? ヤンツー烈風隊
サッカー百鬼夜行

第20節 対サガン鳥栖
2004.6.29(SUN) 札幌厚別公園競技場

コンサドーレ札幌 1-2 サガン鳥栖
清野【10分】 0-1
1-1
竹村【24分】
高橋【34分】
スターティングメンバー
サンヒョク GK 富永
ソダン
リーダー
健作
DF 井手口
佐藤
山道
伊藤
イチ
直太朗
ゴンドー
三沢
MF 本橋
小石
高橋
よしろー
堀江
アイカー
King of Sapporo
FW 菅原
竹村
King of Sapporo→クワ【73分】 交代 よしろー→矢部【58分】
伊藤→グリ【75分】
三沢【27分】
直太朗【29分】
リーダー【52分】
警告 井手口【64分】

試合の感想
 前節首位川崎フロンターレに0-6という大敗を喫し、連敗脱出どころかより深みにはまった感のあるコンサドーレ札幌。いくら何でも底打ち状態だろうと思っていたら、今いるのは実は底なし沼なんじゃねぇかといった感があります。札幌において底が抜けているのは財布だけで充分なんですが、今節はホーム厚別でのサガン鳥栖戦となります。鈴木チェアマンからの存続条件をクリアできず、Jリーグからの支援打ち切りを示唆されるなどクラブを取り巻く環境は相変わらずごたごたしていますが、ここまで6勝をあげ、2位とは勝点10差の9位とまずまずの成績を収めています。第1クールでは、札幌はその鳥栖とアウェイで対戦、2-1という見慣れたスコアで破れています。
 鳥栖はチーム存続のためにはまずいい成績を上げて世間を納得させるしかないわけですが、そうはいってもさほど選手層が厚いとはいえないチーム。松本育夫監督もやりくりには苦労しているようで、前回の対戦とは大きくメンバーとフォーメーションを変えてきています。

 で、鳥栖の窮状はわからんでもないけど、人の心配をしてる場合じゃない札幌も、メンバー構成には苦労しています。前節レッドカードによる出場停止だったソダン・ザ・グレート・スーパースター・プリマドンナが戻ってきたものの、川崎戦で負傷した砂川まで戦線離脱。さらにはその川崎戦で後半からトップ下で出場し、きらりと光るものを見せてポスト砂川の一番手に名乗りを上げたルーキー上里が、週中の練習で骨折してしまいリタイア。代わりに同じくルーキーの桑原剛が2度目のベンチ入りを果たしましたが、ヤンツーも頭が痛いところでしょう。ただし、一つだけ明るいニュースといえば、健作が約1年ぶりにスターティングメンバーに名を連ねたことでしょうか。ベテランばかりが離脱していく中、チーム在籍が藤ヶ谷に次いで2番目に長い健作の復帰は心強いことでしょう。正直、今のところはまだ自分のプレイ感覚を戻すことにいっぱいいっぱいだとは思いますが、健作も自分に何を求められているかは理解しているでしょうし、まずは名実ともにチームの一員として加われたことを是とするべきでしょうか。
 とはいえ、チーム状態は正直そんなことを言ってられるような余裕はほとんどなし。前節川崎戦の終了後には、ふがいない戦いっぷりに怒ったサポーターと一悶着がありました。やり方に問題はあったにせよ、サポーターの考えはチームにも伝わったらしく、その直後の試合ということで果たしてどう変わったか注目です。

