? ヤンツー烈風隊
サッカー百鬼夜行

第8節 対京都パープルサンガ
2004.4.29(THU) 京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場

京都パープルサンガ 2-0 コンサドーレ札幌
黒部【14分】
辻本【71分】
1-0
1-0
 
スターティングメンバー
西村 GK フジ

辻本

鈴木
DF ソダン
パパ
キチ
斉藤
ナメック星人
渡邉
中払
MF 岡ちゃん
暴れん坊
タバタリアン
イチ
スナマコ
松井
黒部
FW 清野
岳也
金→ミニラ【39分】
渡邉→中山【60分】
黒部→田原【69分】
交代 イチ→King of Sapporo【60分】
タバタリアン→智樹【67分】
岡ちゃん→アイカー【74分】
斉藤【33分】
ミニラ【89分】
警告 パパ【14分】
暴れん坊【50分】

試合の感想
 ゴールデンウィーク5連戦の2戦目はアウェイ2連戦。昇格候補の一角・京都パープルサンガとの試合となります。2000年にJ2に降格し、翌2001年にJ2優勝を果たして1年での復帰に成功した京都は、J1に返り咲いた2002年は下馬評を覆して通算5位という好成績を挙げたばかりでなく、この年の天皇杯にまで優勝しました。主力を構成する選手の多くが生え抜きの若手だったこともあって、誰もが「京都は強豪の仲間入りをするだろう」と予測していました。しかし翌2003年、PSVに移籍した朴智星の穴を埋めきることが出来なかった上、主力選手が代表に取られたりして連敗を重ね、ついに史上2チーム目の2度降格チームになってしまいました。ちなみに史上初は札幌です。改めて再度のJ1昇格を狙う今季、ユースからの生え抜き選手である元ユース代表DF・角田誠を失ったものの、市原でゴールを量産していた崔龍洙を獲得するという大補強を敢行。同じ2回降格仲間ではあっても、札幌と違って潤沢な資金を持っている京都。その某メインスポンサー会社の某経理部に勤めているカミさんの友人が言った、「(チームに)いくら使ってると思ってんねん」というあまりにもリアルなコメントを思い出しますが、とにかく黒部や松井といった代表クラスの主力の残留にも成功。盤石とも言っていい布陣でシーズンを迎えました。唯一の不安といえば、監督が西村さんという守備なんてハナっから考えの外にある人であるということでしょうか。
 そのためかどうかはわかりませんが、総合力なら現在首位の川崎フロンターレすら凌駕する陣容ながらも、開幕戦で大宮に逆転負けを喫するなど勝ちきれない試合を続け、7節を終わった時点で2勝3分2敗の6位と、その前評判とは裏腹にパッとしない成績。頼みの崔龍洙もケガで離脱中と波に乗り切れません。

 対して札幌の場合、まぁ波に乗りきれないというよりかは乗れる波すら来ていないといったほうが正しいような気もしないでもないですが、現在引き分けを挟んで2連敗中。結果はともかくとしても水戸戦はヤンツーの憤怒っぷりを見るまでもなく内容がかなりアレでしたので、スタメンを多少いじってくるかと思われましたが、ふたを開けてみれば前節水戸戦と同じメンバー。実際のところヤンツーの正直な印象としては変えたくても変えようがないというところなのかもしれません。
 本調子ではないといっても力関係から言えば圧倒的に格上の京都が相手、しかも前節から中3日でのアウェイ連戦、ナイトゲームと苦手要素が揃った中での試合ですが、何とか勝点をもぎ取りたいところ。あとの見所はビジュと中尾の退場デスマッチくらいでしょうか。

