオキ
板長
瓜田
三沢
砂川
MF
吉本
栗田
磯崎
岳也
偽俺王
FW 樹森
小野
岳也→King of sapporo【67分】
砂川→ビタウ【73分】
交代 コージー→山崎【31分】
小野→北川【42分】
樹森→小川【84分】
フジ【89分】 警告 森【19分】
秦【72分】
田中釣男【76分】
本間【78分】

試合の感想
 なんだかんだ言ってもう第3クールも最終節。長いJ2もようやく4分の3を消化することになります。もっとも、札幌にとっては別に今すぐシーズンが終わってもらっても一向に構わないのですけど、とにかくJ2も33試合目となるこの試合は水戸ホーリーホックとのホームゲームとなります。怪我人続出のまっただ中で行われた第2クールのアウェイ戦では、苦しい試合ながらも何とか1-1のドローに持ち込んでいますが、第1クールでは2-4の惨敗とまだ今季一度も水戸に勝っていないだけに、ホームのここは是非とも勝っておきたい試合です。
 その第1クールはドームでの試合だったため、今年初めて厚別に乗り込んできた水戸。前田監督らコーチ陣はなんとグラウンドコートを着込んでいます。キックオフ時点での気温は19度と関東とは10度以上の気温差で、しかも風が強いことで知られる厚別は体感温度的にはそれ以下でしょうから、無理もないことなのかもしれませんけど、北海道をアラスカあたりと勘違いしているのではないかという気もします。まぁ似たようなモンですけど。

 札幌のほうは、これまで3バックと4バックを器用に使い分けていた、と言えば聞こえはいいですが、3だろうが4だろうがうまくいかなかった張監督、もうどっちでも変わんねぇやとばかりにここ2試合途中出場でなかなかのパフォーマンスを見せていた吉川を初先発させ、ソダン、今野の3バックとしてきました。なんだかんだ言ってGKの藤ヶ谷を含めた守備陣全員が生え抜き選手。システム自体は変わったものの中盤より前のメンツは前節と変わらず、板長とウリダのダブルボランチにナオキと和波のウィングバック、トップ下に砂川、アンドラと岳也の2トップというメンバー。
 ところで、この試合のアシスタントレフェリーの1人は八木あかねさん。名前だけ見れば「すわ、女性審判員?」と思ってしまったのですが、まぁ当たり前の話ですが極めて普通の男性でした。しかし、この試合この八木副審が極めて重要な存在となることになります。

 そんなわけでキックオフなのですが、まぁ張監督となって7試合目となってそれなりにこなれてきたのか、それとも水戸があまり前に出てこなかったためか、ボールの支配率は圧倒的に札幌。しかし、ボールは支配しているのに攻め手がないのは相変わらず。札幌としてはアンドラをよりゴール近くで勝負させたいところなのですけど、岳也が真ん中に張っているため、アンドラがサイドに流れざるを得なくなってしまいます。
 それなりにアシストを記録していた時の岳也はサイドに流れてボールを引き出してよくチャンスを作ってはいましたけど、今の岳也はよせばいいのにど真ん中で足元にボールをもらいがたるシーンが多く見られます。うまく行けばそれはそれで問題ないのですけど、ただでさえトラップのデカい岳也のこと、ポストになるなんてえなりかずきが任侠映画に挑戦するようなものです。トゥーリオに子供扱いされてボールキープもままなりません。
 水戸は当然ボールを支配されるのは承知の上で、トゥーリオを軸とした強固なディフェンスラインからのカウンターを狙いますが、雨模様の厚別のピッチに戸惑ったか、「札幌がうまく守っている」というのは多分ないと思うのですけど、カウンターに一時期の鋭さはなくなかなかシュートまで持っていけない状況です。
 そんな感じで両者ともそれほど決定的なチャンスも見られず、ほとんど見所がない前半は0-0で何となく終了。

