? ヤンツー烈風隊
サッカー百鬼夜行

第13節 対湘南ベルマーレ
2005.5.21(SAT) 平塚競技場

湘南ベルマーレ 0-3 コンサドーレ札幌
  0-2
0-1
上里【15分】
相川【37分】
田畑【71分】
スターティングメンバー
コバ GK シャイニング
鈴木良和
村山
田村
城定
DF ひろゆき
ソダン
画伯
浮氣
佐藤悠介
佐野
坂本
MF たばたん
宝宝
スナマコ
カズゥ
美白
加藤
柿本
FW アイカー
元気
坂本→ロボ【45分】
鈴木良和→高田【68分】
柿本→戸田【78分】
交代 アイカー→謙伍【63分】
スナマコ→ゴンドー【74分】
カズゥ→金子【88分】
田村【70分】 警告 画伯【38分】
宝宝【65分】

試合の感想
 第2クールの緒戦に勝利し、コンサドーレ札幌は上位狙いへ向けてまずは順調なスタートを切りました。第12節終了時点で3勝目と、昨年の同じ時期にはわずか1勝しかしていなかったことを考えると、まさしく通常の3倍の勝ち数となるわけですが、今節は湘南ベルマーレとのアウェイ戦です。開幕当初から順調に勝点を重ね、一時期は京都に次ぐ2位につけていた湘南ですが、ここに来て足踏み状態が続いており、第9節の仙台戦を3-0で落として以来1敗3引き分けと4試合勝ちがありません。前節終了時点で6位と順位は落としたものの、それでも2位の山形とは勝点でわずかに2しか離れていませんので、とりあえずはホームで札幌を叩いて再び上昇気流に乗りたいところです。
 しかしながら、レギュラーDFの白井が2試合の出場停止中に加え、前節ではバリシッチまでもが退場してしまい、この試合は2人仲良く出場停止。4バックのセンターを丸ごと欠いてしまいました。柿本の確変がとっとと終了した今やさほどの決定力を持たない湘南にとって、試合の趨勢において白井とバリシッチの2人が占めるウェイトは高かったわけで、その重要な部分を田村と村山というルーキーと入団2年目の選手に託さなければならないのですから、上田監督も頭の痛いところでしょう。言ってみれば北斗三兄弟のトキとケンシロウがアミバ様とジャギ様になったようなものですからね。

 さて札幌はアウェイ戦が伝統的に苦手なチームです。まぁそうかといってじゃあホームが得意かと言えば、特にそういうわけでもないんですけどね。確かにホームで滅法強い時期はありましたが、今じゃおおむね「アウェイに比べればまだホームの勝率がいい」という程度のものです。ところが、ここ平塚競技場だけは例外的に相性のいいスタジアム。過去この平塚での通算成績は札幌の4勝2分1敗。唯一負けた試合(98年)もPK戦までもつれ込んでの敗戦で、ホームアウェイに関係なく負けまくった昨年ですら、ここでは1度も負けていません。まぁ、勝ってもいませんけど。
 そんなわけで札幌のスタメンは、ケガの癒えた相川が前節スタメンの清野に変わって2トップの一角に入りましたが、右ストッパーの加賀が肉離れを起こしてしまい戦線離脱。前節は左のストッパーをやっていた西澤が右に回り、左には西嶋が入りました。去年後半のレギュラー3バックですが、意外なことにこの組み合わせは今年この試合が初めてで、めでたくレッツゴー三匹が再結成となりました。

