? ヤンツー烈風隊
サッカー百鬼夜行

第4節 対湘南ベルマーレ
2004.4.3(SAT) 平塚競技場

湘南ベルマーレ 1-1 コンサドーレ札幌
高田【41分】 1-1
0-0
田畑【36分】
スターティングメンバー
鈴木 GK フジ
北出
チャカ
村山
DF ソダン
パパ
キチ
浮氣
中里
加藤

坂本
MF 岡ちゃん
直太朗
タバタリアン
シャチョー
スナマコ
柿本
高田
FW 清野
King of Sapporo
坂本→城定【45分】
金→佐野【45分】
アンドゥー→戸田【86分】
交代 シャチョー→イチ【43分】
King of Sapporo→岳也【65分】
直太朗→中尾【74分】
加藤【38分】 警告  

試合の感想
 前節待望の初勝利を挙げた札幌は、返す刀で今週はアウェイ。平塚競技場で湘南ベルマーレとの対戦となります。アウェイではてんでからっきしなことの多い札幌ですが、ここ平塚は札幌にとって非常に相性のいいスタジアム。過去ここで5度戦って4勝1敗(1999年、2001~2002年は対戦なし)。唯一の敗戦は1998年10月21日Jリーグセカンドステージ。これも2-2で延長戦でも決着がつかずにPK戦で破れたものですから、引き分けと考えれば一度も負けていません。2000年にはJ1昇格を決めたスタジアムでもありますし(ちなみにこの時の日付も10月21日でしたね)、札幌のサポーター、特に毎度毎度残念な思いをすることの多いアウェイのサポーターにとっては、数少ない「悪い思い出のないスタジアム」です。
 で、そんな数少ない相性のよいスタジアムでの試合となるわけですが、今年の湘南には数多い天敵の一人であるアマラオが移籍してきています。過去9試合で6点を取られているだけに、札幌にとっては厄介な選手が入ってきたものです。週中の練習でも「アマラオ対策」に結構な時間を割いていたようですし、今年で38歳になるとはいえ警戒が必要であることはヤンツーも感じているようです。ただし、オレを始めとして札幌のアウェイサポーターには割とアマラオの隠れファンが多く、昨年のFC東京のホームラストゲームにはゴール裏メイトに会いまくったほど。アマラオが見られることを楽しみにやってきたサポーターも多いと思われます。もちろんオレも。

 いねぇじゃん、アマ

 イヤ、試合の結果だけを考えれば、いないのならいないほうがいいに決まってるんですけどね。頭ではわかってるんですけど、何かが物足りない。うーん、たとえるならですね。ドジをやらなくなったカミさんといった感じでしょうか。わかりにくいけど。

 まぁそんなわけで札幌の話に移りますが、初勝利を挙げた前節とスタメン、ベンチメンバーともまったく同じ。それどころか、監督以下コーチ陣はもちろん、スタッフの顔ぶれまで前節とまったく同じです(←当たり前です)。そんな感じでメンバーについては改めて挙げるまでもないので省略。湘南は時崎が出場停止、代わりは羊ヶ丘中出身の北出勉です。ちなみにオレは西岡中ですが心底どうでもいいと思いました。
 ここまで3試合連続引き分けという負けてはいないが勝ってもいない微妙な成績の湘南と、1勝2分そんなに変わらない成績の札幌という、明らかに引き分けになりそうな試合がキックオフ。

 一つ勝って波に乗るかと思われた札幌ですが、立ち上がりから何だか出足が妙に鈍く、運動量もあまり多くありません。ここ2戦ほどロングボールは多くなかったと思いますが、ショートパス主体で攻めていこうという意図自体はわかるものの、何しろ味方がボールを持っても周りがあまり動かず、パスコースに顔を出さないためコース自体が少ない上、そのコースにいる受け手側が動いちゃいないので、パスが全然繋がりません。この日の関東地方は特に暑かったというわけではなく、もちろん札幌に比べればずいぶんな気温差があるのでしょうけど、それにしても身体が重すぎます。一体何が起こったのでしょうか。「昨日花見酒をしたに違いない」というのはうちのカミさんの見解ですが、さもありなんといった感じの状態。つまりは二日酔いサッカーです。
 しかしそんな状況でも存在感を発揮していたのが智樹と新居のユースコンビ。細かいミスはもちろんありましたが、新居はサイドに流れて起点を作ったり、ポストに入ってのもらい方やトラップに格段の成長を見せ、智樹は相変わらずの視野の広さでいいところにボールを散らし、またディフェンス面での成長も見られました。一度自陣の深いところでボールを奪った智樹が、奪った瞬間既に前線で走り出していた新居に向けてピンポイントのロングパスを通すというシーンは、まさしくあのJヴィレッジでオレに鼻血を出させた「萌え萌えホットライン」でした。
 とはいえ、そういったチャンスも結局は単発で終わることが多く、なかなか有効な一手を打つことが出来ません。湘南のプレッシャーが速く、うまく守っているということもあったのですが、それにしても点の取れる気があまりしません。だいぶ落ち着きの出てきた吉瀬を始めとして守備陣は集中できており、逆に点の取られる気もそんなにしないので、こりゃいつもの通り前半は0-0で終わりかなぁと思っていた前半36分のコーナーキックのチャンス。三原の蹴ったボールは湘南GK鈴木がリフレクトしますが、そのボールの先にいたのは、そう、俺達のソダンでした。札幌で一番神に近い男は、自分のもとに飛んできたボールに向かって神の閃きでオーバーヘッドキック。

