? ヤンツー烈風隊
サッカー百鬼夜行

第3節 対ベガルタ仙台
2004.3.27(SAT) 札幌ドーム

コンサドーレ札幌 1-0 ベガルタ仙台
新居【51分】 0-0
1-0
 
スターティングメンバー
フジ GK 高桑
ソダン
パパ
キチ
DF 森川
ガスパル
村上
岡ちゃん
直太朗
タバタリアン
シャチョー
スナマコ
MF 菅井
石井
ザイー弟
原崎
シルビーニョ
清野
King of Sapporo
FW 大柴
寿人
スナマコ→中尾【72分】
King of Sapporo→アイカー【74分】
清野→岳也【83分】
交代 菅井→ 萬代【54分】
ザイー弟→中田【75分】
シャチョー【75分】 警告 菅井【11分】
大柴【36分】
シルビーニョ【86分】

試合の感想
 開幕から2戦で2引き分けと、内容はともかく結果としてはイマイチ物足りないといった感じの札幌は、今季初勝利を賭けて現在2連敗中、最下位のベガルタ仙台を札幌ドームに迎え撃っての試合となります。2001年、札幌がJ1残留を果たした年にJ2で2位となって京都と共にJ1昇格を果たし、そして何の因果か昨季やっぱり京都と共にJ2に降格してきた仙台は、J1に昇格した2002年、「目ェつぶってたって勝てるだろ」とナメてかかっていた先輩J1チームをばったばったとなぎ倒します。そのなぎ倒されたチームには当然コンサドーレも含まれるわけですが、開幕5連勝で一時は首位に立つなど、仙台旋風を巻き起こしました。しかしそもそもは戦力的にはそう恵まれているわけではないため、開幕からのスタートダッシュに全てをかけていただけに、シーズン終盤には息切れ。結局13位でシーズンを終えました。翌2003年は開幕から3勝1分と出足こそ好調だったものの、エース・マルコスの負傷が長引きそれ以後は19試合勝ち星なしのJ1ワースト記録を更新。この間清水秀彦監督に替わってズデンコ・ベルデニック監督が就任したりしましたが、悪い流れを変えることが出来ずチームは年間15位でJ2降格となってしまいました。
 ベルデニック監督の留任で再びJ1への返り咲きを狙う仙台ですが、主力選手が相次いでケガに見舞われて開幕戦は横浜FCに0-4、2戦目も京都に0-5と大敗。連敗もそうですがそれ以上に深刻なのはまだ1点も獲れていないことで、頼みのマルコスもシーズン前にまたケガをしてしまって復帰はまだ先。それにしても監督の指導力と突出したストライカーの活躍でJ1昇格を果たし、その後のJ1残留からその2人を失ってのJ2降格、そして降格後の低迷の流れは、何もそこまで札幌のマネをせんでもという印象があります。ついでに前監督が退任後に地元の私大の客員教授になったことまで同じという見事なトレースっぷりです。というか、よくロスタイムでの逆転劇とか、圧倒的に力が上野チームに勝ったときなどに「サッカーの神様がいる」などという表現が使われますが、去年までの札幌や仙台を見ているとサッカーの貧乏神もいるんじゃないかという気がしてきます。
 去年の札幌がそうだったように悪いことは続くもので、DFの數馬が前節退場して出場停止。渡辺晋もケガと相変わらず苦しい状況が続く、そんな仙台が相手だけにここいらでそろそろ結果が欲しい札幌は、週中の練習で太ももを痛めて心配された砂川もどうやら出場できるようで、前節出場停止だった藤ヶ谷が復帰してもんじゃと入れ替わった以外は前節と同じメンバー。ベンチメンバーもまったく同じです。まぁ大宮戦の内容から見れば別にスタメンをいじる必要も感じられませんし、リーダーが復活するまでは、何もなければおそらくこのメンバーでやっていくと思われます。