 さてキックオフですが、予想とは裏腹に札幌が立ち上がりから積極的に攻撃を仕掛けていきます。とはいえやはりミスが多く、相手ゴール前までボールを持っていくことが出来ません。そうなると前線に向けて考えなしのロングボールを放り込むくらいしか手はないのですが、いくら京都のディフェンスがそれほど強力ではないといっても空中戦で岳也と清野が主導権を握れるはずもなく、ボールを持っている割には攻めている感じがしません。
 ところが京都のほうもパッとしません。選手の動き出しが遅く足元足元へのパスが多い上、攻撃パターンが「黒部のポストプレイで、ん~あとは以上」というくらいしかないので、札幌としてはプレスのポイントを絞りやすいため守りやすいパターンです。しかしそうは言ってもやはり京都の選手は単純にうまいです。黒部はさすがに強いし、松井のテクニックもJ2の範囲を超えています。1対1のマッチアップになるとこのあたりはさすがに不利で、特に松井は2~3人に囲まれても抜ける力は持っているので、局地的な争いはどうしても分が悪くなります。いわば全員のび太対全員ジャイアンという感じです。
 そんなわけで前半14分、左サイドを破られて黒部のポストからフリーとなった中払を西澤がペナルティエリア内で倒してしまいPKを献上。このPKを黒部にしっかり決められ先制されてしまいました。
 先制されると途端にガクッと来てしまうのは昔からの札幌の伝統。それまではそこそこはボールが回っていたのに、ここからは京都にペースを握られてしまいます。ここまでホームで勝ちがなかった京都は先制したことで俄然調子づいてしまい、それまであまり上がってくることのなかったビジュもガンガン上がってくるようになり、古都・京都で繰り広げられる宇宙サッカー。札幌は追いつくどころかボールを前に運ぶことすら四苦八苦するようになり、ボールが前に行かないのですから2トップも消えっぱなし。どうにもこうにも打開の糸口がつかめないまま結局前半はほとんどいいところなく、シュート1本すら打てないまま終了。

 後半、ヤンツーはやはりメンバーは変えてこず。まぁ確かに中盤で主導権を執れずにボールを前に運べないのではフォワードがどうこうという話ではないとは思いますし、かといって中盤をどうこうしろと言われても、単純にメンバーを変えてどうにかなるもんかと言われれば、力が互角くらいならまだしもこと京都が相手ということを考えればそれもまた難しいと思います。なのでまぁヤンツーもツラいところだとは思いますが、後半も京都ペースのまま試合が進みます。
 京都は前半、金徒均が負傷退場するというアクシデントはあったものの、相手がディフェンスラインまで来ないので特に問題はなし。後半15分には新居が投入されましたが、いつもの通り市村と交代で左サイドに入ったのではそれまでとそう変わるはずもありません。その7分後にはようやく智樹が入りましたが、既に京都も引いて守っており、スペースがないため彼の持ち味であるロングパスも生きず。なおかつ札幌の手の内を知るビジュが、「必殺清水寺パス」とか「必殺五重塔ジャンプ」とか「必殺金閣寺ヘディング」とか「必殺北野天満宮プレス」とか「必殺三十三間堂ランニング」とか「必殺東大寺スライディング」などの京都技ですっかり京都の一員となったところをアッピールしますが、東大寺は奈良県にあるというところまでは気がついてない模様です。
 そんな試合展開に西村監督はゴールデンウィーク連戦の疲労を考慮、というよりは次節川崎フロンターレとの試合を睨んだか、後半15分には渡邊に代え中山を、19分にははやばやと黒部を下げ田原を投入する余裕の采配。なめられたもんだと思いましたが、その2分後にはキッチリ追加点を献上するのですから始末に負えません。コーナーキックから辻本にヘディングをきれいに突き刺されてしまいます。
 1点くらいなら2つくらいラッキーが重なれば何とか追いつけるかもしれませんが、今の札幌の攻撃力で2点差を跳ね返すのは相当に難しいと言わざるを得ません。ヤンツーはいつもの通り今度は岡ちゃんを下げて相川を投入、またしても「よんとっぷ作戦」を発動しますが、そんなろくに練習もしていない布陣が京都相手に通用するはずもなく、かえって攻め込まれるハメに。黒部に比べればスケールの落ちる田原だったので何とか失点は免れましたが、そうかといって札幌のチャンスが増えると言うこともなく、結局シュート4本とほぼ完璧に抑え込まれて試合終了。終了間際のビジュの「大文字焼きシュート」だけが印象に残った試合でした。

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