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2010年10月 アーカイブ

2010年10月13日

中位の中位たるゆえん

2010年Jリーグディビジョン2第26節
コンサドーレ札幌 0-1 サガン鳥栖
得点者:札幌/いませんね
     鳥栖/豊田

 生きてます。

 大分とのアウェイ戦で苦しみながらも勝点3をゲットした札幌は、今節はホーム厚別に戻ってサガン鳥栖との試合です。毎年昇格レースのダークホース的な存在に挙げられる鳥栖は、今季も地味ながら確実な補強で前半戦では昇格圏内を充分に狙える位置に付けていたものの、ここ数戦は勝ちきれない試合が続き徐々に順位も後退、この試合時点で3位のアビスパ福岡と勝点10の差がついてしまっています。「J2オリジナル10」と呼ばれる1999年J2開始時の10チームのうち、唯一J1の味を知らない鳥栖にとって、悲願のJ1昇格へ向けてこれ以上は負けられない試合が続きます。
 その鳥栖と勝点3差の札幌は、3点差以上で勝てば鳥栖を逆転できます。ただ鳥栖の消化試合数が1試合少ないためあくまで暫定ではありますが、鳥栖を抜けば1桁順位が見えてきますから、札幌にとってもここは重要な試合。
 しかしそれにしても厚別の芝はかなりボロボロ。自分がコンサドーレの試合を観るようになって10年以上が経過しまして、そういえばこのサイトも満10周年をとっくに過ぎていたわけですが、ここまでひどい状態は今まで見た記憶がないですね。春先のまだ雪融けしたばかりの頃などは部分的に多少荒れているようなことはありましたけど、それでも今の状態に比べれば「ごく普通」におさまる程度。ピッチが荒れているとボールがイレギュラーしたり、ボールを蹴る際にダフって思った通りに蹴れなかったりコントロールにかなり苦労するため、どうしてもミスが増えてしまうもの。そして「サッカーにならない」以上に心配なのが、ピッチが荒れていると思わぬところで足を取られてしまい、大きな怪我に繋がりかねないことです。かつて同じようにひどい状態だった日本平で酒井直樹が、小瀬で俺王様が負傷して、両者ともその後ほとんど試合に出ることなく札幌を去っていきました。まぁ俺王様が札幌を去ったのは怪我が直接の原因じゃなかったですけど。

 まぁそれはさておき、とにかく荒れ放題のピッチでのこの試合、大分戦で負傷した藤田征也や出場停止の内村らを欠く札幌は、1トップに近藤祐介(180cm)、両サイドに上原慎也(186cm)、横野純貴(183cm)とタッパのあるFW選手をずらりと並べ、「ボールがきちんと転がらないなら転がさなければいいじゃない作戦」を採ってきました。その大胆というか完全に割り切った作戦が奏功したのか、試合開始から札幌がペースを握り、前半13分には横野の落としから上原がシュートを放つ狙い通りの展開を見せます。ベストアメニティスタジアム(鳥栖スタジアム)という、日本でも有数のピッチを誇るスタジアムをホームにしているサガン鳥栖にとってはこの荒れたピッチはかなり手強かったのでしょうか。メインスタンド・アウェイ側の芝が特に荒れていて、前半アウェイ側に向かって攻める鳥栖の使いたい右サイドにモロに影響が出ていた格好です。それでも札幌がペースを握っていたのは前半30分くらいまで。鳥栖が豊田のポストを中心に攻撃を作り出してからは次第にペースを奪われ、シュートを許すようになってしまいます。危ないシーンもいくつかあったものの、鳥栖のフィニッシュの精度の悪さと高原のセーブに助けられ前半は0-0で終了。

