? どこまでイバンチュール
サッカー百鬼夜行

第15節 対東京ヴェルディ1969(テレビ観戦)
2002.8.17(SAT) 札幌ドーム

コンサドーレ札幌 1-2v 東京ヴェルディ1969
ビジュ【41分】 1-0
0-1
0-1
ロペス【89分】
桜井【97分】
スターティングメンバー
藤ヶ谷 GK 高木1号

先生
健作
DF 相馬
ロペス
米山
隼磨
西田
ナメック星人
板長
ジャジ
山瀬
MF ヤマタク
エヂムンド
高木2号
小林
バッキー
オグ
FW マルキーニョス
平本
山瀬→三沢【35分】
オグ→ンダ【74分】
西田→ナオキ【79分】
尽→吉川【94分】
交代 マルキーニョス→桜井【45分】
高木2号→永井【64分】

試合の感想
 長かった(時間だけが)1stステージも最終節。まだたった2勝しか挙げていない札幌は、3勝目をかけて現在13位の東京ヴェルディ1969を札幌ドームに迎えます。昨年J2降格の窮地に立たされた時、元ブラジル代表ストライカー・エヂムンドという究極のジョーカーを借りて来るという大技を繰り出し何とかJ1に踏み止ったヴェルディは、今季もエヂムンドの借用期間延長に成功しましたが、チームの成績は一向に上がらず開幕5連敗を喫した時点で小見監督が「休養」となってしまいました。
 後任の監督にはヘッドコーチを務めていたロリ・サンドリというちょっとヤバ目の名前の人が内部昇格となりましたが、ロリ監督は就任してから積極的な若返り策を推進、当初は結果が出なかったもののここ5戦は3勝2敗と勝ち越しの成績を収め、12位まで順位を上げてきました。

 そして前節厚別でガンバ大阪に勝利して9つ続いた連敗をようやくストップさせることに成功した札幌は、その余勢を駆ってヴェルディも撃破して連勝としゃれ込みたいところ。今節は洋平の出場停止が解けるとあって、果たしてGKはどうなるのかが週中のもっぱらの話題ではありましたが、流れを崩したくなかったのかイバンチェはセクシーなさらさらヘアーが魅力のフジをスタメン起用。前節累積警告による出場停止だったジャジも戻り、ケガの今野を除いてフィールドプレイヤーはほぼベストメンバーを組むことが出来ました。

 ところが、試合は開始からヴェルディペースとなります。ヴェルディの戦い方はいかにもシンプルで、マイボールはとにかくエヂムンドに預けて周りの選手がスペースに飛び込むキングダムサッカー。札幌はこのエヂムンドに複数人で徹底的にプレッシャーをかけて封じ込めに来ますが、しかしやはりそこは元セレソン。30キャップの実績は伊達ではありません。3人に囲まれながらもボールを離さずDFを引きずったままペナルティエリアに侵入、角度のないところからシュートを放ちます。ボールはゴールラインを横切って逆サイドのゴールポストに当たり幸運にもゴールとはなりませんでしたが、ぴったりゴールライン上を転がっていく様は全盛期の青木功のパットを見ているようでした。その他にもキープしながら走り込んでくる味方の足元にぴったりと収まるパスを出したり、トップスピードを維持したままダイレクトで柔らかいアウトサイドパスを見せるなど高度なプレイを随所に披露します。
 マルキーニョスら他のアタッカーのシュートが雑だったのに助けられましたが、タックルを受けて倒れ込み、正真正銘の重傷を負った山瀬よりも痛がるなど変幻自在の「アニマウ」に翻弄されます。この日のドームのサポーターは日立柏よろしくゴール裏からいろんな音を出してヴェルディ選手を威嚇していましたが、エヂムンドを封印するためには、護符代わりに犬猿の仲であるロマーリオの顔をフェンスにたくさん貼っておくほうが効果があったかもしれません。
 横浜戦と清水戦では破れはしたものの終始ペースを握っていた札幌ですが、この日は開始から山瀬の動きがイマイチ重く、いつものワンワンっぷりが見られないせいか攻撃に厚みがありません。チャンスらしいチャンスも数えるほどで、前半31分に山瀬が膝を負傷して交代してからは全体としてはあまり得点が入りそうもない雰囲気です。
 ところがその雰囲気を打ち破ったのが、頑張り屋さんだけどテクはイマイチな「ユーゴのゴン中山」ことバッキーでした。前半も残りわずかとなったところで、パックパスを受けた相手DFに猛然と突っ込んでいったバッキー、ボールを奪うと見せかけて耳元で「お前が好きだ」と呟きます。頭を剃り上げて「羊たちの沈黙」のレクター博士ソックリになった男からそんなことを言われれば誰だって動揺するに決まっています。かくしてバッキーはまんまとコーナーキックの奪取に成功。このコーナーキックはいったんはクリアされますが、そのこぼれ球を再び拾ったバッキーのクロスにニアサイドでビジュが頭で合わせて先制点をゲットしました。

