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2010年6月 アーカイブ

2010年6月10日

草津良いとこ

2010年Jリーグディビジョン2第16節
ザスパ草津 1-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/近藤
     草津/高田

 厚別開幕戦を勝利で飾り、何となく流れを変えることが出来そうな札幌は、今節はザスパ草津とのアウェイ戦です。昨季は18チーム中10位とクラブ史上最高順位(2008年に9位になっていますが、その時は15チーム)を挙げた草津ですが、今季は開幕から連敗街道を邁進。第7節まで勝利がない状態が続き、第8節で初勝利を挙げると連勝を果たしてようやく波に乗るかと思われましたが、その後は再び勝てない試合が続き、2勝10敗2分で現在最下位に沈んでいます。その原因のひとつが14試合で11得点という得点力不足。やはり昨季リーグ2位の23得点を挙げたエースストライカーの都倉賢がヴィッセル神戸へ移籍してしまった穴はやはり大きいのでしょうか。
 Jリーグでも移籍金条項が撤廃された関係で、草津とは単年契約だった都倉の移籍金はなかったようで、草津としては残念だったでしょうね。ただこれは他人事じゃないですよね。以前なら所属選手にオファーが来たら、「中途半端にレンタルなんぞせずに出来る限り高く売れ!」なんてことも言えたんですけど、今は契約満了の場合だと移籍金を取れません。逆に移籍金を払わずに選手を獲得できるメリットもあるのですけど(そうじゃなきゃ内村も獲れなかったわけで)、選手の移籍に対して金銭的な補償を求めるのであれば、海外と同じように複数年契約を結んで「違約金」という形にするしかありません。ただそれも買い手がいてこその話ですから、大伍やダニルソンみたいに期限付きでもレンタル料が入るだけよしとしないといけないのかも知れませんね。
 まぁそれはひとまず置いとくとして、都倉に代わるストライカーとして草津が獲得したのがブラジル人のラフィーニャという選手。以前「ハファエル」という名前でアビスパ福岡にいた選手なんですが、C契約でしたからなかなか出番には恵まれなかったようで、全然記憶にありません。調べてみたら出場したのは2試合だけ、しかも出場時間はそれぞれ6分と1分、計7分しか出ていません。そりゃあ見たことがあるはずもないや、と思ったらその2試合のうち1試合(6分のほう)は博多の森でのコンサドーレ札幌戦じゃないですか。石井謙伍(現愛媛FC)がロスタイムに決めた逆転ゴールで勝った試合ですけど、そのイメージが強すぎるのかハファエルという名前の選手が出てたことすら憶えてません。
 つーかこれってわずか3年前の出来事なんですけど、あの試合のスタメンでこの試合にも出た選手って征也と西嶋しかいないんですね。ベンチを含めても砂さんくらい(出なかった選手まで入れれば優也もいますが)。当時のメンバーはベテラン選手が多かったですから無理もないかもしれませんけど、いくら何でも回転早すぎな気がします。

 さて、話を戻してこのラフィーニャ。失礼ながらいくらC契約だったとしてもイタカレですら3試合で192分も出たのに2試合で7分というのはそのくらいの選手なのかと思ってたんですが、これが意外といい選手。懐が深くてボールが収まりますし、かといって足もとだけでなく裏への意識も結構あって、マークしていた直樹もかなり手を焼いています。この選手がいて、廣山や熊林など彼にパスを出す選手もいるのに、どうして草津が最下位なんでしょうかね。
 しかし前節と同じスタメンで臨んだ札幌はそれでも若さ溢れたかどうかは知りませんがとにかく勢いはまだあったようで、前半21分に西嶋からのクロスを近藤がうまく合わせて先制ゴールを挙げます。目論見通りの先制点を挙げた札幌ですが、しかしキックオフ時点で26.4度という気温が災いしたか、この後札幌の勢いはぴったりと止まってしまいます。前回の富山戦で「時には割り切って引いて守るのもいいんじゃない?』などと書いたのを実践してるのかと思ったのですけど、当たり前の話ですがそんなことあるはずもなく、どうやら意図的なものではなさそうです。前節の厚別で17.6度ですからね。そりゃきついだろうて。そんなわけで札幌はなかなかボールを奪えず、それでも何とか無失点で前半を終了。