 と、その効果があってか、試合は開始から札幌ペースで進みます。スナマコがいないためヤンツーは相川を少し下げる3トップ気味の布陣を敷いてきましたが、急造の割には3人の連携はさほど悪くなく、シーズン当初はケガの影響かパフォーマンスに不満の残った相川も、試合を重ねるごとにコンディションも上がってきたのかここ最近はだいぶ前線で体を張れるようになってきており、中盤でボールをもてるようになってきました。復帰したての健作も積極的にオーバーラップを仕掛けてチャンスを作るなど、思いの外動きは悪くありません。
 そして前半10分、右サイドでボールを受けた相川が中央の新居へパス、新居はこのボールを左サイドで待ちかまえていた清野へダイレクトで浮き球のパスを送ります。オフサイドラインぎりぎりでボールを受けた清野はワントラップ、飛び出してきたキーパーよりわずかに先にボールに触ってゴールに流し込み先制。久しぶりの勝ち点3へ向け幸先のいいスタートを切りました。
 先制して勢いに乗る札幌はその後も鳥栖を攻め立てますが、しかしそこでペースを握ったまま試合を有利に進められないのがまた札幌の札幌たる所以です。前半24分、カウンターから崩れたラインをするすると竹村に突破されてしまいます。「ぶらり湯煙一人旅」といった感じでのんびりと攻め入ってきた竹村が左足でシュートを放つと、ボールはのんびりと札幌ゴールを割り同点に追いつかれてしまいました。
 少し気をつけていれば防げたはずの失点を食らった札幌は、焦ってしまったのかここからてんでバラバラの状態に陥ります。その混乱に乗じた鳥栖は、34分には再び竹村に突破され、折り返しを高橋に決められあっという間に逆転されてしまいました。
 その後も両チームともチャンスは作り出すものの、お互い決めることはできず前半は1-2のまま終了します。

 気がついてみたら逆転されてはいますが、全体的な出来自体はさほど悪くはありません。前半の調子でいけば「2点目の壁」を破ることはさほど難しくはないと思われました。実際その通り後半もペース的にはどちらかといえば札幌で、それなりにチャンスは作り出せるのですが…何しろシュートが入りません。入らないっつーか、そもそも枠に飛びません。なんといいますか、この人たち全員縁日の射的用のコルク鉄砲なんじゃないかと思わせるほど、狙っても狙っても器用に的を外してくれます。ねぇおっちゃん、この鉄砲おかしいんじゃないのとは思っていても言えません。
 攻めても攻めてもゴールが出来ない札幌は、どうやったら点を取れるかということをすっかり忘れてしまったのかもしれません。三原がいない今はゴール近くでの直接フリーキックすらチャンスにならないわけで、もう八方手を尽くした挙げ句に「ソダンのフリーキック」という、溺れる者は藁をもつかむというか、正真正銘の神頼みまで繰り出しますが、それでもゴールをあげることが出来ません。
 ならばせめてフリーキックの時だけでも精度の高いボールを蹴られるヤツを、とヤンツーはいよいよ桑原を投入。その入った直後に得たフリーキックを、桑原が早速蹴りに行きます。初出場ながらたいした肝っ玉です。桑原といえば、思い出されるのが高校選手権準決勝の対鹿児島実業戦で、決勝への切符を手にする値千金の決勝ゴールとなったフリーキックです。当然札幌サポーターはあのフリーキックを思い出したでしょうし、本人もそれをイメージしたことでしょう。初出場の筑陽学園を決勝まで導いたその右足から放たれたボールは、鋭い弧を描き鳥栖ゴールへ突き刺さる…なんてことはなく、上がりきらずに壁にずどん。ま、世の中そんな甘くはないわな。
 その後も積極的にディフェンスを行ってボールを奪い、何とかしようと試みた桑原ですが、やはりまだまだフィジカルコンタクトでは分が悪いようで、鳥栖の選手に吹っ飛ばされるシーンも多く見られました。ただ先日のサテライトと比べてもずいぶん成長はしているようです。まぁそもそもルーキーに何とかしろというのも酷な話だけど。

 結局、後半はスコアは動かずそのまま終了。第1クールは2点を先制されて1-2、今節は先制しながらも逆転負けと流れに多少の違いはありましたが、終わってみればやっぱり1-2とオチは同じという結果となり、まさにドリフチームとしての面目躍如な試合でした。

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