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サッカー百鬼夜行

第34節 対ヴァンフォーレ甲府
2003.9.20(SAT) 札幌厚別公園競技場

コンサドーレ札幌 0-2 ヴァンフォーレ甲府
  0-2
0-0
池端【31分】
外池【39分】
スターティングメンバー
フジ GK アベケン
ソダン
吉川
ゴンザレス
DF 杉山
池端
トニー
奈須
砂川
板長
瓜田
三沢
尾藤
MF 倉貫
外池
水越
石原
岳也
偽俺王
FW 山崎
オグ
尾藤→ナオキ【57分】
瓜田→King of sapporo【66分】
三沢→三原【81分】
交代 池端→青葉【62分】
山崎→太郎【64分】
太郎→須藤【89分】
瓜田【63分】
砂川【73分】
板長【89分】
警告 オグ【53分】
池端【59分】
杉山【68分】

試合の感想
 とうとうやってきた第4クール。もはやJ1昇格なんて絵空事となった札幌の相手はヴァンフォーレ甲府。序盤こそ「台風の目」扱いされましたが、第4クールとなっても新潟、広島、川崎に次ぐ4位をキープしており、もはや現在の成績をフロックという人は誰もいません。「普通に強いチーム」という認識に変わりつつあります。
 その甲府は「変態ストライカー」と呼ばれる(オレだけに)エース藤田がどうやらケガのようで、実は結構楽しみにしていたのですが残念ながらこの試合も欠場。セットプレイの脅威という点では藤田がいないというのは札幌にとって有利な材料です。

 そしてまったくそんな実感はないけど考えてみれば2連勝中の札幌は、よせばいいのにまたしてもメンバーをいじってきました。前節スタメンを務めたナオキを使わず砂川をウィングバックに回し、空いたトップ下にはビタウを先発に戻してきました。前節、前々節の砂川の飛び出しを見ている限りでは、彼をゴールから遠ざけるだけでなく、攻撃が左サイドに偏っている札幌ではお留守になりがちな右サイドに置く必要は全くないと感じられるので、どういう狙いかわからないのですが。
 札幌にとっては甲府は今季ここまで3試合を戦い2分1敗とまだ一度も勝てていない相手。よっぽどの楽観主義者ですら来季も同じカテゴリで戦うことが確実なだけに、その来季を見据えた場合負けっ放しで終わるのは勘弁してもらいたいところです。

 そんなわけでキックオフ。いつの間にか「ロスタイム病」という言葉も聞かれなくなった札幌ですが、その代わりに立ち上がりに弱くなったので、この日もいきなり山崎にボールをカットされてピンチを招くお約束。その後もいつもの通りアンドラジーニャにボールを預ける攻撃パターンですが、甲府はボールを受けるアンドラに後ろからプレッシャーをかけてまず振り向かせないようにして、続いて前から挟み込む形でトラップ際のボールを奪う」というアンドラ対策が徹底されているようで、なかなかアンドラがボールをキープできません。
 いい加減素人でもわかるほどアンドラが狙われているのに、それでも愚直なまでにアンドラにボールを預けようとする札幌。野球で言えば握りがバレバレのピッチャーみたいなもんですし、プロレスで言えば「次、ブレーンバスターな」と耳元で囁くようなものです。アンドラはそのたびに甲府の餌食となってしまいます。しかしそれでもいい人で有名なアンドラ、ショッパい顔はしてもイヤな顔はせずに黙々とプレイ。かわいさをアッピールする作戦に出ます
 そんなこんなで31分、甲府のカウンターから許したコーナーキックのボールを、藤ヶ谷がキャッチする寸前に池端に頭で決められ失点。「陽介が陽介に決められた」と思いついてちょっとニヤけたのは秘密ですが、札幌のセットプレイの守備は藤田の不在とかそういう問題を超越するほどの弱さだった模様です。
 失点の直後に和波がいい飛び出しを見せると、ようやく「そうか! サイドから攻めればいいんだ!」と思い出したのか、ここからしばらくは札幌がサイド攻撃でチャンスを作るシーンが多くなります。これまでよせばいいのにゴール前で張ることの多かった岳也がサイドに流れてボールを引き出す動きを見せ、和波も引き続きタイミングのいい飛び出しを見せて甲府ゴールに襲いかかります。しかしサイド攻撃と決めたらサイド攻撃しかしなくなるのもまた札幌。シュートを打てるチャンスでも丁寧にサイドにはたき、甲府DFの戻る時間を与えた上に誰にも合わないクロスを放り込むだけ。
 高さに優れたFWがいるわけでもない、ニアサイドに飛び込むパターンを持っているわけでもない札幌がそんな攻撃で点を取れるはずもなく、逆に39分に再びカウンターから外池に頭で決められ突き放されてしまいました。
 前半のうちに1点も返しておけば後半ぐっと楽になると思うのですが、札幌ボールのリスタートにもかかわらず、岳也がボールに背中を向けてチンタラ歩いているくらいなのですから、前半のうちに追いつくどころか1点を返すことすら出来るわきゃありません。2点のビハインドを背負ったままハーフタイムを迎えました。

