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2010年11月 アーカイブ

2010年11月 8日

勝ったことは勝ったけど

2010年Jリーグディビジョン2第31節
カターレ富山 0-2 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/内村、上里
     富山/なし

 サガン鳥栖戦は忘れることにしました。

 前節ヴァンフォーレ甲府戦で引き分けに終わり、いよいよ後がなくなってきた札幌はアウェイでのカターレ富山戦を迎えました。前節終了時点での札幌の勝点は32。この試合を含めた残り8試合で札幌が得られる勝点は最大で24、つまり残り全部勝ったとしても札幌は勝点56。3位のアビスパ福岡の勝点が現在52なので、このアウェイで引き分け以下で、かつ3位の福岡が勝つと札幌の昇格の可能性は完全にゼロとなります。まぁこの試合を乗り切ったとしても、どのみち福岡が勝点56を越える、つまりあと2つ勝った時点で札幌がどう頑張っても追いつけなくなりますから、結局は時間の問題なんですけど、蜘蛛の糸が1本あるのと「あ、お前もう極楽には行けないんで」とはっきり言われるのとでは大きく違いますからね。J1が極楽でJ2が地獄だと言いたいわけではないのですけどね。どっちかというとJ1のほうがより上位の地獄だと思います。

 そんな厳しい状況の中、怪我人続出の札幌はさらにMF岡本賢明も膝の怪我で離脱。満身創痍を通り越して「めぐりあい宇宙」のガンダムの最後みたいな状態に、プロ初ゴールとなる同点ゴールを挙げた甲府戦で終了する予定だった三上陽輔のチーム帯同を延長することが決定。同じように昨年現役高校生Jリーガーだった古田寛幸は通信制高校へ転校することによって学業との両立を図りましたが、三上の場合は全日制の高校に通っているため、練習に出るとなると学校を欠席せざるを得ないのですが、学校側との交渉の結果帯同延長となったようです。トップチーム昇格がほぼ確実視される(11月4日に昇格が正式決定)選手だけに、インターンシップみたいな扱いになったんでしょうかね。さらにはそれでも人数が足りない札幌は、高校3年生では飽きたらず高校2年生の荒野拓馬もベンチ入り。学徒動員にさらに磨きをかけるヤケクソ気味の札幌でしたが、試合はその札幌が完全にペースを支配する展開になりました。

 相手がブービーの富山とはいえ、ほぼ一方的にボールを支配する展開。俺のコンサがこんなに強いわけがない、とでもいいたくなりそうなほどのずっと札幌のターンです。前半18分にはバックパスを受けたGK内藤に詰めていった内村がクリアボールを身体に当て、その跳ね返ったボールがそのままゴールに入り先制します。しかし前半のゴールはこれだけ。高木→西嶋→内村と大きな展開でシュートを放った形は良かったのですけど、それ以外は手数をかけては結局ゴール前でミスが出たり、クロスの精度を欠いたりで、放ったシュートもわずか4本と、圧倒的に攻めていた割にはかなり少ない数字です。
 後半も同じような展開。開始早々の8分に左サイドで相手DFを個人技でかわした砂川のクロスに、上里がニアサイドに突っ込んでいって、左足でうまく合わせてゴール。。ラボーナ気味と言えばいいんでしょうか、見事な技ありシュートだったんですけど…文章ではうまく表現できないですね2008年の札幌ドームでの名古屋戦で玉田にやられたやつと言えばわかりますでしょうか。
 この形は良かったんですよね。ポイントは、

・サイドに素早く展開
・サイドでボールを持った選手が勝負を仕掛けて勝つ
・ニアに選手が飛び込む

 の3つ。今回はニアの上里がそのまま決めちゃいましたけど、ここで上里がおとりになってDFを引き連れてファーサイドの選手が決めるパターンもあります。いずれにしても、この条件が揃えば得点に結びつけるのはさほど難しいことではありません。少なくとも、相手の人数が揃っているところにクロスを放り込んだり、細かいパスを繰り返して相手を崩したりするよりは可能性の高い攻撃なわけです。それで得点を取ろうとすればよっぽど精度の高いボールによっぽどうまく合わせるとか、よっぽど人もボールも動かさないといけないわけですし。なのでこの得点パターンは札幌にとって大きなヒントだったはずなんですが…。その後もボールを支配するものの、そういった攻撃パターンはあまり見られず。そうこうしているうちに攻め疲れも出たのかあまり攻められなくなり、何度かいい形を作られるGK高原の好セーブなどで得点を許さず試合終了となりました。

