? チャンリンシャン
サッカー百鬼夜行

第36節 対湘南ベルマーレ
2003.9.27(SAT) 札幌ドーム

コンサドーレ札幌 1-2 湘南ベルマーレ
砂川【80分】 0-2
1-0
石原【31分】
高田【39分】
スターティングメンバー
フジ GK 鈴木
西ポン
吉川
川ロ
三沢
DF 北出
チャカ
時崎
ゴンザレス
板長
瓜田
砂川
MF 中里
吉野
梅山

坂本
King of Sapporo
ソダン
FW 高田
柿本
ソダン→尾藤【12分】
三沢→三原【45分】
西ポン→河端【86分】
交代 柿本→石原【13分】
梅山→西川【58分】
石原→加藤【89分】
西ポン【5分】
King of Sapporo【61分】
尾藤【65分】
警告 北出【69分】

試合の感想
 観念的には既にJ1昇格という目標からは遠く離れたイスカンダルな札幌は、この試合を落とせば自動的にJ2残留が確定する試合を迎えました。湘南ベルマーレを札幌ドームに迎えてのホームゲームとなります。湘南は今季J2の11チーム中、唯一まだ負けていない相手。札幌と同じように今季名の知れた外国籍の監督を迎えてシーズンに臨み、札幌と同じように主力のケガに泣かされ、そのせいもあって札幌と同じように固定オーダーが組めず、そして負けが込んでその監督も既に去っていったチームです。
 さらには札幌と同じように湘南も第4クールになっても成績はパッとしません。札幌と同じように決定力不足は改善されないままで、パラシオスを中心とした守備はある程度計算出来るもののさすがに彼一人ではどうしようもならず、ここまで実に5連敗とまだまだ出口は見えないようです。

 とまぁ、そんな湘南も気がつけばすぐ後ろという札幌ですが、逆マジック1となったこの試合でアンドラジーニャが出場停止。岳也も福岡戦での負傷で大事を取って欠場と、レギュラーの2トップが丸ごと欠けてしまいました。つってもまぁ今年ずっと見てきたものとしては、ここまで来たんならいないならいないまんまでいいやとやけっぱちな気分にもなりかねないのですけど、もちろん張監督はそんなことを言える立場ではありません。前任のジョアン・カルロス・トシキ監督も怪我人禍で満足なメンバーが組めずにいましたが、張さんにとってはジョアン以上の苦悩。なんせケガしてなくても働かないのですからね。とりあえず監督としては数少ないメンバーからめぼしいのをピックアップして何とか頭数だけでも揃えなければいけません。
 というわけで張さんが選んだのは、DF専任となったはずのソダンを再びFWとして起用する策。文字通り「頭」数を揃えてきました。そして相棒はもちろん新居辰基。曽田が抜けて数の足りなくなった守備陣はこれもまた苦肉の策の4バック。右から西田、川口、吉川、和波とこんな時でもなきゃ絶対に拝めない豪華な布陣となっています。中盤は今野、ウリダのダブルボランチ、2列目に砂川と板長となっています。相川がケガ中で、河村優もとっくにチームを去り、ゴリも張監督の記憶から消えて久しいため、ベンチにFWを置くことすら出来ないほどですから、とりあえずこれがいっぱいいっぱいといったところでしょう。

 んで、キックオフから大張り切りだったのが曽田。彼にとって札幌ドームはプロ初ゴールを決め、そしてハットトリックを決めた縁起のいい場所。今年からディフェンダーという立場でいろいろなストライカーと対峙してきて、「どんなことをされるのがイヤか」というのもわかってきたでしょう。これまで自らのミスで負けた試合もあっただけに、この試合は自らのゴールで勝つという決意をしていたに違いありません。立ち上がりに強烈なミドルシュートを放ち、またピンチでも体を張って守備をするなど俺達のソダン祭の予感がプンプンして迎えた8分。