 ここ最近の札幌の傾向として、前後半とも立ち上がりはけっこう調子がいいというかペースに乗れることが多く、前後半とも比較的早い時間帯で得点を取れていることが多いのですが、反面時間帯別だと残り15分(76分以降)での失点の多い札幌にとっては、この時間帯で点を取れないと詰み状態になってしまいがちで、実際この試合でも後半開始からしばらくは札幌が押し気味に試合を進めるのですが、「シュートが枠に飛ばない病」は深刻。加えて札幌のもうひとつの弱点は「セットプレイで点が取れない」こと。2007年に昇格した時はとにかくセットプレイに異常な強さを発揮し、試合内容自体はしょぼくてもセットプレイでちゃっかり点を取っていたものでしたが…。まぁあの時と今では監督もメンバーも違うんですけど、「これといったストロングポイントがない」というのは勝てない原因のひとつではあるでしょうね。得点に結びつきやすい得意な形があるというのは、逆に言えばその形に持ち込めれば得点の可能性が上がるということですし。といっても「ストロングポイント」はたいてい個人の能力とイコールである、たとえば過去の札幌ではエメルソンや俺王様のようなスーパーなストライカーだったり、ビジュのような貴重なオモシロ人間だったりすることが多く、2007年みたいに「セットプレイで誰かを抑えても別の人が点を取る」ってのは実はけっこう希有なパターンではあるのですがね。今の札幌では「1人で勝手に点を取ってくるストライカー」とか「意味不明な動きで敵味方はおろか観客までもを翻弄するオモシロ人間」はいませんしね。強いて挙げれば古田あたりがボールを持てば何かやってくれそうな予感がするんですけど、1人でなんとかしてしまうというレベルでは今のところないですし。であればセットプレイがあんまりチャンスとならない今の状況はどうにかならないものかと思ったりもします。

 そんなわけで、結果としては「自分たちの時間帯で点を取れず、終了間際に失点する」といういつもの流れでした。PKについては…吉弘が倒したのはギリギリPAの外だったようにも見えますが、かぶって入れ替わられて引きずり倒した、というのはかなり印象悪いので、しかたないかなという気がします。再三の好判断でピンチを救ってきた高原にとっては気の毒でした。ここから追いついたり逆転できたりすればとってもとっても見直しちゃうんですけど、そんな底力があるならそもそもこの順位にはいませんよね。そんなわけで0-1で試合終了。すっかり注意が板についた感のする試合でした。

2010年10月29日

学徒動員の甲斐もなく

2010年Jリーグディビジョン2第30節
コンサドーレ札幌 1-1 ヴァンフォーレ甲府
得点者:札幌/三上
     甲府/パウリーニョ

 今更ながら甲府戦。

 全38節のJ2リーグもいよいよ第30節に突入。札幌はホームで現在リーグ2位につけているヴァンフォーレ甲府との対戦となります。札幌はこの試合を含めてあと残り9試合。3位のアビスパ福岡とは既に勝点18の差をつけられており、一応数字上はまだ札幌が3位になる可能性は残っていますけど、サッカーの常識から言えば完全にアウトといえる差です。「1日全コマ履修して全単位取れば数字上はあと1年で卒業できる!」みたいなもんです。大学時代のオレのことですね。もちろん、ダメでした。
 まぁそんなわけですので今の札幌の楽しみがあるとしたら、上位イジメ以外にありません。どうせもう主役にはなれないのなら余計なときに余計なことをして余計な存在感を発揮するのが生きる道。とはいえ甲府には2005年の7月9日第20節で3-1で勝って以来、あの伝説のロスタイム3失点を含め実に5年間もリーグ戦での勝利がありません(一応天皇杯では2006年の第86回大会の準々決勝で勝利)。もっとも2006年から2007年は甲府がJ1に、2008年は札幌がJ1に昇格し甲府がJ2に降格したため、その間まるまる3シーズン対戦がなかったのですけど、甲府がJ1昇格を果たすにしても勝ち逃げされるのはいい気分じゃないですし、そうじゃなくても苦手意識は払拭しておきたいところ。

