2011年Jリーグディビジョン2第20節
コンサドーレ札幌 3-1 愛媛FC
得点者:札幌/内村、横野x2
愛媛/石井
全38節のJ2も気がつけば折り返し。とはいえ震災の影響で未消化となっている試合がだいぶ残ってはいるのですが、開幕戦で対戦した愛媛FCと再び相まみえることになります。その開幕戦ではアウェイで絵に描いたようなしょぼいサッカーを展開し0-2の完敗。ホームのこの試合はそのリベンジマッチとなります。札幌はここまでのところ10位。失点10というのは1位のロアッソ熊本(9失点)に次ぐリーグ2位タイという立派なもので、ここまで強固な守備陣を持ってりゃ普通に上位争いはできているはずなのですけど、どっこい得点のほうはたったの10と、こちらはカターレ富山と並んでリーグワーストの攻撃陣がてんでさっぱりアレなため思うように勝点が伸ばせないという現状になっています。とはいえ、水曜日に行われたギラヴァンツ北九州戦(第2節の振替試合)では、結果として無得点に終わったものの16本のシュートを放ち、惜しいチャンスもけっこうありました。まぁ16本も打っててひとつも入らんのはどうなのよ、という気もしないでもないですが、90分やって3~4本打つのがやっとだった時代に比べればそこそこ上向いてきてはいるようです。
メンバー的にも怪我で長期離脱していたうっちーこと内村圭宏が復帰。新たにDF岡山一成が加入したことによってメンバーのやりくりに少し余裕が出てきたことで、ノブリンも最大の懸案事項だった「芳賀の穴埋め」に対する最適解と思われる「ボランチ河合竜二」を導入してきました。とはいえさすがにまだ加入したばかりでチームにフィットしていない岡山を最初から使うことはせず、スタメンはルーキー櫛引と山下達也の2枚となります。
愛媛は元札幌で2009年から愛媛FCに所属している石井謙伍に加え、開幕戦では怪我で出場していなかった元札幌の吉弘充志が出場。どうでもいいですけど彼のブログはいつ所属が愛媛FCになるのでしょうか。
試合はどちらかといえば札幌ペースで進みます。前線のうっちー、砂さん、ヒロ、近藤の関係性はなかなか悪くないようで、前で持てる分サイドバックの押し上げも出来ており、開幕戦のようにはならなさそうだな…と思いつつも、反面後ろのほうはルーキー櫛引の様子が明らかにおかしい。そういえば彼はこの試合で3試合目の出場ですが、スタメン出場したサガン鳥栖戦、途中出場したFC岐阜戦ともにアウェイでの試合で、ホームでの出場はこれが初めてです。地元室蘭大谷高校出身ということでおそらくは家族・友人たちも大勢応援に駆けつけてくれていたでしょうが、それがプレッシャーになったのでしょうかね。岐阜戦で交代で出てきた瞬間前足を使ってPKを与えてしまったことも影響したのか、「ミスをしないように」という気持ちが強すぎて、逆にプレイが小さくなってしまっているような感じです。スケールで言えば1/144くらい。こういう場合、ミスをすると余計にそれを取り返そうと焦ってしまい、それがさらにミスを誘発してしまいかねないだけにちょっと心配だなぁと思っていたら、実際ミス絡みから失点をしてしまいました。つってもミスしたのは山下とホスンでしたけど。
前半10分、山下のミスからボールを奪われ、最後は石井が左足ダイレクトで打ったシュートはGKイホスンがはじきますが、はじいたボールが後ろにこぼれてしまいゴールイン。ちょっともったいない失点の仕方ではありましたが、よく考えたらホスンだってルーキーだし、山下だってプロ入りしてからレギュラーとしてこれだけの試合に出ているのは初めてのシーズン。ベテラン河合の存在は大きいにせよ、そう考えるとこれまでの働きは充分に合格点が与えられるというか、いいから早いところ契約延長しておくべきレベル。去年までは誰かがミスをした直後にまだ誰かがミスをするのが普通でしたけど、今までほとんどミスらしいミスをしてこなかった2人のミスが重なったのは、もしかしたら山下とホスンはミスを怖れる櫛引に対して「俺らだってミスすんだぜ!お前も気にしてんじゃねぇよ!」という身体を張ったアドバイスのつもりかもしれません。もしそうならとってもほほえましいとは思いつつ二度とやらないようにお願いします。
そして石井謙伍は2010年に愛媛FCへ移籍してからコンサドーレ札幌4試合目の出場で3得点目。移籍以後の通算得点数は6得点ですから、実に半分を札幌戦で稼いでいるという札幌キラー。この得点もシュートがちょっとダフリ気味で変な回転がかかったのが彼にとって幸いだったかもしれませんね。ジャストミートならきっとボールは宇宙に行ってたことでしょう。
さて、先制ゴールを奪われたものの時間はまだたっぷり残されており、試合のペースは変わらず札幌が握っていたことで、追いつけそうな雰囲気はあるのですけど、そうはいっても得点力の貧弱さははっきり言って半端ないのが札幌。あと一歩のところまで行きながらゴールを割れない北九州戦のような展開でちょっといやーな感じがしていたところで、得点は突然やってきました。前半32分、なんだかよくわからない間にうっちーが抜け出していて、放ったシュートはGK川北の股間を抜きゴールイン。どうやらセットプレイを得た砂さんが素早いリスタートをかましてまんまとスカパー!ともども愛媛を出し抜いた模様。
同点に追いついてたいそう気をよくしたらしい札幌ですが、この後もいくつか決定的なチャンスを迎えておきながら、決めることが出来ず1-1のまま前半終了。ここで突き放しておけばもう少し楽に試合を運べるんですけどね。
さて後半、旗色が悪いと見た愛媛のバルバリッチ監督は開始早々にジョジマールを投入。テコ入れのための切り札をいち早く投入するあたり、21話にして姿を現したキュアビートみたいですね。ちなみにキュアパッションは23話で登場、キュアムーンライトに至っては33話まで変身しませんでした(まぁ変身だけなら1話で既にしてるんですが)。ジョジマール投入により前でボールを持てるようになったため、愛媛もラインが押し上げられるようになり、相対的に押し込まれた札幌のラインは間延びし、試合のペースを握られるようになります。前半とはうって変わって守勢に回り、何度かヤバイシーンを作られてしまいます。
ノブリンも選手交代で対抗。まず59分に動きの落ちた近藤を岡本に代え、そして10分後の69分に宮澤を投入。そしてさらに10分後の79分には最後の交代カードは横野を投入してきました。横野ノン投入と同時に宮澤を前に上げ、2トップにした采配が結果として大当たり。82分、河合からのパスを受けた宮澤のスルーパスに鋭く反応した横野がDFラインの裏に抜け出し、左足でGKのニアを抜く豪快なシュートを決めて逆転に成功すると、試合終了間際の88分には岡本のクロスに宮澤が飛び込んだこぼれ球を再び横野がボレーで決めて、ダメ押しとなる3点目をゲット。ここにきてようやくストライカーらしい「嗅覚」が目覚めた横野のプロ初の1試合2得点で突き放します。
ここまできたら横野もハットトリックをお見舞いして、明日から狸小路を歩いたらちょっとあれ見なあいつが通ると言われたり、すぐれものぞと町中騒ぐくらいにしてやれと思ったのですが、さすがにそこまではうまくはいかず、3-1の逆転勝利で試合終了。交代策がずばり的中ということになりましたが、実のところ「岡山大作戦」をやり始めるんじゃないかと戦々恐々としていたのはここだけの秘密な。