 俺達のソダン、負傷

 空中戦で競り合った相手ともつれ、着地の時に足首を思い切りひねった模様です。その場に倒れ込み動けない曽田。サポーターは「ナナナナ♪」。トレーナーの治療中も激痛に顔をしかめる曽田。サポーターは相変わらず歌いっぱ。ようやく立ち上がってもまともに歩くことすら出来ない曽田。サポーターはそれでも「ナナナナ♪」

 少しはソダンをかまってあげて。なんてったってアイドルなんだから。

 ドームに相性が良かったはずのソダンも結局はドームの魔物に喰われた格好で、プレイ続行は不可能で12分にビタウと交代し、プロローグも終わらぬうちに祭終了。湘南もその1分後に柿本が負傷退場しましたので、状況的には一見どっこいどっこいに見えますが、しかし札幌にとってこの試合は「とりあえず曽田に当てる」という作戦だったはず。ベンチにサブのFWがいない以上、曽田がいなくなれば170cmの新居をワントップに据えなければならないわけですから、ケガをしたソダンも痛いでしょうが、なけなしのFWが減っただけでなくいきなりゲームプランが前提から覆った張監督も相当痛いでしょう。
 そんで唯一の「戦術」となる予定だったソダンがいなくなり、新千歳空港で迷子になった子供の如くどうすればいいのかわからない選手たち。ここのところいい働きをしていた和波もこの日は散々な出来。クロスもいつも以上にあさっての方向へ飛んでいくばかりでなく、31分には相手をマークしきれずに先制を許す始末。どうやら和波がいいのは厚別だけで、ドームではからっきしのようです。そういえばドームでは2回もオウンゴールしてますしね。
 そして何の心の準備もないままにいきなりワントップとなった新居も、パトラッシュを失ったネロのような心細さが襲ってきただけでなく、ソダンのマークをするはずだったパラシオスのストーキングを受けることとなったため、ほとんどやりたいことをやらせてもらえず。
 ソダンと交代で入ったビタウもまったくもってダメ夫くんであり、追いつくどころかカウンターから高田保則にゴールを許してしまい、前半だけで2点のビハインドを追う有様です。

 後半、張監督は動きの悪かった和波を下げ、今野をDFラインに下げてボランチの位置に三原を投入します。その甲斐あってか開始早々に立て続けにコーナーキックのチャンスを得ますが、いかんせんソダンの不在は大きく空中戦では分が悪く、ことごとくパラシオスに跳ね返されどれもゴールに結びつけることが出来ません。
 中盤でのボール支配率は圧倒的に札幌で、湘南の守り方も甲府に比べればさほどしっかりしているというわけでもないのですが、空中戦で負けることはほぼないと踏んだのかとにかく縦パスだけは入れさせないという守り方です。常に眼前に立ちはだかるパラシオスを相手に、あの手この手で何とかかいくぐろうとする新居ですが、どう見ても大人と子供の対決は往年の小錦対舞の海の取組を見ているかのようです。毎度のことではありますがペースを握っているように見えて実は全然握れずに何だかよくわからないまま時間が過ぎ去っていきます。
 最後のほうは張監督もヤケになったのか、吉川を前線に上げてパワープレイに突入。確かに湘南が守りモードであまり攻めてこず、DFに重点を置く必要がなかったこともありますし、ロングボールのターゲットという意味では新居1人よりは吉川のほうがまだ何とかなるかもしれませんが、それとて言うなれば草野球で「太ってるから」という理由だけでキャッチャーやらせるようなものです。そもそも練習すらしていない布陣がまともに機能するはずもなく、哀しいくらいにゴールが遠いコンサドーレ札幌。

 というわけで残り10分の時点で三原のコーナーキックから砂川が頭で合わせて1点を返すのが精一杯で、試合は1-2で終了。強化指定選手の河端を投入して、とりあえず彼の逃げ道を塞いだことくらいが収穫の試合で札幌はJ2残留を確定させたのでした。

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