 後半、札幌は巻き返しを図るどころか後半から前田を投入してきた草津に翻弄されっぱなし。そして後半11分、右サイドからフリーで上げられたクロスをその前田が逸らし、ほとんどフリー状態だった高田の元へ。カバーに入った征也も間に合わずゴールを決められついに同点に追いつかれてしまいました。
 勢いに乗る草津は、チーム史上最高の9,382人から札幌サポーターを抜いた382人のサポーターの声援を受け札幌陣内に攻め込みます。出足の鈍い札幌はバイタルエリアをほぼ制圧され、アウェイとはいえどっちが最下位なのかわからないような試合内容で草津の攻撃に晒され続けます。高原のファインセーブがなければ負けていたかもしれません。
 それにしてもまぁ、こんなことをいうとアレなんですが、高原が頼もしく見える日が来るとは思いませんでした。ちゃんと努力をすればお天道様は見ているということでしょうかね。もっとも、弱いチームだとGKの出番は多くなりますから、実戦で鍛わさる(北海道弁)ことも多いのかもしれません。特に札幌の場合は、敵だけじゃなく味方にも注意を払わなければいけないわけですからね。ボールキープのできるチームに比べればボールが飛んでくる機会が段違いに多いのでしょう。実際、全盛期のジュビロ磐田の正GKだったヴァンズワムなんて、あんまりにもボールが来ないから試合中座ってましたからね(トラウマ)。まぁ高原はその黄金期のジュビロに入団し、そのヴァンズワムが退場したせいでいきなり出番が回ってきて、ボールに触ることなく失点したのが苦労人生の始まりだったのですけど。
 大学ナンバーワンGKと呼ばれていた選手でしたから遅咲きとはちょっと違う気もしますけど、まだ29歳。GKとしてはまだまだこれからです。自信もかなり付いてきたのか不安げなオーラはすっかりなりを潜めながらも、セットプレイで飛び出した挙げ句に空振りという札幌のGKらしさは失ってはいないので、これからも末永く活躍して欲しいと思います。

 まぁそんなこんなで試合は引き分け。再びドロー地獄にはまりつつある札幌ですけど、負けなかっただけよかったような気がしますね。

2010年6月17日

道産みかん

2010年Jリーグディビジョン2第17節
コンサドーレ札幌 2-2 愛媛FC
得点者:札幌/西嶋、内村
     愛媛/赤井(道産子)、石井(道産子)

 ワールドカップによる中断期間前の最後の試合は、函館でのホームゲームとなります。室蘭と同様年に1度の開催地ですが、あまり函館との相性は良くなくて、昨季までの通算成績は2勝7敗1分と大きく負け越しています。そして今のところ唯一の引き分け試合の相手は愛媛FCでした。2007年の9月2日(第38節)、池内が先制して池内がさっくり抜かれて失点した池内劇場だったんですけど、2007年といえば三浦監督のもとでJ2優勝を果たした年。つまり近年ではもっとも成績の良かったシーズンだったのですが、ちょうどこの時は33試合でたった4試合しか負けてなかった札幌が予想外の絶不調にはまっていて、その試合の前の水戸ホーリーホック戦(1-2で敗戦)から第44節のセレッソ大阪戦まで、第28節徳島戦の代替開催を含む8試合で1勝1分6敗という泥沼にはまった頃合いでした。そして再び愛媛FCとの対戦となった函館開催、一時期の絶不調からは脱したように見えるので泥沼というわけではありませんが、むしろドロー沼に絶賛はまり中です。
 その勝ちきれない理由のひとつが怪我人の多さ。開幕から全試合でスタメン出場を続けてきた藤田征也までもが怪我で欠場、近藤もかかとの骨折を抱えたまま。まぁサッカー選手である以上どの選手も大なり小なり怪我を抱えているものでしょうけど、李漢宰とか趙晟桓とか箕輪義信とか既に存在が都市伝説になりつつある今日この頃では、満足にスタメンを組むことすらできない有様です。仲間達が次々と傷つき倒れていくというのは、少年ジャンプ的なパターンであれば、残ったメンバーが突然秘められた能力に目覚めたり、見えない敵と戦い始めたりするもんなんですが、コンサドーレの選手はもちろん少年ジャンプのヒーローではありません。ジャンプヒーローとの共通点は「私は(ドジで)強い(つもり)」「チープなスリルに身を任せる」くらいなものです。
 まぁそもそもジャンプで言えば主人公クラスから先に倒れて行ってるようなもんなので、そもそもその公式自体が成り立たないのですけどね。幸い、この試合の後は7月18日のジェフユナイテッド市原千葉戦まで中断されます。札幌にとっては再会までの約1ヶ月はありがたい時間となるでしょうが、ひとまずはこの愛媛戦にすっきり勝っていい気分で中断を迎えたいところ。特に愛媛は同じ勝点19で並んでおり、得失点差で下回る札幌はここで勝てば愛媛をまくることができますし、同じ勝点で並んでいる横浜FCが試合なし、大分トリニータの試合の結果如何では一気に一桁順位にまでジャンプアップすることができますから、是が非でも勝ちたい試合です。

