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2017年12月19日

レジェンド伝説~サイドアタッカー編~

 北海道コンサドーレ札幌 Advent Calendar 2017の記事です。ええ、つまりいつものヤツです。レジェンド伝説。今年も19番の日に担当したんですが、19番の選手いなくなっちゃいましたね。うちの娘と手をつないでくれた石井ちゃん、お元気で。

 さて、初回の助っ人編から始まり、ストライカー編、センターバック編、ゴールキーパー編と来たので、今回はいよいよあれか? 社長もやってたあの中盤の王様ポジションか? 全力で行くか?...と見せかけて、サイドアタッカー編です。ほら、19番の選手もサイドやってたし。

 ただ、ひとくちにサイドの選手といっても、サイドバックやウィングバックだけでなく、4-4-2のサイドハーフや、4-4-3のウィングなども「サイドの選手」として扱われることもあるので、「どの辺までがサイドなのか?」というのは、「細川たかしさんはどこまでがおでこなのか?」と同じくらい議論の分かれるところかと思いますし、また、本来サイドが本職ではない選手がチーム事情でコンバートされるパターンや、あるいは他のチームではサイドが主戦場だったけど、札幌ではサイドではないポジションをやったり、あるいはその逆パターンもあったりするので、線引きが難しいところではありますが、ここでは「札幌でサイドバック・ウィングバックを務めていたことがある選手」を定義とします。
 あと一部の選手は昔某所で書いてた「スター列伝」の焼き直しなのは、気づいても言わないでくださいね。泣くから。

田渕龍二
 1997~2002年所属。右サイドバックや右ウイングバックとして活躍。派手さは一切ない職人気質のプレイヤーでしたが、その柔らかいトラップは一級品でした。札幌時代の一番印象に残るプレイは、やはり2000年7月29日の浦和レッズ戦の同点ゴールでしょう。エメルソンからのサイドチェンジのパスをぴったりと止め、そのままドリブルでペナルティエリアに切り込んで左足でシュート...も見事だったのですが、それ以上に彼らしかったのが、ゴールを決めたあとに発した叫びが、喜びを表現するものではなく「やってもうた!」だったことでしょうか。
 2003年にヴィッセル神戸へ移籍したあと現役を引退、現在は地元の徳島で自動車教習所の教員を務める傍ら、サッカーの解説をやっています。

和波智広
 2001~2007年所属。主に左ウィングバックでプレイしました。「韋駄天」の愛称の通りに、「よーいドンなら誰にも負けない」プレイヤーでした。2001年の、当時最強を誇っていたジュビロ磐田から奪った、「自陣にいたはずなのにあっという間にゴール前にいた」ゴールや、カシマスタジアムで鹿島アントラーズ相手に奪った「相手選手にファウルするヒマさえ与えずぶっちぎった」ゴールも、いずれもその自慢の速力を存分に生かしたゴールです。
 その反面、クロスの精度はいっこうに改善せず、自慢のスピードで相手を置き去りにしたのに、フリーで上げても明後日の方向に飛んでいくクロスは、割と日常の風景でした。
 2004年、キックオフイベントの翌日にヴィッセル神戸に移籍するというウルトラCをかまし、その後発生した「キャンプで退団したアルセウ」「チームに合流することなく退団した松尾直人」と並んで、今なお札幌サポーターに「開幕するまでは絶対に存在を信じない習性」を植え付けることになった人(なおその半年後に復帰している)。
 2007年の契約満了を以て現役を引退、地元の三重に戻りジンギスカン屋を経営していましたが、2013年に当時三重県2部のヴィアティンFC(現在の名称はヴィアティン三重、2017年はJFLに所属)で現役復帰しています。

伊藤優津樹
 2000~2001年所属。岡ちゃん指揮下の傭兵軍団の一人として期限付移籍してきました。左サイドのスペシャリストとして2000年のJ2優勝に貢献。翌年もレンタル期間を延長してJ1残留に貢献したものの、怪我がちなこともあってこの年限りでレンタル元の川崎フロンターレへ復帰しています。
 札幌ではほぼ左ウィングバックだったものの、プレイスタイルとしてはあまりサイドっぽくはなかったですね。「10番タイプをサイドで使う」というのは、中村俊輔をサイドで使っていろいろ物議を醸したフィリップ・トルシエ監督を思い出しますが、岡田監督は特に物議は醸してませんでした。それと、色男な風貌もサイドっぽくなかったです。サイドの選手というのはね、無骨で質実剛健で、もっとこう、野性味がなくちゃダメなんだ(ダメではない)。
 2004年に現役を引退。現在は長野県のNPO法人「JAPAN SPORTS ACADEMY」の代表を務めています。

