? ヤンツー烈風隊
サッカー百鬼夜行

第8節 対アビスパ福岡
2004.4.23(SAT) 札幌ドーム

コンサドーレ札幌 1-1 アビスパ福岡
中山【89分】 0-1
1-0
中村【17分】
スターティングメンバー
髙原 GK 水谷
カガケン
ソダン
画伯
DF 川島
千代反田
宮本
アレックス
岡ちゃん
タバタン
カズゥ
ひろゆき
スナマコ
MF 中村
松下
ホベルト
山形
岳也
元気
FW 有光
グラウシオ
岳也→アイカー【74分】
岡ちゃん→徐【78分】
ひろゆき→社長【84分】
交代 有光→田中【61分】
山形→太田【80分】
グラウシオ→大塚【89分】
スナマコ【36分】
岡ちゃん【52分】
警告 千代反田【65分】

試合の感想
 前節首位京都を相手にアウェイでドローに持ち込み、京都の独走をちょっとだけ遅らせたコンサドーレ札幌は、今節は札幌ドームに帰ってきて2位のアビスパ福岡を迎え撃ちます。若手を中心にしたチーム作りで少しずつ地力を上げつつJ1昇格を狙い、昨季は柏レイソルに敗れはしたものの入れ替え戦にまで駒を進めた福岡。松田浩監督3年目となる今季は当然「J1昇格」を現実目標として捉えているはずで、その意気込みは例年以上のものがあるでしょう。
 基本的には札幌と同じように決して予算的には恵まれていないローカルチームだけに主力の引き抜きは避けられず、昨季も増川や米田といった中心選手が移籍したものの、練習生から這い上がってきた有光亮太と登録締切直前に駆け込みで獲得したブラジル人FWグラウシオの2トップを武器に開幕から好調を維持。負けなしで京都を追撃しています。

 札幌は前節に引き続きアバレンジャー池内が出場停止。さらには週中の練習でキャプテン和波が足首を痛め欠場という厄介な事態。湘北高校で言えば三井寿と木暮公延を失ったようなものです。とりあえずジャンプ力といい初心者っぽいところといい何となく桜木花道っぽいソダンがいますが、やはりメンツ的には何となく不安です。もっとも、誰がどうであろうがこのチームには最初から流川くんはいないわけなんですが。
 とにかく問題なのは左サイド。和波以外にトップでやれそうな本職の選手はおらず、ヤンツーは苦肉の策として左ストッパーを務めていた西嶋をサイドで起用、左ストッパーには久しぶりの出場となる西澤が入り、和波欠場の煽りを食ってか左前目のボランチには三原ではなく上里が出場。湘南戦の和波、池内、三原と比べると明らかに軽そうな(質量共に)左サイドです。

 さて試合は予想に反して静かな立ち上がり。福岡は早めに2トップにボールを入れてガリガリ来るかと思われましたが、長旅の疲れのせいか、それとも初の札幌ドームの独特の雰囲気に気圧されたのかどの選手も動きがよくなく、有光やグラウシオにいボールが入りません。そうかといって札幌もペースこそ握っているもののいつもの通りミスが目につきます。「どうしたみんな! もっとしっかりしろ!」とよせばいいのに気合充分のソダンが、足で真上にクリアして落ちてきたボールを頭で鋭く跳ね返す自作自演はあったものの、本調子でない福岡を相手に攻めきることは出来ません。
 それでもいつも以上に犬だった岡ちゃんがミドルシュートを放ったり、砂川からのスルーパスに反応してシュートを打ったりとチャンス自体は別に少ないわけではなかったので、得点の予感自体はありました。その予感はそう間をおかずに現実のものとなります。

 福岡でしたけど

 それまでチャンスらしいチャンスのなかった福岡ですが、前半17分にディフェンスラインの裏に抜け出た山形の折り返しを中村北斗に決められゴール。難しいボールを難しい体勢から折り返した山形も、あきらめずに詰めていた中村(ともう1人有光?)もお見事ではありましたが、それはそれとしても山形へのボールがラインを割ると思ったのか、それとも山形をオフサイドだと思ったのか、ゴール前に人数はいたのに全員ボールウォッチャーになっていたのが残念。見送るのはカブレラのホームランだけで充分だ。
 そんなわけで、今日も今日とて攻めてはいるのにいつの間にか負けている展開となった札幌。先制点を奪って意気上がるはずの福岡がさほど戦い方を変えてこなかったこともあり、札幌も変わらずチャンスを作り出しましたが、中山のヘッドはいずれも枠の外。追いつきそうで追いつきません。前半は追いつくことが出来ずに0-1で終了。