 まぁそう思っているのは相手も同じであって、こういうことを書いて実際にすっきりできたことはあんまり記憶にないですし、実際この試合もやっぱりすっきりはできなかったんですけど、2度リードされて2度追いついたことで是とするのか、それともそもそも2度もリードされたことで非とするのか、微妙なところです。個人的には、シュート2本で2点も取られてるんじゃねぇってことを含めて7:3で非ですけどね。
 まぁそんな中でも古巣相手に2ゴールを叩き込んだ内村の復調は好材料でしょうかね。つっても1点目は限りなく西嶋の得点に近かったような気もするんですが(※公式記録は西嶋の得点でした。訂正してごめんなさい)、古巣ご祝儀ということで。自ら強引に取りに行って取った2点目は文句なしのゴール。やっぱり彼の場合、プレイのウェイトを攻撃に置いたほうがいいんじゃないでしょうかね。彼の真骨頂である裏を取るうまさは相手の守備ライン近くにいてこそ発揮されるものだと思いますし。愛媛で18ゴールを挙げた昨季も、チームの方針として点を取ることに専念していたという話ですからね。もっとも、今の時代のサッカーは守るにもチームとしてのバランスもありますから、1人が守備をサボると全体に影響が出てくるので難しいところではあるんでしょうけど。とりあえず今は一応全員守備でやってるのに2点くらい平気で取られる状況では、守備免除されたアタッカーが2点取ってくる間に3点くらい取られてそうな気もしないでもないですね。

 あとそうですね。同じく古巣相手にゴールを決めた元札幌の石井謙伍。謙伍に限らず元札幌の選手と対戦するときは、やはり札幌以外のユニフォームは見慣れないものなんですが、愛媛の胸スポンサーである大王製紙の主力商品「エリエール」のロゴが、札幌の胸スポンサーである石屋製菓の主力商品「白い恋人」のロゴと色使いが同じなので、白いアウェイユニフォームだと札幌のアウェイユニフォームとパッと見あんまり区別が付かないので、あんまり違和感なかったですね。オレンジ色のホームユニフォーム姿ならまた違うんでしょうけど。今季15試合目での初ゴールと、量産型柳沢っぷりはあんまり変わってないみたいですけど、とにかく元気そうで良かったです。

 というわけで、実際大分トリニータが負けたので、この試合で勝てていれば一気に9位に上がり、徳島ヴォルティスとも勝点1差に迫り、さらに6~7位に並ぶロアッソ熊本と栃木SCの2チームを射程圏内に捉えることができたんですけどね。こぼれたミルクを嘆いても仕方がないとはいえ、もったいない試合だったと思います。引き分けたことで札幌の順位は前節と変わらず12位。まだ前半戦あと1試合残っていますけど、折り返し時点でこの順位は思った以上の不振ですね。この中断期間でどこまで調子を上げることができるか、シーズンが深まってくると「目の前の1試合を精一杯戦っていくだけ」というセリフが必ず出てくるものですが、サポーターも目の前の試合を精一杯生暖かく見守るべきなのかもしれません。