 というわけで厚別でのこの試合、万全を期して臨みたいところ…ですが、札幌の状況は万全どころかますますひどくなる一方。週中にMFパクジンスの退団が発表され、そしてU-20世界選手権のアジア予選で怪我をして帰ってきた古田も、実は全治3ヶ月の重傷だったことが判明。既に退団している趙晟桓に加え朴も退団、李漢宰、キリノが怪我で離脱中という外国籍選手総崩れ状態に加え、岩沼俊介、藤田征也、そして宮澤裕樹も戦線離脱と、そうでなくても少ない選手がさらに減ったたため、再びU-18所属の三上陽輔の学徒動員と相成りました。
 そして、もはやJ2でも一番悪いんじゃないかとも思える厚別の芝は、前回のFC岐阜戦の翌週は札幌は試合なし、その翌週は天皇杯でのアウェイ遠征と、少し試合間隔が空いたおかげと、もちろんその間のスタッフの努力もあったのでしょう、3週間でずいぶんマシになったようです。それでもSDのスカパー!ではっきりわかるくらいのつぎはぎで、完全にいい状態になったとは言えない感じです。これまでのチームは思った以上のピッチの悪さに手を焼き、札幌もそれは同様だった反面、それに助けられたこともあったのですが、194cmのマイクを擁する甲府にとってはシンプルなサッカーなんてお手のもの。かつては大きさの割にはあまりポストが得意ではないタイプだったのですが、J2を渡り歩いているうちにそのあたりの強さを身につけたようで、さらにその周りを個人技に優れたマラニョンやパウリーニョ、藤田健が固める布陣は強力です。この3人は人相も強力ですよね。夜道で会ったら無条件に謝ってしまうレベル。

 そして予想通り試合開始から完全に割り切ったサッカーを展開してきた甲府に対しても、いつもの通り開始早々こそ札幌がペースを握ったものの、20分を過ぎたあたりから徐々に甲府の3トップにゴリゴリ押し込まれてきます。マイクにボールが収まり出すとそこからあっちこっち動き回るブラジル人2人のマークがズレ初めて来ます。そして28分、左サイドから崩されてパウリーニョをフリーにしてしまい、ゴールを決められてしまいます。反撃を試みる札幌も内村を中心に何度かチャンスを作るものの、決めることができずに前半は1点ビハインドのまま終了。

 後半、早めに追いつきたい札幌ですが、そのチャンスは意外に早くやってきました。後半開始早々の2分、左サイドを細かくつないで折り返したボールを詰めていた三上が押し込んでゴール。札幌ではあんにゃろこと新居辰基に次ぐ史上2番目の若さでのゴールとのことですが、高校生のリーグ戦ゴールというのはもちろんチーム史上初。現役高校生とか初とかなんとなくエロい単語が並んでるような気がしますが、サッカー百鬼夜行は健全なサイトです。
 まぁそんなわけでユース所属の選手が決めたことはもちろん、ゴールに至るまで高木のキープから芳賀→内村→岡本→西嶋→岡本→高木→三上と実に6人が細かいパスをつないだもの。贅沢を言えば少し手数をかけすぎなような気もして、ゴール前に今まで散々手を焼かされていたダニエルがいたらどうなってたかな、と思わないでもありませんが、西嶋からのパスを岡本が受けた時点でペナルティエリアの中には6人の甲府選手がいたにもかかわらずそれを突き破った展開はお見事だったと思います。
 これをいつも…とはいわないまでも繰り返しできるといいのですが、やはりパスが多ければそれだけミスの確率も増えますし、やっぱりそのあたりのミスを減らすというところを徹底していかないと、継続的な得点力のアップというのは難しい気はしますね。現に、同点に追いついてからしばらくはペースも握り、同じような展開に持ち込めるチャンスもあったのですが、どうにもその辺が邪魔をして得点には至らず。

 結局試合は1-1の引き分け。ベストメンバーとは程遠い状況の中で甲府の強力3トップを相手に1点に抑えたことも今までを考えれば上出来かとは思いますが、ひとまず対甲府戦未勝利は継続となりました。

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