? ヤンツー烈風隊
サッカー百鬼夜行

第21節 対サガン鳥栖
2005.7.13(WED) 鳥栖スタジアム

サガン鳥栖 0-1 コンサドーレ札幌
  0-1
0-0
池内【2分】
スターティングメンバー
富永 GK シャイニング
奈良﨑
一柳
井手口
高地
DF 画伯
ソダン
アバレッド
ビジュ
村主
宮原
長谷川
MF カネコ
ワンコ
スナマコ
カズゥ
美白
新居
氏原
FW アイカー
ゲンキ
奈良﨑→八田【39分】
長谷川→小井手【61分】
氏原→鈴木【78分】
交代 カズゥ→シャチョー【35分】
カネコ→タバタン【65分】
ゲンキ→セエノ【78分】
一柳【69分】 警告 アバレッド【33分】

試合の感想
 前半戦残り2試合となったJ2リーグ第20節、コンサドーレ札幌はサガン鳥栖とのアウェイゲームを行います。前節甲府に逆転勝ちを収め、モンテディオ山形にホームで0-2と破れたショックを払拭した感じの札幌に対し、相手の鳥栖は5月21日の第13節ベガルタ仙台戦以来、4試合ホームで勝ちがありません。勝利自体も14節山形戦以来6試合なく2位だった順位も6位にまで落とすなど一時期の勢いにも陰りが見えている状況です。鳥栖のサッカー自体にそう大きな変化はありませんので、鳥栖の進化のスピードよりも他のチームの進化のスピードが速いのかも知れません。いわゆるメカ桃白白みたいなもんでしょうか。全然違いますね。
 まぁそんな感じで勢いの差はあるものの、鳥栖にとって札幌は比較的相性がいいチーム。しかも札幌は中3日ではるばる九州まで移動しての試合ですから、久しぶりのホームでの勝利を挙げたいところ。逆に札幌はここで鳥栖に負けると勝点で逆転されることになり、他の上位チームからも一歩離されてしまうだけに、ここは最悪でも引き分けが欲しいところです。まぁこの「最悪でも引き分け」というのは決して簡単なことではないんですけどね。サッカーに「両者リングアウト」なんてルールがあれば別ですけど。
 で、前述の通りここのところうまく行っていない鳥栖は前節からメンバーを変えてきました。前節の退場でこの試合出場停止の守護神・シュナイダー潤之介は仕方がないとしても、ここまでチームトップタイの7得点を挙げている、名前が微妙に日本代表っぽい鈴木孝明をベンチに下げ、184cmの長身氏原をスタメンに起用。相方はもちろん元"King of Sapporo"現"King of ARIAKE(候補)"新居辰基。ダブルボランチにはビジュと前節同点ゴールを決めた村主博正、CBの井手口を含めればスタメンの3分の1が元札幌と完全に同窓会モード。ちなみにこの日その井手口と共にCBとしてスタメンに入った一柳は、お父上が岩見沢の出身。同じ岩見沢の鈴木智樹と一柳とはU-16代表時代から仲がいいのですが、智樹自身は北海道居残り。もしかしたら新居が一柳にユース時代の智樹についてあることないこと吹き込んでいるかも知れませんので、智樹が新居や一柳によるつぶやき作戦に晒されることを考えればむしろよかったのかも知れません。
 対する札幌は前節甲府戦と同じメンバー。前節スペクタクル連発で途中で引っ込められた西澤画伯もつつがなくスタメン復帰しています。「勝っているチームはいじるな」という格言通りベンチも含めてまったく同じ。ヤンツーとしては現時点でのベストということなのでしょう。これについて特にコメントはないのですが、前回甲府戦の観戦記で書いた内容について曽田さんと画伯の子供は息子さんでした訂正してお詫びいたしますごめんなさい。

