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2007年9月10日

いかを食え

2007年Jリーグディビジョン2第38節
コンサドーレ札幌 1-1 愛媛FC
得点者:札幌/池内
     愛媛/新井

 前節水戸ホーリーホックに痛い敗戦を喫した札幌の今節の相手は愛媛FC。函館でのホームゲームです。年に1度の函館ツアーということで、函館やその近郊の人たちがJ2とはいえプロのサッカーを生で見られる年に1度のチャンスでもあります。それはいいんですけど、山形→水戸というアウェイ2連戦のあとにはちょっとつらい日程です。よく北海道旅行に行くという人が「レンタカー借りて、函館行って、それから札幌行って~」という旅程をうれしそうに話してくれたりしますが、函館と札幌間の移動距離は練馬から新潟行くくらいの距離があるというのは道外の人にはあまりピンと来ないんでしょうね。しかしその距離をものともせずに毎試合函館から札幌まで通っている人もいるのですから、頭が下がる思いです。
 一応水戸戦の後あまり間がないこともあり、直接水戸から函館入りして調整を続けていたそうですが、最下位に負けたからなのか、それとも連戦の疲労を考慮してか、三浦監督はこの試合でだいぶメンバーをいじってきました。前節まで出場停止だったダヴィは戻ってきたものの、入れ替わるように水戸戦で警告を受けた元気がこの試合と次節徳島戦で出場停止。ダヴィと謙伍と2トップとなります。さらには水戸戦で執拗なタックルを受けていた攻撃の要・西谷もケガで欠場。代役は当然砂川ですからさほどの心配はないのですが、謙伍と砂川という切り札を最初から使わざるを得ないこと、そして彼らがスタメンに回ったことでベンチに入ったのが岡本賢明と西大伍。ルーキーとリーグ戦初ベンチという2人に普段の彼らの役割を期待するのは酷というものではありますが、それでもおとなしそうな顔をしてかなり天然な岡本と、おとなしそうな顔をしてかなり小悪魔な大伍の2人は練習試合で点を取りまくっているだけに、無駄に期待してしまいます。それはいいんですけど、この状態でベンチ入りすらしない相川さんはいったい何をしているのでしょうか。
 そして中盤も大塚ではなくカウエをスタメンで起用。第2クールくらいから使われ始めた対札幌戦略のひとつ、「ディフェンスラインとボランチの間のスペースを使う」ことの対応策として充分な働きができながらも、反面攻撃のつなぎの部分に難のある大塚を下げて、逆につなぎの部分には非凡なパスセンスを見せるものの守備には不安を残すカウエを使ったのは、どこが相手だろうとひたすら自分たちのサッカーを貫く愛媛であることもひとつの理由なんでしょうね。さらに三浦監督はディフェンスラインにも手を加え、西澤画伯ではなく池内を起用。画伯も今年33歳のベテランですし大きなケガもしているだけに、ここのところの連戦で疲れがたまっているのか闇狩人っぷりがちょっと影を潜め気味でしたから、無理もないところかもしれません。まぁ1対1の守備力については正直画伯も池内もそう大差はないのですが、ここに来ての池内の起用はセットプレイでの得点への期待がひとつと、もう一つ池内と征也でサイドを押し込み、結果として愛媛のサイドアタックを封じるのが狙いだったのではないかと思います。

 で、結果から言えば10位のチームを相手にホームで引き分けてしまったのですから、しかも全体的に押される展開だったのですかから、思惑通りには行きませんでしたけどね。それでも前半ロスタイムに征也のコーナーキックをフリーになっていた池内がドンピシャのヘディングシュートを決めて先制したのは期待通りの結果ですから、ことごとく目論見が外れましたというわけでもなかったのですけど、いいときの札幌ならばこの先制点を守りきっていたはずですし、追いつかれても何となく追加点を取っていたはずなんですけど、全体的にはどっちかといえば愛媛に押されるシーンのほうが多かったのですから、散々策を巡らして思惑通りに言っていると思って「僕の勝ちだ」とうっかり口を滑らせてしまったら、よりにもよって松田に撃たれたという感じでしょうか。
 下位のチームとの対戦というのは簡単に勝てそうに見えて思いのほか難しいものです。昇格を争っている札幌はどうしても先のことを考えてしまうものです。特に本来であればこの試合の後はオフだったのですけど、図らずも延期された徳島戦の代替試合がこの試合の3日後に控えていましたし、それがなければもう少し違っていたかも知れませんけどね。逆に数字上も昇格の可能性がない下位のチームはとりあえず先のことを考える必要がなく、後顧を憂うことなく全力でぶつかることができるわけで、上位に一泡吹かせてやろうと気合満点で襲いかかってくるもの。言ってみれば、100万パワーが1000万パワーに勝つためにベアークローを2つ装備していつもので2倍のジャンプをしてさらにいつもの3倍の回転をかけて100万×2×2×3で1200万パワー!といったところ。まぁそんなロボ超人はそこまでやってもツノ一本折るのが限界だったわけですが、この場合札幌は1000万パワーもないというところがミソ。2004年の川崎フロンターレならそれくらい行ってそうですけど、反則的な強さを誇った川崎みたいに、下位チームを真っ向から受け止めてなおかつばっさばっさとひねり潰すほどの力は札幌は残念ながら持っていません。その上連戦の疲労もたまっているのに加え、第3クールもそろそろ終わろうかというこの時期に来て、はっきりと「昇格」が見え始めたことで、知らず知らずのうちに昇格争いへのプレッシャーが出てきて、下位には勝って当然、という雰囲気がなおさら「見えない鎖」となって選手の動きを縛っていたのかも知れません。

