2010年Jリーグディビジョン2第17節
コンサドーレ札幌 2-2 愛媛FC
得点者:札幌/西嶋、内村
愛媛/赤井(道産子)、石井(道産子)
ワールドカップによる中断期間前の最後の試合は、函館でのホームゲームとなります。室蘭と同様年に1度の開催地ですが、あまり函館との相性は良くなくて、昨季までの通算成績は2勝7敗1分と大きく負け越しています。そして今のところ唯一の引き分け試合の相手は愛媛FCでした。2007年の9月2日(第38節)、池内が先制して池内がさっくり抜かれて失点した池内劇場だったんですけど、2007年といえば三浦監督のもとでJ2優勝を果たした年。つまり近年ではもっとも成績の良かったシーズンだったのですが、ちょうどこの時は33試合でたった4試合しか負けてなかった札幌が予想外の絶不調にはまっていて、その試合の前の水戸ホーリーホック戦(1-2で敗戦)から第44節のセレッソ大阪戦まで、第28節徳島戦の代替開催を含む8試合で1勝1分6敗という泥沼にはまった頃合いでした。そして再び愛媛FCとの対戦となった函館開催、一時期の絶不調からは脱したように見えるので泥沼というわけではありませんが、むしろドロー沼に絶賛はまり中です。
その勝ちきれない理由のひとつが怪我人の多さ。開幕から全試合でスタメン出場を続けてきた藤田征也までもが怪我で欠場、近藤もかかとの骨折を抱えたまま。まぁサッカー選手である以上どの選手も大なり小なり怪我を抱えているものでしょうけど、李漢宰とか趙晟桓とか箕輪義信とか既に存在が都市伝説になりつつある今日この頃では、満足にスタメンを組むことすらできない有様です。仲間達が次々と傷つき倒れていくというのは、少年ジャンプ的なパターンであれば、残ったメンバーが突然秘められた能力に目覚めたり、見えない敵と戦い始めたりするもんなんですが、コンサドーレの選手はもちろん少年ジャンプのヒーローではありません。ジャンプヒーローとの共通点は「私は(ドジで)強い(つもり)」「チープなスリルに身を任せる」くらいなものです。
まぁそもそもジャンプで言えば主人公クラスから先に倒れて行ってるようなもんなので、そもそもその公式自体が成り立たないのですけどね。幸い、この試合の後は7月18日のジェフユナイテッド市原千葉戦まで中断されます。札幌にとっては再会までの約1ヶ月はありがたい時間となるでしょうが、ひとまずはこの愛媛戦にすっきり勝っていい気分で中断を迎えたいところ。特に愛媛は同じ勝点19で並んでおり、得失点差で下回る札幌はここで勝てば愛媛をまくることができますし、同じ勝点で並んでいる横浜FCが試合なし、大分トリニータの試合の結果如何では一気に一桁順位にまでジャンプアップすることができますから、是が非でも勝ちたい試合です。
まぁそう思っているのは相手も同じであって、こういうことを書いて実際にすっきりできたことはあんまり記憶にないですし、実際この試合もやっぱりすっきりはできなかったんですけど、2度リードされて2度追いついたことで是とするのか、それともそもそも2度もリードされたことで非とするのか、微妙なところです。個人的には、シュート2本で2点も取られてるんじゃねぇってことを含めて7:3で非ですけどね。
まぁそんな中でも古巣相手に2ゴールを叩き込んだ内村の復調は好材料でしょうかね。つっても1点目は限りなく西嶋の得点に近かったような気もするんですが(※公式記録は西嶋の得点でした。訂正してごめんなさい)、古巣ご祝儀ということで。自ら強引に取りに行って取った2点目は文句なしのゴール。やっぱり彼の場合、プレイのウェイトを攻撃に置いたほうがいいんじゃないでしょうかね。彼の真骨頂である裏を取るうまさは相手の守備ライン近くにいてこそ発揮されるものだと思いますし。愛媛で18ゴールを挙げた昨季も、チームの方針として点を取ることに専念していたという話ですからね。もっとも、今の時代のサッカーは守るにもチームとしてのバランスもありますから、1人が守備をサボると全体に影響が出てくるので難しいところではあるんでしょうけど。とりあえず今は一応全員守備でやってるのに2点くらい平気で取られる状況では、守備免除されたアタッカーが2点取ってくる間に3点くらい取られてそうな気もしないでもないですね。
あとそうですね。同じく古巣相手にゴールを決めた元札幌の石井謙伍。謙伍に限らず元札幌の選手と対戦するときは、やはり札幌以外のユニフォームは見慣れないものなんですが、愛媛の胸スポンサーである大王製紙の主力商品「エリエール」のロゴが、札幌の胸スポンサーである石屋製菓の主力商品「白い恋人」のロゴと色使いが同じなので、白いアウェイユニフォームだと札幌のアウェイユニフォームとパッと見あんまり区別が付かないので、あんまり違和感なかったですね。オレンジ色のホームユニフォーム姿ならまた違うんでしょうけど。今季15試合目での初ゴールと、量産型柳沢っぷりはあんまり変わってないみたいですけど、とにかく元気そうで良かったです。
というわけで、実際大分トリニータが負けたので、この試合で勝てていれば一気に9位に上がり、徳島ヴォルティスとも勝点1差に迫り、さらに6~7位に並ぶロアッソ熊本と栃木SCの2チームを射程圏内に捉えることができたんですけどね。こぼれたミルクを嘆いても仕方がないとはいえ、もったいない試合だったと思います。引き分けたことで札幌の順位は前節と変わらず12位。まだ前半戦あと1試合残っていますけど、折り返し時点でこの順位は思った以上の不振ですね。この中断期間でどこまで調子を上げることができるか、シーズンが深まってくると「目の前の1試合を精一杯戦っていくだけ」というセリフが必ず出てくるものですが、サポーターも目の前の試合を精一杯生暖かく見守るべきなのかもしれません。

