? ヤンツー烈風隊
サッカー百鬼夜行

第12節 対水戸ホーリーホック
2004.5.14(SAT) 札幌厚別公園競技場

コンサドーレ札幌 2-0 水戸ホーリーホック
O.G.【2分】
中山【65分】
1-0
1-0
 
スターティングメンバー
シャイニング GK 本間
カガケン
ソダン
画伯
DF 須田
吉本
深津
大和田
タバタン
宝宝
スナマコ
カズゥ
美白
MF
小椋
栗田
永井
森田
元気
清野
FW デルリス
清野→謙伍【58分】 交代 永井→マルキーニョ【58分】
栗田→岩舘【68分】
森田→伊藤【85分】
カガケン【12分】
画伯【56分】
警告 小椋【41分】
デルリス【89分】

試合の感想
 横浜FC戦でホーム初勝利を挙げたのも束の間、続くアウェイ山形戦では内容的には悪くないながらも3-0という大敗を喫しただけでなく、岳也が全治3ヶ月という重傷を負い戦線離脱。さらに週中にはクラブ役員が児童ポルノ法違反で逮捕される不祥事が発生、その影響で大口スポンサーが撤退してしまうなど、わずか10日間で自信とか選手とか信用とかお金とかいろんなものを失ってしまった札幌。つってもまぁ、世の中には超デカくて口から破壊光線を出す人っぽい兵器たちがわずか7日間で地球上を焼き尽くした例もありますので、それに比べれば札幌の10日間なんてどうってことないんですけど、どっこい札幌の場合は腐海による浄化を待つ時間はないので、失ったものは自分たちで取り戻していかねばなりません。やるべきことは山積みですが、まずは第2クールの緒戦でもあるこの試合をキッチリと勝っておきたいところ。
 ということで、この試合の相手である水戸ホーリーホックには、札幌のために生け贄になってもらいたいところですが、そうは言っても水戸のようながっちりひいて守るタイプのチームにはとことんまで弱いのが札幌というチーム。現に第1クールのアウェイ戦でも終始押し気味に試合を進めながらカウンターに沈んでいるだけに、札幌にとってはやりにくいチームでしょうし(札幌がやりやすいチームがあるかどうかは別として)、水戸も当然二匹目のドジョウを狙う作戦で来ると思われます。攻撃の核であるデルリスと、「赤き血のイレブン」の息子でありながら市立船橋高校→柏→水戸とまるで赤くないチームにばかり所属している永井俊太は健在。その上札幌から期限付き移籍中の吉瀬広志はベンチスタートとセキュリティーホールはしっかり塞いできた模様です。

 そして札幌のスタメンですが、その溢れんばかりの闘志と圧倒的な存在感で「ゴールマウスの金剛力士」とオレ一人が勝手に呼んでいる「シャイニング林」こと林卓人が満を持してスタメン出場。そして調子を落としている上にどうやらケガをしたらしい岡ちゃんに代わり、福岡戦でアシストを決めた徐が初のスタメン出場と、負傷離脱の岳也の代わりには相川が入る…はずだったのですが、さすがは得点への嗅覚は抜群なのに雰囲気を読むのが苦手な相川は、至って当然のようにケガで欠場。第2節以来のスタメンとなる清野が入り、ベンチには開幕戦以来久しぶりにルーキー石井謙伍が入りました。
 今年初めての厚別での試合ですが、今日も名物と言える強風が吹き荒れます。一般的にホームゲームというのはそのスタジアムに慣れているホームチームに有利なものですが、札幌の場合はここまでのホームゲームは全て札幌ドームを使ってきました。場所が違えば勝手も違うのはもちろんのこと、屋内のドームは完全に無風ですからえらく極端な差です。条件的にはホームの札幌とアウェイの水戸にさほどの差があるとも思えず、チームもいかにこの風に対応できるか、つまりどっちが風の谷の人になるか勝負となるでしょう。