 ただ、それはそれとしてとにかくよく走る外連味のない愛媛のサッカーは確かに見事なものでした。まぁ去年までの札幌がそのサッカーの内容に一定以上の評価をされていつつも、結局は昇格争いにほとんど絡むことが出来なかったように、愛媛も10位という成績が示すとおり、こういうサッカーが必ずしも「勝てるサッカー」だとは限らないのが現実。言ってみればラン&ガンで優勝できなかった豊玉高校みたいな感じですが、それでも前線に力のあるストライカーが1人いればもう少し上の順位にいてもおかしくないチームだと思います。後半開始直後の同点ゴールも非常に「らしい」得点で、何人もの選手が連動した流れるようなパスワークは的ながらあっぱれというほかありませんでしたね。
 さて愛媛を誉めるのはこれくらいにして、札幌にとっては入り方を間違えてしまったというほかない後半。前述の通りスタメンで砂川と謙伍を使ってしまっており、いつものように彼らの投入によって流れを変えるのは難しい以上、どうしても点を取りに行かなければいけない展開は一番避けなければいけなかったはず。後半15分くらいまでリードの展開が続けばカウエに変えて大塚を入れて逃げ切り体制を取れたでしょうけど、後半開始早々に追いつかれてしまってはその目論見も崩れてしまいます。それだけに最初の交代がカウエに替えて大塚というのは采配ミスと言えなくもありませんが、かといって岡本や大伍を早めに投入したところでリスクは高いでしょう。怖いもの知らずで意外なことをやらかす可能性もある反面、若さゆえの過ちというのも充分考えられるわけで、監督としては、特に戦略家の三浦監督にとっては選択しにくい手ではあります。まぁ大塚もそんなに攻撃がダメというわけではないんですけどね。サイクロンさえなければ。
 それでも24分に交代出場した岡本も、38分にプロデビューを飾った大伍も、それなりにミスもあったとはいえ将来性を感じさせるプレイはしていましたから、まったく収穫がなかったわけではないのですけどね。最後の大伍のヘディングシュートが決まっていたら、ユースの先輩である新居がデビュー戦初ゴールを決めた函館の地で伝説再びだったんですけどね。そこまでうまくは行かなかったというか、ゴール決めたのは愛媛の新井でしたね。

 結局追加点を奪うことが出来ず1-1の引き分け。負けてはいませんが気分的には負けに限りなく近い勝点1でした。

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コメント (1)

じゃがバター塩辛:

この試合、生で観戦しました。

・風が強いなと思ったら
・ソダン、ブルーノが地味に細かくファンタジック
・chooさんの常々おっしゃられるとおり、ブルーノの細かいところのファンタジスタっぷりを改めて実感
・右サイドは征也、池内の強気攻めモードも
・左サイドがさしずめ誘い受け状態
・いや、砂川さんは頑張ってましたよ、ええ
・でも砂川さん、カウエの代わりに大伍、大塚でも良かったのでは、と鱈レバ論
・個人的に愛媛は嫌なポジション取りをしてた大木、パスを散らしていた宮原、ボールをインターセプトしつづけた関根が良かった・・・大塚が出てくる辺りまでは
・ああそういえば、コンビニで買ったポンジュースを飲み忘れてた
・だから私がゲンを担いだからって勝てたかは疑問ですが

何だかチラ裏になりましたが以上、雑感を。

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