アダウト
 2001年途中に加入。J1ではいまいち力不足感のあったアウミールに代わりやってきました。ウルグアイのナシオナルやブラジルのパルメイラスという、当時の札幌の助っ人としてはめっちゃすごい経歴の持ち主。その実績に違わぬ攻撃力を見せながらも、守備はだいぶ甘いという、いかにもブラジル人のサイドバックらしい選手でした。
 圧巻だったのは2001年9月15日の清水エスパルス戦の同点ゴールでしょう。ペナルティエリアからだいぶ手前でのこぼれ球に、左足を振り抜いて決めたのですが、この時ゴール裏にいた自分には、明後日の方向に飛んでいったはずのボールがあり得ない変化をしてなぜかゴールに入っていたという、マジで頭のおかしいゴールでした。
 実力的には申し分なかったのですが、ケガが多く試合出場は7試合しか出場できなかったこと、そして何より1年雇うには給料が高すぎたのでしょう。この半年限りで退団しています。彼がいれば、2002年も少しは変わっていたのでしょうか。
 その後については、トルコやポルトガルのチームを含む複数のチームを渡り歩いていたようなのですが、2012年にブラジルのマリーリアACで現役を引退したらしい、というところまでしかわかりませんでした。

芳賀博信
 2006~2012年所属。主戦場はボランチでしたが、右ウィングバックとしても活躍。全体的におとなしい選手が多いと言われる札幌にあって積極的に声を出してチームを牽引、元ヤンキーという経験を存分に生かしたメンチも魅力でした。
 ジェフリザーブス時代はとび職をしながらサッカーの練習を続けていた苦労人...と書けば聞こえはいいものの、世代別代表の経験がありながらも素行や言動が悪くプロに進めず、大学に行ったはいいものの、サッカーと遊びに呆けて単位が足りずに中退してジェフリザーブスへ、という展開だったようで、同じようにただのクズだった自分から見ると、とても親近感がわきますね。
 ゴールを決めたチームメイトをバシバシ叩く、通称「芳賀ラッシュ」と呼ばれる手荒い祝福をするのがお約束でしたが、さんざっぱらラッシュを浴びせてきたその本人がついに札幌での初ゴール(見事なミドルシュート)を決めたあと、ここぞとばかりに芳賀ラッシュの報復を狙うチームメイトから一目散に逃走していた姿は、とても微笑ましかったですね。

日高拓磨
 2011年~2014年所属。これまで札幌に所属してきた選手の中では、一番自分好みなサイドバックだったんですが、移籍してきた年の開幕直前に骨折してシーズン前半を棒に振り、その後もグロインペイン症候群に悩まされ、ついには椎間板ヘルニアも患うなど、ケガが多くその実力を十分に発揮できませんでした。
 2015年、カターレ富山に移籍するも、椎間板ヘルニアが悪化しこの年限りで現役を引退。2016年からは北海道に戻ってきて、旭川U-15の監督を務めています。
 無類の「ONE PIECE」好き。Twitterもやっているものの、現役時代からほとんどサッカーのことをつぶやかないことで有名で、現役を退いて指導者となってからもあんまりそれは変わってません。たぶん教え子たちには人気だと思います。

菅井直樹
 札幌の選手じゃねぇじゃん! という総ツッコミが聞こえてきた気がしますが、いや、すみません、自分が好むサイドバック像に一番合致するのが菅井さんなんですよ。
 サイドバックって基本はディフェンスの選手なのに、守備力以上に攻撃力が重視されるというアンバランスさが好きな理由なんですけど、一番好きなサイドバックのプレイは、逆サイドからのクロスに突っ込んでいってゴールを決めるというものです。先述した和波選手のゴールも未だに忘れられない「オレ史上のコンサドーレスーパーゴール」の一つなわけで。菅井選手はそういうゴールをいっぱい決めてるので、なんか好きなんですよねぇ。
 ちなみに、2009年の開幕戦でセットプレイから決勝ゴールを挙げ、喜びのあまり看板を超えてホバリングステージの下に消えていった菅井さんの姿を見た時は、敵チームにも関わらず絶頂すら覚えました。

 そんなわけで5人+αの選手を紹介しました。来年ペトロビッチ監督が札幌でもミシャ式をやるのであれば、あんまりサイドの選手がサイドサイドするようなシーンは多くないかも知れませんが、サイドでの起用が予想される選手は、是非ともサイドで踊るあの娘になって、チープなスリルに身を任せてもらいたいものですね。

 あれ? 石井ちゃんは?

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