 で、試合開始早々、水戸陣内でボールを受けたDF西澤からのロングフィードが風で流され、目測を誤ったらしい水戸DF吉本の頭に当たったボールがそのまま水戸ゴール内に入ってしまいました。開始わずか2分、オウンゴールで先制です。どうやら風は札幌に味方した模様。どんな形でもいいから点が先に欲しかったので、オウンゴールでもかまいません。まぁ、ラッキーパンチや吉本のミスというよりは、ロングボールに対するGK本間のポジショニングの怪しさのおかげだと思いますけど。
 とにもかくにも札幌はこの1点で随分楽になりました。これまでは「勝ちたい」と思うあまりに空回りすることも多く、特に今回のような「絶対に負けられ(以下略)」の場合はおおむね悪い方向に転がっていたわけですが、早い時間にリードを得ることが出来たのは大きく、結果論ではありますが、労せずして1点を取り精神的にも余裕が生まれた札幌、数少ないチャンスを決めて1対0で勝つはずが自分たちのミスでプランを崩してしまった水戸、両者のメンタルの差が試合を決定したのかもしれません。
 事実、風のおかげでラッキーな得点が入ったはずの札幌も、曽田や加賀、田畑までボールの目測を誤りかぶってしまったり、しばらくぶりの試合でたたでさえ試合勘が鈍っている林も何度もハイボールをファンブルし、なんでもないロングボールでも相手のチャンスになってしまったりと必ずしも風を味方につけたわけではなさそうです。水戸もそんな守備の連携ミスを突いて攻め込んできますが、なぜかシュートが枠を外れたりGKの正面に行ったりで得点にならず。林のソニックブームがそうさせているのかも知れません。
 方や札幌も先制点以降はなかなか思うように攻められません。前半30分くらいにカウンターからうまく抜け出した清野の放ったシュートがゴール左に外れたシーンがめに突いた程度で、あとはだいたい単発攻撃に終わり、大きなチャンスを創り出すことが出来ず。試合は一進一退の攻防…というよりは、妙に大味な試合展開のまま1点リードで前半終了。

 さて、とりあえずは前半リードしたはいいものの、オウンゴール一発きりというのはイマイチ釈然としません。イヤ、普通の試合であればそれでも全然オッケーなのですけど、今回はいろいろと事情がありますので、それでも集まった6800人のサポーターにもちゃんとしたゴールを見せたいところ。まぁ実際問題として、この後何点取ろうとも海は死なないし山も死なないわけですけど、そこはやっぱりサポーターとしては勝ってくれないことには困るわけで。
 というわけでエンドが変わった後半、立ち上がりから積極的に攻撃を仕掛ける札幌ですが、追いつきたい水戸も真っ向勝負で攻め込んできます。流れを引き寄せたほうに勝利が付いてくるであろう試合展開に、先に手を打ったのはリードしているヤンツーでした。後目に後半13分、清野に替えてルーキー謙伍の投入です。
 U-18出身の謙伍は開幕戦でもピッチに立ちましたが、ホームではこれが初の出場。家族や友人たちも見に来ているでしょうから、本人も気合いが入っていたと思われます。投入されたすぐあとに元気のマイナスのパスをダイレクトでシュートを放ちます。まだあどけなさの残る高卒ルーキーの積極的なプレイに触発されたか、札幌イレブンも俄然前向きになります。
 そして試合を決定づけたのは、その高卒ルーキー以上にあどけない19歳の上里のパスでした。相手陣内やや浅いところでパスを受けた上里は、すぐさま前線の元気にロングパス。絶妙な高さのパスは相手DFがジャンプした頭上をわずかに越え、裏で待ちかまえていた元気のもとへ。元気は相手が届かないのを予測していたかのように落ち着いてトラップすると、そのまま右足を振り抜きゴール。待望の追加点を挙げました。

 こうなると札幌はもうイケイケムード。風のせいかキャッチングにミスの目立った林も、70メートルくらいのパントキックを上里に通したり、ペナルティエリアを大きく飛び出して相手のロングボールをクリアするなど随所にトンデモプレイを披露。面白すぎますこのキーパー。その林のすぐ前に構えるソダンといい超人タッグが組めそうです。
 終盤になると捨て身の攻撃に出た水戸にもいくつかビッグチャンスを作られますが、札幌の守備陣もよく集中して身体を張って守り、最後まで得点を許さず無失点のまま2-0で試合終了。クラブの不祥事に対して結果で応え、ある程度の面目は保つことができました。まぁ、逆に水戸は結果的に引き立て役となってしまったわけですが、そこはそれ。わが心に哀しみとなって生きてもらうことで許してもらいましょう。

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