勝ったことは勝ったけど
2010年Jリーグディビジョン2第31節
カターレ富山 0-2 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/内村、上里
富山/なし
サガン鳥栖戦は忘れることにしました。
前節ヴァンフォーレ甲府戦で引き分けに終わり、いよいよ後がなくなってきた札幌はアウェイでのカターレ富山戦を迎えました。前節終了時点での札幌の勝点は32。この試合を含めた残り8試合で札幌が得られる勝点は最大で24、つまり残り全部勝ったとしても札幌は勝点56。3位のアビスパ福岡の勝点が現在52なので、このアウェイで引き分け以下で、かつ3位の福岡が勝つと札幌の昇格の可能性は完全にゼロとなります。まぁこの試合を乗り切ったとしても、どのみち福岡が勝点56を越える、つまりあと2つ勝った時点で札幌がどう頑張っても追いつけなくなりますから、結局は時間の問題なんですけど、蜘蛛の糸が1本あるのと「あ、お前もう極楽には行けないんで」とはっきり言われるのとでは大きく違いますからね。J1が極楽でJ2が地獄だと言いたいわけではないのですけどね。どっちかというとJ1のほうがより上位の地獄だと思います。
そんな厳しい状況の中、怪我人続出の札幌はさらにMF岡本賢明も膝の怪我で離脱。満身創痍を通り越して「めぐりあい宇宙」のガンダムの最後みたいな状態に、プロ初ゴールとなる同点ゴールを挙げた甲府戦で終了する予定だった三上陽輔のチーム帯同を延長することが決定。同じように昨年現役高校生Jリーガーだった古田寛幸は通信制高校へ転校することによって学業との両立を図りましたが、三上の場合は全日制の高校に通っているため、練習に出るとなると学校を欠席せざるを得ないのですが、学校側との交渉の結果帯同延長となったようです。トップチーム昇格がほぼ確実視される(11月4日に昇格が正式決定)選手だけに、インターンシップみたいな扱いになったんでしょうかね。さらにはそれでも人数が足りない札幌は、高校3年生では飽きたらず高校2年生の荒野拓馬もベンチ入り。学徒動員にさらに磨きをかけるヤケクソ気味の札幌でしたが、試合はその札幌が完全にペースを支配する展開になりました。
相手がブービーの富山とはいえ、ほぼ一方的にボールを支配する展開。俺のコンサがこんなに強いわけがない、とでもいいたくなりそうなほどのずっと札幌のターンです。前半18分にはバックパスを受けたGK内藤に詰めていった内村がクリアボールを身体に当て、その跳ね返ったボールがそのままゴールに入り先制します。しかし前半のゴールはこれだけ。高木→西嶋→内村と大きな展開でシュートを放った形は良かったのですけど、それ以外は手数をかけては結局ゴール前でミスが出たり、クロスの精度を欠いたりで、放ったシュートもわずか4本と、圧倒的に攻めていた割にはかなり少ない数字です。
後半も同じような展開。開始早々の8分に左サイドで相手DFを個人技でかわした砂川のクロスに、上里がニアサイドに突っ込んでいって、左足でうまく合わせてゴール。。ラボーナ気味と言えばいいんでしょうか、見事な技ありシュートだったんですけど…文章ではうまく表現できないですね2008年の札幌ドームでの名古屋戦で玉田にやられたやつと言えばわかりますでしょうか。
この形は良かったんですよね。ポイントは、
・サイドに素早く展開
・サイドでボールを持った選手が勝負を仕掛けて勝つ
・ニアに選手が飛び込む
の3つ。今回はニアの上里がそのまま決めちゃいましたけど、ここで上里がおとりになってDFを引き連れてファーサイドの選手が決めるパターンもあります。いずれにしても、この条件が揃えば得点に結びつけるのはさほど難しいことではありません。少なくとも、相手の人数が揃っているところにクロスを放り込んだり、細かいパスを繰り返して相手を崩したりするよりは可能性の高い攻撃なわけです。それで得点を取ろうとすればよっぽど精度の高いボールによっぽどうまく合わせるとか、よっぽど人もボールも動かさないといけないわけですし。なのでこの得点パターンは札幌にとって大きなヒントだったはずなんですが…。その後もボールを支配するものの、そういった攻撃パターンはあまり見られず。そうこうしているうちに攻め疲れも出たのかあまり攻められなくなり、何度かいい形を作られるGK高原の好セーブなどで得点を許さず試合終了となりました。
勝ったことは勝ったわけですし、内容的には完勝と言えるものだったのですけど、その一方でこの内容ならば少なくとも3-0、欲を言えば4-0くらいで勝たないといけないですよね。2点のうち1点ははっきり言えばおまけみたいなもの。言ってみれば馬券を外したと思っていたら実はマークシートを間違えててたまたま的中してたみたいなもの。どんな形であれ1点は1点なんですけど、拮抗した試合ならまだしも、こういう試合で「とりあえず点が取れたからいいや」で済ませていい状況じゃないですよね。今の札幌は。何度も言ってることですが戦術ってのは得点を取るため、あるいはゴールを守るための方法論のひとつに過ぎないわけです。「自分たちのサッカーをする」って聞こえはいいですけど、それは何もチームの戦術通りにやるってことじゃなくて、戦術をベースにいかに得点を取るか、いかに守るか、要するに勝つためにどんなことをするかってことだと思うのですよ。
そのあたりの「煮え切らない感」が、実際次の草津戦で如実に表れてしまったわけですが、それはまた次回の話に。一応書くと思います。