 神が…翔んだ…

 その姿に誰もが目を奪われたそのシュートは、ものの見事にゴールネットに突き刺さるはずもなく、当たり損ねてあさっての方向へ。しかしラッキーなところにその先にはパパ西澤が。体勢の悪かった西澤は更に繋ぐのが精一杯でしたが、その先にうまいこと待っていた田畑が身体をひねりながらちょこんと合わせたボールは、神に目を奪われていた湘南DF陣が正気に戻る前にゴールの中へ。なんとも突然に札幌が先制しました。
 ゴールを挙げた田畑は大いによくやったと褒めてあげたいですが、試合の流れから考えれば、正直もうけもんの1点。あとはしっかり守りながらカウンターを狙うのが常道と思われましたが、その直後に三原が相手選手と接触して負傷。パラシオスまでもが心配そうにのぞき込むほど苦痛にのたうち、自分で「×」サインを出した三原の姿に、チームメイトも動揺したであろうことは想像に難くありません。タンカで運び出される三原に気を取られているスキを突かれる形で高田保則にループシュートを決められ、同点に追いつかれてしまいました。
 明らかに重傷と思われる三原は市村と交代。市村は例によって心の準備が充分じゃないままピッチに放り出されたわけですが、その数分後に前半終了。言ってみればゴングに救われたという感じでした。

 さて後半。ヤンツー指導が入った札幌イレブンの奮起に期待したいところですが、やはり動きは鈍いまま。一向にしゃきっとしないチームメイトに業を煮やしたソダンが、ボールを置き去りにしたまま自分だけが突き進んでいく神ドリブルを披露したりしてましたが、いつもなら後半には復活してくる岡田がこの日絶不調。さらには砂川もドリブルにもキックにもキレがなく、市村もやはり左サイドは窮屈そうで、どこから攻めてもサッパリな状態が続きます。
 そうこうしているうちになにやらベンチで動きがあります。まぁそろそろ選手交代もある頃合いですが、早い動き出しでうまくパスを引き出していた新居に比べ、2トップの片割れの清野が今ひとつぴりっとしていなかったため、清野に代えて相川かなと思っていたのですが、準備しているのはなぜか岳也。とてもイヤな予感がします。ピッチ脇で待つ岳也の横で、第四の審判員が掲げた選手ボードに表示された背番号は…13番。

 ヤンツーご乱心

 ヤンツー殿、試合中でござる、試合中でござるぞ! 気をお静かに岳也をおおさめなされい! と叫んでも後の祭り。ここまでヤンツーの選手交代を見てきて、負傷退場などの不慮の事態の場合以外は同ポジションの選手交代しかしておらず、システム変更を伴う交代はこれまで一度としてありません。まぁこれまでの試合でリードされたことがないので、バランスを崩してまで点を取りにいくシチュエーションになかったからという見方も出来ますが、それはともかくとしてもFWを増やすというのならまだしも、ケガをしているようには見えなかった新居を引っ込めるだけでも納得しかねるのに、入ってきたのは鳥インフルエンザ発症中の人。案の定、入ってきた途端にほぼ消えた状態に陥る岳也。ボールをもらっても奪われる、スピードが身上だったはずなのに35歳パラシオスにすら走り負けている体たらくで、ますますゴールの予感は遠のきます。
 更に畳みかけるようにヤンツーは智樹に代えて中尾を投入。ご乱心にもほどがあると思ったのですが、このあたりから湘南の選手の運動量ががくっと落ち始めたため、結果的に札幌の攻めが分厚くなった、ように見えますが、完全に崩しているわけではないのでやはり決定的なチャンスはほとんどありません。
 砂川からのグラウンダーのクロスに清野が飛び込み、こぼれたボールを再び清野がシュートするというもっとも決定的だった場面も、がら空きのゴールの上に外してしまいゴールならず。その後も市村や清野がシュートを放つ場面が見られましたが、GKにセーブされたり岳也にクリアされたりで決められず試合終了。結局やっぱり引き分けで終わったのでした。

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