 というわけでキックオフ。立ち上がり札幌が上里のクロスから相川が頭でシュートを狙い積極的に攻め込みます。ここまではいつもの通りの展開ですが、今日の札幌はひと味違います。ボールを置き去りにして自分だけが突進する次世代のドリブルを新開発した上里がボールを奪われ、鈴木良和のスルーパスをソダンがクリア、と見せかけて加藤望にダイレクトパス。ボールを受けた加藤にシュートを叩き込まれ先制点を献上…かと思いきや、このゴールはオフサイドの判定で取り消され一命を取り留めます。是が非でも失点には結びつけないのがコンサドーレ・スペクタクルです。
 そして、実はスペクタクルは何も守備だけではなかったのです。前半15分、相手ペナルティエリアのやや外あたりで相手からボールをふんだくった相川がすかさず上里へパス。ボールを受けた上里が迷わず左足を振り抜くと、シュートは美しい弧を描いて湘南ゴールの右上に突き刺さりました。上里のリーグ戦初ゴールで、押され気味だった札幌が先制します。
 首尾よく先制点をゲットしたとはいえ、それでも依然としてペースは湘南でした。札幌はミスも多く思うように試合を進められませんが、その湘南もセンターバックに不安があるからなのか城定・鈴木良和の両サイドバックが上がってくるシーンがあまり見られず、攻めに幅が生まれません。サイドバックの攻撃参加がなければ札幌が中盤で数的優位を取れるため、網をかけやすくなります。そうなれば湘南は柿本を狙ったロングボールを多用してきますが、柿本をマークしているのは誰であろう「天空の覇者」ソダン。柿本へのボールをことごとく跳ね返す様は、「ハエたたき」と表現してもいいほどです。それにしても圧倒的じゃないか我らがソダンは。単純なジャンプ力はもちろんですけど、それだけであれだけ競り勝つのは不可能です。いくらジャンプ力があっても当たらなければどうということはないのですから。特筆すべきはボールの落下点を正確に読むその目です。ハイボールの競り合いはボールの来る方向に正対出来る守備側が有利なのは確かですが、相手より先に落下点に入ることが出来るので、ジャンプではたとえ互角でも頭に当てることが出来るのです。このあたり、昔野球をやっていたというソダンの過去が影響しているのかも知れません。素人は外野フライ捕れないですからね。
 まぁそんなわけで空中戦さえも封じられたわけで、もはや攻め手なしと思われた湘南ですが、どっこい別に湘南は地上戦が出来ないわけではありません。というよりはむしろ中央突破の地上戦のほうが得意。佐野裕哉や加藤望が絡むとやはり攻撃が形になりますが、札幌もレッツゴー三匹を中心に集中してよく守っています。前節ミスが目立った林も特にこれといったミスも破綻も見せず、少しずつ本領発揮といったところ。
 そんな感じで湘南の攻撃を跳ね返しつつ虎視眈々と追加点を狙っていた…と言えば聞こえはいいですが、実はややたじろぎ気味だった札幌に追加点が生まれるのですからサッカーはわからないもの。前半37分、スローインからのボールを受けた徐がふわりとしたクロスを入れます。このボールはファーサイドに流れてしまいましたが、あきらめずに追いかけていった元気が、中で待つ相川に向けて無理矢理頭で折り返します。飛んできたボールを追い越してしまった相川ですが、そこは天性の嗅覚を持つ相川。というよりは野生。見た目とかどことなく。オノレの後ろでワンバウンドするボールを振り向きざまに放ったトルネードボレーはゴール上に突き刺さります。相川の変態的なシュートで首尾よく札幌が追加点を挙げました。

 2点をリードして迎えた後半、内容自体は押されてはいても、あと1点を取ることが出来れば湘南の気勢をそぐことが出来ます。そんなわけで後半も開始から追加点を奪いに行く札幌は、コーナーキックから上里が中に切れ込んでシュートを放つもゴールポストに当たって得点ならず。このチームはリードしてようがしてまいが1回くらいは枠に当てないと気が済まないのでしょうか。さらには何を思ったかオーバーラップしてきた西澤画伯が顔色ひとつ変えずにドリブルでペナルティエリアに侵入し、突破する気配すら感じさせずに相手を抜く不思議な「かまいたちドリブル」で切り裂くシーンもありましたが、抜いた途端に我に返ってまごまごしてしまい得点ならず。逆にその後湘南に与えたフリーキックからヘディングでゴールされますが、これもまたオフサイドで命拾いします。
 停滞気味の攻撃陣に対してテコ入れを図るべく、後半18分に相川に代えて前節なかなかいい動きを披露していた石井謙伍を投入。この采配が当たり、後半25分にはするするとDFラインの裏に抜けた謙伍を田村が倒してしまいPKをゲットします。このPKをタバタンが落ち着いて決めてだめ押しとも言える3点目を入れました。
 えらく効率よく得点を重ねた札幌はもう余裕。まぁ実際は言うほど余裕はなかったと思いますけど、それでも守備陣はよく集中して湘南の攻撃を跳ね返し、さしたる破綻も見せず。このくらいの守備が出来れば、多少押し込まれても変な失点の仕方はしないであろうといった感じです。まぁ、気の抜けた失点の仕方をしたら林にどんな目に遭わされるかわからないですからね。

 結局そのまま無失点で逃げ切り、実に616日ぶりの連勝で今季4勝目。押し気味に進めながらも大敗した湘南、逆に内容的にはよくないながらも効率よく3つのゴールを決め、西澤が何食わぬ顔で4枚目のイエローをゲットした以外は申し分のない勝利を収めた札幌…。試合終了後の会見で、湘南の上田監督のキツネにつままれたような表情が全てを物語った試合でした。

印

戻る