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サッカー百鬼夜行

第7節 対ヴァンフォーレ甲府(テレビ観戦)
2003.4.19(SAT) 山梨県小瀬スポーツ公園陸上競技場

ヴァンフォーレ甲府 2-1 コンサドーレ札幌
須藤【44分】
藤田【85分】
1-0
1-1
今野【66分】
スターティングメンバー
アベケン GK フジ
アライール
池端
青葉
奈須
DF 中尾
西澤
ソダン
三沢
倉貫
外池
水越
石原
MF 板長
ベット
砂川
名倉
須藤
藤田
FW 岳也
俺王
水越→ジョルジーニョ【66分】
倉貫→山本【76分】
交代 砂川→ゴンザレス【17分】
俺王→コマネチ【32分】
三沢→King of Sapporo【59分】
山本【80分】 警告 コマネチ【36分】
中尾【76分】
岳也【89分】

試合の感想
 前節アビスパ福岡を5-0で退けた札幌は、今節はヴァンフォーレ甲府とのアウェイ戦に臨みます。「出ると負け」を繰り返して「地雷」とまで呼ばれ、存続危機まで囁かれた時代を乗り越え、少しずつながらも力をつけてきているチーム。昨季はJ2スタート以来「定位置」だった最下位から脱出しただけでなく、7位という好成績を収めることに成功しています。今季も堅守をベースにしたカウンターで2勝2敗2分とまずまずの成績を収めており、前節は横浜FCを相手に5-1の大勝を飾っています。
 「プリンセス・テンコー」こと2代目引田天功がスポンサーとなるなどなどネタ的にも申し分なし。ちなみに「もっとチャールストン」とか歌ってた少女隊のトモは初代引田天功の娘さんです。一心同体少女隊とかCMでやってました。全然関係ないですが。
 さて対する札幌は、前節出場停止だった今野が戻ってきたものの、ドナドナされていたU-22日本代表のテストマッチでまゆの上を8針縫うケガを負いベンチスタートで、スターティングメンバーは前節と同じ。同じなんですけど…藤ヶ谷パーマかけてねぇか? ご両親から授かったせっかくのさらさらヘアーになんてことを!
 しかし、それまで寒い日の続いていた関東地方は、今週の中頃からいきなり春をすっ飛ばしたかのような気温の急上昇を見せ、試合前日の山梨県の気温はなんと30度。この日の小瀬の気温も25.6度と、前節の室蘭との気温差は実に20度です。甲府盆地に降り注ぐ太陽は、札幌の戦力を奪うまさしくソーラ・レイであり、北海道在住の人間にとっては、ある意味一番の大敵であることは間違いないでしょう。

