? ヤンツー烈風隊
サッカー百鬼夜行

第35節 対水戸ホーリーホック
2004.9.23(THU) 札幌厚別公園競技場

コンサドーレ札幌 2-1 水戸ホーリーホック
曽田【72分】
相川【82分】
0-0
2-1
小林【75分】
スターティングメンバー
サンヒョク GK 武田
パパ
ソダン
西嶋
DF 須田
柴小屋
イチ
タバタリアン
ゴンドー
三沢
スナマコ
MF 吉田
北島
栗田
森田
磯崎
アイカー
堀江
FW 磯山
樹森
  交代 吉田→伊藤【45分】
須田→小林【66分】
西嶋【10分】 警告 栗田【44分】

試合の感想
 かつていくつもの伝説を生み、札幌を支え続けてきた「厚別神話」もいずこへやら、今年まだ1試合も勝利がない厚別でのJ2第35節、相手は水戸ホーリーホックです。第18節の湘南戦を最後に前節まで実に16試合勝利がなく、さらには第24節の札幌戦から第32節山形戦まで9試合連続引き分けという微妙な記録のあとは3連敗中。現在第10位と昇格争いからは脱落してしまっています。
 そんな水戸も今季は実は札幌と同じくまだ4勝しかしておらず、総得点25も札幌とまったく同じ数字(J2ワースト)です。成績から言えばほぼ互角の実力と言っていい両者の勝点8の差はそのまんま引き分け数の差でしかなく、水戸の17引き分けは横浜FCの19についでJ2第2位。このあたりはねばり強いといえばねばり強いとも言えるし、決定力がないといってしまえばそれまでなんですけどね。まぁ、水戸の4勝のうち半分は札幌が献上したのですけど。まぁ札幌の勝ち数の半分は仙台がくれているわけですし、水戸は堀井岳也に唯一のゴールを喰らったチームですからどっこいどっこいであろう。

 さて迎え撃つ札幌は、ヴィッセル神戸から移籍してきたばかりの西嶋が早速スタメンに名を連ねます。この試合がプロデビューとなる西嶋は健作移籍で開いた左ストッパーに入り、前節山形戦で左に入った田畑が元のボランチに戻り、前節は累積警告によりサスペンションだった権藤とのダブルボランチとなります。前節レッドカードで退場した楽屋が出場停止なので、2トップは清野と相川、ベンチには斉川が名を連ねました。
 いい加減そろそろ初勝利がほしい厚別競技場での試合、HFCは「フェアプレイおじいちゃん&フラッグおばあちゃん」という敬老イベントを実施。フェアプレイフラッグを65歳以上の男性が、選手との入場を65歳以上の女性がそれぞれ担当しました。広島・神戸で1試合も試合に出られず、最後のチャンスのつもりで札幌へ移籍してきた西嶋。苦節3年半を経て彼が初めて踏んだ記念すべきプロのピッチはおばあちゃんといっしょというものでした。

 さて、これといった目標のない下位同士の争いではありますが、大盛り上がりだったフラッグおばあちゃんに水戸のメンバーが気合いを抜かれたか、試合は開始から圧倒的に札幌のペースで進みます。水戸は運動量が少なく、札幌のボールホルダーに対して効果的なプレスがかけられないため、札幌の攻撃を食い止めることが出来ません。
 とはいえ札幌も、確かにボールは回るんですけど厳しい見方をすればただ単にそれまで。「おっ」と思わせる展開もないではなかったのですが、一発でのサイドチェンジなど大きな展開がないので、パスは回っても結局は手詰まりとなり、攻めている割にはシュートに持って行くことが出来ず。両サイドの和波、市村もまぁ積極的といえば積極的なのですけど、クロスの精度は相変わらずで、もどかしい攻撃が続きます。
 ところで左ストッパーに入った西嶋ですが、水戸の攻撃に迫力がなかったことを差し引いても、合格点をあげてもいい働きでした。札幌でならば充分戦力にはなりそうです。プロ初試合、さらに右利きには不得手であろう左サイドでの出場で緊張もあったでしょうが、そこら辺はおばあちゃんからもらった年輪パワーでそつなくこなしていました。
 そんな感じで水戸GKの武田が当たっていたこともありますが、この出来の水戸であれば少なくとも前半のうちに1点を取っておかなければいけない流れではあったものの、決定的なチャンスもほとんど作れないまま前半は0-0で終了します。

 後半、4バックにシフトチェンジした水戸に戸惑ったか、開始からしばらくは水戸の攻勢が続きます。開始早々には6本連続でコーナーキックを与えてしまい、栗田泰次郎が右へ左へうろうろするほほえましい姿も見られ、ここは何とか事なきを得ますが、後半20分くらいまで水戸に押されっぱなしのどうにもイヤな流れが続きます。
 ところが、何を思ったか水戸の前田監督が小林を投入して再び3バックに戻すと、再び札幌がペースを握るようになります。そして後半27分、札幌はラッキーな形でコーナーキックを得ました。メインスタンド側から砂川の蹴ったキックは、ヘディングで狙おうとジャンプした西澤の頭を越えてしまい、チャンス潰えたかに見えましたが、そのボールが落ちてきた先に待ちかまえていたのは、そう、やはり俺達のソダンでした。
 普段であれば、札幌のコーナーキックはほぼ必ずと言っていいほどファーサイドにいるソダンを狙います。つまり、コーナーキックから点を奪うためにはまずソダンが相手に空中戦で競り勝つことが前提となるのですが、この時ばかりはソダンはボールに競りに行きませんでした。サポーターとしては、そんな状況ならば「飛べないソダはただのソダだ!」となるところですが、立っていたところにボールがやってきたソダンはなんとジャンプすることなくそのボールをそのままダイレクトでシュート。ボールは武田の右手を弾きゴールに吸い込まれました。
 リーグ100試合出場を自らのゴールで祝ったソダンは、試合後「出来れば頭で決めたかった」と語っていましたが、どんな形でも1点は1点。ソダンが足で決めても1点です。サポーターとしては「ソダンの足ゴール」なんて2点くらいくれてもいいような気がするのですが、とにかく厚別初勝利に向けて喉から手が出るほど欲しかった1点が手に入りました。
 水戸の攻撃力を考えれば1点取ればほぼ安全圏内、のハズですが、そうも行かないのが現在のコンサドーレ札幌というチーム。相変わらずふっと集中力が落ちる悪癖はこの日も顔を出してしまい、先制点からかずか3分後にコーナーキックから小林に頭で決められ同点に追いつかれてしまいました。
 残り時間は15分。1点取るには充分すぎる時間ですが、前節までの34試合中、2点以上取った試合はわずかに2試合のみという札幌にとって、この1失点はただの1点以上の重みを持ちます。後半34分に相川の放った起死回生のダイビングヘッドが武田のスーパーセーブに遭ってゴールを逃した瞬間、「このまま引き分け」という予感がより現実味を帯びて来ました。
 しかし、その予感は幸いにも杞憂に終わりました。その3分後、砂川が何となく突破していったボールを清野が受け、ボールを受けた清野がこれまた何となくドリブルのあと何となく上げたクロスに飛び込んできたのはまたしても相川。ボールはちょっと高すぎかと思われましたが、うまく相手を利用して飛んだ相川がうまく頭で合わせ、ボールは武田の頭上を越えゴールイン。突き放しに成功しました。
 その後もあわよくばもう1点という攻撃を見せた札幌が逃げ切って試合は2-1で終了。厚別初勝利と今季5勝目をゲットしたのでした。

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