 何とか先取点を奪うことには成功しましたが、あちらもJ1残留のためには負けられないヴェルディは、あまり調子の良くなかったマルキーニョスに代えて桜井を投入。後半も攻めるヴェルディ、守る札幌という構図は変わりません。エヂムンドにマークが集中しているため桜井や平本がフリーになることも多く、尽や先生、健作がギリギリのところで相手のシュートをブロックしている状況です。札幌も防戦一方ながら、オグを起点にカウンターをお見舞いしますが、バッキーがもたついてシュートまでいけなかったり、和波やジャジがフリーでペナルティエリアに侵入しながらシュートを打たずに折り返してクリアされるなど、追加点を決めることが出来ません。なんつうか、あまり多くは言いませんがコンサドーレ札幌の選手の皆さん、シュートというものを吉井の決め球としか思ってないわけじゃないですよね?
 後半30分辺りからイバンチェが動き始めます。動きの落ちてきたオグを曽田に代え、西田に代えてナオキを投入しますが、相も変わらず曽田に足元へのパスばかりを送るため、流れはいっそう悪くなります。もう、柱谷監督の時はロングボールばかりで曽田は生きてもオグを生かせず、イバンチェになったらオグを生かせるようにはなったものの曽田を生かせない、なんでうちのチームはこうも極端かなぁ。ボインがお父ちゃんのためにあるわけじゃないように、サッカーは戦術のためにあるんじゃないんですよ。
 ここのところ確変していたナオキも、本質的にはピンで勝負するよりもコンビを組んでなんぼという、いわばビートきよしタイプの選手なので、相方の山瀬やオグがいない状況で入ったナオキは交代した途端に消滅。ヴェルディの息の根を止めることが出来ないまま時間は進み、終了間際にコーナーキックを与えてしまいます。ロスタイムにセットプレイ。ドラえもんにとってのネズミ、オバケのQ太郎にとっての犬とも言える札幌の苦手要素が、まとめて2つも襲いかかってきたのではたまったモンではありません。このコーナーキックはいったんクリアしますが、それで安心してしまったのかそこからのクロスボールをフリーで残っていたロペスがかろうじて頭に当てます。ぽよんとしたヘディングシュートは中途半端に前に出ていたフジの頭上を越えてゴールの中へ入り、今日も今日とてロスタイムに追いつかれてしまいました。

 と、ここまででTVhの中継が終わってしまったのでここから先はまったくわからないのですが、「延長戦はてんでダメ」の札幌が再びヴェルディを振り切ることが出来るはずもなく、延長前半7分に桜井にVゴールを決められて負け。まぁいつもの通りのことですが、今季2試合目の先発フル出場を果たしたGK藤ヶ谷は、「Vゴール負けは初めての経験だった。こんなに悔しいとは(北海道新聞)」というコメントを残したそうです。まだ若い彼はこの悔しさをバネに、さらなるレベルアップに努めてくれるでしょう。
 …それはいいんですけど、彼の中ではオノレのデビュー戦や去年の天皇杯(共に川崎フロンターレ戦)はなかったことになっているのでしょうか。

印

戻る