 後半になると、だんだんと雨足が強くなってきます。ただでさえスリッピーなピッチはますます滑りやすくなり、水戸の選手だけではなく札幌の選手達までもが濡れたピッチに足を取られるようになり、久しぶりの走る(滑る)見事に(転ぶ)キン肉マン状態。おかげさまでただでさえ通らないパスがますます通らなくなり、ますます得点の予感が遠ざかります。
 いよいよもって手詰まった感のある札幌ですが、やはり張さんはなかなか動きません。監督が岡田監督譲りの「石橋を叩いて渡らない」慎重派であることはまぁよくわかっているつもりなのですが、相も変わらず何がしたいのかよくわからない岳也の姿に、時間を追うごとにストレスがたまっていくオレ。心境としてはあの星野監督の名ゼリフ、「ピンチヒッター、アイツに代えてコイツ!」といった感じで、「いい加減16番引っ込めて17番投入だろうが!」と、気分はまさにプロ野球好きの酔っ払い状態。
 その願いが通じたのか、ようやく後半22分に岳也に代えて新居が入ってきました。新居と岳也はプレイスタイル自体はそう変わるわけではないのですが、とりあえずちょこまかと動くのが1人入ったことによってアンドラがよりゴール近くでプレイ出来るようになり、次第に攻撃が形になるようになってきました。アンドラが得意の左足でトゥーリオを暗殺するなど俄然札幌に流れが傾き始めます。
 そして張監督は後半28分に砂川に代えてビタウを投入し、たたみかけを狙いました。この采配が奏功したのか、そのビタウ投入からわずか3分後に中央でボールを受けたアンドラが、3人に囲まれながらもフットサルチックなヒールパスを出すと、ボールは裏に抜けた和波に渡りました。和波が受けた位置は完全にDFの裏。オフサイドともとれる位置です。普段はいい人キャラなのにシュートを打つ時だけは鬼となる和波は、何食わぬ顔でゴールに蹴り込みます。水戸の選手はオフサイドをアッピールしますが、八木副審は迷うことなくゴールラインに向かって駆け出しました。つまり、ゴールが認められたということです。自身の今季5点目(オウンゴール含む)に拳を高々と突き上げた和波ですが、その和波よりも目立っていたのは、得点者に真っ先に取り憑いて離れようとしなかった新居と、半裸で諸手をあげて喜ぶベンチの砂川だったかもしれません。

 しかしこの試合最大の山場は、実は得点シーンではありませんでした。得点の直後、ビタウからのロングパスを追いかけた新居が、先にボールを抑えたGK本間にぶつかっていきます。このプレイが新居のファウルとなり水戸ボールのリスタートとなりましたが、ボールを取りに行った本間が手で押しのけてきたことに対して新居が激怒。本間に食ってかかると同時に「審判! この人髪型が変です!」と本間の若さゆえの過ちをほじくり返したため、ここから小競り合いが始まりました。
 穴沢主審はいったん場を落ち着かせたあと八木副審に状況を確認し、とりあえず言うだけ言って実は手を出していなかった新居はお咎めナシ、本間へのイエローカード一枚で場を収めました。水戸の選手は札幌の得点時の判定に不満を持っていたでしょうし、札幌ベンチではマザロッピGKコーチがいつでも出て行かんばかりの体制を取っていて、ちょっと間違えば相当の修羅場になっていた可能性もあっただけに、穴沢主審の取り仕切りは見事だったと思います。その穴沢主審が新居を本間から引き離しているスキに、さりげなく本間を突き飛ばしていたアンドラも見事でしたけど。

 追いつこうとする水戸は、ついにトゥーリオを前線に上げる「トゥーリオ大作戦」を発動。しかし、既にアンドラに暗殺されて戦闘力が落ちていたトゥーリオとの空中戦はソダンが圧勝、吉川、今野らも高い集中力で凌ぎます。ロスタイムにはゴール真っ正面の直接フリーキックを与えるピンチを迎えましたが、トゥーリオが雨を計算に入れて放ったグランダーのシュートを藤ヶ谷が見事なセーブで凌ぎ、何とか逃げ切り、キレイな勝ちではありませんでしたがとりあえずは悪い試合ではなかったという感じで久しぶりの連勝を達成。11勝11敗11分という極めて微妙な成績で第3クールを終えたのでした。

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