草津良いとこ
2010年Jリーグディビジョン2第16節
ザスパ草津 1-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/近藤
草津/高田
厚別開幕戦を勝利で飾り、何となく流れを変えることが出来そうな札幌は、今節はザスパ草津とのアウェイ戦です。昨季は18チーム中10位とクラブ史上最高順位(2008年に9位になっていますが、その時は15チーム)を挙げた草津ですが、今季は開幕から連敗街道を邁進。第7節まで勝利がない状態が続き、第8節で初勝利を挙げると連勝を果たしてようやく波に乗るかと思われましたが、その後は再び勝てない試合が続き、2勝10敗2分で現在最下位に沈んでいます。その原因のひとつが14試合で11得点という得点力不足。やはり昨季リーグ2位の23得点を挙げたエースストライカーの都倉賢がヴィッセル神戸へ移籍してしまった穴はやはり大きいのでしょうか。
Jリーグでも移籍金条項が撤廃された関係で、草津とは単年契約だった都倉の移籍金はなかったようで、草津としては残念だったでしょうね。ただこれは他人事じゃないですよね。以前なら所属選手にオファーが来たら、「中途半端にレンタルなんぞせずに出来る限り高く売れ!」なんてことも言えたんですけど、今は契約満了の場合だと移籍金を取れません。逆に移籍金を払わずに選手を獲得できるメリットもあるのですけど(そうじゃなきゃ内村も獲れなかったわけで)、選手の移籍に対して金銭的な補償を求めるのであれば、海外と同じように複数年契約を結んで「違約金」という形にするしかありません。ただそれも買い手がいてこその話ですから、大伍やダニルソンみたいに期限付きでもレンタル料が入るだけよしとしないといけないのかも知れませんね。
まぁそれはひとまず置いとくとして、都倉に代わるストライカーとして草津が獲得したのがブラジル人のラフィーニャという選手。以前「ハファエル」という名前でアビスパ福岡にいた選手なんですが、C契約でしたからなかなか出番には恵まれなかったようで、全然記憶にありません。調べてみたら出場したのは2試合だけ、しかも出場時間はそれぞれ6分と1分、計7分しか出ていません。そりゃあ見たことがあるはずもないや、と思ったらその2試合のうち1試合(6分のほう)は博多の森でのコンサドーレ札幌戦じゃないですか。石井謙伍(現愛媛FC)がロスタイムに決めた逆転ゴールで勝った試合ですけど、そのイメージが強すぎるのかハファエルという名前の選手が出てたことすら憶えてません。
つーかこれってわずか3年前の出来事なんですけど、あの試合のスタメンでこの試合にも出た選手って征也と西嶋しかいないんですね。ベンチを含めても砂さんくらい(出なかった選手まで入れれば優也もいますが)。当時のメンバーはベテラン選手が多かったですから無理もないかもしれませんけど、いくら何でも回転早すぎな気がします。
さて、話を戻してこのラフィーニャ。失礼ながらいくらC契約だったとしてもイタカレですら3試合で192分も出たのに2試合で7分というのはそのくらいの選手なのかと思ってたんですが、これが意外といい選手。懐が深くてボールが収まりますし、かといって足もとだけでなく裏への意識も結構あって、マークしていた直樹もかなり手を焼いています。この選手がいて、廣山や熊林など彼にパスを出す選手もいるのに、どうして草津が最下位なんでしょうかね。
しかし前節と同じスタメンで臨んだ札幌はそれでも若さ溢れたかどうかは知りませんがとにかく勢いはまだあったようで、前半21分に西嶋からのクロスを近藤がうまく合わせて先制ゴールを挙げます。目論見通りの先制点を挙げた札幌ですが、しかしキックオフ時点で26.4度という気温が災いしたか、この後札幌の勢いはぴったりと止まってしまいます。前回の富山戦で「時には割り切って引いて守るのもいいんじゃない?』などと書いたのを実践してるのかと思ったのですけど、当たり前の話ですがそんなことあるはずもなく、どうやら意図的なものではなさそうです。前節の厚別で17.6度ですからね。そりゃきついだろうて。そんなわけで札幌はなかなかボールを奪えず、それでも何とか無失点で前半を終了。
後半、札幌は巻き返しを図るどころか後半から前田を投入してきた草津に翻弄されっぱなし。そして後半11分、右サイドからフリーで上げられたクロスをその前田が逸らし、ほとんどフリー状態だった高田の元へ。カバーに入った征也も間に合わずゴールを決められついに同点に追いつかれてしまいました。
勢いに乗る草津は、チーム史上最高の9,382人から札幌サポーターを抜いた382人のサポーターの声援を受け札幌陣内に攻め込みます。出足の鈍い札幌はバイタルエリアをほぼ制圧され、アウェイとはいえどっちが最下位なのかわからないような試合内容で草津の攻撃に晒され続けます。高原のファインセーブがなければ負けていたかもしれません。
それにしてもまぁ、こんなことをいうとアレなんですが、高原が頼もしく見える日が来るとは思いませんでした。ちゃんと努力をすればお天道様は見ているということでしょうかね。もっとも、弱いチームだとGKの出番は多くなりますから、実戦で鍛わさる(北海道弁)ことも多いのかもしれません。特に札幌の場合は、敵だけじゃなく味方にも注意を払わなければいけないわけですからね。ボールキープのできるチームに比べればボールが飛んでくる機会が段違いに多いのでしょう。実際、全盛期のジュビロ磐田の正GKだったヴァンズワムなんて、あんまりにもボールが来ないから試合中座ってましたからね(トラウマ)。まぁ高原はその黄金期のジュビロに入団し、そのヴァンズワムが退場したせいでいきなり出番が回ってきて、ボールに触ることなく失点したのが苦労人生の始まりだったのですけど。
大学ナンバーワンGKと呼ばれていた選手でしたから遅咲きとはちょっと違う気もしますけど、まだ29歳。GKとしてはまだまだこれからです。自信もかなり付いてきたのか不安げなオーラはすっかりなりを潜めながらも、セットプレイで飛び出した挙げ句に空振りという札幌のGKらしさは失ってはいないので、これからも末永く活躍して欲しいと思います。
まぁそんなこんなで試合は引き分け。再びドロー地獄にはまりつつある札幌ですけど、負けなかっただけよかったような気がしますね。