 後半も大まかには札幌ペースで進みますが、やはりというか何というか前半と同様、というよりはこれまでの多くの試合と同様チャンスは作れどゴールネットを揺らすことが出来ず。この日の福岡の出来からみれば、早めに追いついておけば逆転も狙えそうな感じですが、そのことを意識しすぎてしまっているのか何となく焦っているようにも見えます。「ホームで勝利を」という意気込みが空回りしているようです。前半の失点がなければまだ余裕を持って試合を進められたのかも知れませんけど、あの時ちゃんと守っていれば…と悔やんでも後の祭り。ご利用は計画的にしたところで点が入るわけではありません。
 そんな感じでやっぱり今日も自滅パターンを歩んでいた札幌でしたが、後半16分に何を思ったか福岡の松田監督は有光を下げてしまいます。確かにこの日の有光はあまりいいパフォーマンスを見せていませんでしたが、札幌にとっては一番警戒すべきであった選手がいなくなったわけで、言うなればナレーターを田口トモロヲから田中邦衛に替えるようなもんです。この交代を機に札幌はますます福岡ゴールを脅かすようになります。多くの時間を福岡陣内でプレイし、真ん中からサイドから次々と攻撃を仕掛け、これでもかとばかりにクロスを上げ、何度となくゴールチャンスを作り出しますが、さりとてクロスは誰もいないところへ飛び、シュートはポストへアタルか枠の外。キック精度の問題で片づけるのは簡単ですが、それだけでは説明のつかないくらい器用にセーフティー方面へ逃げていくボール。ホントに相手ゴールにATフィールドが張ってあるんじゃねぇかと思うほどです。
 残り時間も徐々に減っていく中、ヤンツーが動いたのは札幌選手の運動量も落ちてきた後半も30分になろうかという辺り。岳也に替えて相川を投入、続いて34分に岡田に替えて徐を、さらには西嶋に替えて三原を投入しますが、それでも状況に変化はなし。まぁ札幌のメンバー交代なんて狭い部屋を模様替えして何となく気分を変えてみる程度のものしかありませんので、選手交代に劇的な変化を望むのははっきり言えばゼイタクなんですけどね。唯一劇的な効果が期待できるのは三原のフリーキックくらいですが、その三原がいたこともある福岡がヤバイ位置でFKを与えてくれるはずもなく。そんなこんなしているうちに時間はどんどんなくなり、試合はついにロスタイムを残すのみとなりました。

 「やっぱり今日も1点も獲れずに負けるのか…」とサポーターの誰もが思ったことでしょう。もしかしたら選手たちも同じような思いに支配されつつあったかも知れません。そしてロスタイムももう半分を経過した辺りで、相手のクリアボールを拾った田畑が前に送ったボールの先にいたのは…「あの男」でした。そう、俺達のソダンです。
 セットプレイでもなかったのになぜか前線にいたソダンは、ボールを受けるとマルセイユ・ルーレットとは似ても似つかない「マルボウズ・ルーレット」を披露し、右サイドにいた徐へパス。このボールを受けた徐がすかさずふわりとしたクロスを入れると、中で待ちかまえていたのはマルボウズの中山。DFの後ろから素早く前に入って頭で叩き込み、ついに札幌が同点に追いつきました。
 移籍後初ゴール、そして今季ホーム初ゴールとなる記念すべきゴールですが、ガッツボーズすら見せることなくボールをつかみ一目散にセンターサークルに全力で戻る中山。その「勝つんだ」という姿に触発されたか、西澤がうまいカットから何を思ったかそのままドリブルで持ち上がり、すんばらしいスルーパスを前線の相川へ。相川があっさり倒されてなければ1点もののシーンだったのですが、残念ながらシュートを打つことすら出来ずに終わり、1-1で試合は終了。もう少しうまく試合を運べれば勝てたような気もしますが、今までロスタイムに入れられてばかりだった札幌がロスタイムに追いついたのですから、今回のところはこれでよしとしましょう。

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