 さてキックオフ。気温26.7度、湿度78%という道民にはつらいコンディションでは、通常の1/3の運動量くらいしか期待できません。言ってみれば逆噴射シャアザク、略して逆シャアです。アクション&ムービングサッカーを貫くには厳しい状況ですから、いかに効率よく試合を進められるかがポイント。そんな感じで思っていたら、前半2分に得たコーナーキックで、上里の蹴ったボールを池内が頭で叩き込み幸先よく先制しました。
 池内はこれで2試合連続のゴール。セットプレイではソダンにマークが集中するという背景があるにせよ、DFにも得点力が求められる鹿島で育ってきた池内らしく、セットプレイだけで今季5点目。チーム得点王が相川の6ゴールですから、脅威の得点力です。セットプレイでの池内は本当に頼りになる、のはいいんですけど、その反面フォワードもっと頼らせてくれよという気もしなくもなく。まぁ点が取れれば入れるのは誰だっていいのですけど、そうは言ってもやっぱりアレじゃないですか。ストライカーとか攻撃的MFって点を取る人じゃないですか。言ってみれば攻撃における主役じゃないですか。キャプテン翼だって試合を決めるゴールを翼くんや岬くんや日向くんが決めるのと、石崎くんが決めるのとじゃ話的に盛り上がりが全然違うじゃないですか。イヤ、池内は石崎くんじゃないですけど。どっちかというと松山くん? ああそれならまだわからないでもないですね。石崎くんならキャラ的にソダ…いやどっこい。
 そんなわけで貴重な先制点をゲットした札幌ですが、やはりアウェイと言うこともあるのかいつものように「点を取ったらオレ達ノルよ? ノッちゃうよ?」という現金な姿はあまり見られず、どっちかといえば目の覚めた鳥栖の攻撃に晒される格好。しかし、個人能力ではさほどの差はない両チームだけに、札幌としては「局地戦」であれば何とかならんでもありません。目には目を、歯には歯をのごとく当別には当別を、地球外生命体には唯一神を、微妙に共通点がなさそうでありそうな勝負に持ち込む札幌。それでも新居にバーを叩くミドルシュートを打たれたり、ビジュにいろいろ変な技出されたりと旗色はよくありません。
 そんな中でも何とか追加点を挙げて楽になりたい札幌ですが、攻撃の一端を担うべき上里の調子があまりよくありません。必然的に攻撃は砂川への負担とマークがキツくなり、攻撃のバリエーションとしてはかなり限定されてしまい、これではワンボランチの意味があまりありません。逆に守備時には中盤での人数が足りないことがネックとなり、札幌は失点こそしないもののDFが水際で何とか食い止めているという印象。まさに土嚢。しかも悪いことに前半34分には池内が通算4枚目となるイエローカードをまんまともらってしまい、次節京都戦での出場停止が確定。もう1枚もらわなければこの試合には関係がないとはいえ、そのあたりの心理的な落ち込みが心配されます。加えて、ヤンツーは前半36分には動きのよくなかった上里を早々に諦めて三原社長を投入しパスの起点を増やそうとしますが、これは劇的な効果は産まず。鳥栖の松本監督も前半39分に奈良崎に変えて八田を投入、3バックにシフトチェンジします。両監督とも妙に動きが速いです。意地の張り合いにも見えます。
 結局失点は許さず何とかリードを保つことはできたものの、先制点以外はほとんどこれといったチャンスもない悪い流れのまま前半は終了しました。

 後半も鳥栖ペースは変わらず。というよりはむしろより鳥栖ペース。札幌は単発でしかチャンスを作ることができず、鳥栖の波状攻撃に晒されます。それでも身体を張って守る西澤、ソダン、池内、林の守備陣はさながら「北海道防衛軍」といわんばかりの奮闘で、パッと見では悪役にしか見えないですけど。
 畳みかけるように鳥栖の松本監督は、後半16分に長谷川に代えて小井手を投入。それを見たヤンツーもその5分後に金子に変えてタバタンを投入します。守備固めといい人そうな外見で鳥栖の戦闘力を奪う作戦です。さらに鳥栖の松本監督が温存していたチーム得点王の鈴木を氏原に代えて投入すると、すかさずヤンツーも5分後に元気を下げて清野を投入。試合の流れを読んでるのかそっちのけなのかイマイチよくわからない両監督の意地の張り合いを後目に、相変わらず攻める鳥栖、守る札幌いう図式のまま試合が進みます。

 結局、後半は攻撃面では単発ばかりで札幌にほとんど見所はなく、鳥栖の決定力不足にも助けられた面はあるにせよ、虎の子の1点を守りきった札幌が逃げ切りに成功。勝点3を得たものの、疲労で憔悴しきった札幌イレブンの表情は、「オラにはもうハナクソをほじる力ものこっちゃいねぇ…」といってるように見えた試合でした。

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