 いくらシーズンはまだ始まったばかりとはいえ、仙台はこれ以上連敗を重ねたらずるずる行ってしまう危険性が高くなってしまう上、この試合の次はJ1昇格に向けて意気上がる川崎フロンターレとの試合が控えており、この試合を落とすとさらにマズい状況に追い込まれてしまいます。アウェイであっても川崎に比べれば与しやすい相手である札幌を相手に序盤からつぶし合いを挑んできました。ベルデニック監督の代名詞でもあるゾーンディフェンスを捨ててある程度引いて守り、まず中盤でのスペースを消すことを優先。新居と清野の2トップにはそれぞれ森川と村上が付き、ファウル覚悟でこの2人へのくさびのパスを潰しにかかりました。
 もともとそれほど攻撃パターンが多いわけではない札幌ですし、中盤で主導権が握れなければ岡田の突破力を生かすことが出来ないのは大宮戦で証明されてしまっています。ある程度場数を踏み、判断のスピードが上がってくれば相手のプレスをかいくぐることも可能なんでしょうけど、現時点ではそこまでを望むのはちょっと難しそうです。そんなわけで大宮戦と同じように、前半は中盤をすっ飛ばしての前線へのロングボールが目立ちます。しかしこれまた大宮戦で証明されたように札幌の攻撃陣ははっきり言ってミニミニミクロ電子幼稚園です。唯一180cmオーバーの清野も上背はあるもののそれほど空中戦に強い選手ではありませんし、ロングボールを追いかけているうちに中盤との距離が開いてしまうので、ボールを押さえても次に繋げることが出来ません。両サイドも深くまで上がれないため、三原が中途半端な位置からアーリークロスを何本か入れた程度。北村主審が接触プレイをかなり厳しく取っていたためにセットプレイのチャンスは多かったのですが、ほとんどのボールを蹴った三原のキックは行き先はボールに聞いてくれといわんばかりのオモシロ変化をするために誰にも合いません。こと攻撃に限っては開幕から最悪の内容です。
 しかし守備に関してはさすがにしっかり出来ています。守り方はいつもの通り高い位置からプレスをかけてパスコースを限定させ、カットを狙うやり方。最悪でも長いボールを蹴らせておけば、仙台の大柴、佐藤寿人というスピードタイプの2トップでは、単純な空中戦では神候補・ソダンにかなうはずもありません。仙台が引いて守っているため攻撃へ移るときにどうしても時間がかかってしまうとはいえ、札幌はボールを奪われてからの守備への切り替えも速く、シルビーニョに個人技からシュートを打たれた以外はほとんどチャンスらしいチャンスも作らせず。結局前半は0-0のまま折り返します。

 おそらくはヤンツーに説教を喰らったであろう後半、札幌はロングボールを禁じ手とし、いつものようなショートパス主体の攻撃にシフトします。これによって中盤での各選手の距離がちょうどよくなり、岡田も上がれるようになってきました。そして後半開始から5分。岡田のスローインから新居がキープ、再びボールを受けてドリブルでペナルティエリアに突っ込んでいった岡田が倒されます。すぐ側で見ていた北村主審は迷わずPKを宣告。ちなみに岡田を倒したのは元札幌の森川でした。
 さて、PKを取ったはいいもののここでほとんどの札幌サポーターは思ったことでしょう。「一体誰が蹴るんだ」と。これまでの札幌では、PKは助っ人が蹴る場合がほとんどでした。しかし今年はその助っ人自体がいない。いやしない。通常、PKもFKもつまりはキックのうまい人が蹴るとういのが定説なわけですが、パッと考えて思い当たるフシがない。今の札幌でフリーキックを蹴っているのは左が三原で右が智樹ですが、三原はやりそうにないしさすがに智樹はないでしょう。清野もプロではPK蹴ったことはないし、まぁここは順当にCK蹴ってる砂川かなぁと思っていたら、ペナルティスポットにボールを置いた選手は…新居辰基。

 ごめん、一番遠かった

 まぁ確かにストライカーが蹴るのなんて別に珍しいことでもないですからね。しばらくなりを潜めていた俺様根性がようやっと復活傾向にあるのはいいことでしょう。しかし多分ほとんどのサポーターは不安のほうが大きかったかもしれません。そんな不安を知ってか知らずか、ゴール裏を埋め尽くしたサポーターの見守る中、新居は落ち着いてこのPKをゲット。札幌がようやく先制します。
 先制したことによって気持ちがぐっと前向きになったか、ここからはほぼ札幌ペースで試合が進みます。先制点に繋がるPKをゲットした岡田はより調子に乗り、ロングボールがなくなってボールを触るチャンスが増えた智樹が積極的にミドルシュートを狙っていきます。仙台も手をこまねいていたわけではなく、チャンスがなかったわけではありません。15分にはザイー弟のクロスからフリーの佐藤寿人がボレーで狙いますが、フジがファインセーブを見せてゴールならず。もう少しなのにあと1点が遠い仙台。
 札幌は後半27分にはケガ持ちの砂川に代えて中尾を投入。その後もヤンツーは新居に代えて相川を、清野に代えて岳也を投入し、追加点を狙いつつ相手を牽制しますが、その後は「今年はクールにプレイする」と宣言した中尾が早速大柴にのど輪をかましたり、三原のフリーキックが入ったかと思ったヤンツーが振り上げたガッツポーズの下ろし場所に困り、「ゲッツ」を披露するお茶目さを見せるなど部分的な見所はあったものの、相川と岳也は清野と新居に比べればコンビネーションという意味ではまだ少し噛み合っておらず、追加点を奪うことが出来ず試合はロスタイムへ。
 開幕戦ではここからの戦い方をミスって追いつかれましたが、今回はさすがに岳也がキッチリボールをキープ。村上のパンツをおろして半ケツをさせるおまけつきのキープでなんとか逃げ切り、これまでと比較して内容的にはパッとしない中での勝利。勝点3をゲットした試合は、ヤンツーの「ゲッツ」をしっかり抜いたHBCがMVPだと思います。

印

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