ということでものすごく今更感にさいなまれますが、大分トリニータ戦。といっても結果としてはアディショナルタイムに大伍のゴールで追いついたことすらも、大分のドラマティックな勝利を演出してロマンティックが止まらない一要素に過ぎなかったわけで、まさしく滑って転んで大分県とか、三畳紀に流行したダジャレすら出てこないような、顧客満足度調査でぶっちぎり最下位みたいな試合だったわけですけど、それでもなんとか「良かった探し」をするのであれば、大きなものとして2つ。「5試合連続無失点中の大分から2点も取った」ということと、エースのダヴィが「計画的出場停止」で欠場したこの試合で、点を取ることを求められたアンデルソンがきっちりゴールという結果を出したということでしょうか。もともと相手を背負ってのボールキープはダヴィよりうまかったんですが、性格的な問題なのかそこから前を向く意識はそれほど高くはないようで、生来の点取り屋というわけではなさそうだっただけに、ゴールへの意識が高まるのは悪いことではないと思います。ヘディングなんかを見てると身体能力は高いと思いますから、やろうと思えばやれると思うのですけどね。かつて札幌でプレイしていたデリーバルデスやビジュといった、とんでもない身体能力を誇る助っ人に比べれば若干劣ることは否めないですけど、まぁ彼らはほぼ人間じゃないですし。ビジュなんて地球年齢で34歳の今年もまだまだ元気ですしね。
ただし、いくらよかった探しの末に全力をムダに傾けて良かったかもしれないところを挙げてみたとしても、札幌にしてみりゃ誰が何点取ろうが試合に負けちゃ意味がないわけで、勝点3だけが必要な今の札幌にとっては引き分けの勝点1すら焼け石に水です。J1トップの守備力を誇る大分から点を取ったことにしても、札幌の攻撃力がそれを上回ったと言うよりは、きっと大分のDF上本大海が『6試合連続無失点を達成したらパフォーマンスをやる』つもり」と言っていたことに起因するのではないかと思います。だってこれ、世間一般で言われる「死亡フラグ」ですよね。案の定J1トップクラスの攻撃力を持つ浦和にすら点を取られなかったのに、最下位の札幌に2点も取られるなんて。雉も鳴かずば打たれまいに。アンデルソンにしたところでフィットしてきたと言っても正直なところ今更感は拭えないわけですけど、それだけにシーズン最初からアンデルソンがいれば多少なりとも変わったかもしれないという気がしないでもありません。まぁノナトが見るものすべての度肝と共に魂まで抜いたFC東京戦での衝撃的なクロスだけを我々の胸に残して静かに去っていったりしなければこんなことになってなかったわけですから、つまりは結果論でしかないのですけどね。別にここまでの惨状をノナトひとりの責任にするつもりもないですし、フロントの責任を問うつもりもないのですが、結局はいろんなことが少しずつ間違ってこうなっちまったと思うしかない、という感じでしょうか。「かまいたちの夜」で初回プレイで大阪に就職した人間としては。
さて、この試合で一番不思議だったのが、「大分がなぜ堅守なのか」ということ。J1で最少失点というのはつまりは日本で一番守備の強いチームということであり、この試合前までの大分の失点数は25試合でわずか16、1試合平均にして0.64、この時点で失点が20未満のチームが大分以外になかったことを考えれば、まさしく本物と言えるでしょう。しかしその堅守を大分の何が支えているかということを考えると、素人目にはいまいちよくわかりませんでした。
堅守といえば思いつくのはまずFWの前線からの守備を含む全員守備なんですけど、ウェズレイやデカモリシはそんなタイプじゃないですし、実際守備してないですし、では代表クラスの守備陣を揃えているかというとそういうわけでもなく、GK西川周作以外はDF森重真人が先日候補に選ばれた程度。もちろん失点の少なさは西川の力に依るところが大きいとは思いますが、かといってGK1人で失点を防げるかと言われれば、そんなことが可能なのは南葛中の若林源三くんとか永和学園の滝数馬くんくらいなもので。鬼みたいなプレスを90分かけ続けるようなチームでもないですし、やっぱりポジショニングとかコーチングとかトラベリングとか上上下下左右左右BAとかなんでしょうかね。
まぁこういうのは勉強方法みたいに他の人がうまく行ったからといって、それと同じ方法を自分が試しても必ずしもうまく行くとは限らないものですから、それぞれに合ったやり方が一番いいんでしょうけどね。ここの能力で劣るチームは前から全員で守備しないと守れないなんて常識みたいに思ってましたけど、大分見てるとそんなこともないのかなぁと思ったりもします。