 そんなわけでキックオフ。甲府の注目選手と言えば、やはり「スイッチキッカー」藤田健。サッカー界に左右両足を使える選手は多かれど、この藤田のように「左右両足でプレイスキックが打てる」選手は滅多におりません。しかもどっちの足もものすごい精度を誇っています。はっきり言って変態です。開始早々にはその藤田の左足フリーキックがゴールポストを叩く心臓に悪い立ち上がりです。
 札幌はいつものように細かくパスをつなぐサッカーと行きたいのですが、やはり暑さが相当に辛いのか全体的に身体が重そうです。俺王様にボールが入らないだけでなく、その俺王様もしきりに左足を気にするそぶりを見せています。しかも、前半12分に相手選手のタックルを受けた砂川が足首を痛め、いったんピッチに復帰したもののやはりプレイを続けられる状態ではなく、17分に今野と交代するアクシデントに見舞われます。
 今野が入ってからは多少中盤が落ち着き、ブラジルトリオを中心にチャンスを演出するようになったのですが、さらに悪いことは重なるもので、前半30分くらいにはラインの裏に抜け出した俺王様が急に左の腿を抑えて倒れ込んでしまいました。いったんはピッチに戻ったものの、再び倒れてしまい平間と交代してしまいました。
 砂川の負傷退場だけでも充分に痛いのに、俺王様まで負傷退場、しかも俺王様と交代で入ってきたのが平間。とりあえずベンチにいるメンバーから考えれば、既に今野を入れている以上「切り札」である新居をこの時点から使うのは得策ではありません。ですから、ここで平間を投入したジョアンの考えはわかるのですけど、「良芝限定」の平間が荒れ放題の小瀬のピッチでは「改」になれるはずもなく、文字通りの大黒柱・俺王様と、もはや山瀬の穴を埋めてあまりあると言っていい忠犬・砂川を失っただけじゃなく、平間が入って一人少ない状態となったわけですから、チームに動揺が走っても仕方がありません。繰り返しますが、こういう状態で自分たちでしっかり修正できるチームであれば今頃は中位をうろうろしたりしていません。そんなわけで札幌の選手は右往左往の大混乱。
 逆に甲府側にしてみれば、砂川と俺王様という前線の核がまとめて消えたのは、楽を通り越してプリン体50%カットと同じくらい物足りないのどごしです。つうか最近「カロリーオフ」とか「糖質カット」とかいう若いおねいさん向けのダイエット発泡酒が流行りですね。別にそれはいいんですけど、それならば逆に成分にも缶のデザインにも一切のギミックなしの「漢ビール」をどこか売り出してはもらえないものか。イヤ、そんなビールの話をしてる場合ではないんですが。話を戻しますと、俺王様と砂川を失った札幌がホベに頼ってくるのは火を見るよりも明らかですから、甲府としてはホベさえ気をつけていればいいわけです。しかし、だとしても甲府の守り方が非常に上手いです。他のチームのように前線から激しくプレッシャーをかけてくるわけではなく、全員が有機的な動きでうまく縦パスを出させないように守っています。
 流れの中から得点が出来ないならセットプレイに賭けるしかありません。俺王様がいなくなっても札幌にはまだホベのフリーキックが残されていますから、相手ペナルティエリア前のいい位置でファウルをもらえれば得点チャンスが生まれますし、ジョアンが平間を投入した理由もそこにあるはずです。しかし、ドリブルで突っかけてあわよくばファウルを誘ってもらいたいのに、平間はちょっとプレッシャーをかけられるとばすぐに後ろを向いてバックパスするばかりで、ちっとも意図をわかってないではあ~りませんか。とチャーリー浜のマネをしてみてもどうなるもんでもねぇし。
 前半は0-0で終了するかと思われたロスタイム、外池からのクロスボールを須藤に決められ先制を許してしまいます。中尾と西澤の2人がついていながら枠に飛ばされたのでは藤ヶ谷もどうしようもなし。出来れば0-0のままで終わっておきたかった前半を1点ビハインドで終わる羽目になってしまいました。

 後半に入っても甲府ペースのまま。後半14分にジョアンは満を持して"King of Sapporo"新居を投入します。左サイドバックの和波を下げ、バランスを崩してまで投入された生粋の道産子・新居。なぜ一人だけ長袖を着ていたのかは敢えて考えないようにします。
 スカパー!の実況アナウンサーが「新居とアライールです」と妙にうれしそうに言っていたのが気になりますが、とにかく新居が投入されてからは札幌がやや持ち直します。そして後半21分、相手ペナルティエリア左で得たフリーキックのチャンスで、ホベが蹴ったボールをフリーとなった今野が頭で合わせゴール。今野のゴールは2001年の天皇杯川崎フロンターレ戦以来ですが、その時と同じようにあんまりうれしそうじゃないけどうれしそうな今野のゴールでようやく追いつくことに成功しました。
 注文通りセットプレイから得点を奪った札幌。いい気になって二匹目のドジョウを狙っていればよかったんですけど、その後の戦い方もやはり変化なし。よく言えば自分たちの戦い方を貫いているとも言えますが、悪くいえば工夫のない攻めに終始。攻めているとも攻められているとも言える微妙な試合展開が続いた後半終了間際の40分、そうこうしているうちに、リスタートから中尾が変態ストライカー・藤田のマークを外してしまい、右足で決められて突き放されてしまいました。

 何とか追いつこうとする札幌ですが、甲府の体を張った守備に阻まれタイムアップ。勝点と俺王様と砂川と、失ったものの大きい敗戦でした。

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