 後半に入っても状況的にはあまり変わらず。別に甲府が特別なことをやっているというわけではありません。プレスのポイントを絞って素早くプレッシャーをかけ、ディレイに成功したら複数人で囲い込むという、守備の基本を徹底させているに過ぎないのです。もちろんそれを忠実に実行する甲府の選手達は大したものなのですが、どんなにうまい選手でも3人に囲まれたらそこから抜くのは至難の業です。だったら素早くパスを回してプレスのポイントを絞らせなければいいのですが、そんな応用力があるくらいなら今頃こんな順位に低迷しているわけはありませんわな。さすがに甲府も前半に比べれば運動量が落ちているためにアンドラもキープ出来るようになり、さすがといわせるようなボールさばきを見せてチャンスを作りますが、中盤でミスが多くせっかくのキープも台無し。
 そんなわけでミスの多かったビタウとウリダを下げた…はいいのですが、ビタウの代わりのナオキはわかるとしても、ウリダに代わって入ってきたのは新居。ま、まさか3トップですか? ただでさえ甲府が引いて守ってスペースを与えてくれないのに、そんなろくすっぽ練習もしとらんような、しかもボールをさばく中盤の人が板長だけになってしまうシステムをいきなりやってうまく行くとは思えないんですけど…。言ってみりゃほとんど経験のない外科医3人が最先端の手術を断行するようなもんだと思うんですけど。
 交代で入ってきた新居はいきなりシュートを打つ積極性を見せたものの、その新居が入ったお陰で岳也がキレイさっぱり消え失せ、3トップ自体は案の定やっぱり機能していません。こんなモン3トップなんかじゃなくて「さんとっぷ」だ! などと思っていたら、張監督は残り10分でようやく三原を投入。これでやっとボールの出所が増えると思ったのも束の間、下げられたのは何と和波でした。 マジ? 下げるの岳也じゃないの? 動きの良かった和波を下げてまで三原をサイドで使うことに何の意味が? 別にケガしたようにも見えないし、ZARDの「異邦人」カバーより納得が行かないんですけどそれ。
 そんなわけで相変わらずほとんどチャンスがないまま残り時間もわずかとなった後半43分、アンドラがPA内で倒されました。しかし鈴木主審は無情にもノーファウルの判定。確かに引っ張られてたのでファウル、つまりPKでもおかしくない場面。アンドラはもちろん、岳也や砂川らまでがぶったまげのおっぴろげでその場に倒れ伏します。ひとしきり怒り狂ったアンドラは、ついにアシスタントレフェリーに向かって叫びます。「見テヨー!!」と見事な日本語で。

 激昂しても気配りは忘れないアンドラ

 そうはいっても判定は判定ですから覆るはずもなく試合は進み、時間は既にロスタイム。当然ながら甲府はもう時間稼ぎモードに入っており、松永監督は余裕の表情で3人目の交代枠を使います。ピッチ脇で待ちかまえるのは須藤大輔。カール気味の長髪にヘアバンド、切れ長の目。誰かに似ています。誰だろう? 随分昔に会ったことがあるような…。しかもとてもかっこいい…。ああそうだ、あの人に似てるんだ。

↓あの人
須藤

 そんな卑怯な一発ネタをかましている間にも札幌は1点すら返すことが出来ず試合終了。結局今季は一度も勝てないまま、「時代は変わったんだ。オールドタイプは失せろ!」といった感じの甲府との対戦だったのでした。

印

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