 勝ったことは勝ったわけですし、内容的には完勝と言えるものだったのですけど、その一方でこの内容ならば少なくとも3-0、欲を言えば4-0くらいで勝たないといけないですよね。2点のうち1点ははっきり言えばおまけみたいなもの。言ってみれば馬券を外したと思っていたら実はマークシートを間違えててたまたま的中してたみたいなもの。どんな形であれ1点は1点なんですけど、拮抗した試合ならまだしも、こういう試合で「とりあえず点が取れたからいいや」で済ませていい状況じゃないですよね。今の札幌は。何度も言ってることですが戦術ってのは得点を取るため、あるいはゴールを守るための方法論のひとつに過ぎないわけです。「自分たちのサッカーをする」って聞こえはいいですけど、それは何もチームの戦術通りにやるってことじゃなくて、戦術をベースにいかに得点を取るか、いかに守るか、要するに勝つためにどんなことをするかってことだと思うのですよ。

 そのあたりの「煮え切らない感」が、実際次の草津戦で如実に表れてしまったわけですが、それはまた次回の話に。一応書くと思います。

2010年11月18日

何もかもが違う

2010年Jリーグディビジョン2第32節
コンサドーレ札幌 0-1 ザスパ草津
得点者:札幌/なし
     草津/ラフィーニャ

 アウェイでのカターレ富山戦に勝利し、昇格消滅確定になんとか首の皮を1枚繋げた札幌は、今節はホーム厚別に戻ってのザスパ草津戦。ただし可能性が残ったとはいえ前節で3位アビスパ福岡がギラヴァンツ北九州に2-0でキッチリ勝って勝点を55に伸ばしているため、この試合で札幌が勝ったとしても夕方からの試合で福岡が徳島ヴォルティスに勝てば、その時点で札幌の昇格の可能性はゼロとなります。昔も同じこと書きましたが、要するに「皮一枚で繋がってるけどクビ自体は既に切れている」状態。あとはその皮がこの試合で切れるか夕方に切れるか来週切れるか、あるいはもう少し繋がったままなのかということであり、どのみち切れるのは確定ならいっそのこともう切れちゃったほうがいいのか。治りかけのカサブタは貼っておいたほうがいいのか、それともかゆいから思い切ってはがしちゃったほうがいいのか、国民を二分するほどの大命題に絡めずとも結局のところは「いいから勝て」の一言に尽きるわけです。
 そんな感じの試合でもいつもの通りの野戦病院を通り越したガダルカナル島状態で、「立ってるものは学生でも使え」を地で行っていた札幌ですが、離脱していた藤田征也と岩沼俊介がようやく復帰。既に2人くらい復帰したところで大きく状況が変わるわけでもないですが、それでも稼働人員が少しでも増えればありがたい、ということで岩沼はベンチスタートながらも、征也は容赦なく復帰即スタメン。哀しいけどこれがコンサドーレなのよね。

 前節カターレ富山戦に引き続き札幌が試合を支配する展開。富山が19チーム中18位、そして草津が同じく16位と下位にあえいでいるチームが相手とはいえ、これまでは上位相手はもちろん、下位相手でもあんまり褒められた内容の試合ができなかったことから考えれば、力関係なりの試合はできるようになっているということでしょうか。惜しむらくは今は既に昇格がほぼ絶望となっているということですね。打ち切りが決まってから面白くなった連載漫画じゃあるまいし、実質終わった後から本気を出されても困るんですけど。
 ただし、それで試合に勝てるかどうかというのはまた別問題。富山戦でもほぼ一方的に試合を支配しながらシュートが少なかったことが気がかりでしたけど、この試合でも前半は相手にシュートを1本も許さないほど圧倒的にペースを握っていながら、こっちが打ったシュートもたったの2本。それでも富山戦は棚ぼた的な1点が入りましたけど、この試合ではその数少ないシュートも全部枠の外でして、前半これだけ攻めて1点も取れなかった時点で、0-1で負けるフラグがプンプン。

 そしてそういう予感だけはキッチリ当たってしまうのですから困ったものです。後半15分、オフサイドトラップのかけそこねかそれともいつもの天然ミスかどうかはわかりませんが、熊林の浮き球パスでラフィーニャに裏を取られ、そのまま決められ先制を許してしまいます。
 草津にとっては、点が入ってしまえばいわゆるコンサドーレ相手の最強手段「とりあえず守れ」でいいわけで、実際そうやってゴール前を固められるとなんにもできないのが札幌がこの順位にいるひとつの理由。何とか相手を動かそうとパスを回してはミスでボールを失うか、かえってサイドに追い詰められて苦し紛れに適当なクロスを放り込むか、もう今季というか5~6年くらい前から散々見飽きたシーンの連続。当時から残っている選手なんてもう砂さんやカズゥ、大ヒロくらいしかいないのに、札幌の伝統は脈々と受け継がれてきているようです。できれば受け継いで欲しくないんですけど。

 そんなわけで、悪い予感の通りただの1点すら返すことができずにそのまま試合終了。ひたすら徒労感だけが残る典型的な「アトランタ試合」で、今季の厚別最終戦は終了したのでした。

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