2010年6月22日

なぜか奨典

 ブブゼラ食うていきなはれ(挨拶)。

 世間ではワールドカップ真っ盛り。サッカーに興味がある人はもちろん、普段あまりサッカーを見ないという人でも、試合がそれなりに視聴しやすい時間にやってることが多い(真夜中の試合もありますが)ので、なんとなしにでも見て、メッシやカカやC・ロナウドや中山元気といったワールドクラスの選手のプレイを見ているという人が多いと思います。
 そんな世間の喧噪とはまったく関係なく、コンサドーレ札幌の選手たちは来るべきリーグ再開に向けてトレーニング中。とはいえ怪我人が多いのは相変わらずで、近藤も右足関節遊離体、いわゆる「ネズミ」の除去手術を受けて全治6週間とのこと。だましだましやるよりは手術したほうがいい、文字通り「思い切った」と思いますが、再開初戦のジェフユナイテッド市原千葉戦に間に合うかどうかは微妙なところです。まぁ前回も書いたとおり、この中断期間は怪我人の多い札幌にとってはめぐみの時間と言えるわけですが、さりとて怪我人が戻るまではメンバーが揃わないわけですから、チームを固め直すことは難しいのもまた正直なところ。特に吉弘が復帰したとはいえDF陣のメンツ不足は深刻です。そんな中、横浜FCのDF片山奨典選手の練習参加が発表されました。

 片山選手は1983年9月8日生まれの26歳。国見高校から国士舘大学を経て2006年に名古屋グランパスエイト(当時)に加入。2008年までの3シーズンで35試合に出場し、2009年に横浜FCに移籍、このシーズンは左サイドバックとしてチームトップの46試合、3,909分出場を果たし不動のレギュラーとして活躍しています。今季は腰痛もあってあまり試合に出ていないようですが…また腰痛持ちですか。自分も最近腰が痛いですけどたぶんそれはトシのせいですね。ハタチなのに。
 左サイドバックは今季からレギュラーに定着していた岩沼が12節のギラヴァンツ北九州戦で靱帯を負傷し長期離脱を余儀なくされ、ぽっかりと穴があいたまま。一応左サイドバックの本職は藤山もいますけど、今となっては直樹とのセンターバックコンビは崩したくないでしょうし、西嶋もこなせますがけど彼が左に回ると今度は右サイドバックがいなくなります。征也はできれば前で使いたいですし(その征也もケガがち)、芳賀もボランチでワンワン言っててもらいたい選手。漢宰がいれば彼を真ん中で使って芳賀をサイドバックで使えるのでしょうが、その漢宰も怪我で離脱中と、やりくりするにも限界が来ていましたからね。三上部長としても本音を言えばセンターバックが欲しいのかもしれませんが、多少時間の猶予があるとはいえよっぽどの選手じゃなければせっかく良くなってきた藤山と直樹のコンビを崩すのはデメリットにしかなりませんし、そんなよっぽどクラスのセンターバックはどのチームも手放すはずもないですからね。補強ポイントとしては間違ってはいないと思います。
 それにしても今回は「獲得」ではなく、現チームとの契約期間が残っている中での練習参加。チームからの発表では「本人の意思と両チームの合意のもと」ということになっていましたが、横浜FCもよく認めたもんですね。そりゃある程度力量のわかっている選手でもチームにフィットするかどうかは実際にプレイしてみないとわからないですから、札幌にとっては「お試し期間」があったほうがいいに決まってますけど、「効果がなければ返品OK!」なんて健康グッズみたいな話は初めてです。中断期間だからという理由もあるのでしょうが、普通こんな条件は飲まないですよね。札幌でいえばたとえば西大伍が今アルビレックス新潟に期限付き移籍中ですけど、仮に新潟がこの時期に「おたくの西選手を試しにうちの練習に参加させてみない? ダメだったら返すけど」とか言ってきたら、「舐めたこと言ってんでねえ、新潟に泊原発持ってくぞゴルァ!」と言いたくなるに違いありませんよね。横浜FCはこの片山だけでなくDF伊藤竜司もFC琉球へ期限付き移籍、現在リーグ得点王の大黒将志も期限付き移籍終了に伴い退団(東京ヴェルディからFC東京に期限付き移籍)していますので、そんな条件を飲まないといけないほど苦しいのでしょうかね、いろいろと。
 まぁそれはともかく、片山選手はどういうタイプなんでしょうね。去年も対戦しているハズなんですが、いまいち印象に残ってないんですよね。右サイドバックの田中輝和はよく憶えてるんですけど。個人的な好みを言えばサイドバックは後顧の憂いなくすっ飛んでいくタイプ(具体的には仙台の菅井さん)が好きなんで、そういうタイプならうれしいのですけど。「成らない香車」と言われていたベルマーレ時代の和波さんも好きでした。

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